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狂気! 『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第16話感想

乙女盛りに命をかけて 風に逆らう三姉妹 花と散ろうか咲かせよか
〔東映特撮Youtube〕で現在配信中の『有言実行三姉妹シュシュトリアン』の第16話(このエピソードの配信は先週まで)が凄く酷いと聞いたので、話の種に見てみました。

☆『有言実行三姉妹シュシュトリアン』☆
 ◆第16話「怪人カメラの犯罪」◆
 (監督:岩原直樹 脚本:浦沢義雄
シュシュトリアンと怪人との戦いを盗撮する怪しい影……その正体は、怪人カメラ。怪人カメラは盗撮したシュシュトリアンの写真をTシャツにプリントアウトし、偽のサインをつけて勝手に販売するなど、闇ルートで悪行三昧。更にカメラ小僧トリオの発言から、シュシュトリアンを鯉のぼり(縛って吊り上げる、の意)にしてローアングルから撮るスケベ撮影会の開催で一儲けしようと思いつく……。
この時点で完璧に狂っていますが、一切の誇張はありません(笑)
どうしてこのプロットで、脚本会議を通ってしまったのか!
怪人カメラは“健全な少年少女達”を煽って「シュシュトリアンに鯉のぼりになってほしい」と願わせ、三姉妹はシュシュトリアンとしてその願いに応えざるを得なくなる。だが、鯉のぼりになるべく向かった先で三姉妹を待ち受けていたのは、怪人カメラがスケベ中高年ネットワークで声をかけた、“健全な少年少女”の扮装をした変態中年達の群れであった!(待て)
「スケベな中高年達よ、シュシュトリアンを鯉のぼりにして、ローアングルから写そー!」
ベールとバトンを奪われた三姉妹、スケベ中高年達に囲まれて、絶体絶命のピンチ。
で、何が凄いって、寸前で回避するのではなくて、本当に手錠+ロープで吊されて、下から撮影されてしまう事(おぃ)
高一・中二・小六の三姉妹のミニスカを、下から激写しまくるスケベ中高年の群れ……ここで同世代の子供達の視点によるちょっとしたお色気ではなく、いい年した大人→少女、という構図が現実をえぐりすぎて、不謹慎とか遙かに通り越して、洒落になりません。
またこのスケベ中高年ネットワークに、地元の医者とか会社社長とか警察署長が加わっていてるのが、なんとも趣深い。
最低な展開で危機に陥る三姉妹は、シュシュトリアンの姿を見て会場にやってきたカメラ小僧トリオの助けでバトンを取り戻すと捕縛を脱し、お約束のことわざでは、「古人曰く、弘法も筆のあやまり」と怪人ではなく自分達を静かに戒め、反撃開始。
ここでも女子中高生ヒロインに、少年少女の扮装をした中年達が次々に掴みかかるという、酷すぎる絵。
“変態的な怪人”というのは数多く居ますが、戦うヒロインが“一般人の変態達”と戦う事になる、というメタ・ヒーロー物の観点で見ても、何とも恐ろしいエピソード。
美少女戦士がミニスカで戦っていたら、それはやましい心の隠れファン活動が地下ネットワーク化されていてもおかしくない、という変なリアリティは、もしかしたら20年前はメタ自虐で済んだのかもしれませんが、今見るとえげつなすぎる活写になってしまっていて、それを正面から(しかもあくまで、ご近所ヒーロー物の枠組みの中で)描いているのが凄く狂気。
最後は怪人カメラを成敗した三姉妹が助けてくれた少年達に「シュシュトリアンに出来る事なら、なんでも一つ願いをかなえてあげましょう」と喉元過ぎれば熱さ忘れて安請け合いをして、勿論、「鯉のぼりになってください、でへへ」と言われて頭をはたく、というオチ(笑)
今ならプロットの時点で叩き返されるだろうからあり得ないでしょうが、放送したが最後、番組どころか、枠ごと吹っ飛びそう(笑)
(……よくよく考えると、くしくも今作は不思議コメディシリーズ最終作であった(^^;)
脚本以上に現場の撮影が暴走してしまった可能性も少々ありますが、「ヒロインに鯉のぼりになってもらう」という意味不明の出発点に、「鯉のぼりがエロスと直結している」という、驚愕の浦沢ワールド。ちなみにこの世界では、
「鯉のぼり」=「女性を吊り上げる事」
という謎の符牒が小学生レベルからごく当たり前に成立しています。
狂ってる!
この1時間前に(他局ですが)『ジャンパーソン』やっていたり、20年前のニチアサは魔境だ。
なお、90年代初頭よりブルセラブームというものがあり、放映年(1993年)の8月には警視庁によるブルセラショップの初の摘発が行われており、そういった背景もある模様。
……背景あればいいのか、というと、良くないと思いますがっ。
社会風刺としては、今見て感じるよりも更に、ストレートだったのかもしれません。
実に、凄くて酷かった。