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『特捜エクシードラフト』感想2

先週分。
◆第3話「赤いスペードの影」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
デパートの店長室乗っ取り事件が発生! デパート各所に高性能爆弾を設置した犯人の要求は、デパートを平常通りに営業したまま、服役中の犯罪者・ビル岩城を釈放して連れてこい、というもの。
実は1年前、岩城を逮捕したのは隼人であった。しかしその時、隼人をかばって同僚の栗田刑事が死亡。因縁浅からぬ岩城と面会した隼人から犯人の要求を聞いた岩城は、何故か「釈放なんてまっぴらだ」と激しく怯えだす……。
一方、仕掛けられた爆弾を調べた耕作と拳だが、爆弾は解体不能。犯人グループの持つ起爆装置を直接押さえる為に、隊長が岩城に変装し、耕作とともに店長室へと突入。だが二人組の犯人は、人間ではなくヒューマノイドロボットだった!
今作では、外見からは人間と判別できなヒューマノイドは、ハイテクではあるものの実用化が進んでいるという設定の模様。
別のビルから店長室の様子をうかがっていた真犯人は爆弾を爆発させようとするが、本部長のフォローで駆けつけた拳によって逮捕される。その真の目的は、ビル岩城の解放ではなく、抹殺。しかもデパートの客達を巻き添えにしても構わないという、恐ろしいものであった。
これにて事件は解決……かと思いきや、ヒューマノイドロボットが、自爆。
人質になっていたデパート店長と事務員を連れて、逃げ出す隼人と耕作。しかし、銃撃によって負傷、出血の激しい店長を気にしていた二人は、背後で事務の女性が転んだのに気づかず、爆発で崩れ落ちる上階に置き去りにしてしまう。
デパート脱出後、女性がついてきていない事に気づいた二人、拳を交えて、慌てて「実装」! 3人は燃えさかるデパートの中へと乗り込んでいく!
一方、逮捕した真犯人と顔を合わせた本部長は、男が殉職した栗田刑事の父親だという事に気づく。
経営する会社の跡継ぎとして期待していた息子が刑事となり、そして職務中に死亡したという事が彼の心を歪ませ、無軌道な復讐に駆り立てていたのだった。息子(ヒデオ)の殉職を犬死にだったと言う栗田父に、
「彼は、人間としての理想に生き、燃え尽きたんだ!」
と、好々爺と思われた本部長、けっこう熱い。
実は栗田ヒデオは隼人の同僚であると同事に、本部長の元部下でもあった。ヒデオがいったい何を考え、父親の期待を裏切ってまでも刑事として生きていたかを、切々と語る本部長。
犯人及び事件の背景説明と、3人のレスキューシーンを完全に分けて、並行して描くというのは本部長のキャスティングも効いて、面白かったところ。正木は正木で好きですが、新・本部長は、非常に良い立ち位置と雰囲気になっています。
ちょっとした疑問としては、ビル岩城を逮捕する1年前の回想シーンの場所がパリである必然性が全く無いと思うのですが、どうしてパリなのか。ヒデオが「インターポールだ!」とか名乗っているけど、二人とも本部長の部下だというし(^^; まあ当時、出向していたという事かもしれませんが、無駄に不自然というか「インターポール」って使いたかっただけみたいな。
あと正直、あの爆発でヒデオがどうして死んだのか、さっぱりわかりません(^^;
爆発で飛んできた破片なりが突き刺さったりしたという事なのでしょうが、ここはもう少し、演出的になんとかしてほしかった所です。
その頃、燃えさかるビルに飛び込んだ3人は、事務員の女性を発見。崩れそうになる建物の中を、エレベーターシャフトを利用して見事に救助と脱出に成功する。
本部長「隼人は言った。ヒデオは死んではいない。レスキュー捜査を続ける自分の中に、ヒデオの、彼の理想も永遠に生きている、と」
任務を達成し、ヘルメットを脱いだ隼人の中に、亡き息子を見る栗田父。
本部長と一緒に居るのが栗田父だと気付き、無言で、事件の事情を理解する隼人。
ここは、無言なのが、いい所。
後日、事情聴取により、栗田の背後に黒幕が居た事が判明する。黒幕は栗田に復讐をそそのかしてヒューマノイドなどを提供、ビル岩城の抹殺をはかろうとした、世界的な犯罪組織であった。その特徴は……スペードの入れ墨。岩城の指に入れ墨があった事を思い出した隼人は改めて岩城に話を聞きに行こうとするが、岩城は組織に狙われているという恐怖から、刑務所の中で自ら命を絶つのであった……。
デパート丸ごと吹き飛ばそうとするなど、さすがにフルスロットルすぎる栗田父の背後に黒幕が居たとする事で、うまく栗田父の行動に理由付けしつつ先への伏線も広げ、展開としてはすっきりしました。
前2作ではタブーにしていた“ある悪の大組織”を登場させる事で、前作では暴走気味だった宮下リアリズムも、うまく物語の中に収まった感じ。
ただ、前作でおざなりにされがちだったレスキューシーンを強調して盛り込んでくれたのは嬉しかったのですが、そもそもの発端が隊長と耕作の致命的ミスというのは、どうにかならなかったのか(^^;
後で大問題になるレベル。
あと彼等のスーツには、酸素パックとか通信機とかついてないのか。どうして燃えさかる建物内部で大声で連絡取り合いますか(笑) 演出としても通信機などの方が、格好良かったと思うんだけどなぁ。
その辺りの詰めの足りなさは気になりますが、過去の出来事と現在の事件を結びつけて本部長と隊長の背景を描き、エクシードラフト、という組織の理念も描く、と上々の滑り出し。
次回、

