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『仮面ライダーオーズ』感想30

◆第46話「映司グリードとWバースとアンクの欲望」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
「メズールーーーーー!!」
オーズとバースを吹き飛ばしたガメルはメズールの残骸から1枚のコアメダルを手に取って歩み出すが、その背後でドクターが青いコアを回収する。
「ガメルくん、そのコアも渡して下さい」
「……やだ……」
「君にはそれ以上コアは必要ありません」
「これは、メズールだから。俺が元に戻す!」
「このまま終わらせるべきですよ。君にとって、優しく美しい内に」
「うるさい! お前嫌いだ!」
ここで、ガメルの思慕とドクターの思慕を重ねてきたのは、ドクターと他のキャラとの関係性が薄い中に、ワンアクセントつけて面白かった所。
突撃したガメルはドクターグリードに吹っ飛ばされるが、ドクターも人形を吹っ飛ばされて狂奔し、その間にガメルはメダルを手に去って行く。
「俺は、メズールを、元に戻す!」
「――いいでしょう。君の欲望に良き終わりが訪れん事を」
二人が姿を消した後、水の中から復帰する後藤さんだが、映司は、海岸線まで流されていた。
凄いな映司(笑)
目を覚ます映司だが紫のメダルが激しく反応し、異形と化す左腕。
「戻れ、戻れ、あぁっ!」
ここで、前回メズールのコアを砕いたのは、プトティラとか斧とかではなく、無のグリードの力が映司自身のものになっている、と判明。
波打ち際でじたばた藻掻く映司の姿をダイレクトに描き、人間でなくなる恐怖を伝えるのは、今作らしいストレートな表現。そして勿論、人間で無くなるという事自体が恐ろしいのは確かなのですが、欲望を失っている映司が、グリードになる事に恐怖を感じるというのは、自分の命の重ささえわからなくなっていた映司に失いたくない“今”が生まれているという事であり、この恐怖自体が、映司の変化として非常に重要ゆえに、ストレートな表現をしているとも思えます。
(違う……震えてる……。怖いんだ、俺。……グリードになるの)
苦悶する映司は会長の助言を思い出して自分の欲望を思い描こうとし……メダルを投げるアンクの姿を思い出す事で、症状の回復に成功。ひとまず落ち着く映司だが、ベルトを落とした事に気付いて慌てて海岸を探し回る事に。
一方、ドクターが回収した青いコアメダルはプテラノ缶によってアンクの元へ運ばれ、メズールが倒れた事を知るアンク。
「メズールの奴も――」
――メダルの塊であるグリードに、命などありません。死んだのではなく……ただ消えた。それだけです。
脳裏に浮かぶ、ドクターの言葉。
「……消えたか」
――人の体では大したものは味わえなかったようね。物足りないって顔してるわよアンク。
立ち上がったアンクが、ここで、落ちたままの、ホルダーを見た!
前回、強調しない程度に見せておいたメダルホルダーを、ここで再び持ってきてくれたのは実に良かったです。
いったい何が、胸に去来したのか……クスクシエに忍び込み、アイスを盗み食いするアンク。
(確かに、しばらく、これが物足りなかったなぁ)
アンクは店内を見つめながら、しばらく、過去の精神ダメージを色々回想。
――食べて・見て・聞いたんでしょ? どうだった?
