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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第19−20話

◆第十九章「復讐の騎士」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
かつて――まだバルバンが魔獣ダイタニクスを駆って銀河狭しと暴れ回っていた頃、その襲撃を受けて壊滅した星の1つこそが、黒騎士ブルブラックの母星であった。
謎の巨影ゴウタウラスと共にバルバンに反抗し続けていた黒騎士だが、弟クランツを人質に取られてしまう。
「あめぇなブルブラック。こんなお荷物しょって戦おうってのが間違いよ。その甘さ、結局なんの足しにもならねぇって事、教えてやるぜ」
剣を捨て、無抵抗で嬲り者にされた黒騎士の目の前で弟は船長の手により無惨に真っ二つにされ、着ぐるみとはいえ、年端もいかぬ少年にエフェクトがばっさり入っていてえぐい。
黒騎士が弟を失っていた、というのは当然リョウマとヒュウガの関係を想起させるのですが、黒騎士の弟クランツが震える手に短刀を握りしめてゼイハブと向かい合うシーンは前々回の勇太少年の姿と重ねられており、黒騎士弟の恐怖に同調しやすいのと同時に、もしあの時、勇太くんが海賊兵にずんばらりんされていたら……? と黒騎士自身の心境も想像しやすくする、という仕掛けが鮮やか。
海賊達は敢えて黒騎士にトドメを刺さずに嘲笑いながら路傍に捨て置き、バルバンへの復讐者と化した男は今、遠き地球の地で3000年の眠りを超えて、弟の形見の短刀を手に、星空を見上げる。
「来い、ゴウタウラス。復讐は始まっているぞ!」
黒騎士の渋い声音とあいまって、ここでサブタイトル入るのがまた、格好いい。
今作、バルバン幹部クラスに豪華なベテランを中心に揃えた一方(茶風林さんの昔からずっとベテラン感はホント凄い……(笑))、各話怪人はアニメ畑の有名声優、というわけではないキャストが多く、黒騎士役も初めて聞く名前だったのですが、抑えの利いた演技が非常にはまっており、何より、ヒュウガである事を期待させた上で、明確にヒュウガではないところでキャラを立たせているのがお見事。
どうしても、やはりヒュウガではなかった、と一度がっかりさせた上で独自の魅力を出さないといけない、という難しいキャラなのですが、声、見せ方、台詞回しなど、よく練られており、特に今回「復讐は始まっている」というフレーズは大変格好良かったです。
その頃バルバンでは、知恵袋としてのプライドをいたく傷つけられた樽爺がブドー更迭の為に讒言を繰り返していたが、船長はそれを退ける。
「ブドー! てめぇに任せた以上そう簡単に交代させたんじゃ俺のメンツも立たねぇ」
「はっ!」
「だが俺も気が変わりやすいからな。あんまり長引くようじゃ、てめぇの命、保障はできねぇぜ」
猛者どもを束ねるキャプテンとしての貫禄を見せたと思ったら、すぐに恫喝してしまう懐の狭さが玉に瑕な船長ですが、この恐怖政治とそれに付随する配下の功名争いが、組織としてのバルバンの特性といえるでしょうか。
「全て覚悟の上」
ブドーは既に配下最強の4将軍を動かしており、その内の一人、砂爆盗が狙うのは「灼熱の星を象りしもの」……すなわち、太陽のオブジェを爆破しようとするオコゼ魔人だが、風を切る形見の短刀!
2月2日、クランツを殺したのは貴様か?!
某有名リベンジャーヒーロー先輩同様、大事な形見で攻撃する人だった黒騎士はオコゼと交戦し、モークがこれをキャッチ。まずはバルバン抹殺が最優先と黒騎士に加勢する5人だが、キバの逆鱗を破った一番槍の虚無僧に続き、4将軍にはバズーカが通用せず、なんと、モークバズーカ、半クールでただの巨大なチクワに!!
