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はじめての『プリキュア』感想38/『プリンセスプリキュア』最終回(長い)

最終回……の感想の前に、今更シリーズを二つ。
今更1:「いいかい、トワ。どんなに辛い事があっても、諦めちゃいけない。常に、人々の夢を照らし続ける希望の光。それが、グランプリンセスなんだよ」(カナタ王子/第22話)
どこかであった気がしたけど見つからないなぁ……と思っていたのですが、第22話時点で「グランプリンセス・夢・希望」はしっかり繋げられていました(^^; まとめ直す時に、47−49話の感想は要手直し。
今更2:シャットとミス・シャムールに絡みがあったのは、両方とも猫属性だからか!
というわけで、以下、最終回の感想です。たぶん最長記録更新。
◆『GO!プリンセスプリキュア』最終回◆
真ディスピアを倒し、元に戻った世界。勝利に沸き返るプリキュア達だが、その時――
「知ってるだろ? ディスダークは、何度でも甦るぜ! ディスピア様は最後に俺に全てを下さった。あらゆる夢を閉ざすまで――絶望は、消えない」
予告の構成などからてっきり、戦いが終わって数ヶ月後、一人になったはるかに絶望の力をかき集めて再生したクローズが襲いかかる、みたいなパターンかと思っていたら、予想を超えて力強く、アバンタイトルから最終形態デビルクローズ出現。
実はこの瞬間、え、この流れで大丈夫か? と一抹の不安を覚えたのですが……
いやーーーーーー、凄かった。
前回、夢の力を託される事でグランプリンセスへと覚醒し、夢と希望の力に絆を足してディスピアを消滅させたプリンセスプリキュアですが、今作はここで、敢えて問う。

「絶望」って何だろう?

そしてそれを、春野はるかに突きつける。
「お前達と相容れる事は無い。俺たちは戦い続ける、運命なんだぜ」
前回ラストで残っていたストップツタとフリーズツタが破裂し、再び世界を覆っていく茨。
「このまま戦っても、きっと、何も変わらない……」
反撃しようとするトゥインクルを止めたフローラは、一人、デビルクローズの元へと飛翔する。
「どうするつもりですの?!」
「わからない……でも……だから……話さなきゃ、クローズと」
「フローラ!」
「行きなさい!」
ここでスカーレットを止めるマーメイドは、能力ある人間はやれると言った事をやらなくてはならない、という他人の魂の価値を見定めるみなみ様らしくて良かったです。
「フローラ! 託すわ、あなたに!」
「……はい!」
「やはり最後までおまえだったな、キュアフローラ……! 俺とおまえだけのステージだ! さあ、踊ろうぜ!」
茨の球体の中で、一対一でぶつかりあうフローラとクローズ。
話し合い……の前に、とりあえず殴り合いです。
前回、超巨大なラスボス相手のフィールドでのパーティ戦から、今回は閉鎖空間での一対一の激突という形に戦闘の性格を変える事で、クライマックスバトルが屋上屋を重ねた二番煎じになる事を巧く回避。特に、射撃戦主体のG−プリンセスフルドレスから、格闘戦主体のG−プリンセスパーフェクトパックに換装するというのは、正真正銘ラストバトルの追加ギミックとして非常に秀逸でした。
(ディスピアを倒しても、絶望は消えなかった……それじゃあ……)
「どうしたぁ! おまえのなりたかった、グランプリンセスとは、そんなものかぁ!!」
アクション描写で出色だったのは、キーを振り回して発生させるレースシールド。特にストップとフリーズのビーム攻撃をリフレクターレース織りで反射したのはスピード感もあって凄まじく格好良く、バリア技の格好良い表現としては、私内部でトップに躍り出る勢い。
とにかくレースシールドの使い方がやたら格好いいのですが、微妙に既視感あるなぁ……と思って考えていたら、えーと、あれだ、ユートピアドーパントだ(待て)
ユートピアとは、希望の力のメモリ。君の生きる気力を貰い、私の力とした。その結果を味わいなさい」
……はさておき、
「何度でも絶望させてやる!! おまえが……諦めるまで!」
打撃から光線技の直撃を受け、吹き飛ぶフローラにクローズは絶望を突きつけ続ける。
「夢がある限り、絶望は消えない……永遠にな」
「……絶望は、消えない……絶望って……何? 絶望……絶望……絶望…………」
フローラの意識は闇の中、過去を彷徨っていく……





