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『仮面ライダーオーズ』感想1

◆第1話「メダルとパンツと謎の腕」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
美術品強盗を目論む2人組の男達が倉庫を物色していると、それに反応するかのように動いた“メダルで出来た右手”が古ぼけた棺の蓋を開き、中からメダルの怪物達が出現。それを待ち構えていたかのように出撃した謎のバイク部隊は、思いっきり美術館を爆破(笑) だが4体の怪物達は全くの無傷で外へと歩みだし、それを阻もうとするバイク部隊は次々と蹴散らされてしまう……。
どこかビルの一室で蓄音機にかけられたレコードをBGMに、それに合わせて赤いスーツの元族長が高らかに「HappyBirthday」を歌い、メダルの怪物――グリード――とバイク部隊の戦闘は全くSE無しで描かれるという、大胆な演出。
族長が奥でケーキを作っている間に、画面手前に置かれたノートパソコンの画面上で、バイク部隊のアイコンが次々と通信途絶していく、という表現は凝っていると同時に、物語の焦点はそこに存在しない事を示しているようで面白い。
そして薬を盛られて眠りこけていたバイト警備員の青年は目を覚ますと、足下に転がっていた赤いメダルをバイト代と勘違いしてポケットに収め、いきなりのパンツ一丁を披露した所で美術館の崩壊に気付き、物語の歯車がかちっとはまった所で、OPに。
「大丈夫かなぁ……」
「付き合い長いの?」
「今朝からです」
救急車に運ばれていく警備員仲間(実は強盗目的だった2人組)を本気で心配してのこの一言が、青年の人の好さと、表裏一体の配線のズレ具合を極めて短い言葉とやり取りで示していて、秀逸。
小林靖子は、計算して狂気を描くタイプだなぁと。
青年の名は、火野映司、住所不定無職。
その持ち物、替えのパンツと小銭だけ。青年は、着の身着のまま気の向くままに放浪の旅を続ける、パンツの大将だったのです。
「行けますって、ちょっとのお金と、明日のパンツさえあれば」
日本に居ない事もある、と言う割にパスポートを所持していない事にちょっぴり不安が漂いますが、大丈夫、パンツは国境を越える無限へのパスポート。
警察から解放された映司は、赤いメダルを自動販売機の下に落とした事で、自販機を持ち上げる怪力美少女と、メダルを自分の物にしようとする“宙に浮かぶ右手”と遭遇。「返せ。俺の体だ」とメダルを求める、謎の手から逃げる事に。
その頃、宝石店に出現した緑グリードが、客の後頭部に銀のメダルを投入するとミイラのような怪物が出現。
「これはおまえの欲望が生んだ、おまえの姿そのもの」
店の宝石を食らったミイラ怪物はカマキリの怪人に変身すると、「コアメダル」なる物を求めて動き出し、遊園地で映司&右手と遭遇。しばらく、カマキリ怪人と戦う右手という面白映像が続き、思わず割って入った映司はカマキリに投げ飛ばされ、そこにやってきた刑事コンビもあっさり叩きのめされてしまう。
カマキリの一方的な暴虐を見るに見かねた映司は、気絶した刑事の銃を手に取り、カマキリを後ろから銃撃。
「なんだか知らねぇけどもうやめろって!」
両手でしっかりと拳銃を保持し、目の高さで構えて射撃しており、とても素人と思えないのですが、何者なのだパンツの大将。
銃は必ず両手で撃て――右手で突き出し、左手で引きつけろ。そうすれば銃身はぶれない。目は絶対に閉じるな、両方開けていろ。そして、銃爪は必ず二度引け――!
