今年も、■〔東映特撮YouTubeOfficial〕に加え、■〔GYAO!〕に踊らされた日々でありました。
年末恒例、今年も各部門に分けてランキング形式で振り返ってみたいと思います。対象エピソードは、昨日の更新分まで。対象作品は、“それなりの話数を見た上で、今年、最終回を見た作品&劇場版&現在見ている作品”という事で、以下の通り。
〔『仮面ライダーストロンガー』『仮面ライダーオーズ』『仮面ライダーフォーゼ』『MOVIE大戦MEGAMAX』『ブルースワット』『重甲ビーファイター』『手裏剣戦隊ニンニンジャー』『レッドマン』『FLASH』『動物戦隊ジュウオウジャー』『ウルトラマンオーブ』『仮面ライダーエグゼイド』〕
再視聴した『仮面ライダークウガ』クライマックスの配信が今年だったのですが、今年は作品数が豊富になったので『クウガ』はランキング対象外とさせていただきます。あと、アメコミヒーロー映画をどう扱うかとかややこしくなるので、基本的に本邦TVヒーロー物に限定していたのですが、今年はTVシリーズ作品という事で『FLASH<シーズン1>』を加えました。
性質上、上記作品のラストにまで触れている場合がありますので、ご了承下さい。
昨年のランキングはこちら→■〔2015年を振り返る:特撮編〕
まずは、超新星の現れたこの部門から。
☆残念部門☆
1位 クレナイ・ガイ/ウルトラマンオーブ (『ウルトラマンオーブ』)
2位 ブラックビート (『重甲ビーファイター』)
3位 バリー・アレン/フラッシュ (『FLASH』)
次点 夢野ナオミ (『ウルトラマンオーブ』)
実は脳内集計段階ではエントリー数不足で今年は部門なしになりそうだったのですが、その寸前、救世主はハーモニカと共に現れた! その名を、クレナイ・ガイ!
というわけで、今年は東映特撮に残念成分が足りないなぁと思っていたら、別の会社に集まっていました(笑) 圧倒的1位を獲得したのは、2016年に甦った風来坊、それでもやっぱり先輩にはさん付けだ! ホージーさん! 翔太郎さん! SupercoolにPerfectな力、お借りします!!
<<<ウルトラマンオーブ:ブルースハーフ>>>
たぶんハーモニカを吹きながら現れる俺格好いいと思っている・風来坊を自称しながらあっさり餌付けされると途端に自堕落な生活を始める・「他人と関わるのが面倒なだけだ」と言っているがSSPのメンバーや子供達に囲まれて悪い気はしていない・袋とじの中身が気になるお年頃・年下の女の子に自分頑張っているアピールをしてしまう・決め台詞に自分の名前を盛り込む・正体は秘密だがさりげなくアピールはしたい、etc...
と、たった1クールでこの濃厚なデコレート。
……真面目な話としては、厳しいトラウマを背負った悲壮なキャラクターとして重くなりすぎててしまいそうな所を、絶妙に何か勘違いしたキャラ作りをしているとする事で作品として和らげており、序盤は空回り気味だったのが話が進むに従ってバランスも良くなってきているので、この調子ではまっていってほしいです。
闘えウルトラマンオーブ! 世界中が、君の社会不適格ぶりを信じてる!!
「紅に燃えるぜ!」
2位は、頭1つ抜けて格好いいデザイン、美形悪役ポジションらしい台詞回し、圧倒的な戦闘力、でライバルキャラとして華々しく登場するも、仕事は不真面目、回が進むにつれて虚弱体質が明らかに、果ては一般怪人に敗北、最終的に主人公との圧倒的戦力差を1ミリも埋める事が出来ずにライバルという山の頂から物凄い勢いで滑落して海の底に葬り去られた、正しく悪い意味で残念系ライバル、ブラックビート。ヒーロー側を踏まえた上で、悪の昆虫戦士として洗練されたデザインは極めて素晴らしく、劇中での転落ぶりを見た上でなお、それを補って余りある格好良さなのですが、どうしてこうなった。
「目的は一つ、ブルービートの首。我が戦いに、ルールなどない!」
3位には、基本凄く好青年だし、ヒーローとしては非常に格好いいのに、こと恋愛が絡むと物凄く駄目な事になる、これまた悪い意味で残念系男子、バリー・アレン。凄く、凄く残念で、フォローできません。もう少し、男の友情も大切に!