ギンガの光にのみこだわる黒騎士は周囲の一般人に構わずショットガンをぶちかまし、赤青緑がこれを必死に止めている間に、オブジェを破壊したオコゼ魔人は撤収。ギンガマンは黒騎士へと詰め寄り憤りをぶつける。
「黒騎士! どうしてこんな無茶をした?!」
「バルバンを倒す為だ」
「おまえ! バルバンさえ倒せばそれでいいっていうのかよ?!」
「そうだ」
「そんな?! どうして?!」
「奴らは私の星を滅ぼした。私の弟を殺した。……そういう事だ」
同じ“悪”と戦うものながら、ギンガマンと黒騎士、両者の手段が明確に衝突し、去って行く黒騎士の背を見送る事しかできないギンガマン
「黒騎士ってさ……私たちと、似てるね」
もともと復讐者としての一面を持っていたギンガマンですが、様々なものを失い、復讐に飲み込まれた者と飲み込まれなかった者、黒騎士の登場による対比からその一面がくっきりと浮き上がると同時に、では復讐に飲み込まれる事なく戦い続けるギンガマンとは如何なる存在なのか”と繋がり、ヒーローが物語られるという、新キャラクターの使い方が鮮やか。
「黒騎士も、ふるさとと弟を」
「黒騎士の戦いは、その復讐というわけか」
「わかるけどさ……俺だってバルバンぶっ潰してやりたいし」
「でも……俺はあんな戦い方は、嫌だ」
「……黒騎士の気持ちはわかる気がするよ。あの時はただ、怒りに我を忘れていただけだと思う」
複雑な思いを抱えながらも黒騎士の戦い方を否定するギンガマンは、対になるもう一つの太陽の彫刻を破壊しようとするオコゼ魔人と激突し、今回も銀河炸裂!
「貴様等を地獄に送り込む!」
そこへ現れた黒騎士は、ギンガマンを苦戦させるオコゼを追い込む武勇を見せつけるが、落としたぬいぐるみを拾いに戻ってきた幼稚園児がオコゼの人質にされてしまい、かつて弟が人質にされた時と同じ状況に陥る事に。
「人質はおまえのお得意だな」
「ブルブラック、ギンガマン、剣を捨てろ」
卑劣なオコゼの指示に従うギンガマンだが、既に何よりも大事な存在を失った黒騎士は、握った剣を離そうとはしない。
「ブルブラック、聞こえねぇのか」
「今の私に人質など意味はない。……貴様等バルバンを倒すのに」
かつての悲劇を背負い、その復讐を心に抱く黒騎士は、人質無効を宣言すると躊躇う事なく歩を前に進め、思わずたじろぐオコゼ。
「てめぇ……なに考えてやがる?!」
「3000年の間、貴様等バルバンを倒す事だけを考えていた」
噛み合っていないのに、噛み合っているのが、素晴らしい台詞(笑)
黒騎士はギンガマンの制止を無視して剣を向けたまま直進していき……大丈夫大丈夫、もし何か問題が発生しても、


「あ! なんて事をする!」 (某B先輩)
「しまった……。秘密を守る為に自爆してしまったんだ」 (某K先輩)
と、大変遺憾です、という気持ちを態度と言葉で表明すれば、意外と流せます。
「貴様……いいんだな」
「やってみろ。だが同時に、貴様の命もない!」
「黒騎士! やめろぉ!」
人質無効の復讐の刃が放たれようとしたその時、必死に組み付いて黒騎士を押しとどめるレッド。
「あの子を死なせるわけにはいかない!」
ちょうど盾になる形でその背にオコゼ魔人の爆煙が直撃し、崩れ落ちた赤を一顧だにせず直進しようとする黒騎士だが、赤はその足に、その体にしがみつき、全身全霊をもって黒騎士の前進を止める。
「駄目だ黒騎士」
直後、更なる攻撃を背中に浴びながらも、赤は黒騎士の体を離さない。
「ここであの子を見捨てれば……どう戦おうと、それは、バルバンと同じだ!」
正義も悪も、突き詰めれば暴力で事態を解決するならば、その違いはどこにあるのか? 普遍的な問い、根源的な呪縛に対して、その一線を高らかに宣言し、ギンガマンとは如何なるヒーローなのか、が血を吐くよう叫びに濃縮されて、大変格好良かったです。
これを言えるのがリョウマである、と主人公としてのリョウマも大きくジャンプアップ。
まとめて爆煙で吹き飛ばされる赤と黒騎士だが、オコゼの注意が二人に向いていた隙に回り込んでいた緑がキバショットを用いて園児を救出し、結果的に囮になった赤が作った機会を逃さずに利用するギンガの民、マジ戦闘民族。
「待て! おまえを倒すのは、この私だ!」
さすがにナノスキン装甲ではなかったらしく、負傷しながらも立ち上がった黒騎士は間接的に弟の仇といえるオコゼに躍りかかるも剣を失って苦戦するが、赤が投げつけた剣を空中キャッチから必殺剣で一撃粉砕。膝を付いた黒騎士の前で最後の力を振り絞ったオコゼはオブジェを破壊してギンガの光がそこに宿っていなかった事を確認すると、エキスで巨大化。
ギンガイオーを繰り出すギンガマンだが、太め体型から繰り出されたまさかのドロップキックの直撃を受けて仰向けに倒れ、更に史上初、鳥頭ボウガンの発動モーション時にカウンターの爆煙を浴びて、驚愕の合体解除。モークバズーカに続いてギンガイオーさえ破り去る驚異のブドー4将軍だが、その時、大地を震わせ、地割れと共に姿を見せる、巨大な黒牛。
それこそ、かつて黒騎士と共にバルバンと戦っていた巨大な影の正体、その名を、重星獣ゴウタウラス!
