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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第29話

◆修行その29「グダグダヘレヘレ!ショッピング」◆ (監督:諸田敏 脚本:荒川稔久
臨獣拳とかまとめてジェノサイドできてしまうらしい究極最強の力を持つ激獣拳の秘宝・操獣刀……マスターからその返却を求められて目が泳いだケンは、ファイ○ギアの20倍の値段(10万円)で売りさばいてしまった刀を買い戻すべく、レツと共に中華街の骨董品屋に向かっていた。
如何にもそりの合わなそうなレツを指名したのは、一番金を持っていそうだったから、でそこの見る目は正しかった(笑)
ところが店主の老女・含韻は、激獣拳使いには売ってやらない、と姿を隠し、2人は仕掛け満載のトンネルを登って、店主を追いかける羽目になってしまう。
一方、臨獣殿では怒りのダチョウが招聘され、前回の敗北を笑い物にされたり、怪人に突き飛ばされて転んだり、理央様不在の臨獣殿で、メレ様はすっかりシンデレラポジションになっていた。
割と理央メレを気に入って稽古をつけていたタカとクラゲが、すっかりクマ様の左右に並んで「いよっ、さすが社長、お目が高い!」「あんな子に仕事は任せておけませんわねぇ、ほっほっほ」となっているのが世知辛いですが、考えてみるとタカもクラゲも、クマ様起こすの駄目絶対、と止めていたので、この件に関しては全面的に理央様が悪いのか。
強さを求めるあまり、はからずも転職先にパワハラ体質を甦らせてしまった理央様は、獣幻郷に入れずに手ぶらで帰宅(笑) すっごい力を手に入れて戻ってくるぜ!と意気揚々と出て行ったのに、財布忘れた……レベルでとぼとぼ帰ってきて、劇中ここまでで最高に哀愁漂う理央様は、ロンに吹き込まれた操獣刀の探索をメレに指示する。
「5人揃って、ゴキレンジャー! じゃにゃーか?」
早口の名古屋弁でまくしたてるダチョウ拳士、パワフルで素っ頓狂な骨董店主がそれぞれかなりコミカルに描かれ、赤黄紫がダチョウと戦う間に、ケンとレツはなんとか煙突を突破。今作前半における「修行」要素を、危険なトラップの突破に置き換えているのが映像的に動きがあって面白いのですが、逆にいえば今作前半の「修行」に欠けていた事の1つは、純粋に見ていてワクワクする、アクロバットな要素であったなと。
“暮らしの中に修行あり”というテーゼと繋げるのに苦慮はあったのでしょうが、改めて、理念先行になりすぎていた感があります。
店主の部屋に辿り着いたケンとレツは、 LSD 謎の薬を嗅がされて幻覚の中でパンダと獅子舞と戦う事になるが、これも打ち払うと、部屋の中で若い頃の店主とバット・リーのツーショット写真を発見してしまう。
「見るな」
そこに出てきて、過去のスキャンダルを暴力で揉み消そうとするリーだが、その正体は、声が池田秀一になる仮面をつけて変装した店主その人。レツに取り押さえられた店主は、娘時代、リーに助けられた事で恋に落ち、しかしリーに捨てられた過去を語り、リーを激しくなじると激獣拳への憎しみの理由を明かす。
回想シーンで、若い娘に抱きつかれて動揺を見せるリーには誠実さの欠片を感じなくはないものの、拳聖の人間的信用度は基本的に0なので、火遊びの後始末に失敗したに違いないという、揺るぎない信頼感。
一方、大口叩く割に弱いと思われたダチョウは乱入してきたメレ様を一撃で弾き飛ばし、その臨技が、攻撃を受ければ受けるほど強くなるものと判明。赤黄紫はダチョウの耐久力を上回る必殺攻撃を叩き込んで撃破に成功するがダチョウは巨大化し、連絡を受けたレツは救援に向かい、ケンは店主を背負ってリーの隠棲する洞窟へ走る。