「おまえがプリンセスなんて、なれるわけないだろー」


前回・前々回でやたら藍原少年が持ち上げられたと思ったら、最終回この局面でまさかのトラウマ駄目押し(笑)
マイクパフォーマンス中に背中にドロップキックで場外に蹴落とされた!
絶望とは何か――過去の失敗や苦難を思い起こすフローラだが、その記憶はやがて、その後に得た喜びへと移り変わって行き、そして……最初の約束を思い出す。
(そうか……)
動きを止めたフローラに迫る絶望ビーム……だが
「そう、絶望は――消せない」
斜め下を見ながら、ビームを受け止めかき消すフローラ。
「絶望は、どこにでもある。今までずっと、辛い事は沢山あった。でも、それを無かった事になんて、出来ない。ううん、無くしたくない」
「何を言っているぅ!」
クローズの猛襲を片手で受け止めたフローラは
「楽しい事と辛い事は、背中合わせ。でも!」
クローズに強い表情を向け
「だから」
そして笑う。
「今の私が居る!!」
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!」


「笑おう、スカーレット」
「嬉しい事、楽しい事、夢とか、希望とか、そういう、あったかい気持ち、みんなでいっぱい作ろうよ。あいつらに何言われても、笑い飛ばせるぐらい……いっっぱい作ろう。一緒に、強くなろう。ね?」
「カナタ、私ね、夢があったから、ここまで来られた。みんなとも出会えた。夢をなくすなんて、諦めるなんて出来ない。たとえ、カナタにやめろって言われても、私は、プリンセスを目指すよ」
「ありがとう。あなたが夢見てくれたから……私今、こんなにも幸せだよ」
「……レッツゴー、プリンセス」

