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『鋼の錬金術師』話返し

本日ちょっと、id:Louisと色々と馬鹿話をしていた中で、このマンガの話が。
http://d.hatena.ne.jp/Louis/20040926#p8
id:Louisはどうも、マンガの面白さは認めた上で、“錬金術の範囲が不透明”、な事に今ひとつ引っかかりがあるそうで。
まあ私も確かに「大佐は火しか出せないのか?」というのは常々疑問であったのですが(笑) 一応、自分を納得させる理屈としては「得手不得手」という事で良いんじゃないかなーとは思っているのですが。
つまり、大佐だって扉とか作れるんだけど、猫ぐらいしか通れない、とか。エドだって火は出せるんだけど、煙草に火も点けられない、とか。そんなわけで得意かつ好みのものばかり練習している内に、錬金術師はみんな出来る事が偏っていくと。
イズミ師匠は堤防とか作ってましたが、スタイル的にも分類するなら“生活系”なのかなーと。そう考えると、エドとかアルの得意分野が階段とかとかに偏っているのは、そういった方面の勉強を主体でやっていた為でないかと。生活というかなんか、土木系かもしれませんが。アルなんかはきっとその内、“土木の錬金術師”とか呼ばれるようになるわけですよ(おぃ)
大佐に至っては下手すると、火の造り方以外忘れているんじゃないかと。
……てこの辺り、既に作中で言及されていたりしたら、恥ずかしい事を延々書き並べてきた事になりますが(^^; 確か特に、言及されていなかったとは思いますが。……まあでも、その辺を濁しておくのは、少年マンガ的な余裕の持たせ方であって、別に良いかなと私自身は思うのですけどねー。
とりあえず今の所、エドがいきなり炎出したり、大佐がいきなり階段作ったりはしてませんし、そーいう部分で読者に対してフェアを守っている分には、構わないのではないかな、と。
Louis氏が引き合いに出している荒木飛呂彦なんかの場合はむしろ、読者に対するフェアさをほぼ全く無視しているわけですし(笑) 逆に、それで面白いマンガを成立させているという所が、あの人の漫画家としての凄い所でありますが。ジョジョの魅力というのは、有る意味ではアンフェアの魅力であるよなーと。
例えば
「真ん中高めのストレート」「真ん中高めのストレート」「真ん中高めのストレート」
と承太郎は思ってたけど、実は“隠者の紫”がコントローラーを操っていた!!

とかもう、本当なら、やってはいけない事の線を乗り越えた先で宙返りしているようなネタだと思うのですが、話運びや演出の力と合わせて、そういった方向性の繰り返しを面白さに転化してしまう所のパワーというかエネルギーというかは素晴らしいよなぁと。
(例えば逆に、このアンフェア展開をうまく出来ていない典型例だったのが『遊戯王』)
……ああなんか、いつものように話が明後日の方向にずれましたが、緩い縛りの中でしかし実はフェアな展開をしている、というのは『鋼の錬金術師』の一つの長所であると思います。まあ、緩い縛りなので“いつでも崩せる”わけですし、作者自身“いつか崩そう”とも思っているのかもしれませんが。逆にこれ、“最後まで崩さない”で描ききったら、荒川弘の漫画家としての力量はかなりの物だと思います。