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『仮面ライダーブレイド』感想4

先週分。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第7話「中学生日記」◆ (監督:諸田敏 脚本:今井詔二
全編通して異常なまでに画面にエフェクトかけたり、照明でトばしたりしていますが、えー…………セットが安いの?
それとも、脚本があまりに酷くて演出に困っているのか。
多少シナリオがあれでも(今作は多少ではないけど)演出良ければ割と見られる派なのですが、逆に演出悪いと本気で辛い。
ギャレンさん、火を噴く謎の男・伊坂にやられ……そうになったところを通りすがりのタンクローリーに捕まって大脱出。伊坂は戦闘の様子を見ていた始と知り合いらしく、「手を組まないか?」と持ちかけるが、さっくり断られるも、結局二人で伊坂の秘密施設へ。そこでは捕らえられた剣崎が、CTスキャンの中で大暴れしていた。広瀬と虎太郎は港で体育座り中に橘から電話を受け、お互い情報交換する事に。
剣崎救出への協力を拒否する橘を、広瀬は「この臆病者、××ついてんの?!」と罵り、虎太郎は囚われの剣崎に替わって、毎度お馴染み恥ずかしい語りを始める。
なんというかこう……思春期。
二人を振り切り、 盗んだバイク 元職場のバイクで走り出した橘だったが、虎太郎の言葉を反芻した結果「その組織が烏丸を拉致した可能性もある」と取って付けた言い訳をしながら、改めて合流。虎太郎に向けて、
「でもな、おまえの言葉に打たれたわけじゃないから。誤解するなよ」
甘酸っぺえ
……んー、こう、んー、百歩譲って虎太郎ひとりはキャラクターの個性として中学生ワールドでも良いかとは思いますが、どうしてこう、メインキャラが揃って言動といい感情表現といい思春期真っ盛りなのか。
幾つなんだ橘。
20代男子の発言としては、全員、後で自殺もので、どんな顔をして見ていればいいのか、本当にわかりません。
脚本家がこれしか書けないのか、特撮ヒーロー世界に頑張って合わせようとした結果こうなってしまったのか、いったい全体どの時点からボタンをかけ違っていたのか、それが一番この世界のミステリー。
一方、囚われの剣崎はアンデッドとご対面。伊坂と始の観覧する中、戦闘する事に。テロメアがどうとか、融合係数がどうとか、設定っぽい話が色々。最初は盛り上がらない剣崎だったが、始の姿を見てヒートアップ。なんか数値が上がる。
「あいつは怒りを力にする」
…………あれ? 愛、じゃありませんでしたっけ?
よくわからないけど興奮してカリスも変身し、戦闘に乱入。それを見ながらほくそ笑む伊坂。
「この世にライダーはいらない。私が作る、究極の一体だけでいいんだ」
橘の指示で広範囲に最大出力でアンデッドサーチをかけた広瀬が、この戦闘の反応をキャッチ。連絡を受けたチキン橘はギャレンに変身して突撃し、ここに2対2の戦闘が展開。それを見て伊坂は吠える。
「これがバトルファイトだよ、一万年前の再現だ!」
…………………………「バトル」「ファイト」
…………………………「戦い」「戦い」?
「俺には恐怖心などない!」と張り切るへたれだったが、戦闘中にみるみる融合数値が下がっていく。どうやらライダーシステムは、人間とエースアンデッドとやらを融合させる事でアンデッドと戦える力を与えているようで、そのシンクロ具合が戦闘力に影響を与える模様。
ブレイドがカリスとぶつかり合う中、アンデッドに一方的にしばき倒されて、へたれ、とうとう変身解除。
剣崎「橘さん! (おまえ何しにきたんだよ!)