フローラはストップとフリーズ触手のオールレンジ攻撃をダブルシールドで防御し、反撃の音楽もスタート。
「夢も絶望も、その両方が、私を育ててくれた」
「黙れぇ!」
ストップとフリーズを吸収したクローズの絶望ビームもG−プリンセス一人アサルトビームで相殺し、再びの格闘戦。必死の形相のクローズに対し、にこやかに微笑みながら、ひらりひらりとその攻撃を捌ききるフローラの姿は、圧巻、の一言。
今作が積み重ねてきたキュアフローラというヒーローの姿にふさわしい、ラストバトルとなりました。
「嬉しい事、悲しい事、全部ひっくるめて、夢って事なのかな」
「黙れーーーーーっ!!」
消されるのでも、否定されるのでもなく、受け入れられる事で、夢の中に取り込まれてしまうクローズ。
フローラの放った掌底の一撃がその動きを止め、世界が、桜色に染まる。
「絶望は、消えない」
笑顔のまま、そう告げるフローラ。
「そうだ。これからも現れ続けるぜ」
「乗り越えていくよ。時々、負けちゃう事だってあるけど、何度でも前を向ける。だって、私たちには――」
「夢があるから」
クローズの言葉に、満面の笑顔を向けるフローラ。
「夢だって、消せないよ。絶望がある限り、夢だって、輝き続ける」
夢の中に必ず絶望が混ざっているのを肯定する事で、絶望の中にも必ず夢が存在しているのを認めさせる、というウルトラC。
古典的な「光ある所に必ず闇あり」(「神の教会あるところ、悪魔礼拝堂必ずあり」)のテーゼとその裏返しなのですが、古典的ゆえに“よくある当たり前のルール”として使ってしまいがちな要素に真っ正面から向き合う事で、ここまでの説得力を持たせたのは実にお見事。
また、最後まで明確な言及はされませんでしたが、ディスピア様が生み出した闇のキーが一連のスカーレットキーに転じた理由付けも成立したといっていいと思います。
夢の中に絶望があるように、絶望の中にもまた、夢が生まれる。
「いつまでも……」
桜色に染まった空間で、ゆっくりとすれ違うフローラとクローズ。
「強く優しく美しく……か。……はぁー……やめだ、おまえの相手は。これ以上やってらんねえぜ」
フローラに背を向けたクローズは翼を広げ、飛び立っていく。
「消えてやるよ。今はな……あばよ」
「クローズ……」
見送るフローラの周囲を舞い散る花びらの中に、クローズの黒い翼が落ちてきて混ざるのが、またお見事。
絶望は決して浄化されたわけではなく、フローラとクローズもすれ違ったまま終わる。
何故なら絶望もまた、世界の一部なのだから。
それは、消し去って終わりのものではない、見て見ぬ振りをしても無くなりはしない、生きている限り、折々に現れるもの。だから、その度、乗り越えていけばいい――笑って。
それが、人間の本当の強さ。
絶望を認め、乗り越え、笑って立ち上がれる強さを持つ者が優しくあれば、やがてそれは世界を美しい花で包むだろう。
「…………またな」
ごきげんよう
クローズは姿を消し、フローラが残った絶望の扉を開くと、茨が完全に消滅。閉じ込められていた人々の夢が世界中に戻り、今度こそ元の姿を取り戻す世界……微妙に、適当にワープさせられた人が居る感じですが(笑)
かくして今度こそ戦いは終わった――で、Aパート終了。
Aパート丸々を使ったラストバトルでしたが、まずは、残り3人を潔く排除してフローラvsクローズに絞った、という展開が秀逸(それも、戦闘不能になったわけではなくそれぞれの意志で)。
第48−49話から続いてきたクライマックスバトルがくどくなるのを避けると共に、物語のテーマとしては既にある程度提示されていた部分に、クローズ(絶望)との対決を通して、はるかが辿り着くという構造がしっかり収まりました。
そしてはるかは、クローズを許すのでも救うのでもなく、飲み込む。
vs真ディスピアは、収まりがいいといえばいいけど、目の前の巨大な絶望を消し去ってそれでめでたしめでたし、というのは少々引っかかりもあったのですが(その為どうも、グランプリンセスが「ディスピアを倒す為のギミック」に見えてしまった)、それを補って余りある今作らしい決着となりました。
「夢」「希望」という正のテーゼを描くにあたって当然生じる「絶望」という負のテーゼ。
それは倒すべき巨悪として踏み潰し栄冠の踏み台とし、そのまま物語のカタルシスの中で処理してしまっても構わない要素といえるのですが、今作はそこに蓋をせず、生んでしまったものを真っ正面から見つめる事で、物語として、“正しく”あろうとする姿勢を貫ききりました。
そこに確かにある、それを消してしまって終わりでいいのか?
今作終盤における、劇中に散りばめた要素を徹底して拾っていく手法が、行き着く所まで行き着いた感があります。
……誤解をしないでほしいのですが、“正しい”事は必ずしも良いとは限らず、“正しい”事は必ずしも面白くはないのです。全てに始末をつけようとすればそれだけ不合理が生まれる可能性は高まり、正しくあろうとした結果、フィクションとして正しくなくなってしまう事さえあります。
しかし今作は、物語の全てに対して出来る限り誠実であろうとする道を選び、そこにある物をそこにあると認めた上で、それに対する答を、前を向いて出してみせた。
ここに至って、世界の負の面を受け入れた上で、それを乗り越え歩き続けていこうとする、はるかの物の捉え方と、負の要素も全て意味あるものとして描こうとする作品の構造そのものがメタ的に合一しているといえるのですが、そんな“春野はるか”を描く為に、作品として嘘をつきたくない、という真摯さの結果であったのかな、と思います。
この“正しさ”に対して思う所は、個人の趣味嗜好で色々ある所だと思いますが、私としては、この“正しさ”に向き合い、その上でここまでの作品を作り上げたスタッフに、心から敬意を払いたいと思います。
そして私が今作を高く評価する理由の一つは、今作が逃げない「強さ」と、倒れた者への「優しさ」を、一つのテーマで同時に描いてみせた事。
恐らく今作が「強さ」だけの作品だったら、私はここまで評価しなかったと思います。
今作は、“傷つき倒れても立ち上がらなくてはいない”物語ではなく、“傷つき倒れてもいいんだよ。泣くだけ泣いたら、また笑おう”という物語であり、それが、今作の到達した美しさではないか、とそんな事を考えます。
いわば作品キャッチフレーズであった「強く・優しく・美しく」を、物語そのものの姿として描いてみせたのも、お見事。
良い事も悪い事も全てが今の自分を形作っているから否定しない、というのもまた古典的テーマでありますが、それを「夢」というキーワードに繋げてしっかりと物語として着地させました。
Bパート冒頭で遂にホープキングダムが解放され、そういえば必殺技の発動アイテムと化していたご実家も無事に元の大きさに。G−プリンセスご一行は王家と国民から万雷の感謝を受けるが、それは、別れの時が近づく事を意味していた――。役目を終えたドレスアップキーは眠りにつき、キーとパヒュームを返す事で二つの世界を行き来する方法は無くなってしまうのだ……。
時は流れ、ノーブル学園修了式――最後に心ゆくまでマーブルドーナッツを堪能した5人と2匹は別れの時を迎え、我慢しきれずに泣き出してしまうトワを抱きしめるはるか。
「大丈夫。また会えるよ。離れていても、心は、繋がっているから。きっと。ね」
ここで、涙を落とすのがトワとみなみで、涙ぐむ所で止まるのがはるかときらら、という辺りに、プリンセスプリキュアにおけるヒーロー/ヒロインのポジショニングが見えます(笑)
「私たちは!」
「「「「いつでも一つ!」」」」
4人は手を重ね、この期に及んでちょっと遠慮がちに手を置くゆいちゃんは、もしかしてスケッチでも取ろうとしていたのか(笑) パフとアロマが続いて5人と2匹は手を重ね合わせ……

