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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第37話

◆Task.37「憧れの芸能界」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
ドラマの撮影を終え、颯爽とスタジオを後にする大御所俳優・丹原敏郎に付き従い、先輩マネージャーからどやされる見習いマネージャー……の姿は何故か、メガネをかけた西堀さくら。
「マネージャーらしくびしっと決めて、くれよー! 憧れてんだろ! 芸能界に」
「は、はい!  …………とりあえず、そういう設定です」
如何にも本意ではない表情でさくらさんは小声で呟き、川は川でも荒川さんが第14話以来で参戦して、今回の舞台はまさかのTV局!
大御所俳優「丹原敏郎」(『キイハンター』などでゆかりの深い丹波哲郎)、その演じる刑事の役名が「上原正次郎」(言わずと知れた上原正三大先生)と、アバンタイトルから名前のオマージュネタが次々と入り、荒川さんは、ホントこういう小ネタ好き。
また、駄洒落を連発する丹原敏郎を森下哲夫(Dr.ヒネラー!)、コミカルな若林マネージャーを能見達也(天幻星・大五!)という、OBダブル出演。特に能見達也さんは昨年お亡くなりになられたので、在りし日の姿を拝見できて嬉しかったです。
『メガレン』勢は既に3人目の出演となりますが、90年代戦隊出演者だと約10年経って皆ほどよく年を取っているし(まさに「そろそろお母さん役もいいかな」という頃合い)、一方で面識のある(一緒に作品に関わった)スタッフは残っているしで、丁度良いというのはあるのでしょうか。
楽屋に戻った丹原にお茶を差し出そうとして失敗し、その生真面目さから、気むずかしい大御所である丹原に、いきなり反論をぶつけるさくらさん。
「おまえ見習いのくせに逆らうのか」
これは狙っていそうですが、丹原の言い回しに端々で悪役の香りがします鮫島ぁぁぁ!!(笑)
さくらは大物芸能人の不条理な物言いに不満たらたらながらも任務として頭を下げ、こういった描写があまりしつこかったり陰湿だと見ていて嫌な気分が勝ってしまいますが、そうはならない程度で収めているのは良かった所。
(なぜこんな事に……恨みますよ、蒼太くん)
全ては数日前――丹原がインドで購入したという指輪が、<繁栄の石>というプレシャスだと判明した事から始まった。
巨大な力を秘めた<繁栄の石>は、100年に一度爆発的なエネルギーを放出する際に空気中のある物質と反応して、周囲数kmを消滅させてしまうという、恐るべきプレシャス。その爆発の時が3日後に迫っていたが、あまりにも強大なプレシャスの力を知られない為に、丹原に正面から交渉するのではなく爆発のその前後の時間だけレプリカとすり替え、本物を特殊な溶液につけて爆発を回避する、という作戦が指示される。
「問題は丹原氏が、芸能界でも屈指の困ったオヤジだという事だ。気分屋で頑固で我が儘放題。一筋縄ではいかんぞ〜」
かくして複雑かつ精妙な任務を遂行する能力と、丹原の要求に対応できる頭脳を持ち、なおかつ蒼太のリサーチによると“容姿が丹原の好み”というさくらが、丹原の身辺に近づいてこの特殊任務を実行する事になったのであった……。
一夜にして謎の崩壊を遂げた文明の背景にはこの指輪の存在があったのか……? と古代史ロマンをかきたてるプレシャスの設定に、生真面目なさくらさんを似合わない状況に放り込む事で笑いを生みながら可愛さに繋げる(ここで、あくまで“笑い”はキャラクターの魅力を引き立てる為のギミックである、というのが徹底しているのが煩悩とスキルが高度に融合した荒川さんの持ち味)、という展開自体は面白かったのですが、残念だったのは、シチュエーション優先の為に、サージェスのやり口が甘い(笑)
通常営業のボウケンジャーなら、「危険なプレシャスから街を守る為だ、やむをえない」と大御所を拉致監禁して一時的に指輪を保護ぐらいはしそうなものですが、“おまえのプレシャスは俺のもの、俺のプレシャスは俺のもの”を地で行くボウケンジャー(サージェス)にしては、リスクに対してミッションが綱渡りに過ぎ、この不自然さにはスポンサーの関与を感じさせます。
そもそもこの指輪が丹原の手に渡ってしまった事自体が、サージェスにとって重要なスポンサーが絡んだおおっぴらに表に出せない案件なのでは。