「黒騎士ブルブラックは、重星獣ゴウタウラスの力によって巨大化し、重騎士ブルブラックとなる」
タウラスからビッグライトを投射された黒騎士は瞠目の巨大化を見せ、鎧の一部が可変し、シルエットがどことなくマッシブになっているのは……脱いだ!というイメージなのでしょうか? ほぼ黒一色だった黒騎士モードとは違い、体の半分ほどが赤くなり、配色は正直……格好悪い(^^;
体型的にラリアットからバックブリーカーとかしそう……と思った重騎士ですが、タウラスの背にまたがっての突進攻撃の後は牛の角イメージとおぼしき二刀流で普通に接近戦を行い、この戦いを呆然と見ているのではなく、地上からキバショットで参戦するギンガマンが、マジ戦闘民族。
ギンガマンに迫ったオコゼの攻撃を防いで赤への借りを返したブルブラックは、タウラス赤熱ホーンで魔人を放り投げると騎獣合身し、二足歩行モードになったタウラスの胴体にはまりこんで、合身獣士ブルタウラス誕生。
どうやらこちらが本命の2号ロボらしく、ブルタウラスは合身するや否や柳生旋風剣でオコゼを斬殺、新たな瞬殺ロボが誕生するのであった。
「私は星を無くしてから、ずっと一人だった。仲間はいらん、ゴウタウラス以外は。それにお前達は甘すぎる。あんな戦い方では、絶対にバルバンに勝てん」
「でも……復讐だけで、手段を選ばないとしたら、それは……!」
「ギンガの光を手に入れ、バルバンを倒す。今の私にあるのは、それだけだ」
共闘を持ちかけるリョウマの言葉を撥ね付けた黒騎士は、ヒュウガの死やギンガの森の封印という5人の事情を聞かされても足を止める事なく、歩み去って行く。
「それでも! おまえみたいな戦い方するもんかよ! 絶対!」
その背にヒカルの叫びが叩きつけられるも、両者の道は未だ交わらず、伝説は激闘と混迷を深めていくのであった……!
実質的に職業戦隊であり、公私ともに明確な目的意識から戦いに対するブレの無い、正統派“正義のヒーロー”であったギンガマンは、圧倒的にわかりやすい反面、良くも悪くも臭みが無い所があったのですが、伝説クラスの戦士にして地の底で熟成された復讐者、という黒騎士の登場によりギンガマンの抱える光と影が明確になり、それらを既に飲み込んでしまっているギンガマンの本質とは何か? が掘り下げられてとても良かったです。
この後、00年代に入って追加戦士が完全に定番になっていくと、逆にここまでシンプルな作劇はやりにくくなっていくのかもしれませんが、追加戦士と戦隊の関係としては、一つのお手本のような用い方。


◆第二十章「ひとりの戦い」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
「俺たちは故郷は無くしたけど、仲間と一緒だし……それに、勇太もいるだろ」
勇太に黒騎士の事情を語ったリョウマの、通じる所のある黒騎士へのフォローを入れつつ、勇太少年に笑顔を向ける好青年ぶりが素晴らしい一方、黒騎士の話題から除け者にされて面倒くさくいじける青山父(笑)
ラクルシェフ・ゴウキの料理が場を和やかにした頃、バルバンではブドーに対抗意識を燃やす樽爺がギンガの光の手がかりを発見するが……それはブドーの下書きだった。
「ははは、ブクラテス、おまえにしては早まったな」
嘲笑しつつも「にしては」と意外と評価の高い樽爺ですが、若い頃はきっとキレキレの策士だったのでしょう……(遠い目)
一方、年寄りのプライドを悪気無く逆撫でするブドーの次の目標は、「夢より醒めるもの」。
「目覚めるとなればすなわち生きているもの全て」
「多すぎる! どうやって探すつもりだ」
「全ての生き物を永遠の眠りに落とせば、ギンガの光は姿を現す筈」
そもそも活動範囲と目標が地球だけではなく大宇宙規模なので、ナチュラルにトンデモない事を言い出しました!
