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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第35話

◆Task.35「神の頭」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
色々面白かったですが最大の見所は、偽札を掴まされて怒りのあまり囲炉裏に投げつけるヤイバ先輩。
ここまでで一番ヤイバ先輩が悔しがるシーン、それか(笑)
「ゲッコウ様、<神の頭>、3億で取引決まりました! これで組織の資金源もたーっぷり! このボロ屋も、改築!」
……ダークシャドウにも、色々厳しい事情があるので、ついつい目の色変わってしまうのです。鶏肉だってタダじゃないのです。
かつて、蒼太とさくらが回収に失敗したプレシャス<神の頭>をダークシャドウが売却しようとしている……この情報を得たボウケンジャーは取引を阻止して神の頭を強奪もとい保護しようとするが、ボウケンジャーの介入を想定したダークシャドウは攪乱の為に同時に二つの取引を行おうとしており、ボウケンジャーはチームを二つに分ける事に。
「たまにはこういうミッションも、ワクワクしていいね」
宝探しではなくプレシャスを巡るスパイミッションとでもいった赴きですが、ボイスの言葉通りに、面白い趣向。
スタンダードなシリーズ作品では主に“怪人の特殊能力”によって引き起こされる事件とその対応、という形で構成されていたストーリーラインへの変化の持ち込み方に、戦隊シリーズ30周年作品としてシリーズの枠を広げようとした今作のスタイルが窺えます。
チーフが基地に残って全体の指揮を執り、取引現場Aである研究所に潜入したのは、青桃コンビ。
「すみません、少しの間、協力して下さい」
と言いながら警備員をふんじばって警備室を占拠し、あなたがたは本当に、自分たちが法律だな。
まあこの、ヒーローのイリーガルな面を故意にやや露悪的に描くのもまた、今作のスタイルといえますが。その点においては、小林靖子さんがやたらによく飲み込んでおり、実に絶妙な形でえぐってきます(笑)
まだ真墨も菜月もボウケンジャーに加入する前、<神の頭>を巡るミッション失敗を思い出して雪辱に燃える二人。
「ま、僕もまだ慣れていなかったし、さくらさんはあからさまに僕のこと信用してなかったし」
「そうでしたか?」
「またまた。どんな鈍感でも気付きますって」
チームが受け手の知る現在の形になる前、初期メンバー時代のエピソードの挿入、というのは燃えるのですが、平然と返すさくらに、にっこりと切り返す蒼太に、特に気まずさは感じさせず無言でそれを肯定するさくら、という大人組の会話が怖いよ!
一方、運送業者に扮して取引現場Bである埠頭を見張るお子様トリオ(黒・黄・銀)は、怪しげな車と一団を発見してその後を追い、埠頭では闇のヤイバ、研究所では風のシズカが姿を見せる。
大人コンビはシズカの持ち出したプレシャスを確認するが、取引現場の付近に無関係の女性職員が居た事から、シズカに警戒されるのを承知で蒼太が女性向けに退避をアナウンス。この結果、突入を図った二人は<神の頭>によって操作された研究所のセキュリティによって閉じ込められてしまい、監視カメラから飛んでくるレーザーーーーーーー!(大爆笑)
世紀末TOKYOディストピアでは当たり前の光景でしたが、それから15年後の平成の世で同じ光景を見る事になるとは思わず、楽しすぎて頭がクラクラしてきます(笑)
ボウケンジャー』ファンの皆様には、今作の源流(?)の一つとして、特警ウインスペクターは非常にお薦め(<レスキューポリス>シリーズの薫陶を受け、『特捜ロボジャンパーソン』で脚本家デビューする、小林靖子の源流でもあります)。
セキュリティレーザーにより蒼太とさくらが負傷した頃、埠頭では黒黄銀が取引直前のプレシャスの強奪に成功するも、久々にフェイスオープンしたヤイバ先輩の質量を持った折り鶴攻撃を受け、更に取引相手の白覆面達に囲まれていた。
「まだ闇に堕ちずに、いるらしいな」
「当然だ!」
真墨とヤイバをしっかり絡め、ハザードレベル0だった事からプレシャスが偽物であったとわかり、細かく初期のテイストを散りばめているのが秀逸。
「ふ……芝居は終わりだ。お前達もここで終わる」
白覆面達はゴードム兵の正体を現し、取り囲まれる黒黄銀。青桃には連絡不能となり、状況を確認したチーフは、何故か鏡で自分の顔を丹念に確認してから、牧野に後事を託して出撃する。
「僕のせいかな……すいません」
「仕方ありませんね。やると思ってました」
