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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第15−16話

◆第十五章「恐怖のしゃっくり」◆ (監督:辻野正人 脚本:武上純希
「まさかこれは?! ……爆弾。そんな……3000年前に何故」
それはその頃、宇宙海賊と土着の戦闘民族が地球の覇権を懸けて血で血を洗う仁義なき抗争を繰り広げていたからです!!
3000年前の古墳から出土した球体を研究中、それが強力な爆弾である事を知る佐伯助教授だが、そこに古代遺跡の出土品を狙うボウケンジャー、じゃなかった、ブドー魔人衆のキセル魔人が登場。
「お宝を けむで探すは 大泥棒」
頭髪にウニの意匠を取り込んだ石川五右衛門モチーフの魔人は割と格好いいのですが、六方を踏んで大仰に名乗っている内にプレシャス抱えた助教授に逃げられてしまい、全体的に今回、コメディのテンポ。
魔人から逃げる教授は、青山家の引っ越しの手伝いをサボる為に仮病を使ったヒカルと、それを甲斐甲斐しく世話していたリョウマと行き合い、リョウマが手にしていた風邪薬の缶と、教授が持っていた爆弾の缶が入れ替わった事で、ヒカルは爆弾を飲み込んでしまう事に!
ヒカルの胃の中の爆弾はしゃっくり100回で爆発し、それを止める為には、打ち消しの滝の水を飲むしかない。かくしてヒカルとリョウマ、そしてプレシャスを取り戻しに来た佐伯助教授の3人は、爆弾の中にギンガの光が隠れているに違いないと執拗に襲い来るキセル魔人の追撃をかわしながら、滝を目指して珍道中を繰り広げる事に。
佐伯助教授は話を聞かずに車を爆走させたり、通りすがりの幼稚園バスにこれ幸いと乗り込んだり、テンション高く勢い任せのコメディリリーフとして描かれ、無茶苦茶なゲストにリョウマとヒカルが振り回されつつ、ヒーローが幼稚園バスに乗り込むシチュエーションがバルバンの罠だったり、最後にアース忍法大凧の術で滝へ向かったりという辺りは東映ヒーローものの狙ったパロディでしょうか。
つまり、飛騨忍者はギンガの民の末裔だったんだよ!!
納得(おぃ)
助教授に押し切られる形でバスに乗り込み、お約束の童謡が始まった所で、
「でも、なんでこんな所に幼稚園バスが……」
と不審を呟くのは、今回一番面白かったところ。もはや「幼稚園バス」って、東映ヒーロー世界においては一種の固有名詞だなと(笑)
どんな状況でもヒカルのしゃっくりの回数を数え続けるリョウマが若干サイコホラーにつま先を踏み入れつつ、爆死寸前、滝の水によって体内の爆弾が浄化されたヒカルがギンガイエローとして復帰。引っ越しの手伝い中に事故で閉じ込められてしまっていたハヤテ達3人もローン35年の家の壁を破って駆けつけ、合流したギンガマンは色々と蓄積されたストレスを殺意に変える!
モークバズーカからは白兵戦用のレーザービームも撃てる事が判明し、これ確実に、「いいかみんな、赤いスイッチを押すんだ。突入作戦用のサブマシンガンモードになるぞ。青いスイッチは、対空スティンガーモード。敵が穴蔵に篭もっているようなら、緑のスイッチを押して××弾を撃ち込んでやりたまえ」まで仕込まれている。
バズーカ一斉射撃を受けたキセル魔人は巨大化して火種攻撃を放つが、カウンターで撃ち返して鳥頭ボウガンで射殺。
リョウマとヒカルの友情も交えつつのドタバタギャグ回でしたが、ハヤテ達が行動不能になる理由を「お世話になっている青山家のローン35年の家を破壊できないから」としていながら、最終的に強行突破を「いいんです」で済ませてしまったのは、詰めが甘くなって残念。ゲスト優先となったのかもですが、ネタとしたからには上手くオチに使ってほしかったです。
次回――「遂に明かされるハヤテの弱点」というほど完璧超人キャラのイメージは無いのですが、引き続きシェリンダとの因縁が展開してくれそうなのは期待。


◆第十六章「心の故郷(ふるさと)」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子
相手の脇腹、横隔膜と肋骨の間を狙って、抉り込むように刺すべし刺すべし! と本日もドスの訓練に余念がないギンガ組員達を見とがめる、中年の紳士が一人。
「場合によっては……クビだ」
現オーナーの父親であり、前オーナーでもあるという紳士・森川から通告を受けたギンガマン、第16話にして、野宿再び→ 士気の低下 → 解散或いは逮捕という最大の危機!!
戦士といえども、一度贅沢の味を覚えてしまうと、なかなか野生には戻る事が出来ないのです。
「リョウマ達は、あまり、森の外の仕事に、慣れてないからね。まあ……ハヤテが頼みの綱だが。ひょっとすると、私も引っ越しの準備をした方がいいかもしれない」
できるのか、引っ越し。
ややこしいので先に書いてしまうと、森川は前オーナーは前オーナーでも、乗馬倶楽部の所有者だったというだけで、現オーナーとは赤の他人で、勿論5人を解雇する権利など全く無し。オーナーに確認を取った青山父からそれを知らされるハヤテだが、あえて黙って、ギンガマンに嫌がらせを繰り返す森川の嘘に付き合ってみせる。
森川の気持ちを慮り、かつてハチの集団に追われたトラウマから、舐めると倒れてしまうハチミツにまで口をつけるハヤテだが、大地に潜むギンガの光を炙り出そうと、ブドー魔人・雨法師(だけにアメフラシ?)が行動を開始。
「邪悪なる 雨を逃れる すべはなし」
その降らせる呪いの雨は全地球規模で大地を溶かして地殻変動を引き起こし、カメラ、骨董品、とややスケールダウンしていた2話を挟んで、再び地球壊滅レベルなのがいかにもバルバン魔人です。
この辺り、次々と繰り出される魔人の脅威が、三千年戦士であるギンガマン(ギンガの民)の戦闘力の高さと連綿たる殺意の継承に説得力を持たせているのは良いところ。
儀式の場に向かうギンガマンはバルバン船員の妨害を受け、途中で職場放棄した5人を追いかけてきた森川は、そつない仕事ぶりで一目置いていたハヤテに守られた事で、自分の正体と真意を告白する。
「この歳になって……もう一度見ておきたいと思って来てみたんだが……君たちが自由に楽しそうにやっているのを見て、なんだか、ふるさとを取られたような気がしてな。それで、つい、意地悪をして」
「俺たちも、ふるさとの森をなくしたんです。……あの時感じた辛さと痛み、きっと同じです。だから……誰にも言えませんでした。でも、俺たちは信じています。ふるさとはそんな簡単になくならない。いつでもそこにあるって」
ハヤテのイケメンリアクション!
