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『特警ウィンスペクター』感想23

◆第39話「悲しい老怪盗」◆ (監督:新井清 脚本:新藤義親/宮下隼一)
前科10犯の古美術専門の怪盗・忍びの赤六(60歳)が、国宝指定の仏像を強奪し、空から陸から捜査線を張るウィンスペクター。自前の道具ですいすいとビルの壁をよじ登り検問解除を待とうと一服していた赤六(本名:赤井六助)だが、突如、シルクハットに黒マントの怪人に銃を突きつけられる。ビルから突き落とされる赤六だがウォルターに助けられ、黒マントの男は赤六の盗んだ仏像を奪い去る。
微妙に自分から飛び降りているように見えるのですが、後を考えると、心臓発作が出たという演出なのか?
ここまで有りそうで無かった「怪盗」というアナクロなネタは面白く、それに銃をつきつける謎の覆面黒マント(怪傑ゾロ?)と掴みの展開は上々。
赤六が盗んだ筈の仏像が見つからない事から、持病の心臓発作が出て入院した赤六に、ビルの上で何があったのかを問いつめる竜馬だが、「逮捕状もってこい」「登山の練習だ」と赤六はふてぶてしい。その赤六を狙撃する、黒マントの男。咄嗟に赤六をかばって竜馬は腕を負傷。
かわって純子が、犯人を追う!
散々ネタにしていた為か(違うと思います)、純子さん、まさかのカーチェイスシーン!
やった、やったよ、見せ場だよ!!!
しかし、取り逃がす
……純子さんだから仕方ない。
これまで赤六の盗んだ古美術品が全て海外のブラックマーケットに流れている事から、赤六の背後に黒幕が居るはずと推察している特警は、その黒幕が命を狙っているに違いないと赤六を説得するが、「あの人がそんな事する筈がない」と赤六はあくまで黒幕について口を割らない……まあ、「あの人」発言の時点で、“誰かが居る”のはバラしているんですが(笑)
20年前、貧乏美術鑑定家だった赤六は、世話になった“あの人”の為に数々の鑑定書を偽造、あげくには自ら古美術品の窃盗を行うに至り、逮捕。警察との捕り物の最中に、誤って自分の息子を包丁で傷つけてしまう。服役中に妻は病死、“あの人”に預けていた息子タツオも病死したと聞かされた赤六は出所後、“あの人”の言うがままに泥棒稼業を続ける事となる……。
その頃、狙撃手を見失った辺りのビルを虱潰しに捜索していた純子は、最後に残った会社ビルの前で押し問答をしていた。赤六の見張りをバイクルと交代した竜馬(片手包帯)も加わるが、結局、姿を見せた社長の稲垣にはぐらかされてしまう。その時、稲垣の息子で専務の清の右腕に、古い切り傷の痕を見つける竜馬。
稲垣の会社<イナガキ・インターナショナル>が海外に美術品販売のルートを持っている事から、やはり怪しいと目星をつける特警。一方、心臓発作の演技でバイクルを誤魔化した赤六(というか、どうしてバイクルに見張らせる)は病室を抜け出し、稲垣に詰め寄っていたが、逆に捕らわれてしまう。
今回、シナリオで一番の穴は、“稲垣がどうして赤六を切り捨てる事にしたのか”が語られない事
「自分の身辺に捜査が及ぶ事を恐れた」というのはわかるのですが、赤六、前科10犯なので、今になって急に始末する理由としては弱すぎます。
逆に、忠誠心の強さは、ハッキリしているわけですし。
赤六の年齢も考えた上で、心技両面に置いていつまでも信用できなくなった、というのを理由とするにしても、その一押しとなる出来事がある、というのが“フィクションの劇作”というものであり(例えば、新しい泥棒の配下が出来た、とかでもいいわけです)、そこを描かなかった事で、物語の軸がぼやけてしまいました。
