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はじめての『プリキュア』感想36(開き直って長い)

◆『GO!プリンセスプリキュア』#47◆
冬休みが終わって寮に戻ってきた皆に、レッスン修了後も地道に練習を重ねていた紅茶を振る舞い、喜ばれるはるか。外では雪がちらつきだし、花壇の様子を見に行ったはるかは、小さな花がそこに咲いているのを見つける。
「こんな寒い時に芽を出したロマ?」
「うん。スノードロップっていうんだ。花言葉は……希望」
その頃、ホープキングダムではディスピアが何やら方針を変更し、最後に残った花の城に異変が発生。カナタからの連絡で城へと転移した4人と不思議生物たちだが、そこで、『花のプリンセス』に描かれた鳥と良く似た小鳥に招かれたはるかは、城の中に入ってそのまま閉じ込められてしまう。
はるかの眼前には美しい花の溢れる庭園が広がり、その背後で流れ落ちる水のヴェールで作られた扉が閉まると、バラのツタがその真ん中に垂れ落ちて世界を閉じてしまう。画面が庭園側からのカメラに切り替わると、いつの間にか髪が伸びてドレスに身を包んだ姿に変わっているはるか。そして噴水のヴェールの向こうから金髪の王子様が現れる……というのは世界の切り替わりを印象的に見せていて、面白い演出。
王子「花のプリンセス。ようこそ我が城に」
「私が、花のプリンセス?」
小鳥「そうですとも。ようやく辿り着いたのですよ。王子様の元へ」
そこは、絵本が辿り着けなかった結末、の世界なのか……?
戸惑っていたのは一瞬で、豪奢なお城の舞踏会に、すっかり飲み込まれてしまうはるか(笑)
美味しい食事に素敵なパレードに天蓋付きのベッドを堪能して、翌朝。レッスンの成果を活かそうと自分で紅茶を淹れようとしたところ、はるかは王子様に制止されてしまう。
「レッスン? ……プリンセスにはそんなもの、必要ありません」
「レッスンが、必要ない?」
違和感を覚えながらも空を見上げたはるかは、自分が何をしてどこから来たのかを忘れていく……。
「あれ……? 私、レッスンなんて……いつやったんだっけ?」
「さあ、召し上がれ。あなたはただ笑顔で居てくれれば、それでいいのです」
そして、クッキーで懐柔される(笑)
城外では、ディスピア様の影が取り残されたメンバーの前に出現。
キュアフローラはこの城で夢を叶えた。おまえ達の事など忘れ、自ら望んだ幸せの中に堕ちたのだ。もうその夢からは出てこまい。永遠にな」
理想の幻影に捕らえられる、という罠自体はよくありますが、それが今作のテーマと繋がり、夢を原動力とするプリキュアの夢がもし叶ってしまったら? という思わぬ落とし穴として土壇場でうまくはまりました。特にはるかの夢がもともと非現実的であった為に、この幻影の重さが効いています。
ディスピアは最後の魔獣ゼツボーグ(鳥ではなくて、蝶?でした)を生み出し、みなみ達はプリキュアに変身するが、カナタも含めて、その伸ばした茨のツタに拘束されてしまう。
一方、夢の世界に囚われたはるかは、広大な花畑と花でいっぱいの渓谷に案内されてプリンセス生活を堪能していた。記念に自分も種を蒔きたいと申し出て受け取るが、何かに引っ張られるようにして勝手に地面に落ちた種が、その瞬間に花を咲かせた事にはるかは言いしれぬ疑念を抱く。
「どうして、すぐに花が咲くの……?」
王子「なぜそんな事を。花が咲いたのだから、それでいいでしょう。種はすぐに花を咲かせ、永遠に枯れない。ここは、幸せ溢れる国なのだから」
「幸せ溢れる……?」
小鳥「そうですとも。美しい城に、素敵なパーティ。おいしいお茶に、枯れる事のない花畑。これ以上何を望むのです? 全てあなたの望んだ、夢の世界なのですよ」
「私が、望んだ……?」
不安な面持ちに変わったはるかは、一面の花畑をぐるりと見つめると、今咲いたばかりの花に手を伸ばす。
「花は…………花は……花は……こんな風に咲いた?」
その時、瞼の裏にちらつく、スノードロップ
「違う。これは、花なんかじゃない。綺麗に咲くから美しいんじゃない。花が美しいのは、土に根を張り、太陽の光へ手を伸ばし、寒さに耐え、葉を広げ、そうやって、いつか美しく花を咲かせようと、頑張るから。自分の力で、精一杯、努力して。……?! ……自分の、力で」
元々はるかの理想の出発が絵本の世界ですし、なにぶん幸せ溢れる国なので、こういうファンタジー世界だったら全否定すぎますが、はるかの言葉にネガ化して崩れていく世界。
小鳥「何が不満なのです。あなたの夢は、プリンセスになる事でしょう?」
「私の夢……」
小鳥「プリンセスになって幸せに暮らす。それがあなたの夢! 夢が叶ったのですよ?」