「強く!」
「優しく!」
「美しく!」
「GO!」
「「「「「「「プリンセスプリキュア!!」」」」」」」

そして新学期が始まり、学園や街の人々達を描くエンディングモード。一部で大人気のイケメン執事&奥様がバイオリンお爺さんと一緒にワンカット登場しているのですが、1回ゲストに出たっきりなのに、何故この待遇(笑) 本当はもう一回ぐらい出したい予定があったのでしょうか。そしてアップでワンカット持っていく風紀委員メガネなど、偏愛と陰謀が渦巻きます。
その後、更に多くの秒数を持っていったかりんに関しては、ええ、もう、何だかそんな気がしました、ハイ。
「意外と、赤い薔薇も美しいものだな」
キュアスカーレットの色だから?」
「う、うるさい!」
学園の薔薇園を訪れるシャットとロック(マフラー)。…………君達、置いていかれたのか(笑) いや、顔も合わせづらいし隠れていたのでしょうが、不審者まっしぐらの元三銃士(特殊能力は消えてしまったとの事)は、そこで白銀さんと望月先生に前後を囲まれる。
「薔薇がお好きなの?」
「あ……はい」
この二人の心境の変化についてはもう一歩踏み込んで描いてほしい所はありましたが、この世界で有数の奇矯な人と接触してしまったので、とりあえず当面の生活の不安はなさそうです。
「ほほほ、大丈夫よ。この世界では、お金さえあれば戸籍の一つや二つぐらい、簡単に買えるのよ?」
「感謝するのみ!」
心配なのは、どんな変な名前をつけられてしまうのか。
みなみは、どこかの海であすかと合流。みなみ様に関しては説明をねじ込む所が無かったのでしょうが、新学期始まってからの時制ですし、あすかさんにどこかに招かれた都合で転校した、という可能性はありそうでしょうか。もちろん休日に海へ行ってもおかしくはないのですが、この前にキミマロが生徒会室に登場しているシーンがあり、どう考えてもキミマロ、やっと留学先から帰ってきたと思ったらみなみ様が居なくなっていたというキャラですし(笑) キミマロはOPでやたら面積を取っている割にクライマックスに何も関わらないと思ったら、まさかこんなトリッキーな活用をされるとは。
きららはパリでショーに出演中。山崎たくみさん(ボアンヌ)は、「ボーン」の一言だけの為に呼ばれたのか。さすがにステラは、画面には居るけど何も喋りませんでしたが。ボアンヌも最初は如何にもな、ちょっとギャグっぽい雰囲気だったのに、妙においしいキャラクターに収まったなぁ……(笑)
クロロはシャムールに弟子入りし、マジカルティーチャーの道を目指す事に。パフも本業のメイド見習いに戻り、キャストクレジットによると、ここで登場する執事の声は、1年間、性別も種族も超えてゼツボーグの声を演じてきた中務貴幸さん。
アロマも久々に執事見習いモードを披露し、カナタによる茨の森の視察に付き添っていた。
ここで、ホープキングダムの絶望の森も消えたわけではなく、その存在を認める、という形になっているのが手抜かり無く、さりげないけど重要なシーンです。
「お兄様。森の様子はどうでした?」
「とても静かだったよ。今はまだ……ね」
「心配いりませんわ。きっと……未来のプリンセスも、絶望に、立ち向かえる筈です」
トワとカナタは約束のバイオリンを奏で、城の中では、眠りについたドレスアップキー(大量増殖)が淡い輝きを放っていた……そして……



