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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第45話

◆Task.45「最凶の邪悪竜」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
ボウケンジャーは前回大暴れした魔鳥の塚を凍結封印し、ダークシャドウの横槍が入らなかった事について菜月の、
「ヤイバが裏切ったから、ダメダメになっちゃったのかなぁ」
酷いが、反論しにくい!
そのヤイバはどこへ消えたのか、また何かやらかすのではないかと危惧する面々。
「かなりイっちゃてる気がした。怖かったよ」
「は、怖いっていえば……真墨君、年末に炊いたっていうご飯……片付けた?」
「あぁ?!」
だが先にやらかしたのは、闇の盟約により魂の奥底で繋がっている設定の真墨であった。
「大掃除の、最後にと思ってて」
「まだ大掃除終わってないの?」
「そ、その……」
「チーフを見習って下さい! 11月の末にはもう、大掃除終わってましたよ」
勢いでチーフを褒め称えるさくらさん、敵はミニスカサンタなので、手段は選んでいられません!
「あぁ……冒険者たるもの、常に一歩先を行かないとな」
勝ち誇っていいのかどうかさすがに若干躊躇いつつも、折角なので必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》をキめるチーフ。
「そ、それじゃ年末の大掃除って言えないだろ!」
と、軽いジャブの応酬からスタートし、細かい要素としては、これまで何となくそれらしいけど明確にされていなかった、ボウケン基地はサージェス財団の社員寮も兼ねている、という事が明確に。……サロンへの登場頻度を考えると、もしかしたら映士は当初は社員寮を使用していなかったのが、野宿をやめて入寮する事になるイベント(を通して5人との距離感がぐっと近づく)、みたいなのが予定されていたのかも、と想像してみたり。
その頃、累々と積み重なるトカゲ兵士の死体の真ん中で、最後の一匹が勝ちどきをあげていた。
「勝ったぞーーーーー!!」
「はははははははは、もう後戻りは出来ぬぞ。おまえは3000を越える全てのジャリュウの中から勝ち残った、最後の一人だ」
陛下、ジャリュウ蟲毒の法、再び。
「私の科学の全てをおまえに注ぎ込む」
…………明かされる衝撃の事実(笑)
確かに登場当初は巨大ロボを持っているのが売りでしたし、初期の色分けとしては、ゴードム文明が古代呪術、ダークシャドウが忍法、ジャリュウ一族が悪魔科学、という事だったのでしょうか。中盤以降、クエスターがロボ担当になる為、すっかり過去のもっと凄い力に頼ろうとするの担当になっていましたが(^^;
……と考えると、先日自ら迷走を認めたガジャ様といい、プレシャスを利用しようとするネガティブ自身がいつしかプレシャスに振り回されてしまうという皮肉な構図を通して、人間と文明の関係を風刺する(これはまた、サージェスにとっての諸刃の剣であるボウケンジャーとの関係性にも対応する)というのが、ネガティブシンジケートの隠しテーマであったのか。
前回、ヤイバが打倒ボウケンジャーの為に解放しようとしていたのも、元々ダークシャドウが有していた力(にしてダークシャドウを滅ぼしかけた力)であり、“ネガティブ側の原点回帰”というのが、最終盤に共通した仕掛けなのかもという気がしてきました。
「いかなる苦痛にも耐え抜け。そしておまえは、最強の邪悪竜となるのだー」
一桁話数の頃の自分を取り戻し、両手広げてハイテンションの陛下は愛刀にガソリンスタンドの給油機みたいなチューブを接続すると兵士の腹を貫き、注ぎ込まれるハイオクジャリュウエネルギー!
「はははははははは、うわはははははは、あはははははははー! サンキュー、ベイビー! へい、俺様に任せな。邪魔者は、皆殺しだ。はーっはっは!」
かくして名前はクールギン?(『超人機メタルダー』)・口調はガンギブソン(『特捜ロボジャンパーソン』)・声は猿顔の一般市民(『激走戦隊カーレンジャー』)、という最凶の邪悪竜、ダガーギンが誕生する!
なお誕生の直後に陛下に向けてダッシュで距離を詰めたので、陛下いきなり裏切られるの?!と動悸が激しくなった事を告白します(笑) ハイオク満タンの副作用なのか、やたら性格が気さくになっただけでした。
今回のエピソードを見る限りダガーギンの方が陛下より強そうなので、改めて、つけてて良かった、忠誠回路!
