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『特捜ロボジャンパーソン』感想20

◆第24話「史上初倒せぬ敵」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
スーパーサイエンスネットワークのドクター犬山が作り出した、人工生命体・モドキ。その名の通り、人間そっくりの“人間もどき”であるモドキは、警官隊の銃撃を受けても平然と立ち上がる不死身の肉体を持ちながら、ジャンパーソンのサーチシステムですら、「人間」と表示される!
「俺は人間もどき、スーパーサイエンスネットワークがが生んだモンスターだ」
「お前はモンスターなのか。人間ではないのか」
「不死身の人間がいるかぁ!」
市街地でマシンガンを乱射して暴れ、ジャンパーソンにバズーカ砲を浴びせたモドキはバイクで走り去っていく。
「……人間もどき」
至近距離でバズーカの直撃を受けても平然としたラスボスに呟かせると、扇澤脚本だけに、意味深なものを感じないでもありません。
人間に極めて近い心を持ち、与えられたプログラムを乗り越えようとしながら、それでいてロボットである事に忠実なもの――それが、ジャンパーソン。
「よほど俺は精巧に出来てるらしいなぁ……あのジャンパーソンにも人間としか見えねえんだもんなぁ。――そんな事ってあるのか?」
パンを食べながら一休みしていたモドキは、不意に自分自身に疑問を抱く。
狼狽を隠せない表情で、自分の体を探るモドキ。
「……モンスターだよなぁ、間違いなく俺はよぉ」
人間そっくりの存在ネタはロボットで既にやり過ぎた感がありましたが、かつてアイスマンを冷然と「バイオモンスター」と表示したジャンパーソンのシステムが「人間」と判断を下し、その事に、モドキ自身までもが疑問を感じてしまう、という回し方は秀逸。
ジャンパーソンがかおるの協力で持ち帰ったモドキのデータを詳細に調べると、出た結論は“人間もどき”。

「モンスターなのよやっぱり。モンスターである以上、二度とこの世に蘇生させない為には、骨のひとかけら、血の一滴も残さず、完全に抹殺しなきゃ」

今日も三枝かおるさんは、絶好調!
「完全抹殺……しかし、人工生命体とはいえ、人間だ。人間に対し、そんな残酷な真似が許されるのか」
プログラム上のセキュリティなのでしょうが、これまでロボット他は幾らでも残酷に破壊してきたジャンパーソンが、「人間」と判断してしまうものを破壊できずに苦悩する、というのは非常にきわどい。
これまでの作品の展開と「人間もどき」という名称から、今回はP・K・ディック的な話になるのかと思っていたのですが、
ロボットが人間を破壊していいのか?
というアプローチはどちらかといえば、「人間とロボット」について語っていく内に「人間の定義とは何か?」「人間とロボットの違いとは?」という所に踏み込んだ後期アシモフのロボット物を思わせます。
人間もどきのアイデンティティの話になっていると同時に、それを通してジャンパーソンの立ち位置が揺れる、という二重構造。
最初期には人間の中に“にせもの”が居るかもしれない、という世界観だったのに、ここ数話ですっかり、人間そっくりのロボットが生活しているのが当たり前、という大転換をしてしまった今作ですが、そこで、人間そっくりのロボットではなく、人間そっくりだが人間ではないもの、を出してきて揺らすのは、扇澤さんの面白い所であります。
ところでちょっと話は逸れますが、凄い人間そっくりのロボットと、全くそうでないロボットが変に混在しているのは、着ぐるみの都合、と言ってしまえばそれまでなのですが、その辺り、もう少し劇中で理屈はつけてほしかったところ。そういう細かい事をしてくれれば、宮下隼一の評価も上がるのですけど。
まんまとジャンパーソンの急所を突く事に成功したSSNでは人間もどきの量産化計画が進められるが、肝心の試作品であるモドキは、なんと思いあまって病院でレントゲンを撮影していた。「完璧に、人間です」という医者の言葉に、ますます混乱していくモドキ。
「ドクター……俺は人間なのか?」
「何を馬鹿な。人間というのはな、親から生まれるもんだ、親から。おまえは人工タンパクの寄せ集めのモンスターだ」
(人間は親から生まれるのか……俺って、人造人間っていったい何者なんだ)
SSNに戻らずに街をさまようモドキは、ビルから落下した女性を助け、なぜか海岸の廃墟に(多分、隠れ家ですが)。
(どんな絶望でも……死ねる人間は幸せだよな)
自殺しようとしていた、という女の話を聞いたモドキは、自らの肉体を疎ましく思う気持ちが限界に達し、ドクターの元へ戻ると「俺を見るからに怪物にしてくれ」と頼み込むが、当然断られる。ナイフを突き立てられ、モドキから噴き出す白い血。
「どうだ、これでも人間か? 人工タンパクの寄せ集めだ!」
「俺は人間だぁ!」
人間のようで人間ではなく、人間ではないのに人間と認識される……自己矛盾に耐えかねたモドキはSSNを逃げだし、犬山達はそれを追いかける。
まあ、組成も魂も同じなのに見た目だけ怪物にした場合、それはそれで「人間ではなくなる」のか? と新しい問題が出たりするのですが。
一方、JP基地では人間の定義について問答中。
人間もどきを人間と認めたら社会は立ちゆかなくなる、と、かおるは容赦ない切り捨てを断言。
「俺にやれというのか」
「そう。貴方が抹殺するの」
苦悩するJPさんだったが
(……そうなんだ。躊躇う必要はないんだ)
押し負ける(笑)
助けた女の所へ戻ったモドキは二人で砂浜をふらつき、行く所も帰る所もなく、過去の無い男と過去を捨てた女、名無し同士の二人が束の間、心を通い合わせたその時、風を切るJPカード。
ジャスティス見参。
ジャンパーソンはモドキへと銃口を向けるが、モドキをかばう女。押し問答をしている間に犬山の追っ手が迫り、ジャンパーソンは超磁力砲を浴びて動きを封じられてしまう。
よくわかりませんが、ダメージを受けているというより行動不能になっている様子を見るに、電磁パルス(EPM)とかの類いでしょうか。
割と怪力の博士はモドキを取り押さえるとその額を銃で撃ち抜き、モドキが人間でない所を女に見せつけるとモドキを車で連れ去っていく。そこへ現れ、超磁力砲を止めてジャンパーソンを解放したのは、三枝かおる。
「あなた一人に、手を汚させるわけにはいかない」
博士達を追おうとする二人にすがりつく、女。
「お願い、お願い、あの人を殺さないで!」
「しかし……ヤツの存在を許すわけにはいかないんだ」
「見た目には人間でも、人造人間は私たち人間とは違うのよ!」

