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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第47話&第48話

◆Task.47「絶望の函」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
第33話以来、約1クールぶりに會川昇が復帰しての、最終章。
「やはり……我が肉体はもはや限界。まともなジャリュウも、もう邪悪竜も生み出せぬ」
リュウオーンが自らの血(細胞?)からジャリュウを生み出す姿が描かれるが、この1年、度重なるボウケンジャーとの激闘の中で死にすぎたのか、生命力の弱った陛下の作り出したジャリュウは誕生とともに溶けて消え去ってしまい、陛下はよろけながらアジトを後にする。
「力を手に入れなければ。それがどんな危険な、プレシャスであろうと」
力・危険・プレシャス、という単語が散りばめられたところから真墨不在の冒険サロンにシーンが移り、重い空気の中で各々手持ちぶさたな時間を埋めつつ、よりにもよって『冒険王者』を読んでいるチーフの人でなし感が強烈(笑)
……いや違う、違うんです、チーフはいずれ真墨と再会した時にその胸に言葉を届かせる為、香川先生の最新作を読んで光の戦士力を高めているんですよ!!
「あいつは自分が許せねぇんだ。闇に溺れそうになった自分が」
「真墨は、帰ってくる。或いは帰ってこない。決めるのはあいつだ。探す必要はない」
改めて家出少年を探しに行こうとする菜月と蒼太をチーフが止め、シリーズ諸作なら皆で探しに行きそうなものですがそれをせず、あくまで自分で乗り越え、自分で決めなくてはいけない問題、とするところに、大人のお仕事戦隊であり、独立独歩を旨とする今作の特徴が現れています。
……そう考えると、前回から今回の真墨は完全に、大人になる為のイニシエーション真っ最中(笑) 今、私の中で悠然と布施博が歌い始めましたが、何度目のネタかわからないので、歌詞は割愛させていただきます。
プレシャス<パンドラの鍵>を狙って動き出した陛下がサージェスの監視網に引っかかり、ボウケンジャーがミッションスタートした頃、家出真っ最中の真墨は、海を見つめて黄昏れていた。


「おまえ……形から入るタイプだろ? そういう奴はな、挫折したら細波海岸だ。俺も昔よくここに来た」
(左翔太郎/『仮面ライダーW』)
という混信はさておき、真墨は通りすがりの謎めいた少女に声をかけられる。
「ひとりぼっちなの?」
「生まれた時から独りだった。仲間をつくったことはない」
「……仲間って、つくるんじゃなくて、できるもんじゃないかな」
思わせぶりな語りは物凄く唐突といえば唐突なのですが、映像的にはこのシーンだけ別作品のような間合いにする事で成立させており、いってみればここだけ《劇場版》というか《平成ライダー》というか。
一方、弱り切った体を引きずって<パンドラの鍵>を手にした陛下の前には、ガジャが姿を現す。
「我は全てのプレシャスを――破壊する」
子供の声真似をしてミニスカサンタへの痴漢行為を働く自分の迷走を認めて原点回帰した後、またもしばらく出番の無かったガジャ様ですが、まばたきせずにカッと目を見開いたままの再登場が非常に不気味。
「破壊するだと?!」
「プレシャスに頼るばかりでは、おまえも滅びるぞ、リュウオーン」
元来プレシャスには、いきすぎた科学技術、のメタファーとしての意もありましたが、ここで結果的にプレシャスに振り回される事になっていたネガティブ側から、直球で示唆が入り、色々と巻きが入っています。
ガジャに切りかかる陛下だが、ローブを払った際に見えたその下の姿に驚愕した所に、口から怪光線を浴びて敗北。
「おまえの肉体はもう終わりだ。人間の限界なのだ」
鍵を手に入れたガジャはボウケンジャーと遭遇するが、自在に宙を舞い、銃撃を跳ね返し、衝撃波を放ち、ボウケンジャーを軽々と叩きのめすと、鍵の力で函の元へ。
「ガジャは、全てのプレシャスを破壊する」
肉体が限界に近づき、ガジャの壮絶な決意を目にし、乾いた笑い声を立てた陛下は、どこか疲れたように呟くと剣を抜き……
「よく見よ、ボウケンレッド。力を求め滅びる、それが冒険者の末路だ……!」
まさかの割腹自殺。
溶けるように崩れて消えたその姿にレッドは思わず膝を付き、その場には実はプレシャスだった兜だけが残される……。て、陛下ー?! 前回のヤイバ先輩と同じく、末期にばっちり呪いは遺していきましたが、果たしてこれがどう作用するのか、このまま時間切れ退場なのか陛下。
