◆第9話「俺の強さにお前が泣いた」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子)
イマジン憑きの男と遭遇したM良太郎、殴りかかるがそのパンチを受け止められてしまう。
「いきがるだけの強さでは、オレに勝たれへん」
「なんだとぉ?!」
「強さにもランクがあってな……オレの強さは、泣けるでぇ」
あっさりと、投げ飛ばされるM良太郎。
「涙はこれでふいとけ」
と、男が投げたのは……懐紙?
「待てこの野郎っ、こんなもんで泣けるかぁ!」
(痛いよぉ)
「泣くな!」
デンライナーに戻っては、ウラタロスに「投げ飛ばされてそのままとはねぇ……僕なら恥ずかしくて死んじゃうな」と厭味を言われ、どうも最近、いい所少ないぞモモタロス(笑)
イマジン憑きのジャージの男は、街灯に鉄砲をして壊して慌ててみたり、相撲スタイル?
デンライナーの中では、時間の狭間であるトンネルの設定と、改めてハナのイマジン嫌いが強調。また前回、過去からネックレスを持ち帰った事について、オーナーが一くさり。とはいえ、その程度の事では時の運行に重大な支障は生じない……ただし、一度それに重要な影響が及ばされた時、その衝撃は計り知れない。
オーナーの言葉に思う所があったのか、なんとしても時の運行を守らないと! とハナは力強く良太郎を引きずり、二人は男の目的を探ろうと、尾崎から情報を得るためにミルクディッパーへと向かう。
良太郎、そろそろ、特異点について聞いた方がいいと思います(笑)
たぶん職業について言及したのは初めてだと思うのですが、愛理さんに近づく羽虫Bこと三浦は、(自称)スーパーカウンセラーである事が判明。愛理に、良太郎くんをスーパーカウンセリングしたいと申し出るも、適当に受け流される。羽虫Aこと尾崎は、雑誌記者、それも奇妙な事件を専門で扱っているとの事。この辺りは情報提供役の都合でしょうが、ちょっと今回は、便利に使いすぎたかも。
……まあ私の羽虫Aへの好感度が奈落の底以下なので、少しでも役に立つとイラッとするという理由もありますが(笑) とはいえ明らかに、そこまで折り込み済みのキャラ造形だろうしなぁ(笑)
謎の連続襲撃事件の被害者は、昨年の全国学生空手大会の上位入賞者達。そしてイマジン憑きの男の正体は、本条勝。昨年の大会で決勝へ駒を進めた強豪だが、決勝戦の最中に急病で倒れ、そのまま引退。良太郎とハナは尾崎の集めたリストの中から、去年の大会における本条の決勝戦の相手、不戦勝により優勝となった菊池信司の元へと向かう。
……が、道場をこっそり見ていたばかりに、襲撃の犯人ないし関係者だと誤解される二人。空手部員達から「ひとり総掛かり」という名の稽古と称したつまりは制裁リンチを受けそうになる良太郎は、道場でイマジンの砂を目撃した事もあってモモタロスを呼び出そうとするが……そんな時に限って、デンライナーはトンネルの中を走っており、モモタロスは眠っていた!
「お客様のおかけになった電話は、現在、電波の届かない所にあるか……」状態。
モモタロスの株価が凄い勢いで下落しているのは、良太郎の不幸が伝染しているのでしょうか(笑)
憑依期間に応じて徐々に不幸値が溜まっていって、その内ウラタロスも2D6振って5以下しか出なくなるのかもしれない……。
必死に逃げ出す良太郎だが、追い詰められた際に振り回した一撃が空手部員の一人をあり得ない高さに吹き飛ばす。そこへハナが駆けつけて空手部員を蹴散らすが、人間相手にはリミッターが発動するのか空手部員の反撃を受け、必死に逃げ出す二人。というか空手部員、女の子に組み付くのはどうかと思うよ!
