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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第32話

◆Task.32「ボウケン学校の秘密」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
それぞれ変装に身を包み、ダークシャドウが関係している疑いのあるトレジャーハンター養成学校に潜入を試みる、チーフ、菜月、蒼太。
桃「でも見た限り、怪しい所はありませんね」
青「入学してみればわかりますよ」
黒「ま、試験に合格すればだけどな」
赤「素人相手の試験だ。問題ない」
黄「菜月達ボウケンジャーだもんね」
赤「よし、アタック!」
この時点で2分後の惨劇が予測できるわけですが……いざ、OP明け。
「やあシルバーくん! 退院おめでとう。もう大丈夫かい?」
「ああ、完全復活だよ。……で、アレなに?」
眉根を寄せた映士が指さしたサロンの片隅では、魂の抜け落ちた不滅の牙が燃えないゴミと化して転がっていた。
「冒険の試験に落ちたのか? ボウケンレッドが?!」
「高丘さん、今はそっとしておいて下さい」
「体力・知力・精神力、全てにおいて自分では気付いていない欠陥があります。冒険家には向いてません。周囲の人に相談して、別の人生を考えましょう。ははははははは!」
真墨は試験の通知を読み上げて囃し立て、背後でいたたまれない表情になるさくらさんが、百面相。
「あっはは、別の人生って。明石から冒険取ったら、何が残るんだっつーの」
「ナニが…………ナニが残るんだろう」
妙な変装も解かず、死んだ魚のような目でぼそぼそと呟き、後の某Mさんを彷彿とさせる扱いを受けるチーフの姿に真墨と映士は大笑い。
「チーフ! そんなの、全然気にする事ありませんよ! こら!」
とうとう、さくらさんに耳を引っ張られて引き離される闇の力ブラザーズだが、その頃問題のスクールでは、やたら背広姿の似合う蒼太が難しい顔になっていた。
「チーフが落ちたのは、予定外だったなぁ」
「菜月達二人だけで、大丈夫だよね」
「うん。とにかく、ダークシャドウの尻尾を掴んで……」
そこへ入ってきたのは、本日はミニスカ女教師コスプレの風のシズカ
「みなさーん、おはようございまーす」
「え」
尻尾、掴めた。
今回この時点までで、3話分ぐらい面白かったです(笑)
「シズカ……ちゃん?」
「まんま名乗っちゃってるし」
「ウン」
あまりにも雑すぎるダークシャドウのやり口に、これは真墨向きの案件だったのではないだろうかという顔になる蒼太(笑) ボウケンジャー大人組のMPが、あっちでもこっちでも削られていきます。
更に続けて、講師として「好きな物は、六分儀です」というDS妖怪シルベガミが姿を見せるも、垢抜けない雰囲気でどこか歯車のズレた島田という元サラリーマンが平然と挨拶を返してしまった事から、その場で排除する、という雰囲気にはならず、出方を見る事に。
「集中力は、冒険家の命綱。集中力が切れる時、それは! 死ぬ時です!」
必殺《私は既にいい事を言った! このシルベガミが!》
「ふーん、けっこういい事言うじゃん」
菜月@女子高生風コスプレの好感度が上がった!
(いったいなにを企んでるわけ……?)
チョーク妖怪の授業は終始まともに進み、休み時間、首をひねりつつも後を追った蒼太と菜月は、校長室でお茶するシズカと椅子にふんぞりかえるヤイバ先生の姿を発見するが、尾行がバレてしまう。
「ほう……生徒の中にボウケンジャーが紛れていたとは」
ダークシャドウ! 今度は何を企んでるわけ?」
「べーつにぃ。これは新しいビジネスなの。プレシャスだけじゃやってけないもーん。みんなで楽しく勉強するだけ」
ダークシャドウダークシャドウだけに、真実味があって困ります(笑)
「にも関わらず、我らに武器を向けるとは乱暴だな」
第9話以来となる、ヤイバ先輩の裏奥義《落ち着いた物腰と丁寧な口調で滅茶苦茶な屁理屈をこねる》が炸裂!
精神判定に失敗した菜月と蒼太は煙に巻かれて銃の向け先を見失った!