「……僕も君の事ばかり考えてた」
次点として、物語としての扱いはかなり良いのに、どうにも華のない残念系ヒロイン、キャップこと夢野ナオミ。会社の経営を助ける為にバイト三昧という設定なので、どこか生活に疲れた空気が漂っているのは意図的な演出なのかもしれませんが、角度によっては時々30前後に見える容姿と、とりあえず若さをアピールしてみた感のある服装がどうにも合っていなくて残念度合いを上昇させます(^^; 果たしてキャップは後半戦、残念のつかないヒロインに昇格する事は出来るのか?!
「サムシング・サーチ・ピープル、出動!」
上述したようにエントリー数不足で残念部門が不成立になりそうだった頃に、では今年を象徴するのは何だったろう……と考えて思いついた、特設部門が次。選考基準としては、名言とか迷言というよりも、インパクトの強さ・汎用性の高さ・個人的な感想での流用度、など重視。
☆ネタフレーズ部門☆
1位 『タ・ト・バ・タトバ・タトバ!!』 (オーズベルト/『仮面ライダーオーズ』)
2位 「許さねぇ、絶対に許さねぇ!」 (ナルミ・ショウ/『ブルースワット』)
3位 「走れ、バリー、走れ!」 (ハリソン・ウェルズ/『FLASH』)
次点 「軽い……私の扱いが、非常に軽い」 (速水公平/『仮面ライダーフォーゼ』)
堂々1位は、「歌は気にするな」も強烈だった、オーズのベルト音声。このフレーズ自体は本編を見る前から知っていたのですが、本編見て「あ、歌(そういう認識)だったんだ……」というのが、個人的に凄く印象が強かったです(笑) 極めて高い汎用性と、ベルトの機械的な応答ではなく、「歌」という所が高ポイント。……やはり、800年前の王様は串田アキラで、自分でベルトに吹き込んだのだろうか(作詞/作曲:王様)。
「なあアンク、変身! てやる時、なんか寂しくない?」
「知るか」
「というわけで、変身のテーマを作ってみた」
「はぁ?!」
「勿論、タジャドルの時はおまえも一緒に唄う」
「バカが!」
みたいな事が色々あって、アンクの性格はあんなに歪んでしまったのです。
2位は僅差で、物語全てを茶番という名の底なし沼に叩き込むあの合言葉。破壊力という点ではこちらの方が上だったのですが、応用力の差で2位となりました。似た言い回しの台詞を聞くだけで、脳内で自動的に「出発のサイン」が流れ始めるのが、呪いすぎます。
3位には、『FLASH』を象徴する台詞。ヒーローの特殊能力を後押しする言葉なのですが、特に前半、主人公がメンタルが傷つく度に街を高速で走り回って気を紛らわせていたりするので、「走れ」という一言の中に幾つものニュアンスが込められているのが秀逸。
次点として、インパクトと破壊力にはやや欠けるものの、クライマックスへのまさかの布石となり、個人的には主にメテオに流用させてもらった、役立たず校長の決め台詞。西の空に明けの明星が輝く頃に見える一つの光、それが、速水校長なんだ……。
☆メカ部門☆
1位 レッドジャイロ (『重甲ビーファイター』)
2位 インセクトアーマー (『重甲ビーファイター』)
3位 パワーダイザー (『仮面ライダーフォーゼ』)
次点 監視カメラ (『FLASH』)
今年は豊作だった中で、1位は殺伐とした空戦アクションが印象深いレッドジャイロ。中盤から登場のメガヘラクレス含め、『ビーファイター』自体がメカの描写に力が入った作品でしたが、唸るレッドルの空戦テクニックの加点を合わせ、ビートマシンを代表して。
2位は、そのビーファイターが纏う神秘のボディ、異次元からの侵略者への対抗手段として、人類の科学と昆虫魂が融合したインセクトアーマー。作品を特徴づけるマッシブな外見に加え、人間と様々な生命が手を取り合った力の結晶として、今作のテーマを象徴した存在、という位置づけがとても良かったと思います。たとえビーファイターが倒れても、筋肉と昆虫魂は永遠に不滅だ!
