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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・28話

◆Task.28「伝説の鎧」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁
真墨がアクセルラーを壊して牧野博士が修理中、という最悪のタイミングで出現したクエスターロボエリートが久々に街を大破壊。
ボウケンジャー、総員しゅ」
固まる空気。
「真墨はサロンで待機。残りは出動だ」
「しかし……!」
「無いものを嘆いても仕方ない。今有るものを最大限に活かす事を考えろ。行くぞ」
前例があるのでてっきり「真墨は生身で乗れ」と言い出すのかと思ってドキドキしたのですが、それよりも《俺は既にいい事を言った!》の誘惑が勝ちました。
歯がみする真墨を残してボウケンジャーは出撃し、究極ダイボウケンいきなりの飛び蹴り、というのは面白い絵。しかし全身に火砲を搭載したエリートロボのミサイル攻撃を受けて撃墜され、究極火の鳥もエリートの空中機動に回避され、背中にエリートキックの直撃を受けたダイボウケンはゴーゴージェット機能停止で飛行能力を失ってしまう。
フルパワーを発揮できないまま殉職の危機に陥るダイボウケンだが、ロールアウトしたばかりのエリートロボがオーバーヒート。そこにサイレンビルダーが駆けつけて退却し、仲間の苦戦を見かねて戦場に駆けつけていた真墨は、逃走するエリートロボにワイヤーで張り付いてその後を追うのだった……。
山中に一時身を潜めたクエスターは、レイがロボを修理中に、ガイがロボを完成させる為のプレシャス――伝説の鎧――を求めて冒険に向かい、レイの方をメカニック担当とする色分け強化。
この会話を盗み聞きした真墨は山中にワイヤートラップを仕掛けてガイから巻物を強奪し、相手がアシュとはいえ殺る気満々で、ちょっぴり闇の力が漏れ出してします。展開でいうと、メンバーがトラップに引っかかって吊られるのはままありますが、敵サイドがワイヤートラップに引っかかるというのは、意外と珍しいでしょうか。
「油断したな、ガイ。お宝の地図はいただいた。じゃあな」
木の上からガイを見下ろして不敵に笑う真墨はロープアクションで飛び去り、もしかすると第1話以来の、トレジャーハンターぽい活躍(笑)
ソロ活動で活き活きする真墨ですが、そもそも基地を飛び出したのは仲間の危機に居ても立っても居られなくなったからであり、その後も仲間の増援を信じてチップにヒントを残していくなど、同じ暴走でも、宝の地図に目がくらんで爆死を偽装し、部下を置き捨てて一人でわーいサージェスが必死に隠す宝の島だひゃっほーーーい! とかやっていたどこかの誰かとは角度がだいぶ違います。
ちなみにどこかの誰かは、同じチップにヒントを残すのでも、暗号の形で残していきました。
だってその方がワクワクするじゃん?
