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『コンレボ』第14話「十一月の超人達」感想

まさかのレッド・ファイト。
がタイムリー過ぎましたが(神化46年10月は『レッドマン』放映前なので、『ウルトラファイト』の方?でしょうか)、それはそれとして、第2期冒頭から! 爾朗センパイと柴刑事がいちゃつきまくって! どうしろというのか!!(ガンガンと机を拳で叩きながら)
「冷たい事言うなよ? 友達だろ?」
そして爾朗センパイの根性が凄く太くなっているのですが、一体何があったのか(笑)
……いや、色々あったのでしょうが、第1期のラストが実質的な家出だったとはとても思えません。
家庭用電源での充電が大変という割と致命的な弱点が判明した柴刑事ですが、無職テロリストの人生はかくも険しい。
で、トドメに、OPの立ち位置が、爾朗を巡る3人のヒロインになっていて、なんか色々、オカシイ。
開始3分でこんなに消耗させられるとは、なんて恐ろしいアニメなんだ『コンレボ』……。
時は遡って神化46年10月――反政府的な超人を取り締まる為の官・民・軍の共同演習の様子が描かれ、超人課〔いつものメンバー+柴来人〕・超人警備保障〔帝告+大鉄くん〕・国家公共保安部隊〔赤光〕、という、第1期では断片的だったこの時点でのそれぞれの所属が明確に。
赤光さんが割と台詞があってビックリです(笑)
超人保護の名目で今や超人を取り締まる側に周り、特に学生運動との衝突を繰り返す現状に愚痴はこぼしながらも、行動はさばさばしている、未来獣人、妖怪、幽霊、魔界の女王に対し、法の名の下に超人達を力で制圧する事に疑問を感じるという自分自身の矛盾に、激しく苦しむ柴来人(ロボット)。
という、前半戦からの仕込みが効いた、ねじれた状況設定からスタート。
巨大ロボの搭乗員にされている来人と赤光が揉めた所に割って入ったのは、宇宙から来たアンドロイド刑事・鷲巣。その目的は、スペース指名手配犯であるS遊星人――すなわち、現グロスオーゲンの逮捕。
グロスオーゲンが帰ってきたって、本当だったのか」
「でもなんか、姿が違うぜ。色も」
「そんなの単なるフィーリングだろ!」
神がかり的なタイミングで、超タイムリー(笑)
そう、苔むしたイカルス星人も、ガラモン的な何かも、フィーリング!
(※2016年4月現在、〔円谷プロ公式Youtube〕で、『レッドマン』公式配信中!)
鷲巣に協力した超人課は学生運動を利用してグロスオーゲンを誘き出し、一緒に来ていた爾朗を発見する笑美さん、後頭部を掴む(笑)
「久しぶりね、爾朗」
するりと爾朗の横を周り、狐の本性を表に出す笑美。
「星野輝子とは二度と会わない約束だった筈」
怒るのそこですか!!
PVでこの場面が使われていたのでどんな重要な案件かと思ったら……!(笑)
「見られたんだ。電車の中で。だけどもう会わない。今は敵だからな」
そして実に、潔くない爾朗(笑)
「私の所へ、帰ってくればいい」
「笑美、君の本当の目的もわかってきた」
グロスオーゲンは鷲巣に捕まってしまい、姿を消す爾朗を、笑美は敢えて狐に追わせない。
「どうせ彼は、私たちのものだから」
と、前半戦ではあまり踏み込まなかった笑美さん絡みの伏線がちらほら。OPなど見る限り、ここの「私たち」は、超人課というより、妖怪の世界関係か。
学生達(光速エスパーが主催)のデモを失敗させると共に、グロスオーゲンを逮捕するという一仕事を片付け、飲み会でぐだる大人超人4人の図は変な面白さ(笑)
「俺は一度死んだ……だからこそ人間らしくありたいと思っていた。人間として法を守る、超人としても正しい――」
「正しい超人であるかどうかなど、問題じゃない。どんな力を持っていようと、犯罪者は悪だ」
鷲巣の言葉に、かつての自分の発言を重ねる来人。
「正義の超人などいない。居るのは市民に迷惑をかけたか、いつか迷惑をかける化け物だけだ」
「化け物だとぉ?!」
思わず鷲巣に掴みかかってしまった来人は、機械である自分と、人間でありたい自分の相克にますます追い詰められていく。
「…………失礼。……あなたは、正しい。機械である俺が迷ったりする方がおかしいんだ」
かつて超人と人間を区分しようとしていた来人が自分の出自を知り、機械の体と人間の脳(心)を持った自らが“人間”である為には、超人であるしかないが、人間らしく法を守ろうとすればするほど超人を虐げる機械に近づいていくという、自分殺しの矛盾に苛まれる構図は、非常に悪辣(^^;
爾朗と来人の急接近を考えると、これは、心の底から正義になりたいのに自分が「正義」になってはいけない事を誰よりも自覚している爾朗、と重ね合わされた要素でしょうか。
またこの、超人の定義によって“人間”の適用範囲を拡大する、というのは今作の根幹を為す要素の一つで、超人課メンバーの誰も彼もに関わっているとも言えます。
その頃、爾朗はグロスオーゲンを介して輝子を誘い出すと、マジカルゲートを利用して超人課の施設に潜入。乙女の純情を弄んでグリグリ踏みにじっていた(先輩最低)
笑美との約束も二重に破っており、激しく駄目男すぎて、まさに極悪非道のテロリスト!