「謎の犯罪組織、ついにその姿を現す。その名を、スペード!」

まんまですね……。


◆第4話「生体兵器少女」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
かつて放火犯を改心させた事から、「火事だけでなく人の心に巣くう悪の炎も消したい」とエクシードラフトに志願した大熊拳。
かつて自首させようと説得を試みた犯人に殺されかけた事から、犯人逮捕にこだわり腕を磨き続け、その一環としてエクシードラフトに志願した村岡耕作。
対照的とも言える二人の部下の過去を聞きながら、隊長はニヤニヤと銃を磨いていた。
そんな耕作が気にかけている、目の前で強盗に両親を殺され心を閉ざした少女・松田ひとみが、療養所からさらわれた! さらった男は出入りのクリーニング店員・津山。彼こそかつて拳が捕まえて改心させ、今ではすっかり更正した筈の元放火犯であった!
と、二人の部下それぞれの信念と繋がるキャラクターが事件に関わる、という面白いプロット。
緊急配備の網に引っかかった津山の車を撃とうとする耕作と、それを必死に止める拳。その間に車は走り去ってしまい、耕作は激高する。
「だから犯罪者は犯罪者! しっかり逮捕して思い知らせてやらなきゃ駄目なんだよ!」
おまえは甘いという耕作の言葉に拳も憤り、掴み合いになった所で、
「いい加減にしろ! 喧嘩してれば捜査は進むのか! 子供は戻ってくるのか!」
と一喝する隊長が格好いい。
今作は、隊長と部下二人、というトライアングルの構図で、隊長はどうやらリーダーシップを強調する形で描かれる模様。
誘拐犯から身代金要求の電話があった、という所長の不審な様子を気にした隼人は、二人を療養所に残して身代金の取引をフォローすると共に、本部に療養所を調査させる。その結果、所長の綾部がサイコパワーの研究者である事。療養所は経営難に陥っていたが、海外からの資金援助で持ち直した事。そしてその資金援助が、実態のない幽霊会社からのものであった事が判明する。
一方、療養所では不審な男達とともに所長が車で出ていき、それを追う拳。耕作はその間に療養所に隣接するラボを探り、そこで、療養所の子供達に超能力開発実験が行われているという真実を突き止める!
耕作の危機に身代金の要求が嘘だと見抜いた隊長が駆けつけるのですが、二人そろって、後ろに子供達が居るのに、撃ちまくらないでください。
あと隊長、よくわからない機械をとりあえず撃つのは、そろそろ卒業してください。
その頃、所長の後を追った拳が目にしたのは、津山と捕らわれのひとみの姿だった。しかし実は津山はひとみの超能力で操られていただけで、誘拐は狂言、全ては子供達の解放を求めてひとみが仕組んだ芝居であったのだ。
所長達からの銃撃と津山の火炎瓶攻撃を受けて危機に陥る拳。隊長と耕作が駆けつけるが、サイコパワーを解放したひとみは炎と念動力で激しい攻撃をしかけ、説得を試みるもひたすら叩きのめされるブルース。
……無言なのを良い事に病室に乗り込んできてはひたすら謎の物真似のレパートリーを見せつけられて、随分とフラストレーションが溜まっていた模様です。
だが最後は耕作の必死の呼びかけがひとみの心を動かし、ひとみは攻撃をやめて崩れ落ちる。津山も無事に正気を取り戻し、所長達は逮捕。悪の組織による非道な超能力開発プロジェクトは、エクシードラフトによって絶たれたのであった。
ラストでは、スペードからエクシードラフトへの宣戦布告。
「遂に」とか、「危機が迫る」、とか、まだ4話なのに……(笑)