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『仮面ライダーオーズ』感想6

◆第9話「ずぶぬれと過去と灼熱コンボ」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
「狭いが……ねぐらが出来たのは良しとするか」
映司がクスクシエに住み込む事になり、ちゃっかりセットでついてきたアンクは、屋根裏部屋でふんぞり返っていた。わざわざ高い所にソファをしつらえて赤い布を敷いてあるのがこだわりですが、アンクはともかく、役者さんは微妙に怖そうなセットだなぁ。
態度は大きいアンクだが、比奈には魂レベルで上下関係を叩き込まれ、知世子からは可哀想な目で見られ、鴻上ファウンデーションからは前借りしたセルメダルの取り立てを受け、実質的な劇中ヒエラルキーは現在、バイク便の人と同じぐらい。
ここで里中にメダルを返してアンクが苦しむ、というのは、どうしでも刑事ボディとアンク腕を同一視してしまう中で、見た目は人間でもセルメダルこそがエネルギー源であり構成要素になっている人外の存在である、というのが改めてわかりやすく明示されて良かったです。
クスクシエがハロウィンパーティで盛り上がる中、突然響く爆発音に飛び出した映司は、過去のトラウマを揺り起こされる。
「俺……旅の途中で内戦に巻き込まれた事がある」
ここまで繰り返し挿入されていた映司の心象風景は、かつて内戦に巻き込まれた村で、仲良くなった少女を救えなかった時の出来事……とかなり大きなトラウマが、ストレートに盛り込まれてきました。
ヤミーの親は、メズールにメダルを投入された爆弾魔で、オーズは地中を泳ぐサメヤミーと戦闘。そしてそれを見つめる怪しげな眼鏡の男……。
サメを追ってメズールとガメルの襲撃を受けたオーズはライオン・トラ・チーターの黄色コンボを発動し、灼熱範囲攻撃で一挙にメズールのコアメダルを4つ入手し、サメヤミーをチャージクローで撃破。
黄色コンボはガタキリバほどトンデモではありませんでしたが、強烈な熱を放つようで、よく戦う鉄橋下の川が数秒干上がる、という演出は面白かったです。メズールに大打撃で、威力も十分に表現されましたし。
そこにまたも現れた眼鏡の男は、ヤミーの親とオーズの力を観察している、と肩に乗せた人形に話しかける。凄くわかりやすい変人演技で個人的な好みから言うとちょっとやりすぎなのですが、インパクトはあります。
「おまえ、何者だ?」
「人は、その人生を真っ当するまで何者でもありません。終わって初めて人として完成する。互いに良き終わりが訪れん事を」
不穏な言葉と共に立ち去った男が向かったのは……設立10周年を迎える、鴻上生体研究所。男の名はドクター真木。鴻上会長の下でメダルシステムを完成させた、天才科学者であった……!


◆第10話「拳と実験と超バイク」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
怪人体+ゴルフクラブのウヴァ、超ヤクザ。
スケジュールの都合で撮影を全て一部屋で済ませる為の苦肉の策だろうとは思われるのですが、鴻上会長が里中の持つ巨大ディスプレイで登場する、というのは馬鹿馬鹿しさと傲慢さが同居して良いアイデアだったと思います。今回、ディスプレイ持ち運び用カートが登場したのも素敵(笑)
そしてドクター真木との会話で、鴻上会長の目的は「メダルを集め、無限を越えた力を実現させる」というのが明言され(以前に「∞」+「O」で「OOO」というのは示唆されていましたが)、怪しげな新キャラ登場に合わせる形で、鴻上サイドの事情がややスッキリ。ここがもやもやしていると少し面倒だったので、早い内にハッキリして良かったと思います。
「オーズ――私はオーズに決めたよ、ドクター!」
そして鴻上は、その力を集める器として、オーズを利用しようとしていた。
やや不満げながらも表向きそれに賛同したドクターは、自室で一枚の絵を見つめる。
「祝うとするなら終わり。終末ですよ」
鴻上のテーマソングが「HappyBirthday」なのに対し、ドクターが流すのは「レクイエム」(モーツアルト)と、両者の価値観を色分けして上手くパイロット版から繋げており、ここからが『オーズ』第2章という所なのでしょうか。
タカメカにドクターを追わせていた映司は研究所へ向かい、そこでヤミーの親が研究所の所員であり、メダル研究の為にドクターが故意にそれを泳がせていた事を聞かされる。
爆弾による被害を毛ほども気にする素振りを見せず、人間は遅かれ早かれ死によって完成すると主張するドクターの思想のベースは、ハイデガー存在と時間』でしょうか(物凄く大雑把に言うと、「現存在(人間の存在)は例外なく「死へ向かう存在」であり、死を迎えて初めて全体として完結する。その交換・代理不可能な死(の可能性)を直視し立ち向かう時に、現存在は本来性を確保するので、人が本来性を持って生きる為には死の可能性と自覚して向き合う先駆的決意性が必要となる」といったような哲学)。
「彼も理解の出来る人間ではないですね。……終わりの大切さを」
映司はタカメカに追跡させていたヤミー親を追い、かつてのトラウマと重なり合う恐怖の中、ギリギリの爆弾解除に成功。一方、研究所内部にあったヤミーの巣からサメヤミーが大量に誕生して所員達を襲い、研究所に来ていたバイクの人が微妙に活躍……しているようなしていないような。
研究所に取って返してきた映司にドクターは新しい缶メカを渡し、爆弾で大被害が起きたかもしれない事も、所内で進行中の惨劇も全て気にした様子もなく、その使用方法を淡々と説明。
前回は露骨な変人描写がいきすぎて感じた人形との会話でしたが、この局面でも映司を全く見ないで肩の人形へ向けて淡々と喋るのが、“自分の世界に他者を入り込ませない描写”として機能し、ここで活きました。
怒りの映司は、ドクターの首根っこを掴んで拳を――壁に叩きつける。
「ありがたく使わせてもらいますけど、これ以上俺に話しかけないでもらえます。……ね?」
ここまでどちらかというと、出来るだけ状況を丸く収めようとする傾向のあった映司が、どんな時に本気で怒るのか、を見せてくれたのは良かったです。やっと映司の中身が少し見えてきたというか。
まあ、しっかり新アイテムはいただくのが、映司なんですが(笑)
映司はオーズ変身し、缶がバイクと変形合体するが、オーズを置いて暴走し、勝手にサメを轢いたりバイクでロデオ状態に。そこにしれっと出てきて平然とアドバイスするドクターは結構素敵(笑)
ドクターのアドバイスを受けたオーズは黄色のコンボ・ラトラータを発動してバイクの力を押さえ、バイクからのメダル剣で、今日もメダルの雨が降る。
「オーズを器にメダルを……それで本当に訪れるのでしょうか。世界を――歴史を完成させる、良き終末」
力か、正義か、終末か――欲望のメダルを前に人間達の望みも入り乱れる中、次回、正義の人に終末の危機?!