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『特警ウィンスペクター』感想12

◆第19話「愛と勇気の父子橋」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
元刑事の父を持つミキオ少年は、母親が既に亡く、父親が正面から構ってくれない寂しさもあってか、近所でも有名な嘘つき少年で、クラスメイト達からいじめられていた。そんなある日、ミキオは世間を騒がす連続押し込み強盗の現場を見てしまう。犯人の足下しか見ていなかったにも関わらず、元刑事の父親への思いから、「顔を見た」と言ってしまうミキオ。現場の野次馬に紛れていた犯人は、ミキオと刑事の会話を聞き、彼の命をつけ狙う……。
「部下を負傷させた犯人を取り逃がしたために解雇された」という事になっているミキオの父、森田英夫の姿を見て、「息子が息子なら親も親」と本人達を目の前に口走る六角刑事がけっこう酷いのですが、さすがに竜馬さんに怒られました(笑)
実は英夫が犯人を取り逃がしたのではなく、油断して負傷した上で犯人に逃げられた部下の責任を取る形で、自ら辞表を提出していたのだが、事情を聞いて手出し口出ししたそうな竜馬に、「親子の問題だから」と釘を差す本部長(笑)
一方、ミキオ少年がビルから突き落とされて間一髪で助かり、特警を訪れた英夫は、もう一度自分の息子を正面から向かい合う為にもと、自ら息子と共に囮になる事を願い出る。
が、本部長、拒否る。
今日の本部長は、割とドライ。
まあこの方が、偉い人らしいのですが。
いくら元刑事でも、ほいほい民間人を囮に出来るわけもなく、竜馬さんにもほだされません。
もっとも、元刑事であり刑事時代を知っている英夫が簡単に引き下がるとは思わないと、竜馬らにフォローを指示。
……まあ、英夫がどうしようが、犯人はミキオを狙ってくる事は間違いないので、誰が何をどう思おうが関係なく実質、囮です。
拒否ったのは、建前というやつです
言質を取られると、後で、色々、まずいから、主に法的に。
そんな正木の黒い思惑はともかく、犯人を誘き出そうと、山深い渓流地帯に、釣りへ出かける森田親子。
アウトドアルックでそれとなく追う竜馬と純子だったが、事件現場で犯人に顔を覚えられており、刑事である事を気付かれてしまう。ハイキング中の親子連れに襲いかかる犯人。悲鳴を聞きつけた竜馬が駆けつけると、そこに合ったのは、悲鳴を録音したテープレコーダーだった!
竜馬が身を翻すよりも早く、足下・大爆発
吹き飛ぶ竜馬。
爆発を聞きつけて竜馬を追った純子は、川岸で倒れる親子連れを発見。駆け寄った所を、狙撃を受けて負傷する
……何者ですか、犯人
あれか、外人傭兵部隊とかに居たのか。
あわやという時に森田親子が現れ純子は助かるが、今度は当然、森田親子を追う犯人。
森田親子は、囮になるのはいいけど、ただ逃げているだけで、どうするつもりだったのか凄く謎。結局こちらも、多分なんだかんだ言って特警が助けに来てくれるよね、と考えていたとしか思えません(^^;
あぁ、オトナのやり取りは汚い。
更に救援に駆けつけたウォルターをダイナマイトで吹き飛ばした犯人は、森田親子を吊り橋に追い詰める。以前に犯人にビルから突き落とされそうになった経験から、高所へのトラウマで恐慌状態に陥るミキオ少年。英夫は犯人に挑みかかるが、簡単に蹴散らされてしまう。……いやホント、囮になってどうするつもりだったのか、父。息子の命もかかっているのだが、父。
危うし森田親子、という所で、爆発を何とか切り抜けていた竜馬が「着化」して登場。眼下にダイナマイトを投げまくる犯人。
今日は無駄爆発。
最後は復活したウォルターが犯人の隙をついて少年を助け、犯人がまとめて吹き飛ばそうとしたダイナマイトはファイヤーが高速移動により空中で爆発させ、吊り橋の破壊を回避。久々の飛行アクションなど、各キャラクターの持ち味が発揮されたアクションシーンとなりました。
難を言えば、最終的に父の呼びかけで高所へのトラウマを克服しただけで、父と子の再生が、犯人の逮捕劇とはほぼ関係なかったのが、残念。親子仲は修復されたようですが。ここは少年が吊り橋の上で立ち直るのが犯人の隙を突くとか、父の気合いと愛情が犯人を怯ませるとか、そういう展開を入れてほしかったところ。
