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『仮面ライダー電王』感想2

◆第3話「アウトロー・モモタロー」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
2007年2月11日――前回の戦いの後遺症で、筋肉痛に苦しむ良太郎は、借金取りに追われる男・山越とぶつかって気絶してしまう。チャンスとばかりに良太郎の体に乗り移った赤いイマジンは、山越が借金取りに囲まれているのを見て、大ハッスル。
「俺、参上」
「なんだおめえは」
「こういうの好きなんだよ、首突っ込ませろよ」
うむ、見事に最低(笑)
赤良太郎は圧倒的な力で借金取り達を蹴散らすが、そこに騒ぎを聞きつけた警官が現れ、山越に引っ張られて逃げ出す事に。
「なんだよ……逃げただけかよ。全然やりたりないじゃねえかよ。余計なことすんじゃねえよ!」
「相手警官なのに……もしかして、すげえ大物?」
前回は憑依状態では完全に関俊彦声になっていましたが、今回ここまでは、良太郎の声をベースにちょっとイマジン声がミックスされている感じ?
赤良太郎を「先輩」と呼び出した山越に連れられて、ファッションコーディネートを受けた赤良太郎は、山越に力を貸す事になり、「一緒にもっとやりましょうよ」と何事かを持ちかけられる……と預かり知らぬ所で超特急でトラブルに巻き込まれる良太郎、デンライナーのハナが赤いイマジンの頭をはたき、暴力事件を追う警官に遭遇した所で、憑依が解けてしまう(笑)
「あの……僕、何しちゃったんでしょうか?」
「良太郎、とにかく逃げて、あと一分で到着時間になるから、どこかのドアに飛び込んで」
警官達から逃げる良太郎、どうやら、パスを持っている人間は、デンライナーがその時間に到着した際に、“扉をくぐる事”で時の線路にアクセス出来る模様……と第1話の展開を補完。
なんとか良太郎はデンライナーに逃げ込み、警察の追っ手を撒く……まあ現場に自転車残っている筈なので、そこから身元を突き止められそうな気もしますが、すねに傷のある借金取り達が被害届を出さないので大丈夫とか、そういった所か。
ハナ「最悪ね、この桃太郎男!」
赤イマジン「その呼び方はやめろ! 折角こっちに来たんだ、格好いい名前考えろ。例えば…………あー……そうだなぁ……」
良太郎「桃……桃太郎。ももたろ……す?」
赤イマジンの名前、モモタロス(仮)に。
ここでデンライナーのオーナーが良太郎の前に登場し、ハナはオーナーと契約してイマジンを追っている事を説明。なんとも怪しげなオーナーは、質問に対しては良太郎を煙に巻く。
「ただ、これだけは知っておいてください。チケットまたはパスがないものは、なんぴとたりとも時を超えてはならない。絶対に」
大ネタ(デンライナーとは何か? 要するにハナは何者か?)は霧の中に隠しつつ、2話までで説明されなかった、時間関係のルールなどを、細かく補足していく形。
一方、自宅に戻った山越はカメレオンイマジンと契約してしまう。「死ぬほどの金」を望んだ山越の為に、現金を強奪するカメレオンイマジン。ミルクディッパーでは筋肉痛に苦しむ良太郎の為に、姉の愛理が自家製うどん粉湿布を作成。湿布を貼られた良太郎は
「うどんこが……気持ち悪い」
と言いながらもすぐに眠ってしまい、その隙に良太郎に憑依したモモタロス(仮)は山越との約束の場所へ向かう……それはモモ良太郎の腕っ節を利用し、借金取り達の闇金会社から現金を奪おうという恐ろしく大雑把な計画であった。
「あのな、分け前もらえるか……9350円」
昼間、良太郎の金で服を買ってしまった事を少し反省したのか、可愛げを見せるモモタロス(仮)(笑) 安いものだと請け負って、山越は会社へ忍び込んでいく。
「おもしれぇ……やっぱ良太郎に憑いて正解だったぜ」
「この、馬鹿モモ!」
「あ……はなくそ女」
