はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『ビーファイターカブト』感想24

◆第36話「卑劣!!魔兄弟の逆襲」◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子
OPにはまだ居るビークラッシャー、メルザード要塞内部で素体くん状態になっており、さすがに完全リタイアではありませんでした。……まあ、復活したら復活したで、どうにかなるのか、というか、せいぜい、メダルBFのマッチアップ相手ぐらいの扱いになりそうですが(^^;
前回の戦いの後、フリオは鳥羽家に宿泊中。初登場回では野生の勘を磨き抜いた戦士みたいな感じだったのに、前回から、陽気なメキシカン、に性格が変わっている気がしてなりません(笑)
蘭がそんなフリオを日本見物に連れ出し、久々に甲平の学園生活、健吾はついつい基地でうたた寝……と、激闘の連続に一つの決着がつき、緊張から解放された面々という描写が入ったのは緩急がついて良かったです。
珍しく部下を気遣った博士は健吾の代わりにパトロールへと向かい、復活した巨神の力が、世界を平和に導こうとしていた……だが――
ビーファイター……」
ビーファイター……」
「「ははははははははは」」
「貴様等を、血の海に叩き伏せるまで」
「貴様等の泣き叫ぶ声を聞くまでは」
「「死ぬわけにはいかん」」
メルザードに謎の黒い力の波動が近付き、ブラックアカデミアでは火山の異常活動が観測される。そして、緊急を伝える通信を送ってきた博士は、血まみれで転がっているのを発見され意識不明のまま集中治療室へと運び込まれる。
「一番苦しいのは、大切な人、なくす事」
倒した筈のライジャとデズルが甦り、甲平達の関係者を狙っているのか? フリオの言葉にゆいを案じた甲平は学園へと走り、焦る甲平の姿に兄弟の嗤いを被せるなど、今回は余裕のある演出で、畳みかける危機の煽り方が良い具合に機能。そして甲平の後を追ったフリオの前に、甦った絶滅兄弟が姿を見せる!
復活ライジャは立ち回りの都合もあってか、全体的にとげとげしくなった、悪くはないけど面白みもほどほどの、正統派といえる強化デザイン。
一方、デズルは目の部分が白いマスクに変わって大きく開いた口の部分で演技が出来るようになり、すっぽりフードを被っているように見える立ち姿から、戦闘時は翼のようにそれを広げるとうねる触手のごときボディがあらわになり、追加パーツで腕が長い、と異形感が増して非常に秀逸。長らく幹部キャラとしては色々と物足りないデズルでしたが、ようやく塩沢兼人の声もはまって、このデザイン一つで一気に跳ねました。
ライトニングキャノンの弾丸を一刀両断され、絶滅兄弟に敗れるゲンジ。学校へ向かった甲平は、ゆいの鞄と、ブレザーの上着を発見。そして挑発するかのように、断崖絶壁へ吊り下げられたゆいの映像がブラックアカデミアへと送られてくる!
博士の倒れているシーンでも血に濡れたトランシーバーが描かれましたが、人質として吊られたゆいちゃんも制服に血がにじんでおり、石田監督がかなり攻めた演出。復活兄弟の悪意と脅威が強調されると共に、甲平達の憤りにもスムーズに同調できる流れ。
「どうだこの趣向は!」
ここしばらくすっかり存在感の消えていたミオーラとドードがしれっと現れ、誰一人としてフリオを助けに行こうとしなかった3人(人の命は地球の重さ、戦士の命は羽毛の軽さ)は怒りの超重甲するが、そこへゲンジをひきずった絶滅兄弟が登場する。
「見よ、灼熱のマグマの力を」
「深海の闇の力を」
2人並んだバーニングライジャとデズルザディープシーは、トンボウガンを弾き返し、カブトンランスの一撃を軽々と受け止めてみせる。
「無駄だ。お前達に勝ち目は無い」
……というかこれは、仲良しパワーなのでは。
マザーは執拗に否定していましたが、共に死の淵を覗いた事で生まれた絶滅兄弟の絆の力に見えて仕方ないのですが。この世界の闇の陣営は、仲良しスクラムで力が高まるというのは前作で立証されていますし。
すなわちこれぞ、
「メルザぁぁぁド!」 「クロぉス!」
「野郎、負けるかよ!」
相手が熱い兄弟の絆なら、こっちは全てを蹂躙する圧倒的な破壊のパワァーだ! と伝説巨神を召喚しようとするカブトンだが、デズルの攻撃でセイバーが海へと落下。3人は兄弟の攻撃に追い詰められ、電流まで流されたゆいちゃんは、とうとう断崖絶壁から眼下の海へと転落してしまう。
「もっと叫べ……もっと泣けぇ!」
この光景に怒りの力を振り絞ったカブトンは起死回生の腹パンチで兄者をよろめかせると海へとダイブ。あの傷では助かるまい、と余裕を見せる兄弟だったが……激しい水泡が浮かぶと、海の底からビィィィッグ・ワン!じゃなかった、伝説巨神が立ち上がる。
黒い甲神カブテリオスに乗り込んでゆいを救出したカブトンは、一片の慈悲もなくビーム攻撃を放って兄弟達を吹き飛ばすと、迫り来るギドーバの大群もビッグボンバー。
キャンペーン期間中にしても、“巨大な敵へのカウンター”ではなく、“一方的に蹂躙する為の巨大兵器”なので、早くもデウス・エクス・マキナ化しているカブテリオスですが、色々と大丈夫か(^^;
絶滅兄弟とお付きの2人はすごすごと引き下がっていき、ゆいは助かり、博士も峠を越える。
……博士は(それ以上言ってはいけない)。
ビークラッシャーと入れ替わりで兄弟が復活し、第21話以来久々の小林靖子が、キャラクターを追い詰める手腕を発揮。ちょうど昨日インザファイトさんとやり取りしましたが、翌年、戦隊デビュー脚本となる『電磁戦隊メガレンジャー』第16話では、追い詰められた主人公達のメンタル面をよりじっくりと炙り出し(この回は、辻野監督の演出も良かった)、これは後々にも繋がる、脚本家としての個性であろうなと。
兄者はもともとポイントが高いとして、デザインの妙でデズルが一気に面白くなったので、絆の力を得た復活兄弟の活躍には期待したいところです。下手にビークラッシャーが生きているのが、かち合いそうで不安ですが(^^;
兄弟を復活させた黒い力の波動とは何なのか?! すっかり要らない子扱いのインプットライフルは無用の長物から栄光を取り戻す事は出来るのか?! 次回、更なる脅威がビーファイターを襲う!!