「……わからない味だ」
顔を上げるアンク。
「……おまえらグリードには」
そこに見えるのは、鏡に映る自分。
今作における諸田監督の演出は、私の好みからすると少々遊びすぎな部分が目立っていたのですが、この最終盤、さすがに締めてきました。前回のメズールの台詞がここで重ねて効いてくる、というシナリオの流れも見事。
「だから……」
鏡から目を逸らすアンクだが、そこで、クスクシエに比奈が入ってきて、一瞬、目が泳ぐ(笑)
「食いに来た」
席を立ったアンクは、比奈にアイスを見せる。
「美味かった」
「……あ、う、うん」
「他にも、色々だ。だから……この体寄越せ」
「え……?!」
「寄越せ」
「…………駄目。あげられない」
比奈の否定は、人間だからでもあり兄だからでもあり本人の意識が無いからでもあるのですが、比奈ちゃんがもし、アンクに自分の体をあげられる可能性があったら、どうするだろうなー、というのは、ここでちょっと考えてしまう所。
知世子もやってきて、「どっちかは戻ってくるかもな」と謎めいた言葉を残して立ち去るアンク。
自分を一瞬で殺せる人外の存在と対峙していた比奈が、アンクが去った後にどっと膝を付くというのは、比奈のアンクに対する複雑な感情と、精神力を振り絞っていた様子が表現されて、秀逸。
その頃、映司は、まだベルトを探していた。
――どうして自分を守ろうとしない。
――自分の事も、ちゃんと守ってね。
(ごめん。それはもうちょっと後で。この力は要るから。この力だけが止められる)
映司とアンク、二人の胸に、それぞれがかけられた言葉が去来する、という構成。
街へ出現したガメルは、触れただけで人間をセルメダルの塊にしてしまうという出鱈目な能力を発揮し、集めたセルメダルでメズール復活の儀式を行うが、効果を発揮しない。
「メズール……戻って。……んー? なんでかなー。まだ、足りないのかなー」
「馬鹿が。あれはただのコアメダルだ。メズールの意志は入っていない。……ふ、ふふふ、まあ、勝手にやってろ。最後に生き残るのは、俺だ」
それを見下ろすヤクザグリーンだが、微妙に、目的を、見失っていませんか(笑)
「笑う」とか「勝つ」とかではなく、サバイバルになっているのですが、確かにそこは大事だけど、それでいいのか。
里中から連絡を受けた後藤は、修理完了したバースベルトを受け取り、ガメルの元へ。勢いよくバイクで轢け……なかった! 必殺のバイクアタックすら、メダル化能力で防いでしまうガメル!
バースはメダル銃でガメルに立ち向かい、足下にあった、ガメルが生み出したセルメダルの山で弾丸を補充する、というアクションは格好良いのですが、それ、人間混ざってませんか……(^^;
一方、ようやくベルトを発見した映司だが、一足遅くアンクに拾われてしまう。ベルトを取り返そうとする映司は、アンクが放った火球を、グリード化した左腕で弾き返し、至近距離で睨み合う二人。
「おまえ、正気か?! そこまでグリードに」
「体はともかく、正気だし、本気だよ。お陰でグリードの事ももっとわかったかな」
「ほぅ……で?」
「アンク、俺は……コアメダルを砕く。これ以上誰も、完全復活も暴走もしないように。信吾さんをメダルの器になんかさせない!」
「思った通り、おまえの言いそうな事だ。だから俺も決めてきた。俺が必要な物の為に、邪魔なおまえを潰す!」
お互いの引けぬものの為に、遂に直接激突する映司とアンク。両者を結ぶ存在ともいえるベルトが画面手前の砂浜に突き立てられたまま、二人は拳と共に激しい感情をぶつけ合い、ここからは迫力の二人舞台。
「おまえの欲しいものってなんだ! 人間か」
あちこち そこかしこに ちらばる欲望
みんなが 振り回され 無くしてく自由
「もっと単純だ。世界を確かに味わえるもの。命だ!! ……グリードは生きてさえいない。ただの物だ。その癖、欲望だけは人間以上と来てる。食っても見ても触っても、絶対満たされない欲望……!」
多くを 手に出来たら 願いが叶うさ
目的 そのためなら 手段は選ばない
「それがどれほどの事かは……」
「わかるよ。ていうかわかった。――それでもやる」
「はっ、自分はグリードになってか」
「ああ」
なぜ巡り会ったのか……?
「何がわかっただ映司! おまえは何もわかってない。グリードなのに、何も欲しくないって顔すんな。むかつくんだよ!」
そうだろ? 誰も 自分だけ 満たされたい
「おまえは欲しがりすぎなんだよ!! 命が欲しいなら、人の命を大切にしろ!」
そうじゃない。 後悔しない 生き方が知りたい
「知るか! おまえもなんか欲しがってみろ。そうすればわかる。おまえ……なんか欲しいと思った事あんのか! あんのか映司!!」
相対する願い
血を吐くような叫びとともにアンクは映司に馬乗りになり…………映司は、
「俺は……俺は欲しかった。欲しかった筈なのに、諦めて蓋して、目の前の事だけを」
だけど同じ場所で
「どんなに遠くても届く俺の腕! 力! もっと! もっと!」
同じ闇を 払いのけて 明日を切り拓く
「……もう、かなってた。おまえから貰ってたんだ」
Time judged all 運命 クロスする「今」
Time judged all 空へ 高く舞い上がる
「一度も言ってなかった。………………アンク…………ありがとう」
映司のカウンター攻撃!