「違う! 私の夢は、こんなプリンセスじゃない! なんの努力もしないで叶う夢なんて、夢じゃない!」
その叫びと共にはるかの体が光をまとうと王子や周囲の風景が完全に崩れ去り、暗闇の中にはるかと小鳥だけが残され、小鳥はクローズへと姿を変える。……クローズ、結構、プライドを切り売りするのが得意。
「ディスピア様の作戦は失敗か。だがこんな予感はしていた」
「クローズ!」
「おまえの夢は、俺が潰してやる!」
はるかは変身し、城外に飛び出して拳をぶつけあうフローラとクローズR。
「あのまま幸せに暮らしていれば良かったのにっ」
「あんな世界、ちっとも幸せじゃない! やれる事は自分でやりたい。その為にレッスンだってやってきた! それがきっと、私の夢に、本当のプリンセスに繋がっているから!」
「くだらねぇっ!」
クローズは頑なに夢を否定し、のしかかるようにフローラを押し潰そうとする。
「おまえの夢ってなんだ? 本当のプリンセスってなんだ? キーが全部揃ってるのに、未だにグランプリンセスにもなれてねえ! どうすればなれる、いつなれる?!」
「え?!」
畳みかけるクローズの言葉に息を呑み、揺れるフローラの瞳がアップに。
「そうだ。おまえの夢なんて本当はどこにも無い。終わりのない夢を、おまえは追い続けてるんだ!!」
ここに来て、ディスピア様とクローズRが実にいい所を突いてきます。クローズRには自覚が無いものの、物語としては前半のはるかのふわふわ具合も巧く拾っており、プリンセスとは何か、ドレスアップキーが揃えば万事解決するのでは無かったのか、と視聴者の疑問を全て代弁(笑)
(終わりが、無い……?)
瞳の揺れが大きくなり、目を大きく見開いたフローラは木の根に叩きつけられ、クローズはそこに追い打ちのエネルギー波を放つ。
空中での打撃戦もそうでしたが、今回は少し、戦闘の絵が『ドラゴンボール』になりすぎた感じ(^^; 今作、普段はゼツボーグのギミックやバンク必殺技を織り込む事で、肉弾戦の『ドラゴンボール』化をなるべく避けているのですが。
フローラに直撃する絶望のエネルギー波。だが衝撃が収まると、傷ついたと思われた心と体で、フローラはそれを真っ正面から受け止め――
「終わりがない…………そう、私の夢に、終わりなんて無いんだ」
むしろ微笑む。
え、あ、あれ?!
クローズと一緒になって愕然としてしまいました(笑)
いや、知ってた、知ってたんですけど、まさかそこを肯定してくるとは、さすがに予想を上回られました(^^;
エネルギー波を完全に消し飛ばし、ゆっくりとクローズへ向けて歩き出すキュアフローラ
「私の夢は、大地に咲く、花のように、強く、優しく、美しくある事。たとえどんな苦しみや悲しみの中にあっても、ずっとずっといつまでも、強く優しく美しくあり続ける存在。それが、私がなりたいプリンセス!」
キュアフローラはホント、夢の永久機関だなぁ……(笑)
これをずっと、微笑みながら言い続けるのがとにかく凄い。
そして先ほど、(終わりが、無い……?)の所で瞳孔開いていたのは、現実を突きつけられて呆然としたのではなく、(いい! クローズ、そ・れ・だ!)という閃きが降りた瞬間だったのか……(笑)
与えられた夢の結末を突き破り、誰かに用意された正解ではなく、自分で見いだした答をつかみ取ったフローラはクローズRを退け、サクラキー単独必殺技の桜吹雪は、割とぞんざい。皆を解放し、弱った蝶ゼツボーグをプリキュアボンバーでブルーミングすると、クローズらは撤退する。輝ける花の力で城が解放され、ホープキングダムの大地が光を取り戻すと、空に桃色の虹がかかり、虹の根元にあったディスピア様の根城は消滅。
黄金の輝きの舞う中で街もその姿を取り戻し、それを見つめるプリキュア達……て、なんか最終回みたいに!(笑)
ところで星・海・花の城で、ホープキングダムの空・海・大地が元に戻ったのに比べると、炎の城の浄化範囲がやたら狭かったような気がするのですが、虹は出ましたし、パヒュームともども将来の災いに備えて作ったというのなら、有事の際に機能するセーフティー回路みたいな役割だったのでしょうか。
「強く優しく美しくあり続ける、ね」
「何事も、自分の力で、成し遂げていく。それが、プリンセスへの道」
「あたし達がやってきたレッスンも、その為だったのかも!」
……まあ、はるか以外はあまりレッスン関係ありませんでしたけれども(^^;
「えーくせれんと! もう教える事は何もないわ。ユー達、とっても素敵なプリンセスになったわね」
学び、気付き、確かな何かを掴んだ4人を祝福するミス・シャムール。
えー、あまり1時間前の作品と引き比べたくはないのですが……レッスンを「守」り、その先で与えられたプリンセスの役柄を「破」り、憧れから「離」れて自分で立ち上がる――これが本当の「守破離」ですよ!