巻物に記された場所に辿り着いた真墨は岩山に封印されていた鎧兜一式を見つけだすが、そこに現れるガイ。
「はーい、ご苦労さん」
ちゃっかり真墨の後をつけてきたガイだが、真墨も不敵な態度を崩さない。
「おっと、それ以上一歩でも動いてみろ。おまえの周りに仕掛けたトラップが、爆発するぞ」
「ふひゃははははははは、ハッタリだろ。トラップを仕掛けてる時間など無かったはず」
「そりゃそうだな。だったら、これでどうだ」
ここ一番で肝の据わった所を見せる真墨は慌てる様子もなくワイヤー装備を伝説の鎧へと向け、プレシャスを破壊すると脅迫。
「お前等はお宝を回収するのが仕事なんじゃねぇのか」
「ネガティブに渡すぐらいなら、破壊したほうがマシだ」
そもそもは、「プレシャスを悪用されない為に保護する」という建前で活動しているので理に適っているといえるのですが、これまでの行動を見ていると一般人相手にもほぼこのノリなので、つまるところ……
「俺たちのものにならないプレシャスは邪魔なんだよ」
という、ボウケンジャーイズムが迸っています。
「ほう……いい度胸だなおまえ。気に入ったぜ。だがな、やってみろ。そんなもんじゃその鎧は壊れねぇ!」
不意打ちで銃撃してくるガイだが、真墨は平然と手に取った兜で、その一撃を反射。
「成る程。確かに壊れねぇな」
華麗な強奪、不敵なブラフ、咄嗟の判断、と冒険メンバー内では年下の未熟者ポジションかつ精神的にほぼ思春期、という事で玩具にされがちな真墨の、そもそもは名うてのトレジャーハンターである、というプロとしての格好いい一面を見せてくれたのは大変良かったのですが……大丈夫か真墨、死ぬんじゃないか真墨?!(笑)
「ちぃっ! 機転も効くようだな。しかぁし! お宝は俺達がいただく!」
飛びかかってくるガイだが、そこへチップのメッセージを読み取ったメンバー5人が合流。
「グッジョブ! よく独りでここまで持ちこたえたな」
「明石……」
チーフには仏頂面を向けるが、イエローに「やったね!」と言われて微笑み返してしまい、まだまだ修行が足りません(笑)
「さすが、世界で二番目のトレジャーハンターだけの事はある」
懐かしのネタを繰り出し、不滅の牙はホント、変な所でプライド高くて器の隅から水が漏れているのですが、この辺りが純粋に冒険を楽しむ子供の魂のなせる技なのか(チーフにおける、大人と子供の同居、というのはその問題点もきっちり劇中に織り込む事で、かなり上手く描かれていると思います)。
数的優位に立ったボウケンジャーは一斉にガイへと銃を向けるが、そこに修理完了したエリートロボが降り立って、形勢逆転。伝説の鎧を手にしたエリートロボはプレシャスの力により鎧兜を身に纏ったバトルクエスターロボへと強化されてしまう。一方、牧野博士から修理完了した真墨のアクセルラーが送られてくるが、その為にゴーゴージェットを修理できなかった事から、ボウケンジャーは超ダイボウケン&サイレンビルダーでこの強敵に立ち向かう事に……という所でアイキャッチが入り、ここからBパートほぼ丸々メカ戦、という大胆な構成。
また今回、真墨以外のキャストの出番が基地内でしか無いのですが、ちょっとした夏休みとか何か理由があったのでしょうか。真墨の役者さん一人だけ、ロケバスで山の中まで運ばれましたが。
超ダイボウケン&ビルダーはバトルクエスターロボに怒濤の攻撃を浴びせるが、伝説の鎧を身に纏ったBQロボはなんと無傷。そして日本刀を召喚し、鉄山流・電光剣! ……じゃなかった、クエスター十文字斬りを放ち、倒れる冒険ロボ。
「弱音を吐くな! 無いものを嘆いても仕方ない。今有るものを最大限に活かす事を考えろ、だろ?」
あまりのパワー差、そしてプレシャスの威力に士気の落ちるメンバーをブラックが励まし、名言の引用をさもオリジナルのように言い抜けるのではなく、最後に「だろ?」と付ける奥ゆかしさが、凄く真墨です(笑)
「究極の持久戦だ」
敵の弱みは期待の信頼性にある、と物を良く壊す黒の発案によりBQロボのオーバーヒートを待つボウケンジャーは、ダイボウケンとビークルを分離して敢えて戦力を分散。ヒットアンドアウェイと波状攻撃により敵に狙いを絞らせない持久戦に持ち込み、単体起動可能なメカという特性を利用して、各ビークルを繰り返し活用してくれるのはボウケンジャーの良い所。
メンバーが分散して乗り込んで立ち向かうという構図により、召喚獣(メカ)をけしかけるのとはまた違う、戦闘の迫力も出ています。
サイレンビルダーも再びコンパチ武装を披露し、変則波状攻撃により善戦する2体の冒険ロボだが、ショベルナックルを受け止められてしまう。
「無駄だと言っている!」
「おまえ達がどんなに攻撃しようとも! この伝説の鎧には、傷ひとつつかなーい!」
再び放たれた十文字斬りにダイボウケンは倒れ、ビルダーにトドメの一撃が迫るが、ダイボウケンクレーンがワイヤーで日本刀を絡め取り、蔵を振り回していたぐらいしか記憶にないクレーンにもしっかり見せ場。ビルダーが零距離消化剤を浴びせて立ち上がり、両サイドから殴りかかるもそれをがっちり受け止めるBQロボだが、その時、遂に限界が訪れてオーバーヒート。
「まさかてめぇら! これ狙ってやがったのか?!」
「ふっ……今頃気付いても遅い!」
ここでOPイントロが流れ出し、二大ロボがダブルアタックで殴り飛ばして、主題歌とともに反撃開始!