なんとか空手部員達を振り切った二人、本当は僕がハナさんを守らないといけないのに……と志だけは男らしい良太郎と、「電王として戦ってくれる良太郎を守るのが私の役目」と、心の底から男らしいチャンプ。そんなハナに思い切って、彼女が何者であるのかを、良太郎は問いかける。
「私は……どこの時間の人間でもない」
「え? どういうこと?」
だが、そこへ通りすがる本条。
タイミング良くデンライナーがトンネルを抜け、M良太郎はソード電王に変身。本条から分離した金色イマジンと激突するが、金色イマジン、強し。必殺技の打ち合いの結果、トマホークブーメランを受けてモモタロスはデンライナーへと弾き飛ばされ、電王はプラットフォームとなって倒れてしまう。
「電王は殺させない」と、プラットフォームをかばうハナ。そのハナを逃がそうと、良太郎は力を振り絞ってウラタロスを呼び出し、ロッドフォームへと変身する。両者激突、と思ったその時、ふらふらと現れた本条に襲いかかる新たなイマジン――ライノイマジン。金色イマジンはライノイマジンの攻撃から本条を守り、ライノイマジンは逃走。逃げたライノイマジンを電車砲撃で撃ちまくった所で良太郎は限界に達し、変身を解いて気絶してしまう。一方、金色イマジンもそれ以上の戦いをする事なく、気絶した本条を背負って去って行くのであった……。
空手家を闇討ちしていたのは、本条@金色イマジンではなく、菊池と契約したライノイマジンであった。どうやらまたイマジン拡大解釈詐欺にあっているらしい菊池の本当の「望み」は何なのか? そして闇討ちしないまでも、道場破りなどを行って戦い続ける本条@金色イマジンの目的は? 大暴落したモモタロス株に、浮上の目はあるのか?!
色々な謎をはらみつつ、次回へ続く。
また、良太郎が空手部員を吹き飛ばしたのは、明らかに人間業でなく描写されており、「良太郎も強くなっているって事?」とあははうふふ的に流されましたが、何らかの伏線になるのかとは思われます。というかこれで伏線で無かったら、良太郎の潜在能力はなんとか神拳伝承者レベルという事に。
で、なんとか神拳伝承者レベルのハナは、むくつけき空手部員ぐらいあっさり殲滅するのかと思っていましたが、さすがにそんな事はありませんでした(笑) まあそれをやってしまうと良太郎が格好悪くなりすぎますし、後で良太郎@プラットフォームがハナを逃がそうと立ち上がる所が格好良くならないので仕方がない。憑依モードを前面に押し出しつつも、素の良太郎のヒーローゲージを小刻みに上げていく手管が、今作は実に手堅い。
◆第10話「ハナに嵐の特異点」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子)
本条@金色イマジン(以下、K本条)の真意を確かめようと、K本条に接触するハナとM良太郎。「よう、クマこう」……って、クマだったのか。
「強さを極めたもんどうしの契約や、凡人にはわからん」
通りすがりに強盗に人質にされた女性を救っていたり、どうも悪意の感じられない金色イマジンだが、ハナとの会話は噛み合わない。そこへライノイマジンが現れストレス解消に変身するソード電王だったが、ライノイマジンの強固な皮膚に攻撃が通じず……逃げられる。
M株暴落、留まる所を知らず。
イマジンを追ったM良太郎は菊池の大学に辿り着き、菊池こそがイマジンの契約者であった事を知る。その望みを聞き出す為に、U良太郎が菊池と接触……と、頭脳プレイで、地道にポイントを稼ぐウラタロス。
一方、K本条に張り付くハナは、K本条の空手道場襲撃の目的は、本条の体で再び空手をする為に、金色イマジンが空手をマスターしようとしていた為だと知る。もはや究極の空手マスターになったと、自信満々で型を演じてみせるK本条だが、
「空手じゃないよ、それ」
「全然違う、お相撲みたい」
公園で練習していた空手教室の子供達に笑いものにされてしまう。
「ほんまか?」
「……まあね」
「嘘やろぉ! 完璧やと思ったのに」
がくっと落ち込むK本条の姿に、戸惑いを隠せないハナ。
「なによ、イマジンなんていっつも契約は適当で、勝手な解釈で望み叶えてるくせに、どうして落ち込むのよ」
「他のやつは知らん。けどな、こいつはもう一度空手をやりたいと望んだ。オレはそれを叶えたいと思うた。それだけや。出来るのは、こいつの体をつこうて空手をする事。同じ強さを求める者として、最強の空手をな」
だが、辿り着いたと思った武の極みは、少々見当違いであった。
「オレ、空手しらんからなぁ……」