「私たちって……どういう意味ですか。人間なんて、みんな一人ずつ違うじゃないですか! 幸せな人も、不幸せな人も、寂しい人も。どうして? どうして自分が自分こそが、人間の代表みたいな、そんな偉そうな言い方するんですか!」

いやその人、本気でそう思ってるから。

「親から生まれた人間と、科学で生まれた人間、生まれてしまえば、それにどんな違いがあるっていうんですか……!」

社会から爪弾きにされた者とエリートの齟齬、というのは扇澤脚本の十八番ですが、如何にもなエリートである(そして主役ではない)かおるの登場により、舌鋒が冴えます(笑)
理屈は無茶苦茶なのですが、理屈だけで世の中動いているわけではない、という女の叫びは、果たしてジャンパーソンとかおるに届くのか……?
人間もどきは自分だけで充分だ、と苦しむモドキを乗せて逃亡する車のタイヤに、突き刺さるJPカード。
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス」
犬山の部下を蹴散らしたジャンパーソンのジャンバルカンは、犬山とモドキへと向けられる。モドキを盾にして逃げようとする犬山だったが、ジャンパーソンの結論は……
「渡してもらう必要は無い。抹殺する。木っ端微塵に」
慌てて逃げ出す犬山の目の前で、火を噴くジャンバルカン、炎の中に消えていくモドキ……。
SSN本部へ戻った犬山は、人間もどき作戦の失敗から、落とし穴に、ぽちっとな。
そしてSSNの視線が逸れた所で……ダークジェイカーの中から姿を現すモドキ。ジャンバルカンの斉射で木っ端微塵になったと思われたモドキだったが、陰に潜んでいたかおるの身を挺したダイブにより救われ、ジャンパーソンが完全抹殺を擬装していたのであった!
「俺なんか死んだ方が良かったのに……」
「命は尊いものだ」
「命の尊さ……」
「その通りよ。でも残念だけど、私たちの社会には、あなたの存在を受け入れるだけの器は出来ていない。それでもあなたは生きていかなきゃいけない」
優秀な私は考えを改めたけど、俗世間はそう簡単には目覚めないわと、しれっとまた人間を代表して語るかおるさん。
反省していないよこの女!
ひとりぼっちで生きていくのかと黄昏れるモドキだが、その時、あの名無しの女が物陰から姿を現す。
「あたしも一緒に……あたしも一緒に、生きていきます」
「俺は人間じゃない」
「人間ってなに……? 平気で人を傷つけたり、人の心を踏みにじったりできる人間より、生きる悲しさ知ってるあなたの方が、どれだけ人間らしいか。違う? 違いますか?」
彼女はモドキの正体を知ってなお、彼とともに生きる事を望んだのだった。
「おまえは人間だ」
「あなたは人間よ」
ジャンパーソンとかおるの言葉を受け、涙を流し、生きる事を受け入れるモドキ。ジャンパーソンは二人に、危険に陥る事があればジャンパーソンが受信できる信号を発するコンタクトカードを渡し、二人は新たなる人生へと旅立っていく……。
初登場のコンタクトカードですが…………えーこれ、二人がジャンパーソンのセンサー捕捉可能範囲を出たあたりで、仕掛けられた超薄型爆弾をかおるがぽちっとな、する……の……?(おぃ)
いい話ではあったのですが、道具立てが綺麗に揃いすぎて、扇澤脚本としては、もう3回転ぐらいひねった所から急降下爆撃が欲しかった、とか好き勝手な事を思ってもみたり(笑)
この流れなら、人間もどきが人間ならば、どこまでも人間にそっくりなロボットはそれでもロボットなのか? という全編をひっくり返しかねない部分にも後々踏み込んでくれたら面白いのですが、さてさて。
次回、忘れた頃の「の弟」ネタに、シーユーアゲイン!