「邪魔するな。おまえに関係ない」
「ある! あるよ。刑事さんも、そいつも、朝からの長い付き合いだから」
“朝からの付き合い”を「長い」と表現するのは、人と人の出会いを大事にしているというよりも逆に、人間関係の捉え方が刹那的すぎるのではないかという恐怖が背筋を走り抜けますが、これを利用しようとする右手。
「あいつ……ただの馬鹿だ。使える。いや、今はこの手しかない!」
銃弾の通じないカマキリにまたも投げ飛ばされた映司を、壁に叩きつけられる直前に助けた右手はアンクと名乗り、この場を切り抜ける為の手段を持ちかけて体内から変な石(棺の蓋の留め具?)を取り出すと、それは映司の腰でベルトに変形。
「早くやれ、映司。変身しろ」
「よせ!」
妙にカマキリの腰が引けていて面白い(笑)
「あちこち行ったけど、楽して助かる命が無いのは、どこも一緒だな!」
アンクに指示されて3色のメダルをベルトの穴にはめた映司が手にした輪っかでそれをなぞると、響き渡る串田アキラボイス。


『タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ・タトバ・タトバ!!』

すると映司は、赤・黄・緑の派手な配色の、異形の姿へと変貌する。
「なんだ? 今の歌? タカ・トラ・バッタって、これが?!」
「歌は気にするな。それはオーズ。どれだけのものかは、戦ってみればわかる」
串田ボイスは視聴者にだけ聞こえるメタSEではなくて、劇中世界で実際に流れているという設定にちょっとビックリ(笑) いや、よく考えるとライダーの音声ギミックは大体そういう設定な気はしますが、あまりにも高いネタ度がそのまま世界に飲み込まれていて動揺しました(笑)
この変身ギミックは知っていましたが、メダルを輪っかでなぞる際の鈴の鳴るような音が非常に格好良く、成る程これは使ってみたくなる変身アイテムだなぁ、と当時のメダル馬鹿売れに今更ながら納得。
映司の変身した異形の存在――オーズはカマキリを圧倒し、攻撃を浴びせる度にカマキリから飛び出す銀色のメダル。真ん中のメダルを交換してタカマキリバッタとなったオーズは、カマキリ怪人をカマキリブレードで一刀両断し、怪人は大量のメダルとなって消滅するのであった。
ところが一難去ってまた一難、アンクが倒れっぱなしだった泉刑事の体に勝手にインヴェードしてしまい、眠そうな顔だった刑事はエキセントリックな髪型に変貌。その光景を見つめるバイクの男、刑事の携帯電話を鳴らす怪力美少女、そして新たなバースデーケーキを作る元族長……。
「Happy Birthday to you,Happy Birthday to you,Happy Birthday Dare……――オーズ」
重なる歯車が回り始めた所で、つづく。
オーズそのもののデザインやギミックを知っていたというのはありますが、第1話としては割と地味な印象。謎の人物(存在)の多さや、メダルと怪人の関係性など、ストレートにわかりにくい要素が多いのも輪を掛けているように思えます。それは監督の方も意識があったのか、各グリードのイメージカラーの布が垂れ下がってくるシーンなどは、割と大胆に幻想的な演出。異形の存在が印象深くなりました。
色々な撮影技法をミックスしているのでしょうが、アンクの映像にほとんど違和感が無いのは凄い。


◆第2話「欲望とアイスとプレゼント」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
OP、「Come on!」の所で地面から大量のメダルが噴き出してくる所が格好いい。
「この体は俺が貰った。あの格好じゃ不便だからな」
アンクは瀕死の泉刑事の肉体を奪うが、大量の銀色メダルは飛来した缶ホークに回収されてしまい、ホークは鴻上コーポレーションへ。そこでは赤いスーツの男――鴻上コーポレションの会長が、メダルを集めていた。
「やはり私のライフワークの為には必要なのかもしれないね、グリードも……オーズも」
グリード、それは、800年ほど前に作られたコアメダルを元に生まれ、長い間封印されていた存在。色つきのメダルをコアメダル、銀色のメダルをセルメダルといい、コアにセルがくっついているのがグリード、セルだけの存在がメダルの怪人ヤミー、と説明されるのですが、正直、流れで聞いているだけではピンと来ませんでした(^^;
グリード達は封印されている間にどこかへ行ってしまったコアメダルを求めて動き出し、アンクを泉刑事から引きはがそうとする映司だが、「俺が離れたら、10分も持たないぞ、そいつの命」という事情で、やむなく行動を共にする事に。
似たような状況だった小太りの相棒刑事の方は大丈夫なのか不安になりますが……一歩間違えると、アンクはあちらに入っていたのか。
そこへ、映司が持ち逃げしてしまった泉刑事の携帯電話に届く、妹・比奈からのメール。