ボウケンジャーは急ぎガジャを追い、陛下の兜は牧野先生とサージェス一般部隊が回収。プレシャスを保管庫へ運ぶという珍しいシーンが挟まれ、<パンドラの函>が眠るとおぼしき山に辿り着くボウケンジャーだが、チーフは陛下の最後の行動に疑念を感じていた。
「どうしても気になるんだ。俺は何度もリュウオーンと刃を交えてきた……。あいつが……」
そして遂に現場の実働部隊にも秘密にされていたプレシャス保管施設――プレシャスバンク――が初登場し、陛下の兜を内部に収めようとする牧野先生だったが……
「ここがプレシャスの保管庫か」
なんと兜の中から、陛下が復活。
「邪竜転生。我が最大の秘儀」
ガジャに負けじと最終奥義を発動した陛下が、自らの死を偽装して、サージェス最高機密中の最高機密だったプレシャス保管庫に辿り着く、といういかにも最終盤な展開。
陛下は鳩尾パンチで牧野先生を気絶させるが、いや陛下、その人は、ここで確実に始末すべきでしたよ……!
ボウケンジャーの超有能なメカニックがまさか目の前の一見冴えない中年男性とは気付かず、バンクのコンピューターを操作してレムリアの卵を手に入れようとする陛下だったが、間一髪、ワイヤーでその動きを止めたのは不滅の牙!
リュウオーン! 思った通り、おまえの不死身っぷりはさすがだよ」
世が世なら、
「そうだ君は不滅の牙!」「そうさお前は不死身のリュウ!」「「ファイト・いっぱーーーつ!!」」
みたいな事になっていたのかもしれません。
この辺り、チーフと陛下の根底に存在するシンパシーに関して、この1クールの間にもう一押し出来ていればより良かったのですが、會川さんの途中離脱でかなわなかった感。
ワイヤーを引きちぎった陛下はすかさず他のプレシャスを取り出すと、強者の弓をレッドに撃ち込んで三国覇剣を振り回し、両者の激闘はバンクの外へ。再びレムリアの卵を入手しようとする陛下の目的は、衰えた肉体をその中に投じ、自らを生物兵器へと変えてしまう事。
「それではおまえも一匹の幻獣になってしまうぞ!」
「素晴らしい! 今度こそ完全に人でなくなれるというわけか」
ガジャの覚悟を受ける形で陛下の狂気と執念が駆け足で盛り込まれ、序盤から見栄えのする死闘を繰り広げてきた赤と赤が、力の入った白熱のバトル。
燃え尽きる前の蝋燭パワーで胸のエンジンを奮い立たせる陛下は、炎と深紅の竜を背負って放つ大ジャンプ斬り、やたらめったら格好いい新必殺技・邪竜咆哮でジャベリンを叩っ切り、宿敵ボウケンレッドを真っ正面から両断。
チーフ敗れる、のシーンなのでスローモーションなのでしょうが、剣を振り抜いた陛下の残心が格好良すぎて、倒れるチーフの方がいっそ悪の幹部っぽい勢い(笑)
そのまま爆発しそうでドキドキしましたが、多分、陛下が背中を向けていたら爆発していた。
「これまでのようだな」
「何故だ……何故それほど人間を捨てたがる」
「人間など弱く、ズルく、他人を踏みにじるしか知らない生き物だ。我はそんなものを超える」
ワンモーション足りなかった為に辛うじて生き延び、立ち上がろうとしたレッドを蹴り飛ばした陛下は銃を向け、かつて部下に裏切られて苦汁をなめた陛下の人間へ対する絶望はもっと掘り下げてくれると面白かった部分ですが、配置したテーゼが十分には回収しきれず、會川さんの途中離脱がつくづく惜しまれます(離脱しなかったら描けたのか、はまあifでしかないですが……)。
その頃、<パンドラの函>の元へ向かったさくら達4人は、猛威を振るうガジャの前にまたも一蹴されていた。
「教えてやろう。冥土の土産だ」
なんと自らの体内に3つのゴードムエンジンを組み込む事で脅威的なパワーを得ていたガジャは、倒れる4人の前で筺を開放。その中に詰まっていると伝わる災厄をばらまくのかと思いきや……
「我は自らプレシャスを取り込む」
災厄一気飲み。
「ゴードムエンジンは、おまえ達のパラレルエンジンと同じく、プレシャスをパワーの源とする。今……この災厄に……私が形を与えよう」
過去の強大な力を扱う、という点において、ボウケンジャー(サージェス)とネガティブシンジケートの表裏一体性は序盤から示唆されていますが、ネガパラレルエンジンであるゴードムエンジン×3により、かつてのクエスターを超え自らネガボウケンジャーと化したガジャが、プレシャスの負の面を具現化するというのは納得のアイデアで、散りばめたテーゼをロジカルに組み上げる會川さんの長所が光ります。
ガジャが取り込んだ災厄は、そこはかとなく先日の魔鳥を思わせる漆黒の土偶めいた怪物の姿を取ると、変身した4人を圧倒瞬殺。
パンドラの箱から最後に出てきたのは――絶望。おまえの名は、デスペラート」
気分良く名前付けているけど、大丈夫か、いきなり裏切られないか?!