その頃、室内とはいえ真冬にタンクトップ姿のサービスショットで大掃除を終えたセクシー担当の伊能真墨は、机の下に転がっていたリアル黒歴史、じゃなかった、以前につけていた日記を発見。
「俺は絶対あいつを、不滅の牙を越える。明石との勝負で完璧な勝利。それが俺のトレジャーだ」
第1話、衝撃の
「おまえが言ったんだ……俺の牙から逃れられる獲物はいない。その獲物は――お前だ」
という、おまえが俺のプレシャス発言へ対抗心を燃やしていた頃の記述を目にし、複雑な表情になりながらもそれを燃えるゴミの上に投げ捨てる真墨だが、すっかりボウケンブラックである事に馴染んでいた真墨が、かつてのギラギラしていた頃の自分――不滅の牙への強いライバル意識――を、他人から指摘されたりするのではなく、過去の自分自身の言葉で思い返す事になる、というのは面白い布石。
謎の巨大プレシャス反応で総員緊急出動したボウケンジャーは、天空より舞い降り、選ばれし者に究極の力を与えると伝わるキングギドラもとい<闇の三つ首龍>を巡り、陛下&ダガーギンと激突。
「シルバーはリュウオーンへ。イエロー・ブラックは俺と邪悪竜を。ブルー・ピンクはプレシャス確保だ」
不滅の牙、とうとう陛下をパス(笑)
ダガーギンは右手を機関銃に変化させると桃と青を背後から撃ってチーフの計算を狂わせ、ボウケンジャーは5人で邪悪竜に立ち向かう事に。
「ボウケンレッド、私の生んだ最凶邪悪竜に倒されるがいい」
そして陛下も、パスし返した。
陛下自慢のジャリュウ科学の結晶に対し、青桃コンビネーション攻撃から黄がショベルアタックを決めるが、邪悪竜はそれを学習すると右手をショベルに変え、ショベル返し。更に青の放った扇風機マグナムで吹っ飛んだかと思いきや、今度は右腕を扇風機に変えて倍の威力を持った同じ技で反撃してボウケンジャーを苦しめる。
「ナックルキャノンリターン2!」
これはあれか、「ファイヤー返し」的な、伊上勝メソッド(笑)
下手に大技を使うと反撃の倍返しで消し炭になりかねない、とデュアルクラッシャーの使用を躊躇うボウケンジャーだが、挑発に乗ったブラックが単身突撃してなます切りに。
「ブラック! なにムキになってんだ!」
「真墨やめて!」
「待て」
駆け寄ろうとする黄を制する赤。
「どうして?!」
「いいから待つんだ!」
邪悪竜がブラックの攻撃を学習して右手のブレードを強化する姿を見て何かに気付いた赤は、ハンマーとハンマーの対決になった所で横からドリルを撃ち込み、右手にダメージを負ったダガーギンは撤収。
「大丈夫か? 無茶するな。気持ちだけじゃ勝てないぞ」
真墨はチーフが伸ばした手に背を向けて立ち上がり、チーフはブラックと邪悪竜の戦いから、武器変換の際に右手が弱点になると推測した事を説明。
「……俺は当て馬かよ」
真墨の男の子の気概を尊重して見守っているのかと思ったら、1ミリもそんな事なくて見ているこちらも驚きました!
「そんな事よりプレシャスだ」
そして不滅の牙は、一瞬ちらりと視線を向けながらも、青少年の悩み相談には乗りません!
チーフ多分、「メンタルケア」と「タンタン麺」の区別つかないから!!
一方、陛下は食い下がるシルバーをドリーム二刀流で切り裂き、プレシャスへと手を伸ばす。
「遂に<闇の三つ首龍>が我が物に。これで世界は我が手に落ちる。全てのプレシャスを我が物にし全世界、いや、全宇宙に君臨してやる」
度重なるボウケンジャーの妨害を受けている内に、鬱屈したストレスから夢が随分と肥大してしまいました(笑)
元来レムリマニアである陛下の目標が、レムリア文明と全く関係ない方向で提示されてしまうのは折角の複数悪の組織体制が活かされず残念といえますが、今回後半のバトルも含めて考えると、陛下が常に後一歩の所で不滅の牙に上回られてしまうのは、一意専心をどこまで貫けるかの差、といえるのかもしれません。
意気揚々とプレシャスに手を伸ばす陛下だが、激しく振動しながら宙に浮かんだキングギドラはその手をすり抜け、陛下、プレシャスに逃げられる(通算3回目)。
ダガーギンと合流した陛下は、探査スキルも修得済みのその能力でプレシャスの行方を追い、ボウケンジャーではサガスナイパー探すモードが真っ当に使用されるという驚きの展開(え)
追跡の為にデータを収集・分析中、菜月は様子のおかしい真墨を気遣うが……
「――明石、今度こそあいつは俺が倒す。お前は手を出すな」
「真墨……?」
「自分の戦いを利用された形になったのが、気に入らないのか?」
正直、辞表を出しても許される扱いだったと思います!