ハナさん、本日3回目のストレート炸裂。
「これ、体は良太郎だった、ごめん!」
「最悪のやつだな、おまえ」
これが本当の、目くそ鼻くそを語る。
泥棒の手伝いをしている事をなじられ、これは「用心棒」だと抗弁するモモタロス(仮)だが、そこに山越に金を渡そうとしてカメレオンイマジンが姿を見せ、モモタロス(仮)は標的変更。
「そうか、特異点に取り込まれた間抜けは、おまえか」
「その言い方は気に食わねねぇな。むしろこういうのこそ、俺がやりたかった事だからな」
特異点”という用語と情報は、イマジンに共有されている模様。
指先でくいくいっとブルース・リー的なあれをやるソード電王に対し、カメレオンイマジンがやり返すのがお洒落。
「終わらせてやる。特異点ともども、消えろ」
「おー、少しは自信あるってか。だが気をつけろよ、俺は最初から最後までクライマックスだぜっ」
モモタロス(仮)が強いのか、電王が強いのか、戦闘は終始一方的に進み、カメレオンイマジンは撤退。その頃、金を奪って逃げてきた山越は……モモ良太郎が居なくて困っていた。
「やべぇ、あいつ忘れてた」
山越を探すモモ良太郎、その時、目を覚ました良太郎が「これは僕の体なんだから、出てってよ」と主導権を取り戻し、モモタロス(仮)を強引に体から追い出す……そんなタイミングで、借金取りに追われる山越と合流(笑)
「なんでこうなるわけ……?」
わけのわからないまま、またも大ピンチに追い込まれた良太郎の運命や如何に?!
……いや、面白い。
2話までで基本説明を終えて、切れ味を増す脚本、それを受けるテンポのいい長石演出。細かい要素を補足していきながら、登場人物それぞれの肉付けを増しつつ、コメディを成立させる。
憑依→覚醒→大ピンチ、の天丼の間に、好き放題やりながらもモモタロス(仮)なりに良太郎へ気を遣う所を挟み、しかしそもそもそれが明後日の方向で……という構成も秀逸。1,2話は見せ方の難しい設定であるし、立ち上がりはこんなものか……という感じでしたが、俄然、面白くなってきました。


◆第4話「鬼は外!僕はマジ」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
警察がやってきた隙に良太郎と山越は借金取り達から巧く逃げ出し、良太郎はそこで、自分の意識が無い間にモモタロス(仮)が何をしていたかを知る。山越を自首させようとする良太郎だが、そこへ現れたカメレオンイマジンが山越をさらっていき、変身しようとした良太郎はその場に倒れてしまう……一方、良太郎を探すハナはミルクディッパーを訪れ、愛理のペースに巻き込まれてコーヒーをご馳走になる事に。
「いつも呑んでいるのと、全然違う……!」
その頃、いつもの人はデンライナーで怪しげなブレンドを作っていた。
ミルクディッパーのコーヒーは、愛理さんのフェロモンにやられていなくてもおいしい、という事が判明。まあ、ハナがいつも呑んでいるコーヒーが危険すぎる、という可能性もありますが。
ミルクディッパーの店内に、星に関する本が多い事に気付くハナ。愛理は、良太郎を心配しつつ、星への思いを語る。
「きっとまだ地球に届いてない光もあるだろうし。多分それが、良太郎の幸運の星かな」
センターに置かず目線でのアップにもせずに、見下ろすカットで愛理を撮って台詞を印象づける、この辺りの絵作りの上手さは、やはり長石多可男
この後、ハナと良太郎はいつの間にやら合流してデンライナーに(尺の都合でカットされたっぽい)。
流れは納得できるので、大穴、というわけではありませんが、完成度の高いエピソードだけに、抜けが露骨になってしまい、勿体なかったところ。
「イマジンの契約者が、馬鹿モモの泥棒仲間とはね!」
金を欲しがったのは使ってしまった良太郎の金を返す為だと言い訳するモモタロス(仮)だったが……
「そんなお金はいらない」
静かに怒る良太郎。