「本当に、今まで楽しかったよ。辛い事もあったけど、このキーがあったから、私、ここまで来られたよ」
時間は少し巻き戻り、始まりの花畑で、ドレスアップキーを手に話すはるかとカナタ。
「キーは、きっかけに過ぎない。ほんの少し、君の背中を押しただけさ。全ては君の、はるかの力だよ」
「そうかなぁ……? うーん……カナタがそう言ってくれるなら、そうなのかも。うん、私、頑張った! えへへ」
二人は微笑み合い、ここでOPと同じ、向かい合う二人のカットに。
「それなら……私は、もう大丈夫だよ。このキーが無くても歩いていける。これからも、私の夢、私だけの、プリンセスを、目指して!」
始まりと逆の形で、はるかはキーをカナタへと返す。
「ありがとう。はるか、君に出逢えて良かった」
「私も。ありがとう、カナタ」
見つめ合う二人の周囲を舞う、色とりどりの花びら――
「また、逢えるよね?」
「ああ。逢いたいと」
「心から、望めば」
ここでBGMのぽろん♪という音とちょっとビックリした表情になるカナタ様、を重ねたのが秀逸。
「――ああ」
笑顔になったカナタの姿が花びらに包まれて消え、それを笑顔で見送ったはるかは…………ぎゅっと、スカートの裾を握りしめる。
ああ、そう来るか、ここで号泣させるのか。
Aパートできちっと絶望との決着をつけて、そこからそれぞれのその後を描き、最終回として十分に満足する内容だったのですが、最後の最後で、もう一つ、やってくれました。
ホープキングダム解放の時も、トワとの別れの時も、涙をにじませる所で留まっていたはるかが、ここでボロ泣きする。
あー、ちゃんと、“好きだった”んだなーという。
思春期ダウンロード中とかネタにしてしまいましたが、それは最初からだったかもしれないし、少しずつ熟成されていったものかもしれないし、今この瞬間に気付いたものかもしれないけれど、ここで、こらえきれないはるかの感情が溢れてこぼれる。