モモタロスが“良くも悪くもバカ”だとすると、金色は“人が良いけど間抜け”といったところか。
いっけん真摯に見える金色だが、どうせ目的は時の運行を変える事だろう、とハナは糾弾するが……。
「……あ。忘れとった」
「そんな馬鹿な」
「おまえ随分オレらの事きらっとるんやな。なんかあったんか」
ハナとK本条の会話は、本条の体の演技と、イマジンの声の演技が実にはまり、金色イマジンの間の抜けた感じが非常に上手く出ました。
ひたすらイマジンを毛嫌いするハナに対して、イマジンとしては変わり者の部類の金色は、どうにもズレた返答で噛み合わない。そこへ、U良太郎がうまく話を聞き出した菊池が、本条を探してやってくる。本条の急病により不完全燃焼で終わってしまった決勝戦……それをもう一度やりたいと「本当のトップになりたい」と願った結果、ライノイマジンが菊池の空手のライバル達を襲撃していた事を告白。最後の一人となった本条を守ろうとした菊池だったが、現れたライノイマジンに吹き飛ばされる。攻撃を受けた本条に金色が憑依し、すんでのところで回避。反撃で綺麗な回し蹴りを決めるが、それを防がれてK本条も吹き飛ばされてしまう。それをもって「契約完了」としたライノイマジンは菊池の過去へと跳び、金色イマジンは分離した本条の体をベンチに横たえる。
菊池に向けて、自分もいつか必ず決着をつけたいと思っていた、と語る本条。彼もまた、その為にイマジンに、空手の出来る体を望んだのだ。
「なんか……夢で空手やってた気がする。すーごい、下手くそだったけど。でもさっきの蹴りは、久しぶりの感覚だったよ。ありがとう」
金色に向けて、握手の手を伸ばす本条。だが金色は敢えてその手を取る事なく、首を鳴らすと「契約完了」して本条の過去へと跳んでしまう。
「なんなのよ、やっぱりイマジンはイマジンね!」
「そうなのかな……。僕たちも行こう」
ライノイマジンが向かったのは、2006年5月21日。そして、金色イマジンが向かったのも、同じく2006年5月21日。
それは、学生空手大会の決勝戦の日。おりしも本条と菊池の対戦が開始され、発病して倒れる本条。菊池の体からはライノイマジンが現れ、会場を大破壊して大暴れ。
これまで、過去を手に入れたイマジンが体を離れて暴れ出すと、契約相手の人間はしばらく気を失っていたのですが、菊池がすぐに立ち直って本条を助けて逃げ出したのは、空手マンの力か。
良太郎達も過去に辿り着き、ソード電王はライノイマジンと戦闘を開始するが、崩れてきた鉄骨に押しつぶされそうになる本条と菊池。その時、本条の体から飛び出した金色が二人を助けるが、ライノイマジンの攻撃を受けて瓦礫の下敷きになってしまう。二人を救うのには成功したものの、受けたダメージからか砂へと戻っていく金色のイマジン。
「あいつら、大丈夫か?」
「平気……。でもどうして?」
「あいつの望み、果たしかっただけや」
本条の、そして菊池の本当の望みは、本当の意味で二人の決着をつける事。その為に必要なのは、イマジンが取り憑いた体で戦う事ではなく、自分の体でもう一度、空手をする事。
「生きとったら、いつかは決着が、つくやろ」
金色イマジンが過去に跳んだのは時の運行を乱す為でなく、本条の真実の望みを叶えるべく、二人を助ける為であった。しかしその為に、自身は消滅していってしまう……。
(モモタロス、あのイマジン消えちゃうよ。なんとかならないの)
「ばかやろう! こっちに集中しろぉ!」
この間、背景で戦っているソード電王とライノイマジン。
電王サイドの戦闘と、ハナサイドの会話とを、うまく融合しながら進めていくテンポが絶妙。
「ちょっと待ってよ、消える事ないでしょ!」
消滅していく金色を、思わず引き留めてしまうハナ。
「俺らのこと嫌いなんやから、ええやろ」
「そうよ……大っ嫌いよ! ああもう!!
……私はね、あんた達が時の運行を変えたせいで消滅した未来に居たの。私の時間はもうどこにもない。だから、あんた達イマジンなんかみんな消えちゃえばいいと思ってる!!」
遂に明かされるハナの秘密。
「その私がちょっと待ちなさいって言ってるのよ。待ちなさいよ!」
そして、「自由」。
ようやくヒロイン度が上がったと思ったのに、それを一瞬でかき消す自由人度(笑)
(あの……僕の中に入ったらどうかな)
ライノイマジンと戦闘しながらも、金色が気になる良太郎は、一つの提案をする。
M「なにぃ?!」
U「まじで?!」
K「あいつに?」
首をかしげる金色(瀕死)を、ハナ、とりあえず殴る。
「なにすんねん?!」
「なんかもう、わかんないのよ!」
わからないから殴る方がわかりません!