3位は、CG枠という事で序盤で空気になるのかと思ったら、予想以上に活躍した台座ロボ。……まあやっぱり、中盤以降は空気になりましたが(^^; 基本的にあまりCGの中〜大型メカというのが好きではないのですが(結局、画面的にもあまり合わない気がして)、かなり頑張って映像に馴染ませていた事と、思った以上の活躍を評価。祭壇ゾディアーツ回の、校舎の壁をよじ登り、横っ飛びで仲間を救うアクションは、特に印象深い。
次点は……監視カメラ、てなに? という感じですが、監視カメラです。序盤で明確に提示されたアイテムが、終盤に想像の斜め上を越えてくる形で炸裂する、今年を象徴する恐怖のメカ(笑)
☆挿入歌部門☆
1位 「出発のサイン」 (『ブルースワット』)
2位 「COZMIC MIND」 (『仮面ライダーフォーゼ』)
3位 「Time judged all」 (『仮面ライダーオーズ』)
許さねぇ、絶対に許さねぇ!
1位は、例のアレ。今年はもう、実質的にこの歌の為の部門です(笑)
本年最も、悪い意味で印象に残った挿入歌! でも、歌そのものは凄く格好いい! だがよく聞くと、歌詞の内容は嘘だらけだ! ぐっばい! ぶるぅーすわぁっと!!
2位は、特撮関係では今季一番お気に入りの一曲。『フォーゼ』の挿入歌は路線的にもう一つピンと来ていなかったのですが、これは凄く好き。デザイン的にはどうかと思うコズミックステイツへの印象がテーマソングのお陰で少し良くなるレベル(笑) 男女ボーカルのハモりって結構好きなのですが、非常に格好良く出来た歌だと思います。
3位は、『W』とはまた違った路線で、洒落た挿入歌の多かった『オーズ』から、代表してタジャドルのテーマに。「Time judged all」=「タジャドル」、「Got to keep it real」=「ガタキリバ」、などと聞かせる歌詞、串田アキラを敢えてベルトに格納し、その上で見事にボーカルを務めた映司くん、と大胆な作りも印象的な挿入歌の数々となりました。タトバ、ガタキリバのテーマなどいずれも好きなのですが、代表してタジャドルにした理由は、強烈なMVです(笑)
☆助演部門☆
1位 ジョセフ・ウェスト (『FLASH』)
2位 ババルウ星人ババリュー/馬場竜次 (『ウルトラマンオーブ』)
3位 シスコ・ラモン (『FLASH』)
次点 白石知世子 (『仮面ライダーオーズ』)
1位は、主人公バリーを力強くサポートする頼れるお養父さんジョー。作品における“良きアメリカ的父性”の象徴であり、要所要所でバリーを支える存在ながら、過去の事件への悔恨や、娘の問題になると目がくらむ所など、人間としての弱さや短所もしっかりと持ち合わせている、奥行きのある造型が魅力的。とにかく、良く出来たキャラクターでした。
「なあ、バリー。おまえは強い。だが、俺は、おまえを守るぞ」
2位は、12月に見たので印象が強いというのもありますが、非常に私好みのテーマと展開だったのに加え、どうにもワルになりきれないチンピラを演じる役者さんもはまっていた、頼れるヒーロー?偽ウルトラマンオーブこと馬場先輩。個人的なツボにドンピシャの好篇だった事もあり、エピソードゲストながら堂々ランクイン。世界中が、馬場先輩を信じてる! 回想編でも微妙に尺が長かったような。
「そんな事出来ません。俺は今、ウルトラマンオーブなんです」
