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世の中ほどほどのバランスが大事

◇『リトルウィッチアカデミア』第8話

「人間は皆、自分の中の自分を殺して生きているんです。みんながみんな、自分の中で生まれた、あんな事してみたいやこんな事してみたいという気持ちを殺さずに生きていたら、世界は相当ヤバい奴と、ド変態だらけになってしまうのです」

自家製の超魔法薬を飲んだスーシィが眠りについてしまい、宿舎の部屋を埋めていく大量のキノコ。これ以上トラブルを重ねては今度こそ退学にされてしまうかもしれないと、ロッテの魔法によりスーシィの内面世界に飛び込んだアッコは、そこで様々なスーシィに出会いながら、スーシィ:オリジナルを目覚めさせる為に、大冒険を繰り広げる事に。
いっけん、人には色々な面がある(世の中には色々な人間が居る)という、個性や多様性を前向きに肯定する内容に思わせておいて、アッコがスーシィの心に芽生えたあらゆる意識や願望の萌芽を処刑から助けてしまう事で、それらが内面に存在し続ける事で生じた自己矛盾や破綻により、スーシィ内部にモンスターが生み出されてしまう、という凄まじい展開。
アニメーションとして「動き」によって生まれる面白さを重視している今作、定期的にチェイスシーンを取り込んでくるのですが、片目をぎょろりと輝かせ、カメレオンのような舌を伸ばしながら四つ足で猛然と追いかけてくるスーシィ:モンスターのビジュアルのインパクトも絶大。
カートゥーンなどのパロディも織り交ぜつつ、単純さと緻密さで緩急をつけた『天元突破グレンラガン今石洋之の絵コンテによるスピード感も抜群で、いや面白かった。
今作恐らく、『トムとジェリー』的な、究極的には音楽と映像の動きだけで面白さを表現したい、という志向性を持っているのだろうと思うのですが、「動き」そのもので視聴者の感情を動かそうとする方向性として、力の入った素晴らしい出来でした。ここまで出来るのはシリーズでも1本限りのスペシャル、みたいになりそうな気もしますが、今後もこのレベルの出来が飛び出してくるといいなぁ……。
ところでロッテは、自分が着替えと支度を完全に終えてから、「遅刻するよ」と、ルームメイトを起こすタイプ。


◇『キラキラプリキュアアラモード』第3話
いきなりバレエのステップを踏みながら店内に現れるまりこさんは、アメリアの人なのか(『Gレコ』脳)。
その後も公園でクラシックバレエを披露して群衆から喝采を浴びており、まりこさんが奇矯なのか、この街の人々が奇特なのか。
そんなまりこに憧れるいちかとひまりは、バレエ発表会の前に差し入れをしようと、あおいを巻き込んでシュークリーム作りを開始。……どうして長老は、画面の片隅の影の入った位置からこれを見ている、といういちいち怪しげなカットなのでしょうか。
頭から薄力粉をかぶせられたリスの子がにっこり満面の笑みを浮かべたのであ、この子、本気でキレると笑顔になるタイプだ(ガタガタ)と思ったのですが、そんな事はありませんでした。
懸命にお菓子作りに励む3人だがどうしても上手くできず、時間と材料だけを浪費した末、ひまりは塾、あおいはバンドの練習の為にスイーツ要塞を離れてしまう。失意のいちかは街を彷徨中(早い)にまりこと出会い、スイーツ作りが大好きという気持ちを取り戻すと、再合流した黄と青と共に、シュークリームを完成させる。
シュークリーム作りを通して3人の友情レベルがアップし、下の名前で呼び合う仲になる、というのがプロットの中核で、お菓子作りの時間を共有して楽しいと感じる事で関係が深まる、という展開は今作にふさわしいのですが、シュークリーム作りの度重なる失敗の理由が明確に描かれないのに、「大好きな気持ちを大事にして3人力を合わせたら完成」してしまう為、何だか凄くふわふわした精神論の世界に。
気持ちが大事、というテーマが悪いわけではないのですが、非常に具体的で現実的であるお菓子作りとはどうも噛み合わせが悪く、極端に言えばそれまで失敗していたのは「3人の気持ちが足りず心が一つになっていなかったから」という事になってしまうのですが、なんだこの、マジカルスイーツ道場。
その辺りはファンタジーという事で全面的に流すべき部分なのかもしれませんが、“基礎があった上で気持ちを乗せる”のではなく、“何より気持ちが一番大事”になってしまうと、容易に“信じていれば空も飛べる筈、なぜなら俺たちには無限の勇気があるからだ!”に流れしまうので、非常に不安。
幸い今作の場合、お菓子作りのプロセスを描く必然が存在するので、無からいきなり何かを生み出す事は避けられていますが、逆にその映像面の保険に油断していると、大きな落とし穴がぽっかり口を開けそうな気も。
……これ、8話か9話ぐらいで、お父さん(全く出てこなくて困る……)がいちかに、走り込みと受け身の大切さとかを諭してくれたりしたら面白いですが。
スイーツアンデッドは、てっきり3体ぐらいでローテするのかと思ったら、これまでとだいぶデザインの違う気持ち悪いのが今回出てきましたが、使い切りの怪人扱いだったのか??(^^; 毎度吹き飛ばされているだけなので、後々まとめて再利用されたりする可能性はありそうですが。
演出の路線が第1話に近いなと思ったら、もう1人のシリーズディレクターによる絵コンテ。むしろこれだと、2−3話はどうして監督の側で方向性を統一しなかったのか、というのが疑問になりますが、どう見せていくのかはまだかなり試行錯誤があるのか。
今回に関しては作画リソース節約の為に――やたら目元のアップ画が多いし、縁取り演出やオーバーリアクションで随所に止め絵で尺を稼いでいる――監督自らコンテを切って工夫したという事情はあったのかも。
シューアンデッドを、ホイップソノママカスタードマシマシアイスヤサイアブラマシ、で吹き飛ばした3人は無事にシュークリームを届け、その帰り道、気分が高揚して階段で跳ねるいちかは雰囲気のある美少女とすれ違い……
(……あれ? 今、笑われちゃったかな?)
……うん多分、その階段でのホイップ・ステップ・ジャンプは、首の骨を折って死亡する可能性があるからじゃないかな。