父、追い詰められて自棄になった犯人が、ヘリを用意しないなら吊り橋ごとまとめて爆破してやる、というのに対して「本当に覚悟できてるならやってみろ!」とか煽るのですが、その煽りは犯人の逮捕に特に繋がっていないので、やはり何も考えていないようにしか見えません(^^;
父の台詞の後で、下から飛んできたウォルターが犯人の足を掴んで捕まえるのですが、いまいち、犯人の気が父親に向いた、という絵にはなってはいず、シナリオ上はそのつもりだったとしたら、演出的に失敗。
というわけでちょっと詰めが残念でしたが、犯人と目撃者ネタに、親子の情愛と再生を絡め、刑事ものの定番を押さえながら無駄に爆発を引き起こす犯人、と実に『ウィンスペクター』らしい1本。
まだ特に伏線とかもないけど、その内、竜馬さんと親の話とかもあるのかなぁ。
竜馬さんは微妙に親子ネタに食い付きがいいので、ただのヒーロー属性ではなく、出来れば踏み込んだ背景が欲しい所。


◆第20話「熱いKOパンチ!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
久子の喫茶店に飲み物を納めている相沢酒店の青年・相沢圭二は、久子に好意を持っているが、正面からデートにも誘えないぐらい、不器用で気弱。せっかく用意したコンサートのチケットも手渡す事が出来ず、カウンターに置いて逃げるように店を出てしまい、良太に励まされるぐらい。
ここで良太に軽くパンチされるも弾き返す鋼のボディ、と伏線が入っているのは秀逸。
あと、久子さんの喫茶店に竜馬以外の客が入っているのを、初めて見た気がします(笑)
それにしてもコンサート、ベルリンフィルとは奮発したなぁ……と思って一時停止して確認したら、なんとサントリーホールA席! 23,000円!
えーとそれはあれだ、初デートに誘うには、ちょっと重いぞ相沢。
映画ぐらいにしておけ相沢。
誰の入れ知恵か知らないが、値段で縛るのはどうか相沢。
そんな相沢はある夜、飲んだ帰りに素手のパンチでATMを破壊するという強盗を発見。取り押さえようとするが、アッパーカット一発でノックダウンされてしまう。
相沢が見たのは、最近世間を騒がしている連続現金強奪犯であった。覆面姿で青白い光を放ち、素手のパンチでATMを破壊するという凄まじい手口だが、逮捕に繋がる決定的な手がかりは見つかっていない。改めて目撃者の証言を集めに動いた特警は、久子から、最近相沢の様子がおかしく、ボクシングジムに通いだしたらしい、という事を聞く。
その相沢が出したと思われる、新聞の3行広告を見た竜馬は、相沢の通うボクシングジムに向かう。
あくまで白を切る相沢にいきなり不意打ちでパンチし、その回避と反撃の動きから、「昨日今日始めたボクシングじゃない」と問いつめにかかる竜馬さんが、ちょっと格好いい。
実は高校時代はボクシング部だった相沢、強盗に受けたアッパーカットが高校時代のライバルのパンチだったと確信し、体を鍛え直し、彼を止める為に挑戦状を出したのだった。果たして、挑戦状の日、相沢の前に、かつてのライバル成田が姿を見せる。
「目を醒ますんだ!」と言いながら、なぜか後ろから殴りかかる相沢(おぃ)
しかしその一撃は交わされ、反撃でダウン。待機していた特警は成田を囲むが、成田がベルトの装置のスイッチを押そうと青白い光が彼を包み、そのパンチの一撃でバイクルとウォルターを瞬殺。
冒頭のATM破壊だけでも充分に異常ですが、ここで弾除け能力の高いバイクルとウォルターをパンチ一発で撃破する事で、成田のパンチ力の凄まじさが補強されるという展開は秀逸。
更にそのパンチには威力だけではなく電子回路がショートするという副次的な要素もあり、竜馬は急ぎバイクルとウォルターを運んで特警本部に撤退する事になる。バイクルとウォルターの被害から判明したのは、成田が全身を電磁バリアで覆っている事。その為に、拳にまとった電磁波が電子回路をショートさせたのであった。
この事から一人の男、電磁バリア研究の第一人者・兵藤博士の名前が捜査線上に浮かび上がる。
「彼の研究目的は、強力な電磁バリアで全身を包み込んだ、世界最強・無敵の兵士軍団を量産する事です」
……待って!!
マドックス、凄くさらっと言っているけど、ちょっと待って!!