「かぁ〜! 大根はやっぱ先っぽが辛いぜ!」
さくらが慣れない偽装任務で奮闘している頃、大根を生かじりしながら今日もパトロール(だと思う)をしていた畑の冒険者が、トラックを襲うジャリュウ一族を目撃。ボウケンジャーと同じく繁栄の石を狙う陛下がTV局に行く途中だったトラックに何かを仕掛けており、変身したシルバーはジャリュウ一族と切り結んで久々の見せ場の後、そこに4人が合流。
その頃さくらは、丹原に完璧に対応できるようになるまで近づかせるわけにはいかない、と先輩マネージャーから丹原駄洒落リスト(とその対応表)を渡されていた。
「あと3時間で1054通り……? ――やらなくては。それが、私に与えられた、ミッションですから」
ボウケンメンバー、アイドル回なら菜月が如何にもなのですが、敢えてさくらをメインに据えた上で、コメディ空間に飲み込まれつつも、あくまで生真面目にミッションとして困難に挑もうとするさくらの姿を徹底する事で、さくらを崩しつつもキャラとしての芯は残したまま面白さに繋げてくる、というのがさすが熟練のテクニック。
「なあ、いきなりやけど、アイドルレポーターとして、丹原さんに、インタビューしてちょうだい? な?」
必死にリストを読み込むさくらに声をかけたのは、出演者のドタキャンで困っていた通りすがりのプロデューサー。果たしてそれは、 荒川さんの耳から溢れた煩悩 天使の助けか悪魔の落とし穴か……丹原と指輪に近づく絶好の機会をさくらが得た頃、不滅の牙はゴールデンクラッシュで陛下をズバーンしていた。
捨て台詞を残して陛下は撤退するが、普段割と死ぬまで戦う陛下があっさり引き下がった事に不滅の牙は不審を抱き、5人も急ぎTV局へ向かう事に。
一方、変装すると水商売風になる事で定評のあるさくらさんは、赤・白・黒からなるコケティッシュな衣装に身を包んでウェーブがかったツインテールのウィッグを被るという、正直無理のあるアイドルレポーターとして、丹原へのインタビューを敢行しようとしていた。
「後は、ノリと笑顔だ! とにかく笑顔。死んでも作り笑顔!」
「最前を尽くします」
アイドルとは理屈ではなく運命なのだ、と言わんばかりに飛躍したアイドルネタが放り込まれ、煩悩と煩悩と煩悩が濁流のように全てを押し流していく中、デキる女さくらの“課題は笑顔”と第5話のネタが鮮やかに放り込まれる、この無駄テクニック!(笑) フリルのミニスカで武装しながらも、あくまで生真面目、全てはミッション、と返答の堅苦しさを貫いているのも秀逸。
残り少ない時間でなんとしても指輪をすり替えなくてはいけない……さくらは菜月を参考に(私はアイドル、私はアイドル……)と自己暗示をかけ、誰もが適切な人材なのではと思い浮かべる菜月の存在をしっかりと拾い、いよいよインタビューの収録がスタート。
地球の為に爆誕した若手アイドル・堀西桜子は、弾けたアイドル演技でにこやかに丹原に接しながら、頭に叩き込んだ完全駄洒落マニュアルもパーフェクトに活用。だが……
(駄洒落への対応に気を取られると、笑顔が疎かになってしまう……なんて難しいミッション!)
マニュアルの活用でさくらの優秀さを描くと共に、一瞬、素の冷たい表情になったさくらがカメラに抜かれてADが慌ててカンペを出す、というくだりは、女優さんの顔立ちも生き、お見事(笑)
壮絶な精神戦の末、指輪のすり替えに成功したさくらだが、念のために確認してみるとハザードレベル0の真っ赤な偽物。大事な大事な指輪をレポーターに触れさせたくなかった丹原は、事前に用意していた偽物を身につけていたのである。
金庫に収めていた本物を改めて身につけた丹原は駅伝の生CMの撮影に向かうが、そこに現れた竜の着ぐるみ……こそが陛下の本命、駅伝のマスコットキャラクターそっくりに作られた、邪悪竜デンベエであった!
爆発まで残り1分、CMがちょうど終了した瞬間、見た目ピンクの子竜の着ぐるみである邪悪竜デンベエは、丹原の指輪を強奪。
「指輪はいただいた。後はこいつにセットすれば、超エネルギーは我がジャリュウ一族のもの」
爆発まであと15秒……奪い取った指輪をジャリュウひみつ道具にセットしようとするデンベエだったが、間一髪、かつてチーフの鳩尾に正拳突きを叩き込んだ際に「腰が入ったいいパンチなので何も教える事はない」とJACの人に言われたらしいさくらさんの必殺《乙女のたしなみアイドル上段蹴り》が炸裂!