「デスペラートよ、ゴードムの秘宝はどこだ」
幸い絶望土偶は素直に言う事を聞いてくれ、ガジャ様は、かつて奪われた心臓と脳髄を求めてバンクへと向かう……。「全てのプレシャスを破壊する」と息巻いていた割には先ほどからプレシャスに頼りっぱなしなのは気になりますが、最終的にゴードムの秘宝(これはガジャ様的には「プレシャス」とは少し意味合いが違う筈)以外のプレシャスを全て自分に取り込めば、偉大なるゴードム文明の完全勝利、というルールでいいのか。
「最悪だ。恐れていた事態だよ、牧野さん」
超シリアスモードでバンクに現れたボイスの声で、目覚める牧野。
「ガジャは全てのプレシャスを吸収し、力としようとしている」
「……プレシャスバンクを、爆破するしかないっ」

MAY DAY! MAY DAY!
自爆は宇宙で最高のセキュリティ!!

「人とは弱いものだな、ボウケンレッド。今ならわかるだろう。我が人を捨てたわけが」
ご近所であらゆる全ての証拠隠滅が図られているとも知らず、レッドにトドメを刺そうとする陛下だったが、しぶといレッドは起死回生のカウンター射撃で体勢を立て直し、立ち上がり以来の気がするレッドゾーンクラッシュが炸裂。
「何故だ? 何故まだこんな力が」
リュウオーン、おまえは、 香川先生の小説を読むべきだ 俺の闇かもしれない」
「闇だと……?!」
冒険者が陥る闇。俺もいつかはおまえのように、冒険者の魂を失い、力を求めるようになるのかと!」
互角の技量で、激しく切り結ぶ二人。
「だが今俺の仲間が、たった一人、自分の闇と戦っている。あいつに負けるわけにはいかない。俺も……俺の闇と戦う。そして倒す!」
前回少々、伝奇異能力バトル方面に脱線してしまった「闇」を再び比喩表現に戻すと同時に、チーフにとっての「仲間」とは、共に支え合うというよりも互いに認め合い競い合う存在である、と抜け駆けソロプレイや身内との競争を好むチーフらしい所にまとめ、忘れそうになっていたズバーンを装備。
「負けぬ! 我が夢、果たすまでは」
光の力と夢の力が激突し、技を究めた者同士の戦いは、僅かにボウケンレッドの想いが上回る――。
「……?! やだ戻りたくない! やだ、私は、私は竜だ、竜の王だーーー!!」
倒れた陛下の姿はなんと時実博士、じゃなかった、200年前の冒険者の姿に戻り、人間を捨てたかった男の絶叫はどこか悲痛。
「いや、リュウオーン! ……おまえは……人だ」
「黙れ! 黙れぇ!」
元陛下はバンクの方へ駆け戻り、それを追ったチーフは自爆システムを起動した牧野から制止されるが、敢えてバンクの中へと飛び込んでいく。
「離せ! この肉体を捨てて、更なるものへと進化する。完全に人を捨てる。それが我が夢なのだ」
自爆システムを解除しようとする元陛下を殴り飛ばしたチーフは、敢えてズバーンを放り捨て、男と向かい合う。

「俺にも夢がある。プレシャスを守るという夢だ。人は様々な夢を持った。
……空を飛びたい。
……時を超えたい。
……無限のエネルギーが欲しい。
その為にプレシャスを生んだ。――プレシャスとは人の夢。俺はそれを守るんだ!」

「フン……人の夢を守る……? 愚かなぁ!」
「愚かな……だがなリュウオーン。夢を見るのは……人間だけだ」
裏必殺《俺は雑に断言した! このボウケン(びしっ)レッドが!》
「夢を見続ける限りおまえは、人間なんだ!」
からの、真必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》
「! 夢を見るのは……人間だけ……?」
陛下は丸め込まれた!