所内に閉じ込められて通信も変身も不能、互いに脚と腕をそれぞれ負傷、という状況にも関わらず、蒼太のウェットな行動に対して微笑んでみせるさくら(なお、さくらさんは80%以上の確率で職員の安全を確保できると判断したのか、警告なしで突入する気満々でした!)。
蒼太は室内にアクセスポイント発見すると、手持ちの機器でセキュリティをハッキングしての反撃を提案する。
「シャッターを開けられたら、私が行きます。その脚では、無理ですよね」
「お願いします」
一方、ゴードム兵を蹴散らしたお子様トリオが研究所に到着するが、続けて現れたチーフは、妙に動揺しながら、何故か様子見を指示。そして内部では、蒼太がセキュリティシステムの逆ジャックに部分的に成功し、限られた秒数での作戦をさくらに伝えていた。
「その間に走ればいいわけですね」
「僕の腕を信用してもらえれば、ですけどね」
「相変わらずですが、前と違う事は一つ。私が、蒼太くんが絶対に他人を犠牲にできないとわかってるって事。特に女性には」
今回、さくらと蒼太、ボウケンジャーにおける古参組二人の過去と今の関係性の変化を、回想シーン抜きで描くというなかなか面白い事をやっているのですが、特に蒼太に関しては、元スパイとしての卓越した技術を見せると同時に、鳥羽さん回の補強的な内容でかなり掘り下げ。
つまり蒼太は、「自己満足でも構わない。生きている以上、前に進むしかない」為に「目の前に居る人や、世界を守る」というルールを自分に科しており、それが蒼太の生き様である。「決着も言い訳もなく一生過去の涙を背負って生きていく」と決めた自分が「笑える」ように、マイルールに従って生きているのが最上蒼太という男であり(破った時、蒼太は再び向こう側に戻ってしまう)、蒼太が蒼太である限りそのルールを破らないからこそ、たとえ作戦行動上は非効率な行為だとしても、それを選ぶ蒼太をさくらは信じる事ができる。
鳥羽さん回を踏まえた上で、最上蒼太というキャラクターがびしっと地面の上に立ちましたし、さくらさんの他人の理解と信頼の仕方、が示されたのもお見事。
また一方で、蒼太は自分の経歴が経歴であるからこそ(まさに血に汚れた手の持ち主)、本質的に他人は自分を信用してくれない、という怯えめいたものを持っており、それが防衛反応としての軽口になり、蒼太自身も未だに他人を信じ切る事が出来ないのであろう、と窺わせます。
恐らく、かつてそれを乗り越えてみせたのが不滅の牙であり、であるからこそ今「相変わらずですが、前と違う事は一つ。私が、蒼太くんが絶対に他人を犠牲にできないとわかってるって事」と言い切るさくらに対して、眩しいものを見るような表情を浮かべたのかな、と思えます。
キャラクターの確立が遅くなり、前半やや埋没気味だった蒼太ですが、結果としては難しいキャラクターを慌てずに仕立て上げる形になったのは、良かったなと。
蒼太から投げ渡されたストラップ(?)で、さくらはパーフェクトソルジャー回以来のポニーテールモードを発動し、見方によっては蒼太の視線が、
(うん、やっぱり、いいよねポニテ……)
に見えて大変危険で、ボウケン男子はロマンチック。
王子様は自分で捕まえに行くさくらさんは蒼太の視線を振り切り、蒼太のセキュリティジャックとタイミングを合わせてセントラルコントロールルームへの突入に成功。<神の頭>によるコントロールを解除してアクセルラーの機能も回復させる。
「シズカちゃん、ここまでだね」
それを確認してチーフら4人も反対側から姿を見せ、6人で取り囲むがシズカは余裕。
「ばーか、取引は成功だよ〜。思いっきり引っかかってくれちゃったね」
なんとシズカが<神の頭>として研究所に持ち込んでいたのは本物のプレシャスではなく、、PC×お守りベストマッチの妖怪だったのである! という説明の背後でなにやら変な顔とポーズを取っている挙動不審のチーフ(まあこの辺りで正体わかるわけですが)。
「今頃ヤイバ様が、本当の取引を終わらせてる頃〜」
「そんな……!」
「両方囮だったのかよ!」
得意満面のシズカ、驚くお子様トリオ、だが……
「ごめん。シズカちゃんには悪いけど、実はその3つ目の取引も、わかってたんだよね」
「え?!」
「「「は?!」」」
昔の偉い人は言いました。「敵を欺くにはまず味方から」。
「私たちも囮なんです。引っかかったふりをしていれば、安心して取引してくれるでしょうから、簡単に抑えられます」
「まさか。あんたたち全員ここに居るじゃない」
「いえ、いません」
そう言って進み出たチーフはなんと、特殊マスクによって変装した牧野先生。本物のチーフは牧野先生の変装をした上で本命の取引相手の男とすり替わり、<神の頭>の確保に成功していた!