ブドー4将軍の一人、渡世人風の氷度笠(クラゲ)が出陣し、街中に降り注ぐ氷の針をその身に受けた人々は、全て冬眠状態に陥ってしまう。モークがこれを感知し、クラゲ軍団とギンガマンの夜戦において、背後にネオンサインを背負って戦うというシーン演出が大胆な格好良さ。
クラゲの剣技の前に炎一閃が敗れ、次々と氷の針を受けるギンガマン。さしもの戦闘民族も冬眠状態に陥ってしまい、唯一動けるのは、炎属性のリョウマだけになってしまう。
「眠れ……ギンガの光を誘い出す、深く冷たい眠りに落ちろ」
モークすら眠りに落ちてしまい孤立無援のリョウマだが、冬眠状態の人々が耐えられるのは恐らく日暮れまで……というモークの言葉を胸に一人でも戦う覚悟を固め、凍り付いた街の中を飛び回るクラゲの笠を発見。だがその後を追うリョウマ目がけて飛んでくる形見の短刀!
2月2日、クランツを殺したのは貴様か?!
「今バルバンの邪魔をされては困る」
「なに?! どういう事だ!」
「決まっている。ギンガの光を待つのだ。せっかくのお膳立てを利用しない手はない。奴はその後で、倒す」
「そんな事してたら、みんな死んでしまう! どいてくれ!」
「多少の犠牲は仕方ないだろう」
躊躇なく断言し、リョウマに剣を向けて妨害する黒騎士は思った以上に道を踏み外しており、しかし、こういう情念の深さの描き方が、信用できるところです。
下手な物語だと、この行動基準を話の都合で軽く扱ってしまうのですが、黒騎士が復讐の為にどこまでやるのか、というのはすなわち、黒騎士が復讐に懸ける思いの強さを示すのであり、黒騎士というキャラクターの核と密接に繋がっている、という意識がしっかりとしています。
「今言い争っている暇はない!」
銀河転生した赤は黒騎士と激突するが、3000年戦士を上回る力を見せる、復讐の騎士。
「仲間と馴れ合い、守るものを抱え込んでいる限り、バルバンと対等に戦う事はできん! 貴様のこの弱さが、その証拠だ!」
「それは違う!」
今回も出鱈目に散弾をばらまく黒騎士から、冬眠中のネコをかばったレッドは、そのダメージで変身解除。
「それだ……その甘さだ。守るものがある限り、それは弱点となる」
「でも俺は……今までそうやって戦ってきたんだ! そのせいで弱いなら、弱くったっていい! その代わり俺は、何度でも立ち上がる! 守りたいものがある限り!」
前回今回と、リョウマが黒騎士と向き合い、戦士として拠って立つところを自分の言葉にする事で、男っぷりと主人公度が大変上がりました。
「何もかも犠牲にして勝ったとしても、その後に何があるんだ。あなたの戦い方では、終わった後に、何も残らない!」
「貴様ぁ……」
そしてここでポイントなのは、リョウマは黒騎士の復讐そのものは否定していないという事で、ここで黒騎士の復讐を否定すると、リョウマ(及びギンガマン)の中にあるものをも否定する事になってしまうのですが、リョウマはそれをしない。
復讐しても何も残らないのではなく、復讐の仕方を間違えると何も残らない、復讐を果たし、勝利の後に何を得るかに視点があるのが、実にギンガマンらしいといえます。そして、なぜ復讐の仕方を間違えてはいけないかといえば、復讐の為にバルバンと同じになってしまうなら、復讐を果たした後に残っているのは、新たに生まれた、復讐されるべき悪だから、というのが、今作のヒロイズムといえるでしょうか。
睨み合う二人だが、その時、浮上するギンガの光。