「そんなんじゃない。とにかく、あいつは俺一人でやる。……おまえがトドメを倒せなかったあいつは、俺が倒す」
「それになんの意味がある?」
「……俺とおまえの勝負だ。奴を倒して、俺はおまえに勝つ」
女性陣から非難を浴びるも敢えてチーフはその勝負を受け、キングギドラの出現予測地点である滝に集う、ボウケンジャーとジャリュウ一族。ボウケンジャーはこれまでとは違うエフェクトで6人一斉変身からフル名乗りを決め、劇場版がどうだったのかわかりませんが、赤銀中心での揃い踏みは、ここに来て初のような。
ダガーギンと一対一の勝負に臨む黒の戦いを見届ける事を赤が宣言し、残り4人に任されてしまう陛下。
青「プレシャスが飛び出してくる前に、片付けるよ」
陛下ーーー(泣)
……まあ今回の陛下、自分の最高傑作が活躍すれば割と満足みたいですが(笑)
不滅の牙への対抗心を燃やし、自分が何者であるのか、それを掴もうとする真墨は敢えて威力を抑えた攻撃で倍返しを誘い、それを受け止めた所で渾身のハンマーダイナマイトを放つという頭脳プレイを見せるが……
「生憎俺も馬鹿じゃねぇ。そんな攻撃は、想定内だぜ、ベイビー」
その一撃に耐えきったダガーギンは、怒濤の反撃でブラックを追い詰める。
「予測してりゃ、いくらでも耐えられるってもんだぜ。こう見えても、鍛えているんでな!」
前年ライダーのネタが入りましたが、脚本からあったのか、演者のアドリブなのか。
猛攻を浴びてとうとう変身解除してしまうブラックだが、トドメを刺される寸前、戦いを見守っていた赤が乱入。サバイブレードを振るうと黒と全く同じ戦法でカウンターを放つ。
「やめろ! 同じやり方で勝てるわけがない!」
黒のハンマー同様、受け止められる正面からの一撃、だが……不滅の牙、超強引に、ブレードで装甲を貫く(笑)
「まさか?!」
下手にやるとこの最終盤で白けるレッド無双なのですが、一念岩をも通す、というのがまさにボウケンレッドそのものであり、ここまでの積み重ねで納得させてくる、物凄い力技。
「この力はなんなんだ……!」
自己肯定力だ!!
「ぐぁぁ……ありえない」
「ゴールデンクラッシュ!」
により、最凶邪悪竜、大爆死。
「何故だ……俺も、全く同じ攻撃をしたのに」
「気持ちだよ」
何言ってんだかわかんねぇよ!
「気持ちだけじゃ勝てないって!」
「そうだ。だからおまえは技を究めた。そして相手も技を究めた。最高のレベルがぶつかれば、もう技術の差では結果は出ない。そうなれば決め手になるのは気持ちだ。なんとしても相手に勝ちたいという想いだ!」
必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》。
本日も勢いで押し切りを図る不滅の牙、真墨と邪悪竜の戦いになぞらえつつ、チーフと陛下の関係にも重なって聞こえるのですが、つまり陛下に足りないのは、<闇の三つ首龍>に逃げられそうになった時、
「持ち主を選んでるつもりか。ふざけるな! いいか? 俺が選んだんだおまえを!! この、リュウオーンが!」
という自己肯定力なのでありましょう(笑)
(こいつ…… 馬鹿だ いつでも俺の一歩先を行きやがる。勝てないのか? ……俺は何をしても、こいつに勝てないのか……)
精神抵抗に失敗した真墨はチーフの必殺技の直撃を受けてがっくりと膝を付くが、そこでダガーギンが巨大化。チーフと真墨は邪悪竜の吐く炎に飲まれ、残り4人も夢の力に切り裂かれ、ジャリュウ一族大逆転勝利の寸前、巨大ズバーンが邪悪竜に立ち向かい、陛下には不滅の牙が切りかかる。
巨大ダガーギンに苦戦するズバーンだがシルバーがサイレンビルダーで参戦し、なんだか最終盤になってようやく、単独機であるビルダーの使い方が良くなってきた気がします(^^;
天敵レッドを加えたボウケンジャーも陛下は華麗な二刀流で切り伏せ、そして遂に、空気を震わせる咆哮と共に滝を割ってキングギドラが!
スローモーションで感動の対面から、今度こそ、とプレシャスをキャッチしようとする陛下だが、その寸前、横からプレシャスをさらう黒い影。
「プレシャス確保!」
<闇の三つ首龍>を手に崖の上に立つのは、スタンドプレーではなくチームプレーで輝きを見せたボウケンブラック!
戦場は逆転ホームランの応酬となり、ダガーギンは、サイレンビルダーのクレーン拘束→引き寄せ→零距離ナックルバルカン、というえぐい攻撃を受け、トドメはどこかアギトっぽいポーズから放たれるズバーン乱れ蹴りでGET ON。
「おのれ返せ!」
そしてプレシャスに執着するあまり隙を見せた陛下は、背後からレッドにジャベリンでグッサリされ、あらゆる意味で扱いが酷すぎます(笑)
真墨の個人的な煩悶はさておき、キングギドラを巡る争いに決着がついたかと思われたその時、問題のプレシャスがブラックの掌中で激しく震えると黒い霧を発し、それをヤイバ先輩が見ていた。
「ふ……やはりそうか。あいつの中の闇は……まだ消えていなかったのだ」
「あああああぁぁぁぁぁっ!!」」
竹の陰から覗き見(全く隠れてはいない)しながら渋く呟くヤイバ先輩、というあまりにも面白すぎるカットから、闇に包まれた真墨の絶叫で、つづく。
次回――「ダークネス・エンゲージ! 漆黒の翼キュアエンジェル!!」。