陛下はがっくりと膝を付き、正直、「夢」というテーゼはここまでこれといった積み重ねが無いのでかなり唐突なのですが、今作が延々と追いかけ続けてきたプレシャスとは何か――それは、「夢」の具現化である、と置き、それは人類に繁栄をもたらす事もあれば、時に不幸を撒き散らす事もある。危険なプレシャスは封印しなくてはいけない事もあるけれど、しかし不滅の牙は夢見る事そのものを否定したくないから、それを守る……
つまり、プリキュア! プリンセス・エンゲージ! 熱き不滅のプリンセス・キュアタスク!
じゃなかった(『GO!プリンセスプリキュア』は大傑作)、良い夢もあり、悪い夢もあり、でもみんなひっくるめて夢なんだ、とまとめて冒頭のチーフの真墨へのコメントへと繋がり、夢を見る人の心には、光も闇も両面があり、その双方を否定しないというのが「本音」と「建前」の並列を尊重する『ボウケンジャー』らしくなりました。
そして不滅の牙は、己の中の闇を認めてそれを乗り越えた時、人はもっと強くなれる事を信じている。
どんなに邪悪な夢であろうと、夢見ている事そのものがリュウオーンが人間であるという証左であり、まさしく、弱く、ずるく、他人を踏みにじる生き物――人間そのもの――であったリュウオーンもまた、それを認めた時、光を求める人間としてやり直す事ができる。
「そして……夢に挑む者は皆、冒険者だ」
超必殺《香川先生はいい事を書いた! そして俺が(びしっ)引用した!》
まずは俺お薦め、香川慈門傑作選100本ノック(ベスト10作品を各10回ずつ読む)からだ! と200年前の男に手を伸ばすチーフ、だが……結局お前はずっと冒険者のままだったのだ、と不滅の牙ロジックに飲み込まれて浄化されかけていた男はチーフを突き飛ばすとコンピューターに取り付き、しかし時既に遅く、自爆装置が起動。
外で見守る牧野と、駆けつけた4人の前でプレシャスバンクは大爆発し、全ては巨大な炎に飲み込まれていく……。
闇の戦士は引き続き海辺を彷徨い、ガジャ様はデスペラートを引き連れてプレシャスバンクを目指していたが……
「先手を打ってプレシャスを全て破壊したか。こざかしい。だがこの私が、神になるのを止められるものか」
で、つづく。
最終章に入ってから各ネガティブのお片付けが何かと忙しい今作ですが、回収したプレシャスを(将来的に)都合良く利用しようとしていた(利用できると過信していた)サージェス財団が、そのしっぺがえしを受ける、というのは実にフィナーレを飾るにふさわしい納得の展開。
一度作り出してしまったものは、簡単に封じ込めたり無かった事には出来ない、というのは、昨今の国内問題も彷彿とさせつつ普遍的なテーマですが、光と闇を孕む人の夢は、世界をどう導くのか、果たして筺の中に最後に残っていたのは絶望(デスペラート)なのか、希望(プレシャス)なのか。
心と力の二つの面を繰り返し描き続けてきた今作がどういった答を導き出すのか、楽しみです。
ところで、プレシャスバンクの爆破そのものが偽装ではないのかという、サージェス財団への圧倒的不信。


◆Task.48「恐怖なる大神官」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
プレシャスバンクが盛大に弾け飛び、まだ炎の残るその廃墟で必死にチーフを探すさくら達ボウケンジャーを退避させようとする牧野。
「だってチーフが!」
「仕方、なかったんです……プレシャスを奪われたら、ガジャはますますパワーアップしてしまう」
それこそ仕方なかったといえ、前回チーフの止め方がおざなりだった牧野先生が口を滑らせ、
「仕方なかった? いつものサージェスのやり方だ。こんなの酷すぎる!」
サージェス財団に対して抱えるボウケンジャーのわだかまりが、ここで破裂。
牧野先生は言葉に詰まり、さくらは焼け跡にチーフのアクセルラーを発見。