「みんな夢を持って入学してるんです! その冒険学校を、ボウケンジャーが荒らすんですか?!」
立て続けの抗議になんとなく丸め込まれてしまった二人は強硬手段に出るタイミングを失い、調査を継続。授業中に助けた島田にお礼を言われて無邪気に喜ぶ菜月だが、蒼太は菜月と喜びの握手をかわす島田の手をやんわりと引きはがしつつ、冒険には向いてないから辞めた方がいい、と冷たく言い放つ。
「菜月ちゃん……あの人にあんまり関わりを持たない方がいい。僕たちは任務で来てるんだよ。学校ごっこじゃない」
「……でも、会社まで辞めてきたのに。一生懸命冒険しようと頑張ってるんだよ?」
「あの人は……帰した方がいいと思うんだ」
「……酷いよ! 蒼太さんは何でも出来るから、そういうこと平気で言えるんだよね。蒼太さんが優しいのって、女の子だけなんだね! ふん!」
明らかに能力不足で学校の空気にも馴染んでいない島田に対する蒼太の正論に詰まりつつも、菜月は言葉を探して反論し、島田をめぐって二人は仲違い。
遠回しに怪盗セレネーの件が蒸し返されている感もありますが、任務優先で必要以上に他者と関わらない蒼太と、他者との関わりを大事にしようとする菜月、これまでの物語的蓄積を踏まえつつ、世の中の酸いも甘みも暗黒面も噛み締めすぎた蒼太と、過去を持たないが故に世界を人間を知りたがる菜月を対比。
菜月ばかりではなく、菜月から光を当てる事で蒼太の陰影もくっきりして、良い掘り下げになりました。
「たく菜月のやつ……あの男に自分を重ねてるんだ。俺に鍛えられていた頃の、自分にな」
運動訓練の様子を隠しカメラの映像で見ながら、菜月に近づく新たな男の影に苦虫を噛んだような渋い口調になる真墨(笑)
「しかし……ホントひでぇな、こいつ。あれが受かって、おまえは落ちたわけだ。くじけるな明石! 別の人生について話し合うか!」
「はははは」
映士と真墨はここぞとばかり、積み重なった日頃のあれやこれやをAさんにぶつけ、再び両者の耳を引っ張るさくらさん、そろそろ目がマジです。
楽しくて仕方がない真墨、純粋に面白がっているような映士、チーフが心配で仕方ないさくら、と三者三様を描きながら天丼ギャグをやりつつ、二人の「いててて」からチョークをぶつけられた島田の「痛い」に繋げて場面転換。
平均台を渡れず、跳び箱に突っ込み、妖怪講師の赤チョークの直撃で気絶した島田は菜月に手当を受けながら、会社を辞めてまで冒険スクールに入ろうとした想いを語る。
「私……普通に学校出て、普通に、サラリーマンやってました。でもある日……冒険学校の貼り紙見たら、急に思い出しちゃって。子供の頃、冒険物の映画を見て、憧れた事。凄くドキドキして、いつか自分も、て思ってて。……素質ないって、わかってるんですけどねぇ。でも、こうやって訓練するだけでも、なんかホント、嬉しいな」
以前の菜月回は子供視点の「夏休みの冒険」が描かれましたが、今回は大人視点から「子供の頃の純粋な夢」が語られ、“大人の中の子供の心(夢)”というのは『ボウケンジャー』のキーの一つであると同時に、メインライター會川さんの持っているテーマ性の一つですが、小林さん流のアレンジが入った“大人”と“子供”と“ヒーロー”を巡る三角形には、後の『烈車戦隊トッキュウジャー』に結実していく要素の一端も感じます。
そして迎えた最後の授業……チョーク妖怪が菜月・蒼太・島田を含む6人を冒険者として認めて合格を告げると、風のシズカが残りの生徒達を範囲忍法で学校の外に強制放出。校長先生のロールプレイを終了したヤイバ先輩が島田を人質に取り、他の生徒と一緒に拘束された蒼太と菜月は、アクセルラーを海へと放り捨てられてしまう。
「ではこれから、あんた達優秀な冒険者に、手伝ってもらう事がありまーーす。命を懸けてね」
人質として利用された島田は、そもそも合格自体が手違いだった事を告げられ、無情に教室から蹴り出される。
「合格させたかったのは、あんたの前の57番」
――それは、サロンの隅で膝を抱えて目の前をよぎる幻のオオアリクイを数えながら虚ろに童謡を口ずさむ某Aさんの受験番号であった。
「チーフ!」
「よしっ!!」
……拳をぐっと握る某Aさんは、ホント、悪い意味でプライド高いな(笑)
「出動だ!」
赤はヒーローの色であると同時に飲んだくれの色であり、また桃缶の色であり、人生の転落寸前、崖っぷちで甦ったチーフの指示で、待機組の4人は出撃するが、蒼太・菜月・他3名の合格者達は、ダークシャドウによってどこかへ連行されていた。
「蒼太さん……ごめんね。島田さん帰した方がいいって言ったの、こういう事に巻き込まれないようにって事だったんだよね」
「いや。僕も任務ばかりにこだわりすぎてた。菜月ちゃんが島田さんの想いを大切にしたから、島田さんは頑張れたんだ。訓練できただけで嬉しいって、あの時の笑顔を見てわかったよ」
「こら! 何ごちゃごちゃ言ってんの」
シズカが菜月の頭を小突いた時に、菜月が明らかに笑いそうになって慌てて表情を取り繕っているのですが、アドリブのパンチが意外と良い所に入ってしまったのでしょーか(笑)
「冒険なんて、しょせん無理だったんだな……。私にできる事といえば、しょせん……」
その頃、ごくごく普通に解放され、海を見つめて黄昏れていた島田は、海中で煌めく何かの光を発見する……。
一方、海を見下ろす断崖絶壁へと連れて来られた蒼太ら5人は、その沖に、光の船と呼ばれるプレシャスが沈んでいる事を教えられる。
「だが、海に冒険者たちの魂を捧げた時、その船は浮上する」
ダークシャドウ冒険スクールの目的、それは、インスタントな生け贄調達だったのだ!