どれだけこの世界の日本は、世紀末救世主伝説なのか。
だが、兵藤博士は2年前に事故で死亡している……筈だった。
「いや、表向きは亡くなった事にして地下へ潜り、密かに研究を続けていたとしたら……」
斜め上の推論に飛びつく正木。
どうして、地下へ潜る必要があったのか
聞く限り、滅茶苦茶オープンに研究していたのに
一方、プロボクサーを目指していた成田は、半年前に右目の視力を落としてボクサーの道を断念、荒れた生活を送っていた事がわかる。
道を踏み外した成田は兵藤博士にスカウトされて研究に協力、研究費用を集める為に現金強奪を繰り返していたのだった。
「この私に魂を売ったのだ、忘れるな!」
とか、マッドサイエンティストが出てくるのそういえば久しぶり?
バイクルとウォルターの修理を終えた特警は、博士の根城を探し出すべく、電磁バリアの痕跡を追って捜査を開始する。
その頃、久子は相沢から、成田にまつわる過去の事情を聞かされていた。
話を聞いて、今まで「ただの不器用で気の弱い男」だと思っていたと、眼中になかった事を明言。ヒドイ。まあ、私の中では久子→正木なので、こういう反応が妥当なんですが(笑) 正木かどうかはともかく、久子さんはファザコン気味の年上好きだと思います。小学生の弟抱えて喫茶店経営と隠密同心などしているので、包容力と生活力のあるタイプでないと。
ところでゲストキャラの相沢は、爽やか系のいかにもスポーツマンな二枚目で、元ボクシング青年という役柄に非常に合っているのですが、仮面ライダーとかに変身しそうな顔だよなぁと思ったら、むしろもう変身していました。ジライヤでした。世界忍者戦でした。
対する成田も似た感じの二枚目でちょっと見た目被り気味なのですが、こちらは調べた限りでは特にそういうお仕事なし。
今作はドラマ重視という事もあって、序盤からゲストキャラの配役には力を入れているのですが(特撮における常連キャスト、とはまた違った意味で)、今回は特に、いかにもな好青年役がはまるゲストとなりました。
そして遂に兵藤のアジトを発見し、突入するウィンスペクター。珍しく、敵アジトに乗り込む前に着化する竜馬。
バイクル、久々に地面を走る……が、役に立たず。
謎の射撃武器を操る博士に今日も苦戦するバイクルとウォルターですが、やっぱり対人戦闘では普段はリミッターかかっているのでしょうか。死神モスのアジトで大暴れした時は強かったしなぁバイクル。
博士を置いて逃げ出した成田も、電磁バリア発生装置をファイアーに破壊され、追い詰められる。そこへ駆けつける、正木、純子、久子、そして相沢。久子の頼みもあり、ファイアーは成田との決着を、相沢に任せる。
川辺で殴り合う二人。

「何が反則だよ、ボクシングやってんじゃねえんだよ」
「ボクシングだよ、ロープもマットもグラブもない。けどさ、俺達今、リングに立ってるんだよ」

というわけで
スト2分あまり、ひたすら川の中で激しく殴り合う男二人
最後はダブルノックダウン。
いや、『ウィンスペクター』らしくて、好きです、これ。
やりすぎるとあれですが、変身アクションを早めに終わらせて、男二人の友情の殴り合いで決着つけるとか、実にらしい。時々こういう変化球を作風に合わせて入れてくれるのは、嬉しい。加えて、ここまでドラマをしっかり積み重ねているので、それが成立しているというのが、素晴らしい。
吹っ切れたのか、川の中に倒れながら、笑い合う二人を見て、「これで成田も立ち直れるだろう」と、呟く正木。
そして
「彼等は信じた。熱い友情が、成田アツシの人生の第二ラウンド開始のゴングを打ち鳴らすに違いない」
というナレーションでオチ。
…………あ、あれ?
流された!
超流された!!
23,000円の行方は?!!!!
2分も殴り合っていたから(OP・ED含めて24分程度の番組の2分は長い)、恋ネタのオチをつける時間が無くなったのか、フられるシーンを描くのが忍びないから、殴り合いが長くなったのうか(笑)
相沢酒店の明日はどっちだ?!
ところで竜馬さんは、スーツが重いのか、暑いのか、蒸れるのか、ヘルメット外して顔だけ出している時に、凄い疲れた顔している事があるのが、気になります。今回はちょっと、顔色悪かった気がする。
パワーアップ展開を挟んでの2クール目に入って、少々後半のバタバタしたエピソードが続いていましたが、変則パターンにする事でアクションシーンがすっきりし、シナリオもまとまった良エピソードとなりました。
――次回、とうとう女刑事回!
しかし予告が盛り上げている時は要注意だ!