3位は、主人公バリーを科学の力でサポートする頼れるエンジニアにして、物語の潤滑油たるコメディリリーフでもあるシスコ・ラモン。根本的にはトンデモ技術力を持った便利キャラなのですが、メタヒューマンの名付けにこだわる姿や好奇心優先の行動理念でクスリとさせつつ、情に厚い良い奴でもあり、と総合して嫌に感じさせない造型に、『FLASH』のキャラクター造りの巧さが光ります。主要キャラの好感度コントロールが本当に巧い作品でした。
「やっぱりだよ! 俺がこんなにツいてる筈ないんだ!」
次点に、クスクシエの頼れる主、影のヒロイン知世子さん。どんな時でも自分のペースを貫き、直接対決の無かった鴻上以外のどのキャラも頭が上がらないという基本おいしいポジションなのですが、最終盤、そこまで今作が積み重ねてきた理屈に対して、理屈を越えるものでがつんと一撃食らわせる、というのが知世子さんならではという役割であり、見事な存在感でした。監視町内回で見せた格好良さも好き。あと映画回のハイテンションが忘れられません(笑)
「正しいのかもしれないけど、でも、そんなのつまんない。もっと欲張っていいじゃない」
☆悪役部門☆
1位 ハリソン・ウェルズ (『FLASH』)
2位 タイタン (『仮面ライダーストロンガー』)
3位 ジェネラル・シャドウ (『仮面ライダーストロンガー』)
次点 クラゲ奇械人 (『仮面ライダーストロンガー』)
毎年激戦区のこの部門ですが、今年も粒ぞろいの中で、それでもダントツ1位に輝いたのは、ハリソン・ウェルズ。ジャンル問わず無差別級で今年のベストキャラです。
基本、実は身近な人物が黒幕でした……という構造は好きではないのですが、序盤から裏があるのを強調する事で、劇中人物視点と視聴者視点の情報ギャップを十二分に活かして圧倒的な気持ち悪さを発揮。一見真っ当な事を言っているが裏を知っていると物凄く気持ち悪い、という部分の描き方が実に良く出来ていました。そして数々のどん引きムーヴを繰り返した挙げ句に、サスペンス構造が別の形になったと思ったら実は……という、気持ち悪い、超気持ち悪いよ博士!! こんなに気持ち悪いのに、こんなに思い入れの出来たキャラはたぶん初めてです(笑)
自分の目的を果たす為に他の何もかもを道具にする、という腐れ外道のド畜生ぶりも最低にして最高で、文句なくオールタイム・ベスト級の悪役でした。CV:宮本充というキャスティングも会心で、本当に素晴らしかったです。
「……エディー。そんな事聞くのか。どこから始めよう」
2位は、例年なら1位クラスの破壊力だったタイタンおじさん。当初はやや滑り気味な感もあったのですが、ドタバタした末のリタイアから復活すると一転、幹部同士の足の引っ張り合いが予想外の化学反応を起こし、凄まじい勢いで面白キャラに。ジェネラル・シャドウと共に、作品のピークを作ってくれました。最近読んだインタビュー記事によると、後半は人間体を演じた浜田晃さんが、自らスーツの中身も演じていたそうで、シンクロ具合が良い方向に転がったのかなと思います。良い、悪の幹部キャラでした。
「はははははは! 勝った! ストロンガー殺しは俺の勝ちだ! 出航用意!」
3位には、タイタンおじさんとしのぎを削った新幹部にして、デルザー軍団の先触れであったジェネラル・シャドウ。タイタンが黒に白のワンポイントなのに対して、白に赤のワンポイント、というデザインの切れ味が抜群。CV:柴田秀勝の重みのある台詞回しとは裏腹に、やることなすこと、その場のノリというサイコパスのトリックスターで最低の出鱈目人間、という造型も最終的に面白かったです。
「城茂、ちょいとおまえを利用したまでの事よ。シャドウは負けたのではない」