前半戦で謎だったゴジラパワーの制御は、元秋田課長ら、もくもく星人の助力だったとあっさり判明し、グロスオーゲンを助けるとエクウスを強奪しようとする爾朗だが、その前に来人ロボが立ちふさがる。
「望んでいた時代が来たな! 超人達はみんな犯罪者だ。それであんたは幸せか?!」
突きつけられたその言葉に、愕然と動きを止める来人。
「変というか、むしろまともになりかけていたのかも」
「どういう意味かな」
「あの刑事だって、本当は自分が正義の存在になれるって信じてた。だから必要以上に犯罪者の超人を憎んでたんでしょ。それがあの人の、人間らしくある、って事だったのよ。でも今は……」
「しょせん機械は矛盾に耐えられない……」


「機械に何がわかる!」
「機械じゃない。正義だ!」
「こいつらに正義がわかるのか!」
「科学者は彼らに正義を教えた。国を守る事、人を救う事、正しい行いとは何か。人間はそれを勝手に解釈して、間違える事もある。だが機械は正確に従う」
(第3話)
「君達は正義を語るには幼すぎる!」
来人をロボから放り出して乗り込んだ鷲巣は、私情で妨害に回る超人課メンバーもみんなまとめてジャッジメントしようとするが、爾朗がゴジラパワーでそれを阻止。エネルギーを消耗して膝をついた爾朗に向け、レッドアローみたいな十字の武器を取り出す鷲巣だが、その胸が背後から貫かれる――柴来人によって。
矛盾しない正義に従う為、自らを“修理しよう”とする来人は、絶対法治の顕現者である鷲巣を破壊して、その制御チップを奪い取る……。
「あいつは、ここに居る誰よりまともな人間だったわけだ」
どさくさの中で爾朗はエクウスを奪うとグロスオーゲンと共に逃走し、時は再び神化47年3月――。
「俺は正義だ。俺が間違っているとするなら、そう言う奴等の方が間違っている。だから俺は、国家を敵とした。何か間違っているか?」
アイデンティティの崩壊を防ぎ、機械の正義と人間の正義を統合する為には、超人・柴来人として「俺は正義だ」に辿り着くしかなかった来人は、鷲巣を破壊した事で警視庁から廃棄処分を受けそうになり、テロリストの道へ。
「……俺は鷲巣を壊した。昔の俺とそっくりだったあいつを、壊してしまった……それも間違っていたのか」
鷲巣が純粋なる法治の体現者であった柴来人の分身であったならば、自分が壊してしまったものはなんだったのか。その答を出す事が出来ず、来人は黄昏の空に向けて歌う。
「おまえも……超人だよ。だから、俺は守る」
相変わらず正義の選択を避ける爾朗は、「国家と国民を守る」メガッシンの正義と、「俺が正義だから国家は敵」な来人の正義という、本来相容れないものを共に許容してしまうのですが、正義の代替行為としての“超人を守る”という思想と行動が、ますます危うげになっているように見え、爾朗の抱えるこの爆弾は、どこかで破裂してほしい所です。
今作の先行きに関して不安があるとすれば、物語が爾朗を全肯定してしまう事なのですが、そこは全肯定されてほしくないな、と思っているので。
そしてED、EDがまた……! なんか、柴刑事と、センパイが凄い事に……!!
笑美さんと輝子は今のうちに結託して、まず柴刑事とアースちゃんを葬り去るべきではないのか。
EDの立ち位置で見ると今後の柴刑事は爾朗軍団寄りになるようですが、どう転がしていくのか楽しみです。そして、EDでぼっこぼこにされる赤光さんがおいしい(笑)
えー、後半戦スタートから柴刑事のテロリスト転向編で、ロボットと人間、法治と正義、など重量級のテーマがこれでもかと投げ込まれて濃すぎて整理が追いつかず、とりあえず叩き台みたいな感じで(^^;
いやぁ、新OPも格好いいし、中身も超面白いし、後半戦も期待大。
そして、次回も激しく濃そうだ……。
後、ようやく『超人幻想 神化三六年』を手に入れたので、これから読みます。