M「うぁぁ〜もうめんどくせぇぇ! こっちに来るか、そのはなくそ女に潰されるか、はっきり決めろ!」
K「はなくそ?」
ハナ「なによ?」
もう一発殴る。
この一撃がトドメとなり、解体された金色のイマジン、半強制的に良太郎に憑依。
多分ちょっと違うけど、そうとしか見えない(笑)
(ほんまにええんか?)
(うん、きっと一緒に戦えるよ)
(おおきに!)
ここに電王、第3の形態、アックスフォーム誕生!
まあベルトにボタン、最初から4つ付いているわけですが。
憑依イマジンが増える度にボタンがベルトに浮かび上がるような形でも面白かったとも思いますが、そういうのは玩具の都合もあるし、難しかったか。
「俺の強さに――おまえが泣いた」
顔の真ん中に角っぽい突起、武器は手斧、とデザインはかなり独特。
アックス電王は、ライノイマジンの攻撃をさばくと武器破壊、最後は特大ジャンプからの振り下ろしで真っ二つに両断する。
「ダイナミックチョップ」
(後で言うんだ)
今のところ、ウラタロスだけ必殺技に名前をつけていませんが、そのうちつけるのでしょーか(笑)
「あのやろぉ、かっこつけやがってぇ!」
めっきりイマジン界の底辺を這いずる存在となってしまったMタロスさん(無職)、歯がみ。ライノイマジンは暴走するが、デンライナーに金色電車が追加され、一斉攻撃で撃破。金色電車はクマかと思ったら、接近戦仕様のマサカリムカデ?
かくてイマジンによる過去の改変は防がれ、現在――必死にリハビリする本条と、それに付きそう菊池の姿があった。菊池は前回は、ちょっと嫌な感じの体育会系先輩キャラとして描かれていたのですが、スッキリしたのか最終的に爽やかキャラに。……まあ大学行ったら行ったで、後輩をしごきで蹴り飛ばすぐらいはしていそうですが(偏見)。
「たーく、狭くなっちゃったなぁここも。空気薄いんじゃないのか」
デンライナーでは、Mさん(チンピラ)が、凄く最低な感じに、新入りに絡んでいた。
U「けどそれって、どういうイメージ?」
ナオミ「金太郎ですよ! キンタロスの、きんたろちゃーん」
デザインがマイナーチェンジしているのかよくわからなかったのですが、台詞の流れを見ると、良太郎のイメージが加わって少し外見が変化しているのでしょーか?
そんなこんなで金色イマジンが戦列に加わり、名前はキンタロスに決定。
「ハナ……あの愛の叫び、泣けたでぇ」
殴られる(笑)
……まあ、ウラよりはキンの方が、今の所はフラグ立っている感じですが。
イマジンにより消滅した未来から来たというハナ――彼女の正体は、“(元?)特異点”であった。オーナーの説明の言い回しだと過去形っぽいのですが、今も特異点なのかどうかは不明。
特異点、それは、時間への干渉に影響されない存在。
ゆえにハナは自分の居た時間が消滅しても消える事なく存在し続け、“今居る時間”が、“ハナの時間”なのであった。
そしてその為に、ハナはイマジンを追っていたのだ。
オーナーはハナについては説明してくれたものの、良太郎については流し、デンライナー食堂車はそのまま特製旗つきプリン祭に突入。最後に、着流し姿のK良太郎がコミカルに顔見せ。
「俺の強さは、泣けるでぇ」
いい話の要素をイマジンの男気に持っていきつつ、明かされる謎の一端。今回も巧い。
しかしおかしいなぁ……明らかにチャンプのヒロイン度を上げに来た話で、実際にヒロイン度が上昇した筈なのに、それを上回る勢いで、フリーダム度と地獄突きのスキルレベルが上がったというのは、いったいどういう事でしょう。
結果的に、依然、ヒロインランクより修羅ランクの方が高いという、阿鼻叫喚の状況に。
次回、ウラタロスの時と同様に、キンタロスの立ち位置を落ち着ける話……になるのかな?
Mさん(仮名)の、明日はどっちだ?!