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ごそっと一気にシリーズ3

◇『アクティヴ・レイド』3−6話


「昔っから言うだろ。一人より二人の方がいいさ、って。なんかあったら、俺がでかくなった愛と勇気で何とかするさ」
「それ、聖書とどっかで聞いた歌がごちゃ混ぜになってるぞ。どうしてきちんと使い分けが出来ないんだ」

第3話、早くもアイドル回。
分割2クールアニメなので、余裕がある内に欲望を満たしました的な。
内容の方は、男の娘アイドル、それに迫る犯人の描写、ミュトス家の出来事、と悪い意味でやり過ぎというか変な形でウケを狙いにいったようなネタの数々が個人的な好みではなかったのに加え、視聴者に対する劇中の情報整理が出来ておらず今ひとつだったのですが、歌って踊るウィルウェアを背景に据えたクライマックスは気が狂っていて凄かったです。
後は、今のところ気宇壮大な愉快犯的であるミュトス等が、型どおりすぎて魅力的でないのは、気になる所。才走った連中がネットの向こう側で笑っている、という構図は平凡にすぎますが、面白くしていってほしい。
第4話は、打って変わって面白かったです。
どうも今作、エピソードのサスペンスと作品世界の背景をなす政治や組織や企業の問題とキャラクターそれぞれの事情を、全て並行して進めながら、それらのほとんどを敢えて台詞にして突っ込んでくるというスタイルを取っているようですが、その分、演出段階で情報を捌く手腕が要求されている感じ。
第3話はそういった情報の強弱が整頓されないまま物語としてテーブルに並べられてしまったので、メインディッシュと前菜とデザートが一つの皿で混ざっているような状態だったのですが、今回は“エピソードを楽しむ為の主情報”と、“それ以外の情報”がしっかりと強弱をつけて色分けされており、サスペンスはサスペンス、それを取り巻く世界は世界、と楽しむ事ができました。
例えば、飛行機に乗り込んでいた議員が脱線事故を自分の予定を邪魔するアクシデントと軽く扱う扱う一方で、官邸にとってはその議員が飛行機に乗っている事は「どうでもいい」という辺りがさらりと入っていて面白いのですが、それはあくまでメインディッシュを引き立てる為のスパイスだからさらり、という情報の見せ方と物語の構造が繋がっていて、絵コンテ:平野俊貴、で納得。
逆に、平野俊貴クラスが来ないと上手く捌ききれない情報量なのか、というのは今後に向けて若干の不安材料ですが(^^;
極秘システムを守る為に情報を公にしない政府に対する
「それさえ守れば、万が一の時、一般の人達がどうなってもいいって事ですか?!」
「それは違う。万が一はないの。つまり、この任務は絶対に失敗できない」
という即座の切り返しで、人道を重んずる現場が正義で隠蔽体質の上層部が悪、という構図にするのではなく、それはそれとして粛々と任務を果たして被害を出さないのが現場の仕事、という今作におけるプロチームの在り方が鮮やかに描かれたのは第2話ラストとも繋がって秀逸でした。
前回はマスコミに糾弾され、今回は横柄な議員に文句を言われ、世間に理解を得られず風当たりの強い実験部署という描写はわかるけど、あまり続くと話の後味が悪いなぁ……と思っていたら、子供がお礼を言いにくる、というのもオーソドックスですがバランスが取れて良かったです。
青い方と因縁ありそうな自衛隊の女性士官は格好良かったので、また出てくるといいなぁ。
第5話、いきなり随分とアホな話が来たと思ったら、井上敏樹か!
井上敏樹の好きな怪盗ネタをギャンブラーにコンバートしたような内容で、第4話と違う意味で凄く納得しましたが、面白いか面白くないかと問われれば、面白くはありませんでした(^^; これもう、怪盗ネタで良かったのではないかと。
せめて演出でポーカーシーンが面白ければまだ良かったのですが、淡々と札をめくってお互いが役を言い、周囲が「互角の戦いだ」とか状況に触れるだけでは、面白くなりようがありません(^^;
更に、バックアップメンバーのサポートが全てその場その場の思いつきレベルで、ちょっと酷かった。
第6話、なんというか『コンレボ』(笑)
船坂さんが幼い日に夢を賭けた巨大ロボットで大活躍し、ノスタルジーと男の生き方みたいなものを掛け合わせ、クライマックスも一ひねりを利かせて面白い事は面白かったのですが、昨年、そういった要素を真っ正面から物語化していた『コンクリート・レボルティオ』にはまっていた身としては、何となく素直に楽しみきれず(^^; 船坂さんの声が大川透(『コンクリート・レボルティオ』にも主要キャラで出演)というのもまた悪い。で、會川昇が書いていたらどうしようかと思っていたら、今回は荒木憲一でした。
3−5−6話と、どうしてこんな欲望まみれのエピソードが続くのか(笑)
続くといえば、前回が半分ぐらい船坂エピソードだったので、2話連続で船坂話みたいに。
巨大ロボット(劇中では巨大重機)という存在を、ウィルウェアの開発前史として物語の中に取り込んだのは、面白かったです。
ここで、ゲストライターでキャラ話をやる、というのはある種“狙ってやっている”のでしょうが、2話続けてネタに走り過ぎて、キャラが深まっているのかどうかはちょっと悩ましい(笑) 次回も恐らくこういった形のエピソードぽいですが、さて、誰をゲストに呼んだのか。
今の所一番面白かったのは第4話ですが、一息入れた所で1クール目の後半に期待したいです。