「ちなみに今度のバイトはパワー系じゃないです!」
という文面なのですが、先月まで、一人で小麦を挽いたりしていたのでしょうか。
ところが、世界の可愛い衣装を着られる筈の面接先のレストランは、何故か入り口に仕掛けを施し、それを打ち破るパワーを待ち望んでいた。
「合格! 待ってたのよー、あなたみたいなパワー系☆」
素っ頓狂なコスプレ店長により、海賊の衣装を着せられる妹。
「うち、リアル志向だから、ただ可愛いだけじゃ使えないのよ」
店長さん(女性)の、「可愛いだけじゃ使えない」の言い回しが凄く、「可愛いだけで世の中渡れると思っている女とか海に埋めたい」みたいな勢いで怖いんですが(笑)
前作(『W』)のレギュラー女性キャラが〔マスコット・セクシー人妻・小悪魔〕という陣容だったからか、今作ヒロイン(?)はアビリティこそ《怪力》なものの、見た目は細身の正統派美少女。筋肉がついている感じがしないので、恐らく、物体の重心を無意識に見抜く達人クラスです。
その頃、前回の美術品強盗から誕生したヤミーが、現金輸送車と銀行を襲撃。欲望を満たしてセルメダルが貯まる音に気付いたアンクは映司を連れて現場に向かうが、メダルを大量ゲットする為に映司の変身を止める。
「セルもコアも、メダルの元は、人間の欲望」
「欲望! 純粋で素晴らしいエネルギー! ケーキも、テーブルも、家もビルも、街も国も、全て人の、欲しいっという想いから出来た、欲望の塊!」
所変わって、生クリームを振り回しながら演説を行う鴻上会長。
「赤ん坊は生まれた時に、欲しい!といって泣く。生きるとは、欲する事なんだ。その最大にして最強の力から生まれたメダルを、最大限に集めた時! 手に入るものは、無限大ぃ……よりも……更に大きい……オーーーーーーーーズ!!」
無限大のマークの横に○をもう一つ足して、○○○というタイトルのなぞらえ。
正直な所、役者として宇梶剛士はあまり好きではなかったのですが、ハッタリの効いた好演で、うまく物語のテンションにアクセントをつけてくれました。4グリードと鴻上会長周りは、演劇ぽい演出。
ヤミーから巨大なシロアリのような虫が生まれて高層ビルを襲うが、あくまでメダル集めの為にそれを放置するアンク。
「確か、楽して助かる命は無いって言ったな。タダで助かる命もないんだよ。俺の言う通りに動け」
主導権を握って映司を巧く手駒にしようとするアンクだが、その時、泉刑事の電話が鳴り、そのベルに映司はかつての出来事を重ねる。
「泣いてる……」
「なに?」
「泣いてるんだ」
爆発する廃墟の中で泣く少女と、それに向けて伸ばされる手、というイメージ映像が入り、現実の紛争地帯を思わせる映像は、ヒーロー物としてはかなり踏み込んだ要素を入れてきました。
ビルへ向けて走り出した映司は、逃げ遅れた人を助けるも自分が落下しそうになるが、それを追いかけてくるアンクの手。
「さっさと変身しろ」
「その前に約束しろ。俺が変身したい時は、絶対変身させる。人の命より、メダルを優先させるな。でなきゃ、二度と変身しない」
文字通りの命がけの説得にアンクもしぶしぶ折れ、結局落下しながらもオーズは変身。そこへやってきたバイクの男から「ある方からの誕生日プレゼントだ」と剣とセルメダルのセットを受け取ると、自販機バイクの使用法を教わる。
自販機バイク&サポートメカは、日常にありふれた物がヒーローの秘密装備になるとワクワクする! という発想は理解できるのですが、実際に映像にしてみたら思ったより間抜けになった、という印象(笑)
タコ缶が橋を作り、バイクで屋上へ向かったオーズは、平成ライダーでままある、とりあえず第2話で巨大な敵を倒すミッションをこなし、降り注ぐメダルを一生懸命拾っているアンクの姿には、餅まきを思い出して何故か涙がこぼれそうになります。
映司は比奈からのメールに、お兄さんは極秘任務に旅立った、と適当な返事を打って誤魔化すが、実に運悪く、アンクと比奈がばったり出会ってしまう。このままでは通報待ったなし、果たして映司は明日のパンツを履く事が出来るのか?!
……感想でこんなにパンツと沢山書いたのは初めてで、パンツがゲシュタルト崩壊しそうです。
パイロット版の感想を一言でまとめると、“重い”。
人外バディであるアンクの人間とは違う倫理観などを押し出さなければならない、その為には不可分であるメダル関係の設定もある程度まで説明しなくてはならない、現代におけるそれらの背景として鴻上関係も描かなければならない、おまけに怪人とその発生プロセスも少々ややこしい、とあらゆる歯車が大きすぎて、回り出したものの重々しくゆったりとしたスタート。
その為、新しい物語が始まった! というワクワク感よりも、一つ一つの歯車にまつわる情報量の重さが目についてしまい、個人的にはこの出だしの流れに乗りきれませんでした。この重さが吉と出るのか凶と出るのかはわかりませんが、面白くなってくれるといいなぁ。