あなたに会えたこと みんなを守れること
わたしのちからよ もっと強く優しく美しく
つらぬく想い 明日への鍵

カナタ様はカナタ様なのでプリンセスキーが背中を押してくれた、と言うけど、はるかにとってそれはあの日のカナタそのものであり、そんな想いの積み重ねを、言葉ではなく、しゃくり上げる姿一つで見せた演出はお見事(当然、上述した二つの涙のシーンは対比として意図的なものでしょうし)。
近い年代向けの戦隊シリーズでも、恋愛要素は何となくふんわり程度に収める事が多いですし、作品のポジションからしても、はるかとカナタの関係について踏み込むのは特に期待していなかったのですが、今作は本当に、最後の最後まで、逃げませんでした。
正直前半ふわふわしていたし、中盤に首をひねる展開もありましたが、はるかを泣かせたこの瞬間、今作は傑作になったと思います。
ストレートな表現をほぼ廃して、この見せ方の美しさに脱帽。
……そして少女は一つ大人になり、涙をぬぐい――笑ってみせる。
OPのイントロが流れ始め、再び歩き出すはるか。

これは、遙か彼方へ走り続ける、少女達の物語。夢へ向かって――
「「「「GO! プリンセスプリキュア!」」」」

歌と共にOPになぞらえた映像で笑顔のはるかが走り出し、真っ青な空に浮かぶ『GO!プリンセスプリキュア』のタイトル。
このままスタッフロールを流せたら完璧でしたが、それは出来なかったのかタイトル入った所で終わって、EDは通常通り、の後に、本当のエンディング、という演出を見るにダイレクトにラスト入りたかったのだろうなぁ……。ラストシーン後の主役バトンタッチアニメの都合もあり、CMを挟むタイミングというのが難しい所はあるのでしょうが。
時は流れ……花畑で絵本を読む女の子。
「こうして、プリンセス達の夢の旅は、続くのでした。……プリンセス達は、もう会えないのかなぁ?」
母親に呼ばれて駆けだした女の子が抱えた絵本の名は、『プリンセスと夢の鍵』(ななせゆい 作)。
「――大丈夫。夢に向かって、走り続ければ、その心の中にまた、キーは生まれる」
大人はるか、間接的に自分の事を話題にしている少女が立ち去った後に背後に現れる、という相変わらずのヒーロー属性の高さ(笑)
白いワンピース姿で髪の伸びたはるか(顔は見えない)は、透明なキーを空に向かって掲げ、同じくキーを手にしたみなみ・きらら・トワが、いずれも顔は見えない姿で1カットずつ。…………砂浜で白衣三つ編みとか、みなみ様これあれだ、研究熱心すぎて「イルカが恋人」のタイプだ! 一方できららさんの強力なお洒落感と、ゴージャスなトワ様。
「そのキーがあれば、きっと――! きっと……」
花びらが舞い始め、振り返ったはるかが微笑み、カナタとの再会を匂わせた所で、画面中央に輝くドレスアップキー、でエンド。
最終的に、自力でオーラロード開いたよ!(笑)
さすが、富野作品で二度のヒロインを務めた嶋村侑さんのオーラ力は伊達じゃない。
……とまあ与太はさておき、はるかとカナタの別れのやりとりは勿論、第21話のカナタ様の
「逢いたいと、心から望めば、きっと…………はるか、また逢おう!」
を踏まえているわけで、とすれば、いつかまた二人が出会うのは必然のメッセージと受け止めても良いものでしょう(その上で、ハッキリ描かないのもまた美しい)。
成長のステップとしての別れと旅立ちを描き、今作のルーツとして志向していた絵本エンドを盛り込み、そして幸福の予兆を感じさせるラストカットで締める、凄く良いエンディングでした。
大満足。
いや今回、Aパートでテーマとしては本当にやる事やりきってくれて満足度高かったのですが、いつまで経ってもはるかとカナタの会話が始まらないので、
もしかして:次回予告詐欺
とドキドキしていたのですが、まさかまさかのラストを締めるスーパー王子タイムが始まって、カナタ様好きとしては、超嬉しかったです(笑)
そしてあそこではるかを泣かせたのが、本当に凄かった。