次点に、面白怪人枠として、今年強いインパクトを残した市川治怪人を代表して、クラゲ奇械人。とにかく、何言っても声が滅茶苦茶格好いい、というのがズルい(笑) 基本ブラックサタンは、組織も怪人の質も非常に駄目なのですが、その駄目さ加減が地球一周して面白くなってくる、奇械人頭脳強化作戦と相まって、強烈な印象になりました。
「ホリ・フミオとかいう小僧が、100点を取っておりますが」
終わってみればダントツ1位の後は『ストロンガー』勢が占める形となり、オーナーも理事長も校長もランク外。そんな面々が所属する組織部門は……
☆悪の組織部門☆
1位 ジャマール (『重甲ビーファイター』)
2位 ホロスコープス (『仮面ライダーフォーゼ』)
3位 巨獣ハンター (『動物戦隊ジュウオウジャー』)
次点 デスガリアン (『動物戦隊ジュウオウジャー』)
1位に輝いたのは、迫力ある首領の見た目、比較的有効かつ面白い作戦の数々、仲良し3幹部の存在感、などなど総合力の高さで頭1つ抜け出したジャマール。序盤は首領ガオームの怒りっぽさが悪い方向に転がっていたのですが、メガオームになってからはサイズに合わせて懐も堪忍袋も大きくなり、運営が安定。首領の肖像画の入った紙幣を発行しているなど、多次元世界における帝国主義的組織として、細かいポイントも面白かったです。
「答えよ! ジャマールとは」
「光を闇に変え」
「善を悪に変え」
「全宇宙、全次元を憎しみと争いに黒く染め上げ、我らが植民地として支配下に置く。アハハハ、それこそが」
「「「「それこそが、ジャマール、ジャマール、ジャマール!!」」」
2位は、天ノ川学園高校の闇に潜む星団ホロスコープス。最終的に理事長は割と好きですし、首領の強さとカリスマ性、安定した運営、着実な目的達成への進行度、と悪くない組織だったのですが、物語の都合上、全体像が明かされるのが遅かったのと、最終目標は大きいけど規模は小さい、という部分が惜しかったです。悪役部門で入れなかった校長と理事長のポイントも含めて2位。
「私の学園こそ、新たなる銀河だ。――宇宙は、私の手の中にある」
3位は、厳密には組織ではないのですが、巨大なキューブホエールに生身で立ち向かっていく志を職業として評価して、巨獣ハンター。変な話、バングレイにキャラクターとしての思い入れは無いのですが、巨獣ハンターとしてのバングレイは好き(笑) ジュウオウジャーには卑劣な罠を仕掛けたバングレイですが、もしジュウオウジャーを倒していたら恐らく、敢えて解放したキューブホエールとサシでやり合ったのではないかと思われ、その辺りはジニス様と通じる浪漫主義があったのかもなぁと考える所です。
「いいじゃん。バリバリ面白いじゃん! こりゃあ、予想以上の大物だぜー!」
次点として、そんなジニス様の愉しいゲームサークル、デスガリアン。退廃系首領、打撃系秘書、筋肉系幹部、頭脳系幹部、と取りそろえ、生命を玩具にする悪としての立ち位置、あくまでゲームなのでいつまでも余裕、と綺麗にまとまっているのですが、綺麗にまとまりすぎてもう一つ心に響くポイントが足りず。年明け、ターンジニス様がどこまでやってくれるか、楽しみにしたいと思います。
「いいじゃないかナリア。私は楽しかったよ?」
今年は次点まで含めて接戦でしたが、実は駄目な悪の組織の方は当たり年でして、ブラックサタン(『仮面ライダーストロンガー』)・スペースマフィア(『ブルースワット』)・牙鬼軍団(『手裏剣戦隊ニンニンジャー』)とワースト3が即座に答えられるレベル。特にブラックサタンとスペースマフィアは、歴代でも上位を狙えるワースト悪の組織でした(^^;
来年は、メルザード一族(『ビーファイターカブト』)と、モンスター一族(『コンドールマン』)に期待。