この時点で、声音だけで怒っているのを表現できるのだから、その後の大活躍も納得というか、今作が佐藤健を引き当てたのは、実に素晴らしい仕事でありました。
イマジンを止める為、良太郎とハナはモモタロス(仮)が聞いていた山越の住所へ向かう事にし、空気と立場の悪さに、存在意義をアピールしてみせるモモタロス(仮)。
「戦いになったらよ、俺を呼ぶしかねえんだからな」
「呼ばない。呼ばないよ……一緒に戦いたくないんだ」
「怒ってんのかよ? 警察の事なら……」
「僕の事はどうでもいいよ。慣れてるし。でも、泥棒とか、人にお金を要求したり、取り上げたり、好きじゃない。大切なものとか……お金とか無くすのって、辛いよ」
「そんなにマジになることねえじゃねぇか、なぁ」
「あのさ……まだ決めてなかった願い、モモタロスが僕から離れる事っていうのは駄目?」
車両を出る前に振り返った良太郎は、訣別を告げる。さすがにそれは“望み”としては不許可とされるが、モモタロス(仮)に頼らないという良太郎の決意は固く、二人の間には大きな溝が出来てしまう。
その頃、カメレオンイマジンが次々と持ち込む札束で、山越は首まで埋まっていた。契約は完遂され、2006年3月15日へと飛ぶ、カメレオンイマジン。
2006年3月15日……それは山越にとって、人生で一番間抜けな日。売れないバンドが最後のチャレンジと選んだオーディションの日、迷子の少女を警察に届けている内にオーディションに遅刻してしまい、バンドは流れ解散。バンド仲間達はそれぞれ田舎へと帰ったが、やりきれなかったもやもやの残った山越はひとり東京に残り、ストリートで歌う内にいつしか、「金さえあればCDを出せるのでは……」と借金まみれになって夢を歪めてしまっていたのだった。
山越の過去の時間を手に入れたカメレオンイマジンは、火を噴き大暴れ。
材木運んでいるトラックを壊すと、建築した筈の家が無くなるのか(笑)
カメレオンイマジンを止める為、良太郎は変身、過去へと向かう。
暴れ回る山越@カメレオンイマジンの前に到着したデンライナーが走りすぎると、そこにプラットフォームが立っている、というのは実に格好いいカット。良太郎@プラットフォームは、カメレオンイマジンを人気の無い所へと引き離し、その間にハナは山越を起こしてオーディションへ向かわせると、迷子の少女を救出。良太郎@プラットフォームは必死にカメレオンイマジンに立ち向かうが、全く相手にならずに叩きのめされる。
なんらかのシンクロがあるようで、その光景にじれるモモタロス(仮)。
叩かれても叩かれても、立ち上がり、食い下がる良太郎@プラットフォーム。
「良太郎! 無理だよ、モモタロス呼んで!」
駆けつけたハナの叫びにも、良太郎はプラットフォームのままで戦い続ける。
「馬鹿野郎! 死んじまうぞ! 俺を呼べよ!」
しかし良太郎は応えない、そして、諦めない。
ここでプラットフォームが何度かカメレオンの攻撃をかわすのだけど、結局は食らってしまう、というのも巧い所。
「わぁかった! もう二度と泥棒の味方したり、金の要求とかしねぇ! だから俺を呼べ! 良太郎!!」
絶叫するモモタロス(仮)。
遂に地面に大の字に倒れた良太郎@プラットフォームだが……
「……ごめんなさいは……?」
「え……?」
「ごめんなさいは?」
「ぬあぁ……むぉぅ…………ごめんなさぁぁい!!」
デンライナーから転移するモモタロス(仮)。
立ち上がる良太郎@プラットフォーム。
ここで入る挿入歌、「Double-Action」。
こぼれ落ちる砂のように 誰も時間止められない……
モモタロス(仮)と一つになった良太郎、電王ソードフォームに。


「俺、ようやく参上!」

「今更出てきた所でおそい!」
「今更もくそもねえ! 言った筈だぜ……俺は最初から最後までクライマックスだってな!」
気合い全開のソード電王はカメレオンイマジンを圧倒。
「今日の必殺技はひと味違うぜ……俺の必殺技、パート2だぁっしゅ!」
……違う?