蹴り上げた指輪を回収したさくらは、エネルギー解放寸前、指輪を溶液に浸けてミッション達成。
「おのれ〜、後一歩だったのにぃ! パンパシ駅伝のマスコット、デンベエくんそっくりに生み出された邪悪竜である俺様の力、見せてやる!」
本性を現すデンベエだがチーフ達が駆けつけ、どさくさ紛れに指輪を丹原に返す事にも成功したさくらは、どんな時にも駄洒落を忘れない大御所の心意気を胸に、スタートアップ。
「見かけで判断してはいけません。可愛くても、邪悪竜です!」
ピンクの子竜への攻撃を皆が躊躇する中、ひとり容赦なくシューターハリケーン
「う、のわぎゃ〜! おまえも可愛いくせにえぐいぞ〜!! そんなんじゃ、お嫁に……」
「大きなお世話です!」
逆鱗に触れたデンベエはさくらの1人デュアルクラッシャーで即死し、そこにやってきた陛下のジャリュウひみつ道具で巨大化。邪悪竜を巨大化する銃弾、出てきた当初から割と謎のアイテムですが、説明される事はあるのでしょうか……。
牧野からビークル1−5が修理完了との連絡が入り、直ったと聞くと使いたくなるのが人情とダイボウケンで出撃し、今作では割と珍しい気がする、巨大戦での剣と剣とのぶつかり合い。
「100年に一度のチャンスを邪魔しおって! 今日という今日は、絶対に許さん!」」
デンベエの剣をはたき落とすダイボウケンだったが、気合いみなぎる陛下が巨大トカゲ兵軍団を繰り出し逆に苦境に。だがそこへ、いつまで経っても姿の見えなかったシルバーが乗り込んだゴーゴーボイジャーが駆けつけ、ダイボウケンonバイク戦艦。
荒川−竹本ラインとしてはライディングデカレンジャーロボのセルフオマージュだったのかもしれませんが、とうとう、シルバーが自発的にサイレンを捨ててしまいました(笑)
サイレンビルダーが生き残る道はもう、巨大ビーム砲になるしかないのでは。
ダイボウケンonバイク戦艦は、重なり合う土木の力でトカゲ兵士を次々と薙ぎ払うと、最後はライディングアドベンチャードライブでデンベエを一刀両断し、ジャリュウ一族の野望を粉砕。
そしてその夜……
「よう、お疲れ! アイドルレポーター桜子ちゃん!」
サロンでさくらが目にしたのは、地球を救う大天使としてはっちゃけたインタビューをする自分の姿であった。
「……ま、まさか……。どうしてこの映像が……」
「あるルートで極秘に入手しました!」
面白がってテーブルに映像を大写しにする蒼太が暗黒面全開なのですが、さくらと蒼太の関係がもう少しドライだったら、今回のミッションは全て、サブチーフ西堀さくらの追い落としを図る最上蒼太陰謀説を唱えるところでした(笑) そう考えると丹原に対するサージェスの甘口な対応といい、蒼太の差し金によるさくらマネージャー作戦といい全てが繋がるのですが、蒼太がさくら追い落としの為に街一つを消し飛ばせる男でない事は信用して良い部分の筈なので、空想に留めておきたいと思います。
パニック状態でテーブルの映像は消すさくらだが、今度は映士がしれっと大型ディスプレイに写し出し、みんなで大笑いして、オチ。
なお調子に乗りすぎた2人はこの後、正気に戻ったさくらさんから血も凍るようなお仕置きを受ける事になりますが、それはまた、別のお話(R−15)。
23話ぶりの参加となった荒川さんがいきなりのアイドル回を炸裂させ、裏取引の存在さえ勘ぐりたくなりますが、歌が無かっただけ我慢したといえるのか。
サブタイトル「憧れの芸能界」は「○○の○○」という今作の基本パターンに則りながらも“よくある言い回し”になっているのですが、「大いなる栄光の裏に大いなるリスクを抱えながらも人を呼び寄せるもの」と考えると、芸能界そのものが一種のプレシャスといえるのかもしれず、そんな回のエピソードアイテムが「栄光と破滅を裏表にした指輪」というのはなかなか皮肉な要素も感じます。
次回――蒼太にスキャンダル勃発?! 待てこれは、さくらさんの罠だ?!


「もう誰も」「もう誰も」
荒川稔久を」「荒川稔久を」
「「止める事はできないのです(エコー)」」