続いて、前年はまさかの『シンケン』勢独占となったヒロイン部門。今年の混線を勝ち抜けたのは……
☆ヒロイン部門☆
1位 立花藤兵衛 (『仮面ライダーストロンガー』)
2位 泉比奈 (『仮面ライダーオーズ』)
3位 野座間友子 (『仮面ライダーフォーゼ』)
次点 羽山麗 (『重甲ビーファイター』)
心に深刻な傷を負った 病院から抜け出した 困ったおじさん→人質要員兼コメディリリーフ→ユリ子リタイアによりますます人質要員→なまじ変身できない分めきめき上昇していくヒロイン力→7人ライダーを呼び寄せる人質に
という摩訶不思議なジェットコースターをくぐり抜けた果て、最終的に昭和《仮面ライダー》第1期を統合する究極のヒロインに錬成されてしまったおやっさんが、栄光のヒロイン部門1位に。……ええ、まあ、『ストロンガー』における藤兵衛の紆余曲折は、ちょっと衝撃的でした。ユリ子の秘めていたヒロイン力は、全ておやっさんに吸収されてしまったに違いありません……。
「おお! ……あいつだ! 腕はまだまだだが、俺が鍛え直せば、世界一のオートバイレーサーになれるぞ」
2位は、男連中が入れ替わり立ち替わりヒロイン力の上書き合戦を繰り広げ、混沌とした土鍋のようになっていた『オーズ』において、それでも存在感を失わずに最終盤では正統派のヒロインムーヴまで発動してみせた事を評価して、泉比奈。特に、アンクの変化は映司だけでは駄目で、比奈が居たからこそ最後の満足に辿り着けたと思っているので、二人の間で手と手を繋ぐ存在として、その役割は大きかったと思います。比奈ちゃん居ないと、みんなお兄ちゃんの事を忘れそうになりますし。
「ふんにゃーーーーー!」
3位は、根暗少女の不思議キャラから、流星と絡むおいしい役回りに進化を遂げ、着実にヒロインポイントを重ねていった野座間友子。流星は『フォーゼ』の2クール目以降を巧く補正していってくれたキャラクターなのですが、折角キャラが多いのだから弦太朗が居ない所での繋がりも欲しいな、という所でその流星と絡んでくれた友子も、良い形で痒い所に手が届いてくれました。組み合わせとしても好感度が高くなりましたし、後半の大きな視聴モチベーションになってくれました。
「流星さん!」
次点は、<メタルヒーロー>シリーズとしてあまり巧く行っていなかった女戦士ポジションで、序盤から比較的しっかりとした描写が続いて存在感を確立していた羽山麗。空中戦のプロフェッショナルにして、数多の戦場をその目にしてきた武闘派(やや語弊あり)としてキャラが立ちつつあっただけに、途中降板が悔やまれます。後任の舞も悪いキャラではないのですが、舞の参入に絡んで作風が変化した部分もあり、麗レッドルが継続されていたら、作品がもっと殺伐としていた気はしないでもありません(笑)
「ブーブーブー、罪のない人達の声を、奪い取るなんて許せない! おまえをこの手で倒す――重甲!」
ヒーロー部門は、今年も5位から順に。
☆ヒーロー部門
5位 レッドマン (『レッドマン』)
ここに入れていいものかどうか少し悩んだのですが、今年の大きなインパクトとして、どこかに入れないわけには行くまいという事で、見事にランクインしたのは、赤い赤いアイツ。残虐ファイト自体は元々ウルトラシリーズが持ち合わせている要素でありますが、ナレーションを廃して行われる無言の殺戮劇の数々、不条理な赤い運命は、実に凶器で猟奇でありました。特に、どう見ても墓標、のレッドアローは衝撃。怪獣は死ぬ。死ぬために怪獣は存在する。だがレッドファイトは永遠である。つまり―――レッドマンも永遠である!
