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『ゴーストバスターズ』(2016)感想

「うちらは今の世の中の、まんまがいいんだよね」


 大学の終身雇用の審査を控えた物理学者エリンは、過去に書いた“幽霊の実在に関する”本に関しての問い合わせを受け大慌て。とっくに絶版となり、この世から消滅したものとばかり思っていた本がまだ販売しているどころか電子書籍にまでなっている事を知ったエリンは、審査に影響しては大変と、共著者である旧友アビーの元を訪れ、本の販売停止を求める。だが、アビーとその共同研究者ホルツマンのペースに巻き込まれている内に、封じ込めていた幽霊の実在を信じる心が鎌首をもたげ、幽霊屋敷の調査に同道する事に。そして3人は、そこで明確な姿形を持った霊体と遭遇する……。
1984年の映画『ゴーストバスターズ』をベースに、主人公を男性4人組から女性4人組に置き換えてリブートした、SFアクションコメディ。
若気の至りで執筆した本がamazonで販売しているとGoogle検索で引っかかるし、その場の勢いで盛り上がってしまった姿はYoutubeにupされてしまうし、インターネット怖い。
幽霊なんてあり得ないという世間の無理解にぶつかりながらも、その証明の為にパワフルかつ科学的にに立ち向かっていく女性達の活躍が軽妙に描かれていくのですが、そこに加わる唯一の男性、受付のケヴィンが、物凄い飛び道具。
−−−
「ちょっとタイム。さくっと聞かせて。えっとー、その眼鏡なんで、レンズ無し?」
「あー、これ? だって、レンズって汚れてばかりだから、取っちゃった。拭かなくていいし。目もかける」
−−−
セクシーボイス(CV:森川智之)でムチムチのイケメン(演:クリス・ヘムズワース)だけど、それ以外の90%が残念で出来ているケヴィンの、眼鏡からロゴデザインへのコンボは、強烈無比。全編ユーモア満載ですが、その中でも、ずば抜けた破壊力でした。
ギャグだと後、机に掴まるのが好き。
主人公格のエリンとアビーは高校時代を共有する友人であり、幽霊の実在証明により世間を見返したいと考えている科学者。しかし、その名声への欲求や社会に対するスタンスは微妙に違っていて、エリンはアビーほど自らの境遇を愛せていないのですが、そのエリンがクライマックス、一切なんの躊躇もなくある決断をする、というのが二人の関係の劇中での集約にもなって、凄く格好いい所。
……ところであのシーン、某映画のクライマックスを物凄く思い出したのですが、偶然なのか、意識的なパロディなのか。
旧作は1も2も見たけどストーリーがごっちゃになっている程度の記憶なのですが、恐らく端々にあるであろう旧作ネタはわからなくても十分に楽しめるかと思います(タクシー運転手と緑のゴーストはわかった)。
序盤しばらく、やや古めかしい演出が目に付くのですが。これはリブート作品として意図的に少し懐かしい雰囲気のある画面を作ろうとしたのでしょうか。一方クライマックスでは、2016年にやるならこれぐらいみんな見たいよね?! という如何にもなシーンが入ってきて盛り上げ、サービス精神はどっち方向にも豊富。
旧作の頃から、あれ危なくないのかとは思っていたのですが(旧作劇中で言及あったかもですが)、やはり危ないのか(笑)
この辺り、そのものがマッドサイエンティストギャグなのでしょうが。
なお、今作におけるマッドサイエンティストポジションであるホルツマンは声が朴ロ美さんなのですが、潰した感じの声で演じている為、時折某鋼の錬金術師が顔を覗かせ、ああこれは禁忌を犯しているなぁ感がひしひしと……(笑)
声優に関しては、エリン(友近)とアビー(渡辺直美)がそれぞれタレント枠ですが、違和感はそこまで無かったです。
まあ、“違和感がそこまでない”のと“もっと面白くなったのでは”の間の断絶は、IFゆえに深いなぁと思う所ですが(^^; ただ、森川ケヴィンが、クリス・ヘムズワース×超甘い囁き、で異常に面白くなっているので、これは是非、吹き替えで聞いていただきたい所。
普段からこの声と口調で喋っている3次元イケメンって危険すぎないか……と思ったら、中身がもっと危険だったという。
主人公達の科学者設定が、難しい理屈を理解できるというぐらいで、もう一つ科学者ならではの閃きのようなものが物語の中で活きなかったり、繋ぎの粗さが気になる部分など若干ありましたが、最終的には、スタッフロールで完敗。今まで見た映画の中で、最も衝撃的なスタッフロールだったかもしれません(笑)
気持ち良く楽しめた1本でした。