「後は、あの絶望の扉を開ければ、この国の民も解放される。あの扉を開けられるのは、グランプリンセスだけ」
「グランプリンセス……」
シャムール(大丈夫。きっともうすぐ……)
フローラの啖呵の所でちょっとびっくりした表情をしていたり、ここに来てミス・シャムールが少々思わせぶりですが、存在が割と適当なので深く考えてこなかったけど、先代の頃からいる超大物妖精とかだったりするのでしょうか。
宙に浮かんだ扉を見つめるプリキュア達だが、その時、響き渡るディスピアの声。
「見事だプリキュア。いいだろう。ホープキングダムはお前達に返そう。だが絶望は、止められない」
ディスピア様はなんと、侵略の矛先を変えてノーブル学園の上に浮かんでいた! で続く。
劇中で既に紐付けする台詞があったかメモも記憶もないので定かではないのですが、アバンタイトルからの引きを見ると、「グランプリンセス」とは、強く・優しく・美しくあるその姿で、誰かの「希望」となるもの――文字通りに、「絶望」の対となる存在(だから絶望の扉を開く事が出来る)といった辺りに着地しそうでしょうか。
個人単位ではスカーレット誕生時に「闇を払い、夢を照らす、希望の炎!」という台詞があるのですが、そうすると今作突き詰めてきたのは、
希望とは何だろう?
という事なのかな、と。
今回、集大成へ至るエピソードという事で、少々やりすぎなのではないかというぐらい、これまでの積み重ねとそこから生じた理屈がギチギチに詰め込まれておりますが、その中で最も重要だと思うポイントは、はるかの「なんの努力もしないで叶う夢なんて、夢じゃない!」という叫び。ここではるかは与えられた理想の世界を拒絶し、大切なのは「夢が叶う」事ではなく、「夢を叶える」事だ、という考えに辿り着きます。
いつか美しく花を咲かせようと、自分の力で努力するからこそ、花は美しい。
つまり夢とは、努力を促し、自分を成長させるものだからこそ、夢と呼ぶ。
今作、前半から少々引っかかりを覚えるキーワードに「夢は努力すれば絶対かなう」というものがあり、これが一種の結果主義(夢がかなわないのは努力が足りないから)と、努力万能主義(なぜなら努力すれば夢は絶対かなうのだから)に繋がる要素を孕んでいたのですが、ここでそのロジックが反転。
何故「夢は努力すれば絶対かなう」のか?
それは、努力が万能だからではない。
夢がある限り、人は努力(成長)し続けられるから。
だから人は、いつか夢に辿り着く。
或いは例えそれが終わりの無い夢だとしても、夢がある限り、人は歩き続けられる。
そしてその道のりの途中で、きっと数多の幸いに出会う。
――「ありがとう。あなたが夢見てくれたから……私今、こんなにも幸せだよ」――
だから夢は、叶ったらまた作ればいいし(ステラ)、新しいものに変わってもいい(みなみ)。何故ならそれは、旅路を照らす光であり、決して終着駅ではないのだから。
ここで、『花のプリンセス』が旅のゴールに辿り着かない物語である事の意味も収まり、夢とは、人が良く生きてく為の道しるべではないか、というテーマが見えてきます。
そしてそれは、「希望」という言葉に置き換えても良いものでしょう。
恐らくこういう形で「希望」というマジックワードの劇中定義付けを仕込んでいるのではと思うのですが、ここで凄いのは、合わせて、同じくマジックワードでもあり最初からそういうテーマとして存在していた「夢」について、夢はどうして大切なのか?もゴールまで引っ張ってきてみせた所。
マジックワードを杜撰に扱わない事へのこだわりというのは児童向け番組としての真摯さというのがあるのでしょうが、同時にその親世代へ向けて「どうして今作は、夢を見る事の大切さをテーマとしているのか」というのを描いているように見え、実に頭の下がる思いです。
ここに来て第14話、はるかの家族エピソードの存在も効いてきました。
さて、テーマの部分はともかく、今作長らく「プリンセス」に関する“名”と“実”の問題というのを抱えておりまして、第39話において“実”の部分はほぼ出来上がっていたのですが、なまじはるかの「プリンセスになりたい」というのが、9割方ファンタジーだけど現実において可能性が皆無ではない、という内容だった為に、プリンセスという“名”をどこに着地させるのか――単純に言うと幾らファンタジーにしても結婚も血統も抜きでプリンセスを名乗る事に説得力を持たせられるのか、という課題がありました。