「シルバー! 火を消して下さい! チーフのレスキューを」
「レスキューたって……」
「チーフは不滅の牙です!」
絶妙にはまりつつ絶妙に恥ずかしくて、改めて、素晴らしい二つ名(笑)
「チーフは……」
「そんな顔すんなよ!」
サイレンビルダーで消火活動を始める映士だが、そこに絶望土偶とガジャ様が現れ、ビルダーはその動力に用いているプレシャスを奪わてネオパラレルエンジン起動不能に陥り、シルバーも変身解除。
「そうか、ネオパラレルエンジンは、搭載したプレシャスの力で動いている。それを奪われたら!」
なんかもう、因果応報すぎて笑えてくるレベル(笑)
「これがお前達の、プレシャスの味か」
「プレシャスを食う度に、奴は強くなっている!」
「真墨! どこに居るの?!」
……は、通りすがりの女性達の会話から東京の変事を耳にしていた。
「ガジャにこれ以上、プレシャスを奪われるわけにはいかない。全てのゴーゴービークルを、封印する」
ボイスは非常手段で全ビークルを封印し、それにより強制変身解除されてしまうボウケンジャー。ゴードムの心臓を喰らったガジャ様は、絶望土偶に残る脳髄探しを指示すると、大量のゴードム兵を召喚して眠りにつく。
「ミスターボイスは菜月達を見捨てたの?!」
「わからない! でも今は逃げるんだ!」
「駄目です! チーフが、チーフがまだどこかに!」
「諦めろ! 明石はもう居ねぇ。死んだんだ!」
激しい雨が降りしきる中、街中に出現したゴードム兵から一般人を守りながらも、ボウケンジャーは散り散りに逃げ回り、帰ってきた真墨に助けられた菜月は事の成り行きを説明。
「そうか……不滅の牙も、とうとう終わりって事か」
「…………とうとう出来なくなったね、チーフを超える事」
さくらはなんとかサロンへ辿り着くが、そこは無人でボイスも無反応。
「とんがり野郎……」
ぼそっと呟くさくらさん、アクセルラーを叩きつけてディスプレを割り、どうせ平然と帰ってきそうなチーフの生命がなにかと心配です。
蒼太はなんと、夜逃げ途中のゲッコウ&シズカと遭遇。
「ガジャのおかげで騒々しいからのう。しばらく別の国に行く事にするわ」
「ガジャは、世界を滅ぼすつもりだぞ」
「だからさ、それはあんた達がなんとかしちゃってよ!」
「勝手な事を言うな。こんな、ただの元スパイに……なにが出来るっていうんだ」
捨て鉢の蒼太は、ゴードム兵に玉砕覚悟の特攻しようとしていた事をゲッコウ様から指摘される。
「僕は……自分がドキドキできる場所を求めているだけだ。それも……これが最後かもしれない!」
蒼太さん、人生最後に求めるドキドキが、徒手空拳で敵の真っ只中に突っ込む事って、どこまで壊れているのかこの人。
「あんたってばいつも余裕見せてさ。くすぐったい口先だけのジョーク飛ばすのが、ボウケンブルーじゃなかったー?」
シズカに混ぜっ返された蒼太は、大勢の人々を泣かせてきた自分が、忘れる事の出来ない重荷を背負う自分が、それでも笑いながら生きる事ができるようになった理由に思い至る。
「いつも……横に仲間がいたから。みんなの……笑顔が……」
本音と建前、仮面と生身が繰り返し交錯する今作ですが、改めて蒼太は、生身の自分を守る為に仮面が必要、ボウケンブルーである事で救われている、という位置に着地。
「そうだ……僕が一番ドキドキするのは、みんなが笑顔になる為の冒険をする時だった」
ここでシズカ&ゲッコウと絡み、ダークシャドウの出番を確保してくれたのは良かったですし、なんだかんだシズカが「口先だけのジョーク」と見抜いていた、というのは序盤から絡みがありつつ結局はトラックで轢こうとしたり零距離でドリルぶち込む仲だった蒼太とシズカの関係性としても、上手く着地。
「今度デートしようね、シズカちゃん!」
口先だけと喝破されている相手にも悪びれず、人間としてはともかく、男としてはどこまでも最低な蒼太さん(笑)