アンクにクリティカルヒット
アンクは大ピンチだ!
生きていると認められるとは、何か――
欲望だけの化け物と、欲望を失った化け物が、今、その答えに辿り着く。
この瞬間の、アンクの表情がとても素晴らしかったです。
海岸の激突が盛り上がっている頃、孤軍奮闘するごバースの脳裏に浮かぶ走馬灯の回転速度も盛り上がっていた。このまま人生のフィニッシュを迎えるよりは至近距離でのブレストキャノン1発に賭けるしかない、と覚悟を決める後藤、だがしかし。
「後藤ちゃん! そんな捨て身の戦法、教えた覚えないけど?」
援護射撃でごバースを救ったのは、手術を終えて帰還した伊達明!
「伊達さん!」
「伊達明――リターン」
帰ってくるなり華麗なヒーロー登場を決めた伊達は、里中から受け取ったベルトで、プロトバースに変身。二人のバースはテーマ曲をバックにガメルに立ち向かうも吹き飛ばされ、改めて、零距離射撃に賭ける事に。
「……後藤ちゃん。さっきの戦法で行ってみようか」
「教えた覚えないんじゃないんですか」
「……邪魔してすいませんでした」
伊達さんが出てくると、本当にノリが良くなるなぁ。向こうの修羅場の事を忘れそうになります。
Wバースは突撃してきたガメルに対し、至近距離からWブレストキャノン。この砲撃にも耐えたかと思われたガメルだったが……しかし、ドクターと交戦した時に既に中核のコアメダルにダメージを受けており、この衝撃によりそれが限界に達する。
「メズールぅ……これ……あげる……」
倒れ込んだガメル(人間体)はポケットから駄菓子を取り出すと、取り落とした青いコアメダルにそれを捧げ……
――「ありがとう」――
幻のメズール(人間体)の微笑みに満足しながら、消滅。
予告で花に見えたのは、飴?でした。造型と描写的には、一輪の花に見せる意図でありましょうが。
自分自身の欲望しかない、というガメルは、メズールの為に戦い、メズールの事を想って消滅。
存在としては、いっそ悪意すら無いのが最も恐ろしい、という怪物ではあるのですが、もはや一番あざといという、大きなナリにつぶらな瞳路線を最後まで貫き、嫌いになれないキャラでした。
メズール(幻)のラストカットは、物語としてグリードを綺麗に消滅させるわけにもいかないけれど、若い女優さんの劇中ラストカットなので綺麗なシーンを作ってあげよう、というスタッフの愛か。
それにしても、ウヴァ復活あたりから、『オーズ』は次回予告でいい所を見せすぎな気がします(^^; ……まあ、予告の映像どころか、サブタイトルで内容バレまくりといえば、前半からずっとそうなんですが。
その頃、殴り合い海岸に姿を見せたドクターは、紫のコアメダルを映司に投げ入れる。
紫メダルの力が強くなった映司はアンクに殴りかかって赤いコアを1枚奪い取ると、ベルトを拾って“紫の瞳”のタトバに変身。
「映司?」
ドクターは更にもう1枚の紫メダルを投入し、遂に完全なるグリードへと姿を変える映司!
第二のプトティラグリードは、基本ドクターグリードと近い路線ながら、顔の辺りに白骨の意匠が入っているなど、これまた凶悪なデザイン。
主人公の怪人化という事で、生物的な仮面ライダー寄りの造型(真とかアナザアギト的な路線)というアイデアもあったのではないかと思うのですが、明確に、仮面ライダーから離した怪物の姿にしてくる辺りが容赦ない。
正気を失った映司は戦意を剥き出しにし、対するアンクも力を解放して完全なるグリードの姿へと変貌――全力で激突する二人、でつづき、いよいよ残すは後2話!