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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第28話

◆修行その28「ビシビシピキーンで押忍!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
ゴウ兄さん、正式にオープニング参加。に合わせて、本編ではまだ変身していない(今回変身する)5人目――久津(ひさつ)ケン/ゲキチョッパーも追加。臨獣拳サイドもメレ→理央の後にロンが加わってまごうことなきメイン格である事を示し、スーパーゲキレンジャー、7拳聖なども入ってOP映像大幅変更の中、理央様の、脱いだ!が残っている所にこだわりを見ます(笑)
ゴウがバエの助力により獣人の呪いを打ち破り、ますます結束を強くしたゲキレンジャーに、追加メンバーの話題が再燃。
「「「5人目?」」」
「まだ居たんですか。4人で十分ですよ」
「ま、賭けじゃの。ふっふっふ」
「賭けって……」
隠し球が、吉と出るか凶と出るか」
「吉?」
「凶」
結構、酷い言われようだった(笑)
その頃、ジャンは前回ラストに出てきたジャージの男と、醜くメンチカツを奪い合っていた。
「メンチカツは男の食いもんだ。おまえみたいな、おこちゃまが食うもんじゃねぇんだよ!」
もはやOPで確定している追加戦士の久津ケンですが、顎・口・頬髭の3点セット……そして、胸毛というワイルド路線は、もしかして戦隊史上初でしょうか。いや、過去にも脱げばそれなりの胸毛の人は居たでしょうが、髭面&デフォルトで胸毛を主張してくる、というのはかなり珍しい印象。爽やか路線を軸とする戦隊ヒーローの、キャラクター的な枠組みを広げようという意図があるのでしょうが、かなり攻めてきます。
メンチカツ争奪戦の途中にジャンはゾワゾワを感知し、理央様派閥の隠し球、ワニ拳士が登場。
モチーフ生物の顔を胸部に持ってくるのを約束事として他の意匠でどう各部を表現するのか、という今作の怪人デザインはなかなか面白いのですが、ワニが大きく口を開けた状態を大胆に頭部〜胸部に配置し、見るからにワニモチーフとわかるが全体はトゲトゲの異形、というワニ拳士はかなり秀逸。……しかし、何故、足下は下駄(笑)
理央様派閥でも5本の指に入る実力者、という謳い文句に偽りなく、ワニ拳士は超クロコダイルスピンで紫まで投げ飛ばす強さを見せるが、そこにメンチカツ片手にジャン合流、と思いきや更に、ジャン目がけて突っ込んでくるデコトラ
そう、悪を轢いた時、人はヒーローとしてのイニシエーションを果たすのです。
東映ヒーローの伝統に則った、爆走タイヤアタック、をなんとかかわすジャン(なお先日、バズーカで同僚の抹殺を図りました)だが、ケンの暴走は留まる事を知らず、黄青紫も巻き込んでメンチカツ欲しさに明らかな殺人未遂を繰り返し、そのドタバタ騒ぎに呆れて帰ってしまうワニ。
最終的にメンチカツを入手するケンだが、抗議するゲキレンジャーに取り囲まれた所で、姿を見せる猫師匠。
「こやつはな、久津ケン。五人目の仲間、ゲキレンジャー隠し球じゃよ」
殺人未遂犯の正体は、獣拳の聖地・獣幻郷での修行を終えながら、帰路アバンチューーールを楽しんで音信不通となり、予定より半月遅れで帰国した男。その不真面目な態度に激怒した、スクラッチ開発室御用達の町工場を率いる如何にも職人気質な父親がちゃぶ台をひっくり返して勘当を宣言し、ケンと父は関係者一同に構わず掴み合いの大げんかに突入する。
「いい加減で」
「喧嘩っ早くて」
「メンチカツ……」
「なんてこった。こんなのが仲間とはな。マスター、俺は反対だ」
トラックで轢き殺されそうになった恨みは深く、ゲキレンジャー全員一致で仲間入りを反対し、日本は超アウェー。
「待てよお前等! 俺の力を知らないな!」
「……知らないし、知りたくもない」
総スカンの態度で4人は久津家を去って行き、取り残されるケン。
「大凶と出ちゃったわね」
その顛末に宣う真咲室長ですが、どう考えても、4人目(都合により5人目)のゲキレンジャーについて事前に情報を与えておく時間の余裕はあったわけで、音信不通となった本人に問題があるとしても、敢えて受け入れ体制を整えずに新しい現場に馴染めるかどうかのストレステストを行っているようにしか見えず、激獣拳のパワハラ体質が火を噴くぜ!