現実的には、はるかの夢を多少拡大解釈して「プリンセスのような理想の人になりたい」と持ってくるのが落としどころと思われたのですが、そこで肝心のはるかの理想のプリンセス像がキメラ化して迷走。更にグランプリンセスの要件に合わせて理想のプリンセス像を解釈してしまって混沌。
このままなし崩しに落着させてしまうのかと思われた終盤、第39話で、幼い日に抱いた『花のプリンセス』への憧れと、現在のはるかが抱え持っている解釈を一旦切断(その上で過去から現在までとこれまでの物語を否定せずに繋げてみせたのが実に素晴らしかった所)。
そして今回、前半のはるかなら恐らく抜け出せなくなったであろう罠を乗り越える事で、第17話までのはるかが望んでいた、たった一つの正しい結末でも、第38話までのはるかが目指していた用意された理想のプリンセスでもなく、自ら見つけだした私のプリンセスに到達し、「プリンセスのような理想の人」ではなく、「この理想をプリンセスと呼ぶ」と逆転。
それは、「私の夢に、終わりなんて無いんだ」と自ら認めるように、果てしない夢想かもしれない。
けれどもはやそんな事は関係なく、はるかは理想の姿――たとえどんな苦しみや悲しみの中にあっても、ずっとずっといつまでも、強く優しく美しくあり続ける存在――を目指し続け、それがはるかにとってのプリンセスである。
さすがに完全に計算通りとも思えないのですが、これを47話かけてやる事で、はるかが名付ける事自体に説得力を持たせるという物凄い大技で定義丸ごと根こそぎ押し流しました。
……あ、結局、一周して革命家路線だ(笑)
美しく言えば、はるか自身が、はるかという花に名を与えたとでもいいましょうか(笑)
『花のプリンセス』にしろグランプリンセスにしろ、どちらにせよはるかは、強固な夢を持っているようでありながら、入れ物に惑わされてその中身を用意されていた物に合わせてしまう傾向があり、実は自分の理想の中身があやふや、という部分がありました。
それが第39話において一旦分解された事で、改めて自分がプリンセスになりたい理由、ありたい姿を見つめ直す事で“実”を手に入れ、そして今回それに、自ら“名”を与える。


「想いの数だけ物語はある。そういう本でいいと思ったの。あなたの中にも、プリンセスにはこうなってほしいという、未来があるのでしょ?」
望月先生の言葉を借りるなら、こうなってほしいから、こうありたい、へのより主体的な転換といえ、ほんの些細な憧れから始まったはるかの「プリンセス」が、今、花咲く。
そしてそれは、みなみが“家の為の自分”から一歩外に踏み出したように、はるかにとって『花のプリンセス』からの自立なのでしょう。
……なんというかこう、彫刻みたいな作品。
最初は素材がどーんとあって何を彫っているのかさっぱりわからないのだけど、彫り進めていく内に、線や形に段々と意味が見えてきて、なんだか彫り間違えたのではないかという所まで、造形の一部として回収(笑) そして今、何を彫っていたのか、その全貌に辿り着こうとしている、そんな気がします。
まあ、あくまで私解釈なので、実は全然違う所見ている可能性もありますが!(笑)
残った要素では、今回完全に『花のプリンセス』の小鳥になぞらえられたクローズに対し、はるか/フローラは如何なる答を見せられるのか。
果たしてディスピア様が、最後の最後で「私の夢は世界征服! その為に血の滲むような努力をしてきた! だから私を応援しろ!」という禁断の魔球を投げてくる事はあるのか、仮にそのボールが投げ込まれた場合、打ち返す為のロジックは仕込まれているのか。……まあささすがにディスピア様は、夢(希望)の対になる存在だから夢など抱けないという扱いになりそうな気もしますが、その辺りも含め、どういう着地に持っていくのか、最終決戦も楽しみです。
次回――ロックのパーカーが拾われた!! どう決着を付けるかはわかりませんが、そう来なくては! という拾い方で、ホント終盤に入ってからの今作の徹底ぶりは、物凄い。