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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第3話

◆第三章「大地の知恵」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子
見所は、花の戦士よりも花を愛するゴウキ。
リョウマ中心で展開した1−2話においてさえ、画面に居るだけで存在感がありすぎたギンガブルー・ゴウキの個人回を最初にやってくれたのは、心が落ち着いて良かったです(笑)
海賊船ではサムライとガンマンが戦闘中に割って入った魔女を後ろから蹴り飛ばすマッチョという大騒ぎの真っ最中。
「貴様等! 3000年前に封印された原因が、その足の引っ張り合いだった事を忘れたのか!」
その取っ組み合いをダークエルフが一喝し、おお、悪が悪である由縁が敗因となるという要素が、過去の戦いの教訓から早くも指摘された!
3000年前の二の舞を避ける為、船長は復活作戦の行動隊長としてガンマンを指名し、他の幹部に一切の介入禁止を命令。そしてガンマンは、樽の入れ知恵により「熱」を集めさせようと部下を地上へ送り出す。
一方、逞しくサバイバルしていた5人の銀河戦士は、かつてのギンガの森が沈んだ湖畔を離れようとしていた。
「俺たちは必ず地球を守る。そして平和になった地上に、ギンガの森を戻すよ」
生粋の伝説戦士でありバルバン滅殺を宿業とする5人に、平和の先で故郷を取り戻すという、宿命とは別の視聴者に共感しやすい目的を与えたのは上手いモチベーションの構築で、安住の地と精神的よりどころを失わせて5人を戦いに縛り付けつつ、それそのものを戦いの動機に繋げるというのは、立ち上がりに鮮やかな設定です。
夢に見た本物の「伝説」と出会ってテンションの高い青山父は、友人がオーナーを務めるシルバースター乗馬倶楽部を住居として紹介し、銀河戦士達は、街をふらついていて職質→「地球を救う使命があるんです!」→「君ちょっとそこまでいい? えーと、この剣なに? 作り物にしてはよく出来てるねー。身分証明書ある? どこ住んでるの?」の危機を未然に回避!
屈託無く青山父の厚意を受け取る面々の中、ちゃんとお礼を言うハヤテ、いい人。顔立ちや雰囲気からは、ハヤテは5人の中ではやや年長(ヒュウガと同世代?)に見えるのですが、メンバーのフォロー役だったりするのでしょうか。
既に5人と馴染んでいる青山少年はTVや電話の説明をしようとするが、戦士達は現代文明の利器について最低限の理解はしていると胸を張り、ネタにはしやすいけどバランスが難しくなる文化的ギャップネタは潔く排除(知識はあるけど実物に触れるのは初めて、という事なので多少はやるかもですが)。
「戦士の常識。いつ森の外に出てもいいようにね!」
いつバルバンが復活しても、殺る気満々だぜぇ!!
衣装や宿命の血統に受け継がれた伝説と特殊能力、と設定はファンタジー寄りなのですが、戦隊としての立ち位置はつまるところ超力戦隊に近い(笑)
……逆に言うと公権力戦隊というのは「宿命の戦士の職務化」ともいえますが、この双方の立場を取り込んでバディ化したのが後の『仮面ライダークウガ』の一要素といえるでしょうか。勿論、公と私の対立と融和を相棒関係の衝突と共闘関係で描くというのは一つ定番なのですが、そこで私とヒロイズムの折衝、組織との関係を丁寧かつ巧い具合に寓意を織り交ぜて描いていったのが『クウガ』の面白さであったな、と改めて。
(最近、『ビルド』が『ビルド』なので、リアリティと寓意的表現の境界、というのが気になっている模様)
パイロット版に続いて雪景色を利用し、人間の体熱を奪うどころか気象の寒冷化まで引き起こす怪人(さらっとやっているけど、物凄いスペックなのでは)と一当たりしたギンガマンだが、ゴウキが森へ帰ると宣言して乗馬倶楽部を出て行ってしまう。
「今森へ戻ってなんになるんだ。ただ後ろを振り返るだけじゃないか」
ゴウキさんよぉ、うちのシマ荒らされてオヤジがあんな事になって、一度戦争が始まったからにゃあ、ケジメつけるまで終わらんのじゃぁ!!
仲間達が不満を洩らす中、ゴウキ戦線離脱の理由に気付いたリョウマは、ギンガの湖へと向かう。そこではゴウキが、ギンガの森で12年に一度だけ咲く星の花を見ようとじっと座っており、リョウマとゴウキは22歳と判明。
「ずっと忘れていた……森をなくして思い出したんだ」
あって当たり前のものが消えた時にその意味が染みてくる、というのは、ごつい外見ながら気は優しくて力持ちを地で行く花を愛する男というだけではなく、ゴウキに奥行きが出来て良かったです。そして、肉親を失ってすぐながら、憎しみのみに囚われる事なく仲間を気遣う意識を持つという、リョウマのレッド像の示し方もスムーズ(今回むしろこちらがメインだった感もあり)。
森の命で光る星の花の輝きを一瞬でも見る事が出来たら、森が生きている事を信じて戦いに集中できるのでは……と考えていたゴウキだが、リョウマが自分の心情を理解してくれた事で立ち上がる。そこに残り3人もやってきて星の花の開花を待とうとする5人だが、ブレスから響く謎の声がバルバンの襲撃を告げ、街へ向かうと炎一閃(赤)と激流一刀(青)の連続攻撃で怪人を撃破。
巨大化した怪人に対して5人の呼びかけで星獣が次々と登場し、攻撃を受けて倒れた猫を守るゴリラと鳥、紳士度が高い。
標準的戦隊男子より遙かに紳士度が高いのですが、これが、銀河を守る星獣の力……!
前回に引き続いてギンガマンが星獣を応援しているだけだったらどうしようかと思いましたが、星獣はメカではなく意志を持った存在である事をまず示してから、青を皮切りに次々と星獣とシンクロしていくという長めの巨大戦。アース増幅した星獣は次々と飛び道具を放ち、花の星獣は花火を撃った! そして最後は星獣ファイアーボールでフィニッシュ。
「やあ、見事な戦いだったね」
ブレスから5人に呼びかけてきた声の正体……それは長老に託されたペンダントの中に入っていた種から成長した大樹、の中に生じた銀河空間、の中のやはり木だった。
「私は知恵の木のモーク」
いざという時の為に長老が用意していたサポートシステムたる木の拳魔、じゃなかった知恵の木は、5人に星の花のイメージ映像を見せ、ギンガの森は生きていると信じ込ませるのだった。
「俺たちはもう振り向かない。平和を取り戻し、ギンガの森を元に戻すまでは」
……10年後の『激獣戦隊ゲキレンジャー』で、同じく納谷六朗さんが声を務めた空の拳魔カタによる、臨獣拳幻影スパルタ修行と内容がまるっきり同じ気がするのですが、大丈夫か木! 信じていいのか木! その内、「おまえの絶望を見せてみろ」とリョウマの心に入り込んでヒュウガの落下シーンをリフレインするのではないか木!
銀河戦士は絶望を喰らって強くなる!
そしてドングリが存在意義の半分ぐらいを失った気がするのですが……やはり暗黒メンターの系譜ではないのか長老?!
というわけで本拠を失った銀河戦士達が住居と秘密基地を手に入れ、長官ポジション?も誕生。本格的な抗争の為の足場は固まってきましたが、果たして銀河戦士達は文明世界に順応する事が出来るのか……とりあえず、黄色が早く長ズボン履いてくれる事を希望。