その頃、獣幻郷へ向かう理央様は、雨の山中で凄く悪い顔のジャンと出会っていた。
「私はあなたの影。あなたの背中についた目。いつもあなたの側に居て、あなたに見えないものを見ている。あなたのために」
ぬるりと動きながら、ロンの声で囁くジャンは、次にゴウへと姿を変える。
「臨獣殿の人間は、これ以上進めない。行くと、死ぬ」
影ゴウはロンの声で、獣幻郷の周囲には臨気を纏った者を容赦なく抹殺する7拳聖の結界が張り巡らされていると警告する……。
一方、パワハラの中に修行あり、誰か一人にでも認められたら儂が口を利いてやるぞいと猫師匠に言われたケンは大量のメンチカツでジャンを懐柔しようとするも、よりによってジャンから「修行もちゃんとやらないやつ」呼ばわりされてしまい、自分の事は棚に封印してゲキレンジャーの先輩風を吹かせるジャンもだいぶ文明に染まり、もとい、パワハラ体質が染みついて参りました。
決裂した両者は再びメンチカツを奪い合うが、ゾワゾワ反応にジャンが駆け出そうとしたその時、ケンの妹がジャンに向けて頭を下げる。
「グダグダなお兄ちゃんだけど、激獣拳だけは好きで好きで大好きなんです!」
「黙ってろぉ!」
軽薄を装ったり悪ぶったり一生懸命やっている姿を見せないのが格好いいと思っている節のあるケンは、妹に怒声を浴びせると、気恥ずかしさもあってかやさぐれモードに突入。
「俺もういいわ……破門で」
そんなケンに、同じく素直になれないヒネヒネ同士の父が、ケンの帰国をどれだけ楽しみに待っていたかを伝えて平手打ちする妹……の地味な衣装・両サイドに垂らした二つ結びの髪型・トドメに名前が「幸子」、という遊び人の兄の帰りを待つ町工場のけなげな妹像があまりに昭和すぎると思うのですが、塚田P好みのパロディが場外に誤爆した感があります。
そしてそんなキャラ付けなのに超アニメ声で、デザインと世界観と配役がゲシュタルト崩壊しており、色々どうしてこうなったのか。
「お兄ちゃんの馬鹿!」
走り去る妹だがその時、設置中の巨大看板が頭上から落下!
咄嗟に駆け寄ったケンは、指先から激気で刃を作り出すと看板を斬り裂いて妹を救う――それすなわち、激気をダイヤモンドのように硬く練り込み研ぎ澄ます、天才のみがなせる激気技・激気研鑽!
「拳聖をはじめとする獣拳使いたちの中でも、激気を研鑽できるのはケンだけじゃ」
ケンを監視……もとい、査定……もとい、見守っていた猫師匠が解説し……なんだろう、この、センスの良さで多彩な技を使いこなせるのが自慢だったのに、天才でないから駄目だ、とシャッターを閉められてしまった大輪の華のいらない子感。
ゴウといいケンといい、過激気を修得したジャン達と戦力を合わせる為に、過激気以外の強さを理由付けしているのですが、結果として後付けで過激気に匹敵したり過激気より凄い力が出てくるという、「敢えて四天王に入らなかった実力者」みたいな論法が連発されるのは、良くも悪くも今作らしいインフレの仕方。
激気研鑽を目にしたジャンは「俺たちの仲間だ」とケンを受け入れ……これまで「人間として駄目だから拳士としても駄目に違いない」とケンを拒絶していたジャンが、拳士としてのケンを認める事で人間としてのケンも認めた、というように印象を誘導しているのですが、そもそも人格の陶冶とは関連しない激獣拳において(例:七拳聖)、ジャンの「人間として駄目だから拳士としても駄目に違いない」という決めつけがおかしいので、当然その逆の「拳士として優れているから人間としても優れている」というロジックも成立していません。
実際ケンは、実力はあるが人間性に難のあるキャラクターとして設定されているのだと思うのですが、キャラクターと物語の展開の妥協点を探っている内に、実力があれば人格は二の次という合格判定を、妙な手管で誤魔化そうとして、かえってスッキリしなくなってしまった感。
話の流れとしてはケンがジャンに人間性で認められる方が良かったと思いますし、それが出来ないなら、もっと露悪的に割り切って描いた方が良かったかな、と。
妹から、父が修理したパワーグローブを受け取ったケンはジャンと共にゾワゾワの元へと走り、そのゾワゾワたるワニ拳士は黄青紫を苦戦に追い込んでいた。
…………理央様へ悲しいお知らせです。
怒臨気なんて要らなかった。
「ケン……おまえの激気、みんなに見せてやれ!」
「押忍!」
構えを取ったケンは、グローブの上から巨大なマジックハンドめいたサイブレードを召喚装備。
「研ぎ澄ませ、獣の刃! ビースト・オン!」
そして、白を基調にしたサイ角の戦士へと変身する!
「才を磨いて、己の未来を切り拓く! アメージング・アビリティ、ゲキチョッパー!」
口癖や構えからすると空手のイメージなのかと思われますが、全体としての印象がどうしても、忍者に見えます。……私の目が濁りすぎなのかもしれませんが。
ネコ科を離れた追加戦士は名前も色からではなく、最初は「石器?」と思ったのですが(最も初期の礫器をこう呼ぶ)、単純に「チョップ」から「切り刻む者」といったニュアンスで良い様子。
「不利な状況でこそ、光り輝く! それが俺の激気!」
新戦士の露払いとしてリンシーズを鮮やかに撃破したチョッパーは、その手刀で川の流れさえ断ってみせると、鰐皮を貫きワニ拳士を撃破。その実力を一同に認めさせるのであった。
実力があれば人格は二の次です。
理央様は獣幻郷に入るための鍵、総獣刀を手に入れる事をロンにそそのかされ、肝心のその刀はどういうわけかネコがケンに預けていたのだが……
「ど、どこって……へへ」
その反応は、どこかのサメと全く一緒なのであった、でつづく!
次回――「激獣拳に、恨みでもあるのか?」。
……あ、なんかまた、開けてはいけない獣拳の闇が、白日の下にさらされそうな。