黒騎士に火炎放射を浴びせたリョウマは馬にまたがりその後を追い、同じく馬に乗って光を掴み取った三度笠だったが、それは偽物。人々を救う為にリョウマは馬上で銀河転生し、挿入歌をバックに始まる騎乗戦闘は、スピード感のあるカットでなかなかの迫力。
「無駄だ。貴様と私とでは実力が違う!」
だが、剣技では赤を上回る三度笠に滅多切りにされ、倒れるレッド。
(やるしかない。勝つしかないんだ。みんなを守る為にも)
実力差は歴然ながらも、守りたいものの為、弱さを超えて再び立ち上がった赤は、ノーガード仁王立ちから抜刀術へ捨て身のカウンターを炸裂させ、敗れた三度笠よりも勝ったレッドの方が体を倒しながらの泥臭い剣術、というのが面白いところ。それこそ往古の東映時代劇を思わせる一騎打ちでしたが、一部スタッフの趣味が色濃く反映されたのでしょうか(笑)
「……もう一人、居たというわけか……」
思わぬ言葉を残してクラゲ笠は大爆発し、その背に付き立っていたのは、形見の短刀。
「言った筈だ。貴様の力では、バルバンには勝てんとな」
黒騎士と赤が睨み合っている間にクラゲ笠は巨大化し、傀儡太夫戦で出番の無かった銀河ライオンが今回はソロで戦うも苦闘を強いられているところに、牛と黒マッスルが乱入。
「貴様は私の星で何人殺した」
「知らん。一人でない事は確か」
「そうか。……許さん」
黒マッスルは一騎打ちでクラゲ笠を切り払い、メカライオンの火球が炸裂後、機獣合身から今回も一撃必殺。バルバンでは偽のギンガの光によりクラゲ笠とギンガレッド、黒騎士をぶつけ、ブドーの作戦妨害に成功した樽爺とイリエスが溜飲を下げて高笑いし、イリエスは樽爺の姪という血縁関係が判明する。
クラゲ笠の死により氷の針の効果は消え、平穏を取り戻した世界で、視線をぶつけるリョウマと黒騎士。
「貴様等にバルバンは倒せん。いつかはその甘さが、命取りになる」
「……認めない、黒騎士。俺はあなたの戦い方を」
黒騎士は本日もマントをなびかせ、孤独に去って行くのであった……で、つづく。
前半早々にメンバー4人がリタイアし、サブタイトル通りにほぼリョウマ単独で進行するという展開の中で黒騎士との対比が更に進められ、過去のトラウマから孤独である事を強さに繋げようとする黒騎士に対して、
「俺たちは故郷は無くしたけど、仲間と一緒だし……それに、勇太もいるだろ」
という冒頭の言葉をエピソードを貫くテーゼと置き、ギンガマンの戦い方、ギンガマンの持つ強さ、をあぶり出す事で、“ひとりの戦い”を通してむしろ仲間の意味を描く、というのが実に戦隊していて、好エピソード。
また、実力を背景に殴ってくる黒騎士の理屈に対して、確かに実力不足を露呈しながらも、「何故そうあってはいけないのか」というリョウマの理屈にしっかりと説得力があるのがお見事でした。
前回今回と、黒騎士の背景から導き出される他者の命に対する価値観・ギンガマンは黒騎士の戦い方を否定するがその心情は否定しない・だからリョウマは黒騎士に対して安易な綺麗事で殴り返さない、と、一歩踏み外すと腰まではまってしまいそうな落とし穴を華麗に回避して走り抜けていたのも、非常に優れたバランス感覚。
難を言えば、「4将軍」というだけでは説得力の上積みに限度があり、バズーカとギンガイオーの弱体化が唐突になりましたが、思想信条において相反する黒騎士と向き合う事でリョウマが大きくジャンプアップしたのは好材料で、ここからギンガマンと黒騎士がいかなるところに“本当の強さ”を見出してバルバンに立ち向かう事ができるのか、今作の見せてくれる解答が楽しみです。
次回――「ゴウキの涙がトマトを濡らす」。
妙に予告が格好いいのに、キーワードは「トマト」でいったいどうなる?!