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14年後の月に吠える〜『∀ガンダム』全話再見4

◆第4話「ふるさとの軍人」◆
〔脚本:高橋哲子 絵コンテ/演出:西森章 作画監督佐久間信一


ロランは∀ガンダムでポゥ少尉率いる部隊を迎撃、ミリシャはウァッド一機を鹵獲する。一方、ムーンレィスの第二次帰還船団が降下。人数の増したディアナカウンターは土地の一部に鉄柵を張り巡らし、民衆からは非難の声がわき起こる。ハイム家の屋敷にMSが近づくのを恐れたロランはディアナカウンターと接触し、ハイム鉱山の無関係を主張する一方、機械人形を掘り起こそうというグエンとシドの考えをもらす事となる。そんな中で行われたグエン側とディアナカウンターの交渉の席で、暗殺されてしまうアジ大佐。両者の間にはとりあえずの休戦が結ばれるが、それは極めて危ういものであった。そしてマウンテンサイクルの下で、シド達は黒歴史のMSを発見してしまう……。

「はっはっはっはっはっはははは……地球の雨とは、暖かいものだな。緑の地球、我らが故郷か」
(ハリー・オード)

金ピカのMSに乗って、赤い眼鏡の変な人、降りてくる。
久々に初登場時を聞くと、探り探りな感じ(笑)
どこまで格好良い感じに喋ってしまっていいのか、考えているというか。
まあ、初登場回なのに、特にライバル的見せ場があるわけでもない、というのは難しい所かと思います。ちょっとした気取った仕草や、とりあえず右手を突き出してみる、とかは今回から既にあるのですが。
敵も味方も続々と、「ヒゲ」という呼称が定着しつつある∀ガンダムは、意識的には今回が初戦闘。巨大MS・ウォドムの足に食らいついたり、小型MS・ウァッドを鷲掴みにしたり、あまり冴えないのですが、この初戦闘の部隊がというのは実に『∀ガンダム』らしいところ。
ディアナカウンター側も畑の収穫を考慮に入れており、戦場を森に移動しながら展開。
というかこの人達、移住計画はともかく、自分達で耕作しないで、とりあえず収穫前の畑からいただくものをいただく気だったのかとか、どこの戦国脳なのだ、と戦争する気が無かった点については、多大な疑問を禁じ得ません。少なくとも前線の兵士は、どーも接収する気満々なのですが。
一方ミリシャ側も、「俺らの畑を荒らされてたまるかー」とジープに歩兵を満載して突撃してくると、戦闘はもうぐちゃぐちゃ。
初代『ガンダム』では結構、主に連邦軍が、MSを戦車と見立てての歩兵との共同運用は行っていたのですが、これはそういったレベルではなく、まあつまるところ、ヤクザのカチコミ。自棄のようにトラックにぎゅうぎゅう詰めの兵士達の絵が、なんとも笑いを誘います(^^;
ロランとディアナカウンターの会話では、前回も少し触れられたロランの役割がもう少し具体的に語られ、環境適応テストの為の検体であった事が判明。細かくは説明されませんが、生体チップが地球環境のデータとそれに対する肉体の反応を、自動送信?していた様子で、それが期間終了で自動的に消滅すると、後は好きに生きていい、との事。
この辺り、微に入り細に入った説明はしないのは、良くも悪くも富野作品の特徴。
私はこのテンポが好きですが、引っかかる人はそういう所で引っかかってしまう、というのは、わかります。
ロランは自分の意志で引っ張って収束していくタイプというよりは、状況に応じて目的の遂行の為にリアクションを行うタイプなので、主人公としてはちょっと掴みにくい所があるのですが、そういうロランの危うい部分、が割と出ているのがこの4話かな、と。
お嬢様達を守る、と、ディアナ様大好き、以外の目的意識が極めて薄いので、けっこう迂闊。
ロランくんは善人度が高いので誤魔化されがちですが、割と危ない子よね、と(笑)
ころっと宗教に転んで言われるがままに大虐殺しそう、というか。
地球で拾われたのがハイム家で良かったなぁ、とつくづく思う次第です。
そして丸まり。
地球側が強力な黒歴史の遺産を手に入れ、一気に戦火が拡大していくのかと思いきや、予想だにしないMSの登場で、ひたすら増していく、いったいこの後どうなってしまうのか感。
まあそれが、今作の大きな面白みであるわけですが。
よりによって、どうしてこうなった。

「地球の人は、やる事が無茶苦茶だ……」
ロラン・セアック