成功するかどうかわからないけど、とりあえずやってみよー、という姿勢が非常にダークシャドウですが、5人が手錠をかけられたまま突き落とされて海の藻屑にされそうになったその時、駆けつけるチーフ達。
「俺も入学させてもらうぞ」
「「「「レディ! ボウケンジャー、スタートアップ!」」」」
ヤイバ先輩の妨害をかいくぐった赤が、ズバーンを投擲して手錠を切断、はズバーンの使い方として鮮やかでした。民間人3人を逃がし、アクセルラーを探しに向かった蒼太と菜月は、海に飛び込んでアクセルラーを見つけだした島田と出会い、その姿に、蒼太は笑顔で手を伸ばす。
一方、こうなったら正真正銘、星5レベルのボウケンジャーどもを海に叩き込めばいいんじゃない? と方針転換したのか、ダークシャドウは戦闘継続中。意外に強いチョーク妖怪に苦戦するチーフはズバーンを起動し、すっかりマジックアイテムに頼る体質になってしまいましたが、まあ、道具は使う為にあるのです。
プレシャスを良い事に使うのがサージェス財団、プレシャスを悪い事に使うのがネガティブです!
ズバーン怒濤の連続キックは妖怪を蹴り飛ばすも、ヤイバ先輩の忍法:絶望の折鶴影の舞――シャドウスキル:ディスピアダークフォースウェーブ――が炸裂。そこに青と黄が駆けつけてボウケンジャーは反撃に転じ、なんだか久々の気がする青の見せ場(鳥羽先輩回は生身アクションでしたし)から、イエローがドリルで妖怪を粉砕。
バンクのゲッコウ様で巨大化した妖怪は、アクロバットな動きを見せたダイボウケンがサイレンビルダーのジャッキアップを利用して天高く跳び上がるダイナミックジャンプ、じゃなかった、フライングアドベンチャードライブで一刀両断し、ダークシャドウの闇の冒険塾作戦は失敗に終わるのだった。
蒼太は島田の中にもある冒険者の魂を認めて菜月も交えて握手をかわし、肩書きでもスキルでもなく、冒険者(ヒーロー)としての可能性は誰しもの中に存在しており、それを忘れてはいけない、と鮮やかに着地。菜月を「外の世界」と絡めつつ、ゲストだけではなく世慣れた蒼太もそれに故に見失っていたものに「気付く」、という構成が秀逸でした。
「冒険は学校で習うようなもんじゃない。ましてや点数なんてつけられるもんじゃない。そういう事だな」
綺麗にまとまった所で某Aさんがどや顔で口を挟み、これが本当の必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》
……だが、
「……まだこだわってるよ」
「トラウマだなこりゃ」
素直に頷く蒼太と菜月に対し、映士と真墨は顔を合わせてニヤニヤ笑い、首をひねる潜入組に、基地で発生していたへし折られた不滅の牙の惨状を暴露。そして、復活したからまあいいか、と諦めるさくらさん。
「明石から冒険取ったら……」
「「ナニガノコルンダロウ」って」
「おい真墨」
「なにが残るんだろう?」
チーフが割と本気で真墨を威圧する背後で、肝臓を刺す一言をぼそっと呟く菜月(笑)
「なにが残るんだろうね?」
「なにが残るんだろうな」
「なにが残るんでしょうか?」
「……うるさーい! どうせ俺は何も残らないよーーーーっ!」
吠えるチーフから皆が楽しく逃げ惑い、アバンタイトルの「惨劇の予感」からホップ・ステップ・ジャンプでオチまで繋げて着地も決めて、最後まで面白かったです。
30−31話で少し気になった映士と5人の距離感ですが、今回は「某Aさんを袋だたきにする」事で息の合ったコンビネーションを見せて皆の輪の中に入っており……何かどこかで見た覚えのある光景だな、と思ったのですが……あれだ、嫌な上司を前にすると鉄の結束で友情パワーが生まれる事で名高い次元船団バイラム(笑顔の絶えない愉快な職場)だ!!(笑)
次回――遂に明かされる菜月の過去? そして凄いの出てきた! 怒濤の展開の中で果たして伊能真墨は男を見せる事が出来るのか?!