と思ったら
(同じじゃん)
と、良太郎からもツッコミが(笑)
「へへっ」
今のところ、基本的な話の組み立てのわかりにくさを考慮してか、戦闘シーンは爽快感優先。1〜4話まで、ソード電王、圧倒的。同事に、プラットフォームのひ弱さも目立つ形になっており、それでも戦う意志を持った良太郎の“強さ”が逆説的に見える、という構造にもなっており、お見事な重ね技。
こうしてイマジンによる時の改変は避けられた、が……
「感心しませんねぇ……。確かに、男一人が、オーディションに行ったぐらいで時の運行に変化は起こりませんが」
オーナーは、過去に手を加えた良太郎とハナに、ぐさり。
良太郎が行ったちょっとした手伝い程度では、大きな時の運行に変化は無い。オーディションに間に合ったものの、山越は結局、売れないミュージシャンのまま……
「ただ、もう一度夢を追う決意をしました。お金ではなく、自分の力で」
金の力でメジャーデビューする、などという考えを捨て、自分の力で夢に向かう為、歌い続ける山越。
「でも、それだけです。それだけ。変える意味は無い」
果たして、良太郎達のした事は無意味だったのか……?
「ま、いいですけどね」
ランチに立てた旗が倒れ、食堂車から立ち去るオーナー。
「間違ってるのかな……」
「わかんないけど、でも、それでも変えたい時間は、やっぱりあると思う」
1・2話の時点では明確にされなかった、ちょっとした過去改変の影響、ですが、大きな時の運行には変化を及ぼさないものの、それをきっかけにした個人の変化は確かに残る、というもの。2話では過去に手を加える事を止めたハナですが、結局は拒否しませんでしたし、こちらの台詞が本音に近い、という事か。
まあ今回の場合、手を加えた影響が現在に出ないと良太郎が警察に追われたままになってしまいますし、その辺りを含めて、シナリオの自由度を上げ、物語に意味を与える設定であります。
そして、良太郎の事を認めるモモタロス(仮)。
「おい良太郎、おまえへなちょこかと思っていたが、けっこう頑固で根性あるじゃねえか、え!」
「そうかな」
「何がそうかなだ、この野郎。まあモモタロスってのはセンスねぇけど……センスねえよな。センスねぇけど……呼びたきゃ勝手に呼べよ」
「……そうするよ、モモタロス
ここに仮免が取れて、正式に「モモタロス」決定。
まあ、OPクレジットだと、最初から「モモタロス」なのですが(笑)
こうして、何となくまとまりだした、良太郎、ハナ、モモタロス、の3人。――だが、現在へ向けて走るデンライナーを見つめる、謎のイマジンの影があった……。
いやーーーーー、良かった!
4話目にしてしっかりと、傑作回を入れてきました。
良太郎が“自分の戦い”を見せ、モモタロス(仮)が、自らの意志で、良太郎と戦う事を選ぶ。炸裂するカタルシス、見事に格好良く見える電王。そして貰った名前を認める事で、良太郎を相棒と認めるモモタロス、良太郎もまた、色々と困った所もある相手だけれども、必殺技にツッコミを入れるなど、モモタロスと距離を縮めていく。
また、マイペースな周囲(ハナ、モモタロス、姉)に振り回され流されがちな主人公が、モモタロスが憑いているから戦うのではなく、自分の意志で戦う姿をはっきり見せる。まだ、そこまでの覚悟を持つに至っている動機や背景は表現されていないのですが、“大切なもの”に対する思いを匂わせる。
そしてそれを、“良太郎の戦う意志を見せるだけの話”として描くのではなく、モモタロスとの関係性――その変化と繋げて描いているのが巧み。
小林靖子の内容の詰まった脚本を、重鎮・長石多可男がテンポ良くまとめ、巧くコメディ部分を挟みながら、それ以上にヒーローとしての格好良さを見せつける、見事な出来。
私が生理的に長石演出のテンポが合うというのもありますが、素晴らしい3−4話でした。
……そういえば久々に平成ライダー見るけど、アバンタイトルからエンディングまで存分に尺を使えて、ロボ戦無しで二話完結形式とか、実に贅沢だなぁ。