私基本、はるかには余り思い入れが無いのですが、あそこで、ああもうこの作品には降参だ、と思いました。
1年間の蓄積をフルに用いて、はるかの感情がダイレクトに伝わってくるようなあの演出は、お見事、の一言。
勿論、OPテーマの歌詞にも盛り込まれているように、今作において「カナタ」という名前はとても重要なものではあるのですが、「はるか・カナタ」の物語として最初と最後を繋ぐ、というのは色々やりにくいのかなぁと思っていたので、それをやりきったのもお見事でした。
その上で二人の関係について、なし崩しではなく一度別れを経る事で、キュアフローラと王子様の続きではなく、もう一度はるかとカナタとして出会う、という形になったのも良かったと思います。
約束事としてくっついたのではなく、二人が、心から望んだのだ、と。
カナタ様ってあまりに王子すぎて、一歩間違えると凄く嘘くさくなってしまいそうな所があるのですが、その言葉の数々をこの人は本気で言っているんだと思わせ、更に細かいセンテンスにしっかりとニュアンスの違いを込めてくれた立花慎之介さんは、終始好演。ラストのやり取りの「ああ」の違いとか、素晴らしかったです。
ちなみに、まあ、私の場合、感想から大体伝わっているかとは思いますが、好きなキャラを3人挙げると、カナタ様・みなみ様・きららさんです。きららさんは普段の私の好きになるパターンからは少々ズレているのですが、男前すぎて(笑)
勢いで総括めいた物も書こうかと思っていたのですが、いい加減長いのでとりあえず大雑把にまとめますと、とにかく「真摯」な作品だったと思います。
女児向け販促アニメという形なればこそ、昨今のアニメ事情の中で“1年かけて物語を描く”という事に、物凄く本気で取り組んだ作品。
そして、主要なターゲット層である子供達(とその親世代)にひたすら真っ直ぐ向き合おうとした作品。
その真っ直ぐさが伝わってきすぎるという点においては良し悪しあると思いますし、若干、過剰にロジカルかつ真面目すぎて終盤は破裂寸前の風船めいた所はありましたが、何とか走りきりました。
途中で書いたように前半は主に設定面でふわふわしていましたし、追加アイテムの都合もあったのかロック編の辺りは首をひねる展開もあったのですが、物語全体としては、ジョーカー兼一種のマジックアイテムだったカナタ様が物語の中に収まり、フローラが「笑おう」イズムに辿り着く第20−23話で一本芯が通ったのが非常に大きかったと思います。
逆に言うとここであらぬ方向に行っていたら沈没大破していたのではないかとも見える、まさにターニングポイントでした。
今回、笑いながら戦うフローラ、「はるか、僕と出会ってくれて、ありがとう」「逢いたいと、心から望めば、きっと」と20−21話で描かれた内容と繋がる要素が入っていたのは、意識的なものでしょうし。
そこから、第36話でみなみ様テーマの修正を経て、第38−39話で大爆発。個々のキャラエピソードを行いつつ、散りばめた要素を拾いに拾いまくって全体の完成度を引っ張り上げた最終クールは素晴らしい出来でした。
帳尻合わせも含めて、非常に高い完成度に至ったと思います。“終わり良ければ全て良し”と言いますし、ラスト3話ぐらい面白ければだいぶ全体の印象が良くなるというのは確かにあるのですが、ラスト1クール全部面白かったというのは、感服の一言。
「私のプリンセス」を見いだしてからの今作は、まさに、レッツゴー! でした。
これはしかし、次回作は大変だなぁ……(^^; いやまあ、キャッチーさでは色々と勝ちようがあると思いますし、方向性次第だとは思いますが、まともにやると作品の完成度で挑むにはハードルが凄まじく高いし、キャッチーさに囚われすぎると本質を見失うしで、舵取りがかなり難しそうですが、次回作『魔法使いプリキュア』も、期待したいと思います。
他なにか、書き残した事を思いつけば、追加で。
東映ヒーロー繋がりで興味を持って、初めて最初から最後まで見た《プリキュア》シリーズでしたが、とても素晴らしい作品でした。