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『仮面ライダービルド』感想・番外

◆「ハザードレベルを上げる 7つのベストマッチ<前編>」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:赤松義正 脚本監修:武藤将吾
Youtube無料配信、時系列としては本編21−22話の間に挟まる特別編で、感想は前後しましたが第22話より前に視聴。
ビルドとグリスによる代表戦開始から遡る事一週間――地下室に戻った戦兎はスタークから借りたフルボトルでベストマッチを繰り返し、美空から痛々しいものを見る眼差しを向けられていた。
……て、あれ、師匠ごっこが大変白熱してきたスタークに「自然石を割るぞ戦兎ぉぉぉ!!」って山に連れられていって一週間音信不通、とかだとばかり思っていたのですが、物凄く普通に、家に帰っていました。
現在、戦兎の手の中に40本?のボトルと少なくとも2枚のパンドラパネルがあるわけで、戦兎、それ持って東都政府に駆け込んだ方がいいのでは。……いやまあ、現在、東都のボトルがグリス一味に奪われているので60本全ては揃わないわけですが、なんかこう、初手の状況設定から疑問が生じてしまいます(^^;
美空から逃げるように、休憩に行くと地下室を出た戦兎は、エプロン姿でごく平然とカウンターの内側でコーヒーをー淹れる内海と再会。
「ツッコミどころ多すぎて、どっから弄っていいのやら」
復活するもしばらく存在の消えていた内海がこちらに登場し、
「それは、首相補佐官の秘書にも、科学者にも向いてないという皮肉か?」
「あの設計図を見て、血の騒がない科学者はいない。君もそうだろ?!」
と、科学者としての一面が描かれるのですが……こういったキャラの掘り下げはやはり、本編で行ってほしいもの。特に内海の場合、元科学者だからスクラッシュドライバーとか作れちゃう、と本編で明かされたのもかなり唐突でしたし、“実は戦兎と似たもの同士”と特別編で盛り込まれても、正直反応に困ります。
そして「君もそうだろ?!」と返されて言葉に詰まってしまう戦兎さん、マスターとは別の意味で最低……。
「スタークから、北都と西都のボトルを借りた事は聞いている」
西都のボトルについてはさすがに第22話でも言及されましたが、さらっとトンデモない事を口にした内海はスタークから言われたと修行の協力を申し出、地下駐車場で内海の召喚したホログラムスマッシュと戦闘する事に。
戦兎はフェニックスロボ、バラコプターとビルドアップし、スタッフ側でもベストマッチのギミック的な弱さは気になっていたのか、各ベストマッチの特性を内海が解説する……という趣向なのですが、内海さんの演技なのか素なのか悩ましい訥々とした喋り物凄く茶番感を引き上げます(^^;
そして内海に(どう考えてもスタークの指示で)「ハザードトリガーじゃないと勝てないだろ」とそそのかされた戦兎、開発中のハザード停止装置の為にハザード状態の戦闘データを取れれば……とこぼし、それなら私が相手をする、と内海はトランスチームガンを取り出す。
「けど、ハザード状態でもし暴走したら……」
「その前に、私が変身を解除させる。……思う存分、ハザードトリガーを使え」
「…………わかりました」
えええっ?!
いやそこは、「使わない」事を選ぶのが格好いいのであって、あっさり暴走からキルマークという最大級のトラウマの直後に、相手の安請け合いに乗っかってほいほい使ってしまうのは、さすがに酷すぎるぞ戦兎。
主人公の格好悪い一面を描く事自体はありだと思うのですが、もう二度と暴走しないと誓っているわけでもなく、内海を信じる根拠があるわけでもなく、ひたすら流されているだけで、いっそ内海なら死んでもいいと思っている疑いが生じるレベルの心の弱さ。
内海はヤク○トみたいに握ったボトルでナイトローグに蒸血し、戦兎はブラックスマホウルフを発動。案の定あっさりと暴走した戦兎に対し、ホログラムスマッシュを盾に用いた頭脳プレイでハザードの必殺技を防いだ内海ローグは、腰抱きのヒロインムーヴ、じゃなかった、回転レシーブでトリガーを引き抜く事に成功。戦兎はトリガー強制停止に必要なデータの入手に成功する。
「リスクがあったが、最高の実験だった」
サイボーグ鉄仮面を崩し、喜びを顔に出す内海を戦兎が茶化すのですが、“内海を殺しかけた直後”の自覚は無いのか戦兎。そして内海にとっての「最高の実験」=「スタークに指示されたミッション」の可能性が極めて高いわけで、マッドサイエンティスト魂で繋がりを感じている場合じゃないぞ戦兎。
確かに、ヒゲ住所不定無職よりは、内海の方が友達としてはマシそうな雰囲気だけど!
内海とベストマッチしかける戦兎だが、首相官邸よりボトル保管場所が襲撃されていると連絡が入り、戦争を長引かせない為、再び仮面ライダーとして現場へ向かう。そこで目にしたのは、ブラックパンサー……じゃなかった、
バイカイザー」
って誰? でつづく。
TV合間のCMを見ても、ベストマッチのPRという商業上の要請が第一だったのでしょうし、本編に参加していない監督・脚本という事情もあったかと思いますが、本編では誤魔化し誤魔化し進んでいた今作及び戦兎の短所が、一気に噴出してしまった特別編。
これまではその短所を、戦兎が“理想のヒーロー”であろうとする事、で覆っていたのですが、第22話にしろ、この特別編にしろ、戦兎のヒーローとしての在り方が非常に弱い為に覆いきれず、遂に黒いマグマが大噴火。それが狙い澄ました劇的なものというより、無自覚な破裂になっている気がして、先行きが心配です(^^;
特にハザードトリガーの使用に関してはやってはいけない大失策だったと思うのですが、この特別編は、パ、パラレルという扱いでいいですかね……?