「残念でした。いやー、チーフになるのも、なかなかいいもんですね」
シズカは逃亡し、妖怪を追ったメンバーは、ボウケンジャケット(赤)着用の牧野先生を交えて、変身・名乗り。揃いのジャケットを、中年太りの隠せない牧野先生(裏地の迷彩柄がまた似合わなくて……)が着て並んでいる絵の面白さが、妙に個人的なツボに入りました(笑)
「行くぞ!」
もちろん変身は出来ないものの、一応ポーズだけ取る牧野先生、一人だけ切れ味の鈍い中年の動きも、実にリアル(笑)
「…………メカニック牧野!」
で揃い踏みにも参加し、第35話にしてようやく、部隊における正式な立ち位置が判明しました(笑)
「アタック!」
ノリノリの牧野先生に誰一人ツッコまず、今回はチーフ代理という事でこれぐらい任せてもいいだろう感がやたら高い信頼感を窺わせますが、青桃補強エピソードに加えて、要所で存在感はあるものの出番自体は少なかった牧野先生に、いつもと違うポジションで時間を与えた、というのも非常に秀逸。
牧野レッドが声援を送る中、5人は何故かシルバーの音頭でコンビネーション攻撃を浴びせ(これは正直、違和感(^^;)、最後はデュアルクラッシャーで妖怪を撃破。変装したチーフとは知らず(3億円あれば、ノンアルコールじゃないビールが飲めるぞ……)と浮き浮きしていたヤイバ先輩は偽金掴まされた事に気付いて激怒し、史上最高クラスにドスの効いた声でゲッコウ様に巨大化をお願い。
「菜月! このままじゃ俺たち、いいとこなしだぞ!」
「わかってる!」
「よし!」
チーフが運んできたゴーゴーボイジャーにメンバーが次々と乗り込むが、後に続こうとするシルバーは牧野に止められる。
「すみません高丘さん、サイレンビルダーの修理は、まだ」
「えぇ?! ……俺様いいとこなし決定かよ」
可哀想(笑)
今日も地球をクリーン化だ、と妖怪を整地しようとするバイク戦艦は、妖怪の特殊能力でコントロールを奪われてしまうが、見せ場に飢える黒と黄が無理矢理ボイジャーフォーメーションを発動させ、強引な分離という力技で制御系を回復。ダイボイジャーは火力で妖怪を圧倒すると必殺・冒険轢殺ナックルで平らにし、また一つ、地球の浄化に近づくのであった。
かくして囮のまた囮、という頭脳戦の末、チーム3分割で<神の頭>の回収に成功したボウケンジャー、だが……
黄「もう、ひどいよ菜月達にだけ教えてくれないなんて!」
赤「お前達はすぐ顔に出るからな」
黒「それは俺たちを見くびってるって事じゃないのか?!」
青「人を騙せるような人間じゃないってこと」
銀「まったく、口ばっかだろ」
桃「まあいいじゃないですか。ミッションは完了したんですから」
いいミッションだったなーで片付けられそうになった所で、立ち止まるお子様トリオ。
「「「…………いいわけない(ねぇ)だろ(よ)!」」」
このままでは辞表→新たなネガティブ誕生、の危機が懸念されたその時、間に入った牧野先生が焼き肉を奢ると宣言。
「焼き肉屋にアターック!」
で途端に機嫌を直した3人+牧野は、はしゃいで焼き肉屋を目指し、その背を見つめる年上トリオ。
「お、おれ、俺あんなか?」
「「まあまあまあまあ」」
また一つプライドにダメージを負い、ぼやく不滅の牙を蒼太とさくらが左右から引っ張り、さくらさんがさりげなくチーフの腕に手を絡めているのが、ときめきポイントです。
「やーきにく、やーきにく」
の大合唱で続き、……ホント、「正義」とか「友情」とか「希望」より強いかもしれない、「焼肉」(笑)
変化をつけた導入から、一番個人戦闘力の高い赤が基地待機(遊撃部隊とはいえますが)・状況に合わせて冷静に作戦を切り替えられる青桃が同チーム・残りはお子様トリオ、というそもそも少し違和感のあるチーム分けそのものが伏線であり、青桃を掘り下げる都合ではなかった……と持ってくるプロットの秀逸さに、お子様トリオも蔑ろにせず個性を出し、作品初期の要素を散りばめつつ牧野先生も拾う、と言う事なしの盛り沢山で、面白かったです。
囮の取引を担当していたヤイバ先輩が、罠にはめた黒黄銀の殲滅を目論むわけでも足止めに徹するわけでもなく姿を消してしまうのも、実は本命の取引があったから、と綺麗に繋がりましたし、それに密かに対応するのが切り札としてのチーフ、というのも絶妙でした。
中盤以降の今作らしいコミカル要素を適度に交えながら、シーン変更の多い並列進行をテンポ良くまとめた演出もバランス良し。
……にしても、ヤイバ先輩に掴ませた偽札がやたら精巧に出来ていましたが、普段から使っていそうですね。
「え? 支払ったお金が溶けて砂になった? またまたー。何馬鹿なことおっしゃっているんですか。領収書はここにこの通りありますよー(棒)」。
サージェス財団の闇は深い。