「まったく……甘ちゃんボウケンジャー
笑顔を取り戻して走り去る蒼太を見送り、なんだかこの二人の、軽口を叩きながら殺し合える、というのは今更ながらそれはそれで面白い関係であったかもという気がしてきました。
一方、高丘家に辿り着いて倒れ込んだ映士の前には、なんとまさかのケイが再登場。
「映士……」
「……おふくろ?」
「疲れちゃったの?」
「ああ……そうだな。疲れた……」
声にエフェクトをかけ、蝋燭の光で顔を照らすのが神秘的なケイは映士をいたわり、その膝枕で目を閉じる映士。
「……でも……なんか忘れてるような気がする。……使命とかじゃなくて……他に……」
「……冒険、かしら」
「――そうだ」
目を開いた映士は真っ暗な室内で起き上がり、おもむろにズボンのポケットから取り出したのは、赤ピーマン(笑)
「母さん、俺はやっぱり冒険する。あいつらと」
改めて、自分で選んだ道の為に立ち上がった映士は吹っ切れたいい笑顔を浮かべ、父のドリームだったり息子のドリームだったり西の長のドリームだったり、出てくる度に種族を超えた愛亡き美人の母親フラグ立ちまくりに違いない幼なじみという各種フィルターかかりすぎて実態の見えにくいケイが、映士を見守り想う気持ちは間違いなく本物である、と重ねて示してくれたのは良かったです。
……という感じで、個別に各キャラクターの辿り着いた場所を示していくという構成なのですが、ここまでメインライターが途中離脱した穴を複数脚本家が埋めながら各キャラクターの掘り下げを行ってきた為、ラスト3話に帰ってきたメインライターが「それはそれとして私の中ではこんな事を考えていた」と、註をつけて回っている感じになってしまったのはあまりよろしくなかった感。
そういう意図では無かったでしょうし、會川さんにとって『ボウケンジャー』へ対する書き足らなさというのはあったのかもしれませんが、必要以上に全て台詞にしてしまった気がします。
そして彷徨を続ける闇の戦士は……
「あの時、俺だけの宝を見つけた。そう思った。それは、闇の力だった。その力で、仲間まで傷付けた」
一時の気の迷いではなく、ヤイバの示す闇の力を自らの宝だと感じていた事を認め、再びそれを選んでしまいかねない自分自身への怯えを告白。
「闇の力が宝だなんて、そんな奴、冒険者じゃない」
「違う! 真墨の宝はこれでしょ!」
菜摘はアクセルラーを差し出し、背を向けた真墨を後ろから抱きしめる。
「菜月は菜月だって言ってくれたよね? 過去も未来も関係ねぇって。あの時わかったんだ。菜月の宝物、真墨や、みんなと作った、間宮菜月としての思い出だって。真墨は真墨だよ! 光でも闇でも関係ない。ボウケンジャーとしての冒険、それも全部、本当の真墨がやったの。これは、その冒険の印。伊能真墨の宝だよ」
大事に持っていた真墨のアクセルラーを置いて菜月は走り去り、それを見つめる真墨の背後から夜明けの光が昇る――。
「俺の宝…………ボウケンジャーの印……冒険者の印か」
結局、菜月をぶつければ良かった。
その頃、サロンのソファでふて寝していたさくらを目覚めさせたのは、帰ってきたチーフ、ではなく、女性の悲鳴。王子様は自分で捕まえに行く宿命のさくらがゴードム兵から助けたのは、真墨が海岸で出会った謎めいた少女。
「サージェスは、もしもの時に備えて、最も危険なプレシャスの幾つかを別の場所に保管していたの」
プレシャスボックスを守ってほしい……少女の言葉を信じる事にしたさくらは、心から相手を励ます為の笑顔を浮かべる。
「大丈夫。プレシャスを守る。それが私の仕事ですから」
「不思議……その笑顔見たら、本当に大丈夫って気持ちになった」

「後は、ノリと笑顔だ! とにかく笑顔。死んでも作り笑顔!」
「この笑顔は、私の宝物なんです」
だがゴードム兵に囲まれてしまい危機一髪のその時、次々と駆けつけた仲間達が怒濤の生アクションを連発。