「レッド・アロー!」
4位 朔田流星/仮面ライダーメテオ (『仮面ライダーフォーゼ』)
今年の、顔が好み枠。変身前の顔も変身後の顔も両方好きという点で、まさに顔が好み(笑) メテオの左右非対称の異形ヘッドと、必殺木星パンチの豪快な見た目は非常に好きで、平成ライダー全体でも、デザインが好き、という点ではかなり上位。また流星自身の弦太朗の対比となるキャラクターも、個人的にはかなり作品を見やすくしてくれました。それだけに、メテオストームのデザインと、友情タッチ後の描写の極端な見せ方が残念でしたが(^^;
「おまえの定めは、俺が決める」
3位 クレナイ・ガイ/ウルトラマンオーブ (『ウルトラマンオーブ』)
実は直前までランク外だったのですが、せめて年内に1クール分は見ておこうと進めていった所に出現した、衝撃のサンダーブレスター! ほぼ、サンダーブレスター票です(笑) 登場回の前編時点では、大仰に登場した割にマガオロチがかなり人間くさい動きで格闘戦をこなしてしまう事に異形感が足りなくて不満があったのですが、後編、咆哮と共に降臨したサンダーブレスターの圧倒的暴力による肉弾戦の迫力に、成る程この為であったか、と膝を打って納得。実に素晴らしいファイトでした。今後の見せ方も楽しみです。……サンダーブレスターの話だけで終わるのもあれなので、もう少し補足すると、バーンマイトは結構好きなので、消火以外の活躍があると良いなぁ(笑) ガイさんに関しては、上でたっぷり語ったので割愛。
「どぁぁぁぁぁぅぅぁぁぁっだぁぁぁぁぁぁ!!」
2位 風切大和/ジュウオウイーグル (『動物戦隊ジュウオウジャー』)
山場の風切大和に外れなし! 作品のテーゼと巧く融合する事で、極端なハイスペックというわけでもなく、一歩間違えると地味になりそうなバランサー系レッドながら、主人公として、ヒーローとして、非常に完成度の高い大和くんが僅差の2位。時折、ちょっぴり鬼畜な所もポイントです。役者さんの演技も良く、脚本や演出からの信頼感、お互いの高いハードル設定が伝わってくるのも、作品の質を引き上げてくれています。総合的に凄く好感度の高いキャラクター。
ここまででも幾多の壁を乗り越えてきた上で、最終盤、大きな山とぶつかりそうな気配になってきており、どこまで飛んでくれるか、注目とともに期待。
「……おまえが証明したんだよ。覚えてる限り、ずっと繋がってるって! 俺の持ってる繋がりは、おまえには壊せない!!」
1位 バリー・アレン/フラッシュ (『FLASH』)
大和くんの猛追を振り切って1位に輝いたのは、真紅のスピードスター、赤い赤いアイツ、フラッシュ。能力:超早く動ける(&超回復力)というピーキーなヒーローが、不器用なりに力を使いこなしながら、周囲のサポートを受けて真のヒーローになっていく……個人としてのヒーローのみならず、チームとヒーロー、の描き方も実に秀逸で、チーム・スターラボとして見ても、良いヒーローでした。バリー自身もちょっと困った所はあるけど好感の持てる好青年として描かれ、作品・個人・チーム、のまさしく三位一体の栄冠。
「……今ようやく、人生を生きてる気がするんだ」
☆最優秀作品部門
1位 『FLASH<シーズン1>』
2位 『MOVIE大戦MEGAMAX』
3位 『仮面ライダーオーズ』
1位に輝いたのは、過去のトラウマから脆い部分を持った青年が力を、そしてそれだけでなく仲間を手に入れる事で変化していき、やがて今を肯定するに至る――スーパーヒーローの誕生、そして成長譚として非常に良く出来ていた『FLASH』。普段見ないジャンル(アメリカのドラマ)という点も含め、今年の1本をあげるとしたら『FLASH』、という作品になりました。
何より、ハリソン・ウェルズが最高でした。
魅力的なキャラクター、構成の面白さ、トンデモアクションを正面からやり抜いてくる力強さ、小気味のいいユーモアのセンス、締める所は締めてくるヒーロー物としての格好良さ、と、総じて抜群の出来。多くのヒーロー物が好きな方に見ていただきたい作品です。