ぴっぴろりろりーん♪
森川の好感度が大きく上昇した!
森川に身を隠させて仲間を追いかけるハヤテだったが、その前に復讐に燃えるシェリンダが登場。剣ばかりでなく、サイコパワーによる鞭攻撃など器用さも見せるシェリンダに苦戦するグリーンは窮地に陥るが、森川の絆タックルが炸裂!
インパクトと爆発力ではゴウキに劣り、総合的な戦闘能力ではおそらくリョウマに劣るハヤテですが、何でもそつなくこなす器用さの一方、他者(特に身内)への対応には精神的な不器用さを見せる、という両面が森川の心を説かして逆転の鍵になる、というのはハヤテの立ち位置が綺麗に繋がりました。
剣撃でキバショットを跳ね返してさえみせるシェリンダだが、グリーンが咄嗟に放った空中からの二刀一刃がクリティカルヒット。雨法師にはレッドの火炎ハンマーが炸裂し、バズーカ地獄で巨大化したところで、シェリンダは撤退。巨大雨法師は、鳥ハリケーンで転ばせてからのギンガイオーがボウガン瞬殺し、今日もギンガイオーは強かった。
当初、星獣で押し切りたかったのが合体してしまった影響もあるのかもですが、ギンガイオー、強すぎて、巨大戦で書く事があまりにもありません(笑) 前作はロボ推し戦隊だったので圧勝なりに割と趣向を凝らしていたのですが、ギンガイオー基本、撃ち殺す撃ち殺すそして撃ち殺す、ですし。
自分内サンプルがあまり多くないので明言できないのですが、80年代ほどプロレスせず、00年代のような戦闘中のパーツ組み替えが無い関係で、90年代ロボは瞬殺度高めの印象(大連王の印象が強すぎる説もありますが)。今度80年代戦隊を見るときは、巨大戦の流れを気にしてみたい。……ああでも、一応90年代だけど、ジェットイカロスは、腕がもげたり土手っ腹に穴開けられる印象しかない。
流れに変化が生じたとしたら『ジュウレンジャー』の可能性がありそうですが、未見。
「ふるさとは、いつでもそこにあるか。そうかもしれないな。嘘をついてすまなかった。君たちなら、この故郷を任せても安心だ。……じゃ」
森川はギンガマンと和解して帰っていき、それはそれとして乗馬倶楽部における勤務態度について良い勉強になったと説教モードに入ろうとするハヤテだったが、ハチミツを突き出されて目を白黒させる、でオチ。
定期的に故郷について振り返るギンガマンですが、地球を守るという「大義」と、鍛え上げ研ぎ澄まされた伝説の刃としての「使命」の合わせ技で、基本、正義について考えないパーフェクトソルジャー戦隊であるギンガマンにとって、「いつか故郷を取り戻す」という勝利の先の願いが人間性を与える事になっているのが、今作の構造的な妙味。
同時にそれは実は、古典的なヒーローの動機付けである「復讐」といえるのですが、それを極めて前向きかつ爽やかに「使命」の先にセッティングしてしまえるのが、ギンガマンの強さといえるでしょうか。
一方でそこで浮上してくるのが、より私的な動機付けとなる「ヒュウガ」の存在ですが、元最強の戦士が、ギンガマン唯一の心理的な弱みとして急所になっている、というのは面白い構造で、今後その札をどう使ってくるのか楽しみです。
ハヤテ×シェリンダは今回も尺を採った一騎打ちで因縁が強化され、年長トリオの中では放っておくと埋没しそうなハヤテの存在感を上げつつ、バルバン側でやや不明確なポジションであるシェリンダにも、物語上の意味づけが増えて良い感じ。……樽先生とかすっかり、暇そうなタダ飯食らいと化していますし。
また、森に婚約者を残すハヤテが故郷に軸足を置いているのも自然でありますが、こうなると、アイドル回のサヤは故郷について何か触れておいても良かったのかな、とは思うところ。鈴子先生に一目惚れしたゴウキ、諸々に興味津々なヒカルに対して、アイドルと入れ替わってもあくまで戦士なサヤは、ハヤテ寄りのポジションなのかと思われますが、バランスとしてそこを強調しておいた方がわかりやすかったし、サヤの個性の強化に繋がったかなと。
次回――
MAY DAY! MAY DAY! 首都圏を襲うレスキューポリスばりの爆破テロ!
かつてない危機に勇太少年は《投石》に次ぐ新たな戦闘本能に覚醒できるのか!
だがその時、戦場に舞い降りたバイオサムライの剣がギンガ反応を断つ!
の豪華盛り沢山でお送りいたします。
……そして姿を見せる、謎の黒い影――?!