「みんな! 戻ってきてくれたんですね!」
「ああ。まだ冒険したりないんでね」
「仲間が居れば、なんでも出来ますよ」
「そういう事!」
少女の抱えていたプレシャスは<ゴードムの脳髄>であり、それを探すデスペラートが出現するが、同時にそこにやってきたのは、ドリル抱えた黒いヤツ。
「俺は、俺だけの宝を守るために戻ってきた!」
「あなたの、宝?」」
ボウケンジャーという、俺の居場所だ! どんな闇も光に変えてくれる、やっと見つけた場所だ!」
独りでは、力を求める闇に呑まれてしまうかもしれない……だが、誰かと一緒なら、大切な居場所があれば、それを守る為に闇に呑まれる事はない。大切なものがあるからこそ、それを傷つけてしまう事を恐れるのだという事を認めた真墨はイニシエーションを終え、真の冒険者として青春を叫ぶ。
……うーん、前回は真墨がほぼ出番なし、今回はチーフがほぼ出番なし、と最終局面で大胆な事をやりながら、前回はチーフ、今回は真墨が、それぞれにとって「仲間」の意味を再確認し、闇に呑まれぬ意志を叫び、両者が対になっているという構造なのですが、真墨の発言が完全に男子高校生の主張になってしまい、ボウケンジャーのこれまで積み重ね来たラインからすると青臭くなりすぎた感。
チーフと真墨を対称において両者を引き立て合おうとすると、真墨の子供っぽい部分がより強調される事になるのは仕方ないのですが、テーマとして“大人の中の子供の部分”を肯定的に描く事を好む會川さんのアプローチが、テーマそのものの具現ともえいる明石暁というキャラクターでは非常に良い方向に転がったのに対して、階段を上っている最中の伊能真墨というキャラクターとは噛み合わせがあまり良くなかったように感じます。
“背伸びをしていた青少年が本当の自分を認める”=“建前の武装を引きはがして青臭い本音を叫ぶ”というのは『ボウケンジャー』的ではあるのですが、今作1年間のホップ・ステップを踏まえてのジャンプとしては飛距離が物足りない、というのが正直。まあ真のジャンプは最終回のチーフによるものを期待したいです。……余談としてはこれ多分、後にサブ参加した『トッキュウジャー』と、會川さんの相性がもう一つ良くなかった理由かもな、と。
もはや怖い物はなし、自ら心の装甲を脱ぎ捨てる事で肉体の耐久値を限界まで引き上げる精神的全裸防御を発動した真墨は捨て身の生身コンクリートを放ち、反動で吹き飛びつつもデスペラートの動きを止める事に成功。
「何をしている! 冒険したいヤツは、ここに来い!」
真墨の飛ばした啖呵に、次々とその元へ集う4人。
「私にも守りたい、私だけの宝があります!(やっと見つけた、心からの笑顔を)」
「菜月だって、みんなとの思い出って宝、守る」
「俺様にも、冒険って宝があるからなぁ!」
「僕の、僕だけの宝! それは、信じ合える仲間だ!」
その場のテンションで4人も次々と剥き出しの本音を叫び、これ完全に、別の意味で闇の力が感染拡大しているのでは。
「こいつは、ちょっとした冒険だぜ!」
録画しておいたら後できっと、真墨・さくら・蒼太の3人が悶死確実な青春のスクラムから青春のドリル3連発が絶望を打ち砕き、奇跡の逆転勝利を喜ぶ5人だが、絶望土偶はまさかの巨大化。しかし何故か、謎の少女は満足げな微笑みを浮かべる。
「いや、間に合ったよ。ゴードムの脳髄を守り切り、デスペラートを引きつけておく。君たちは十分時間を稼いでくれたよ」
少女はなんだか脳内で別の声で再生されそうな邪悪な内容を呟き、そこに現れたのは、封印された筈のダイボイジャー。そして――
ボウケンジャーー! 冒険の始まりだ」
ラストカットで不滅の牙・復活! でつづく。
途中でも書いたように、ちょっと色々と、台詞にしすぎたのでは、と思う内容ですが、後は最終回でどう着地させるかを見てから。