「僕の名前はバリー・アレン。地上最速の男だ」
2位は、オーズ×フォーゼ×そしてW、という3ライダーに7人のレジェンドライダーも加えて、昨日と今日と未来を繋ぐ、“仮面ライダー映画”として極めて完成度が高かった『MOVIE大戦MEGAMAX』。『オーズ』のエクストラエピローグとして、『フォーゼ』の核を見せる物語として、そして『W』の外伝として、満足の1本でした。更にそれらをまとめて「仮面ライダー」の物語になっているのが、実にお見事。
「大丈夫。君がくじけた今日は、俺達が守るから」
3位は、欲望とパンツとメダルの物語、『仮面ライダーオーズ』。前半ノりきれない部分もあったのですが、アンクと映司の関係性が完全に腑に落ちて、その他色々な要素が噛み合ってからの最終盤の怒濤の展開は好み。単発エピソードの切れ味不足や、全体のバランス調整のがたつきには物足りなく思う所があるのですが、よくもやりきった作品だと思います。
なお今回、映司もアンクも伊達さんも、全員個別のランク入りを逃しているのですが、誰も彼も、ヒーローだったりヒロインだったり、属性が一定しないのが原因です(笑) TV本編だと、一番ヒーロー度高いの、里中ですし! 後藤さんは、もう少し格好いい期間があれば残念部門でのランク入りの可能性があったのですが、序盤から底の方に居たから!!
『タカ! クジャク! コンドル!』
最後に今年はアニメから、東映ヒロイズムを継承する作品群の1つとして歴史的な凄まじい「変身」を見せてくれた
春野はるか/キュアフローラ (『GO!プリンセスプリキュア』)
数多のヒーロー作品への愛と感謝をオマージュとテーゼの絨毯爆撃で描きあげた超人幻想から
人吉爾朗 (『コンクリート・レボルティオ』)
を、特別表象したいと思います。
「もう泣くな。わかるぞ。暴れたいんだ。どうにもならないんだ。正義の超人に憧れた筈なのに、どうしてって。大人はみんなそうさ。正しい事ばかりしていられない! それでも、それでも……!」
「それでも! 俺は信じたい。子供の頃に憧れた超人達のような存在が、どこかに居る。俺は……せめてその人たちを守れるような、正義の味方になるって」
「……レッツゴー、プリンセス」
というわけで今年のランキングでしたが、予想通りに『FLASH』勢が強かった中で、『ビーファイター』大健闘、という印象。自分で脳内投票していても、思わぬ事はあるものなのです。思わぬといえば、城茂がヒーロー部門でランク外に転落したのは割と予想外だったのですが、『ストロンガー』勢は他の部門で目立つ事に。最終的には、ガイさんが割と良い感じにかき回してくれました。
作品としては、念願の『ブルースワット』が史上希に見る大惨事でしたが、70年代作品〜現行作品、久しぶりのウルトラシリーズまで、割と手広く見られた気はします。上下左右の幅が広かったというか(笑)
色々あって年の初めはかなり暗かったのですが、『ジュウオウジャー』の出来の良さ、そしてメインライターとして想像を遙かに超える冴えを見せている香村純子の存在は、今後数年レベルで希望を抱かせてくれた感。後は風呂敷を綺麗に畳んで、この勢いのまま完走してくれれば……! 過去の例もあるので、ゴール間際が油断できない箇所ではあるのですが(^^; 今年は、大和と父の関係、という明確な山が設置してあるので、諸々が巧くクライマックスに集約してくれるのを期待しております。
ところで、この集計中に今年を振り返りながら、ひとつ恐ろしい失敗に気付いてしまったのですが……『超光戦士シャンゼリオン』20周年だという事を忘れていた……!
何かすれば良かった!
偏愛する作品だけに、大きく反省。余裕があれば、来年どうにかしよう……。
来年はとにかく、『ジュウオウジャー』のクライマックスが楽しみ。それから、放送では最終回を迎えた模様の『ウルトラマンオーブ』の後半戦も、この調子で見ていきたいです。
では最後に、今年の特撮を象徴する一言で。
「レッド・ファイト!」