会社ビルから取引に使っている倉庫に移動した稲垣は、赤六、そして、目立ちすぎた清を始末するように部下に命じる。その時、清の腕の傷跡に気付く赤六(稲垣がなるべく赤六と清を接触させないようにしていたのかもしれませんが、ここで始めて、清の腕の傷に気付く、というのも少々厳しい。まあ全体的に、稲垣回りの描き方が杜撰)。
赤六の行方を追っていた竜馬は、現場から走り去ろうとする稲垣を捕捉。
追跡を開始し、ここまで巻きっぱなしだった腕の包帯を、外す。
以前に変身シーンに凝りにくい点について触れましたが、直接の変身シーンではないものの、クライマックスに入る前の所の演出で、ちょっと工夫してきました。好演出。
ウィンスコードの追跡に気付いた稲垣は、窓から手榴弾
着火した竜馬はそれを切り抜け、稲垣を逮捕。
その頃倉庫では、自分の息子タツオかもしれないと気付いた清を逃がす為に、稲垣の部下相手に、赤六が齢60とは思えない大立ち回り。
というか部下、仏像に向けて撃つな
そして駆けつけたファイヤーが、いきなりマキシムモードで壁を撃つ!
……設定から考えると、倉庫ごと消滅しそうなんですけど。
鳴り物入りで登場したものの、ここ4話連続でスルーされていたので、無理矢理に出した感満載(笑)
稲垣の部下二人は逮捕されるが、稲垣に切り捨てられ警察に囲まれ、自棄になった清は落ちていた銃を拾い、それを赤六に向ける。竜馬はそんな清に向けて、彼は稲垣の養子であり、本当の父親は赤井六助なのだと告げる。
「誰が君を銃弾から守ろうとした!」
20年前、逮捕された際に赤六は自分の息子タツオを稲垣に預けていた。稲垣は病死した自分の息子にかわって、タツオを自分の息子とし、赤六にはタツオが病死したと告げて育てていたのだ。
悔悟と謝罪の念から、自ら銃口を心臓に突きつけさせて「自分を撃て!」と叫ぶ赤六。だが清=タツオは引き金を引くことは出来ず、銃を取り落とす。
20年ぶりの親子としての再会、そして涙の抱擁。
何かを思い出すかのように、視線が横へと動く竜馬さん。
やはり、父親関係で何かあるのかなー。
普段の竜馬なら、真っ直ぐ見つめた上で、場合によってはいい笑顔を浮かべると思うのですが。
終盤に向けて演出で伏線を張ってきたのだとしたら、面白い。
こうして事件は解決した。果たしてあの二人はうまくやっていけるだろかと問う純子に、正木は語る。
「全てはこれから始まるんだ、これからな」
――という台詞の後に、逮捕されてお縄をかけられた二人が署内(?)ですれ違うシーン
すれ違って数歩離れた所で、赤六は弱々しく振り返る。
タツオ……」
そのまま無言で立ち去るかと思われたタツオだが足を止め、かすかに首を向ける。
「オヤジ、心臓、大事にしろよ」
そして二人はそれぞれの方向に歩いていき、物陰から姿を見せた竜馬は、そんな二人の背中を、顔を合わせる事なく無言で見送るのだった……。
……渋い、渋すぎる!!
特警本部の純子と正木のシーンで表向き綺麗にまとめて「これにて、一件落着!」的に終わるのかと思いきや、二人がそれぞれ、しっかりとお縄をかけられている所(ここがまたいい)を描写した上で、なし崩しに和解はしないがそれでも一歩を前進した所までは描き、それぞれを無言で見送る竜馬を加える。
いや、素晴らしい。
今回のエピソードは、犯罪に手を染めたせいで生き別れた父子の葛藤と再会、というベタなネタを軸にしている割には脚本としての出来はあまり宜しくなかったのですが、このラストシーンで全て払拭。
これぞ『ウィンスペクター』!という格好いいラストでした。
次回、

四国高松は今、嵐の真っ只中!

物凄く不安を煽る予告、しかも<パート1>と来ましたが、一体全体どうなるのか。