「今だ明石!」
まずはクレーンによるワイヤーフックパンチで鎧を剥ぎ取って、強制回収。
「これで形勢逆転だ! トドメと行くぞ、映士!」
「わかってるって!」
伝説の鎧を失い元の姿に戻ったエリートロボに向けて、サイレンビルダードーザー&マリン、ダイボウケンエイダー&ポリス、と徹底してコンパチにこだわりながら、真墨&映士という夏の開幕を告げたコンビを拾い、サイレンアドベンチャードライブ&ダイボウケンナックルバルカンの連続必殺攻撃でフィニッシュ。
エスター二人は今回もすたこらさっさと逃げ去り、一話完結エピソード群でメンバーそれぞれのキャラ掘り下げを行い、最後にこれまでのメカ要素を使い切る、という良い前半戦の締めになりました。
冒頭含めて、合計約11分ロボ戦しているというのはかなり大胆な構成かと思われますが、ロボ大好きな竹本監督なので、ロボ戦は特撮班ではなく自前でしょうか……? 最後、2大ロボと4台のビークルが並ぶ、という絵も格好良かったです。
「今あるものを最大限に活かせ……か」
「チーフが言った言葉です」
「でもまあ、それを実践したって事は、凄い事なんじゃないんですか」
「あのガイと対等に渡り合ったんだ。大したもんだぜ」
「今回は真墨、大活躍だったもんね」
大丈夫か真墨、死ぬんじゃないか真墨。
「……あれ? 真墨は?」
その真墨は、今度はワイヤーメカを壊して牧野博士に修理を頼み、冒頭の繰り返しで自らオチをつける事で、死亡フラグを回避していた(笑)
最後は、真墨のぞんざいな態度に
「おっさんって言うなーーーーっ!」
と牧野先生が怒鳴って、信頼できるメカニック(なのか牧野先生の本職はいったい)の存在の大切さが軽く輝き、つづく。
上述したようにほぼメカ戦、というエピソードなのですが、久々の個人回となった真墨が、忘れられがちな格好いい一面を見せてくれたのは良かったです。
菜月に「乱暴に扱うから」と言われているので真墨に問題はあるのでしょうが、下手にアクセルラー故障の原因を明確にしたりギャグを発端にしてしまうと、自分のミスから仲間を全滅寸前のピンチに追いやりその後活躍、というマッチポンプ要素が強くなりすぎてしまうので、そこを見せなかった事も良い方向にバランスが取れたと思います。
その上で、とにかく戦場にやってきたり、最も負担の大きいダイボウケンに自ら残ったり、と責任を取る姿勢を見せ、ガイとの対決でも、自分一人で決着をつけるのではなく時間稼ぎに徹しているのがグッジョブ。そこをチーフに見透かされて内心「ぐぬぬ」と思っても反論できなかったけど菜月の素直な称賛で機嫌を直したりとか、真墨の成長とらしさも双方詰まった上ですっきりまとまって、楽しいエピソードでした。