ケンに促された老婆の姿を見て、まるで離れていた時間など無かったかのように喜んだリー(この時点で迸る、相手の事とか1ミリも考えていない感)は、娘時代の店主からプレゼントされ、今も大事に持っていたお守りを見せる。
「どうして……」
「私は激獣拳に生涯を捧げた男。共に居てはおまえが不幸になる。だがどんなに離れていても、心だけは一緒に居よう。そう思って生きてきたのだ」
なにやら色々と言っていますが、「黙って逃げた」という一点において、100%勝手な男の理屈です。
再び抱きしめ合う2人を謎の幻覚剤で盛り上げたケンは、店主にお節介した理由を照れくさげに語る。
「女の子の涙はさ、嬉し涙以外、この世からなくす。それが、俺の夢なんだよね」
「こんな、ばばあの涙でもか」
「幾つになったって、恋している人は素敵だよ!」
さっぱり言い切るケンは格好良いのですが、バット・リー、そこで力強く頷くのは、凄く違う気がするんですが(笑)
まあ、惚れた腫れたの話は本人達の納得が一番ではあり、店主の心を氷塊させたケンは操獣刀をゲット。ゲキブルー参戦でファイヤー発動したゲキレンジャーは空中ゴリラパンチでダチョウを叩き潰すが、ダチョウは死の間際に自らの臨気を込めた卵を遺し、それは誰にも気付かれぬまま地中へと沈む……。
「所詮こんなもんだっちょー♪」
職場では嘲笑われ、理央様には冷たくされ、ダチョウには一撃でノックアウトされ、いじけモードだったメレ様、いい笑顔で退場。
操獣刀を取り戻したケンは4人と合流し、キャラ的にはケンのいい所を見せる話だったのに、前回の今回でチョッパーの出番が幻覚世界だけで戦闘においてまともな活躍シーンが無かったのは、どうも消化不良。次回まで見たらこれが一応の布石になってはいたのですが、布石としても微妙な効果だったので、チョッパー活躍シーンがやはり欲しかったところ。
いい話で終わりそうになるもさすがにネコに説教されるケンだったが、
「じゃが……含韻ちゃんの100年に渡る苦しみを断ち切れたんじゃ、許してやろう」
と丸く収まり、ネコ、何もかも知っていて傍観していた。
……いやまあ、近い立場だからこそ踏み込めない領域をケンの人間性が突破してハッピーエンドに繋げた、とは云えるのですが、同じく火遊び疑惑も含めて、動かざる賢者であるネコ師匠への信頼感はまた下がってしまうのでした!
なんというかバット・リーがお守りずっと持っていたの、バット・リーの方で一方的に「美しい思い出」に昇華されていただけにしか見えませんからね!
こうして和気藹々と帰路につく一行だが、ところがどっこい……
「あれが操獣刀」
さらりとネコまで誤魔化すステルスしていたメレ様が超格好良く登場し、今回も全て持っていきます(笑)
一方、こっそり帰宅した理央様はステルス失敗してクマ様に咎められ、「どこへも言ってはおりません」と言い抜けようとするが、いや、さすがのクマ様も、2週間ぐらい不在だったら気がつくと思いますよ?!
反抗の気配を隠さない理央にクマが執拗に絡み、再び両者激突の気配……でつづく。
拳聖の過去の悲恋(?)に若者達が首を突っ込む話で、こういったエピソードで不老の獣人の悲哀や苦悩を織り込めばまた拳聖の人間的奥行きも増すのですが、陽性の作風にこだわっている為か、そういった部分には全く触れないのが、どうも良し悪し。すべからく重苦しくすれば良いというわけではありませんが、理央サイドでは重厚なドラマを持ち込んでいるわけですし、多少は散りばめておかないと、最終盤で「えぇ?! そんな要素これまで全く触れていないのに?!」となりそうで、今から心配です。
……いやまあ勿論、拳聖達はそんな葛藤は全く持たない(或いは遠い昔に捨て去った)純然たる拳法バカ集団、という可能性も十分にありますが。しかしもう少し、拳聖達の好感度の上がる仕掛けはあった方が、良いのではと思うわけなのですハイ。これがいっそ、もっと完全に達観しているなら、そういう存在だと受け止められるのですけれども。