へたれが本格的にへたれる中、外部では烏丸所長が施設への潜入をはかっていた……。


◆第8話「俺はリア充になりたい」◆ (監督:諸田敏 脚本:今井詔二
烏丸所長とイチャイチャするヒロイン扱いのエピソードなのに、どうして広瀬さんは青緑のパーカーなのか。もはやスタッフの嫌がらせを感じるレベル。
頑張れ広瀬さん。私は応援しないけど(待て)
施設に潜入した烏丸が電気設備をショートさせ、混乱する伊坂軍団。その間に、新必殺技・スーパー稲妻キックでアンデッドを葬るブレイド
なんかまた、引っ張った次の回の冒頭に凄い適当に倒されてしまいました。
そもそもブレイド、カリスと戦っていた筈なのに、このシーンの間、カリスの存在が消えているのですが、どこ行ったのかカリス。
これは着ぐるみに愛が無いのと同じ流れで、番組当初からなのですが、ブレイドが封印したアンデッドカードの特殊能力で技を使っているっぽいのはわかるのですが、その辺りの描き方も雑(要するのにどうでもよさそう)なので、全く面白くありません。今回だったら、普通のキックが通用しないから、電撃属性(トナカイさん?)を乗せるとか、ギミックを活用して戦闘を面白くする組み立て方は幾らでもある筈なのに、あまりに酷い。
しかも剣崎がおしなべて無言でいきなり必殺技使うので、何をどう考えてカードをチョイスしているのかとか、剣崎の戦術が全く見えない為、いつまで経ってもブレイドが魅力的なヒーローになりません。
これでストーリー部分が面白ければ許される部分もあるでしょうが、ストーリー部分面白くないのに、戦闘を適当に処理されるので、二重三重四重五重に酷いという、真っ黒な負のスパイラル。
「俺は今、むしょうに腹が立っている! あんたに裏切られた気分だ!」
何故か背景で新必殺技を見守ってくれていたカリスに、怒りをぶつけるブレイド。……というかいつ、二人の間に「裏切る」「裏切らない」というレベルの信頼関係があったのか。
剣崎、2話で「人を信じては裏切られちゃうんだ、俺〜」とか言っていましたが、真相は、そもそも信頼関係とか0なのに勝手に裏切られたと思い込んで逆ギレするという、物凄い迷惑な男なのではないか、剣崎。
〔自称「不器用」な剣崎、態度の悪さで相手を不愉快にさせる→そのくせ勝手に、「あいつとは仲良くなれそう」みたいな脳内設定を展開する→相手はそんな事を夢にも思っていないので冷たくする→「裏切られた気分だ!」→俺に友達が居ないのは不器用でお人好しだからで俺はあくまで被害者→……以下デフレスパイラル
わかりやすく嫌な奴、というわけではないのに、これだけ好感度の上げようがない主人公を造形できる、というのは、才能かもしれない。
なんだろうこの、剣崎の奇跡のコンボ。
カリスはそんなブレイドを無視して、伊坂の手先が下宿先に仕掛けた爆弾を解除する為に走り去る。伊坂は自爆装置を発動してアジトを放棄し、抜け殻の橘を回収して脱出する剣崎と烏丸。始もぎりぎりで爆弾の回収に成功するが、何がどうなっているのか、天音の詰問に返す言葉を見つけられないのであった……。
この後、「近所で爆発音騒ぎがあったのですが何か知りませんか?」と警官が訪れて奥さんが特に何もないと返して引き上げていくというシーンが入るのですが、店内中にガラス散乱しているのに、黙って帰るな警察(笑)
変にリアリティを付加しようとしてむしろ大惨事、という失敗の良い例。
一方、剣崎達は農場へと帰還。
後輩達の前で烏丸所長から、
「こいつの不調はシステムの不備などではなく、いい感じの元同級生の所に都合良くダラダラ居座っているけど告白もできないへたれ野郎のチキンハートが見せるイメージに過ぎないし、そこからの立ち直り方なんて他人に聞くなこの腐れ××××野郎、思春期の××××は家に帰ってミルクでも飲んでな、HAHAHA!」(意訳)
公開処刑された橘さん、男のプライドを八つ折りにされて、戦線離脱。
所長、女の次は後輩の前でとか、エグいわー。
たぶん、脱出時に殴られた事を根に持っている。
それから、所長による解説タイム。
1万年前、地球の支配権を手に入れる為、人類を含む53種のアンデッドによるバトルロワイヤルが行われた。人類の祖はそれに勝利して地球の支配権を手に入れ、敗北したアンデッド達はカードに封印される……だが、アンデッドはカードの中で生き続けてきた。人類基盤史研究所はそのカードを研究する事で不死の生命エネルギーの秘密を解き明かそうとするが、一部研究者達の早まった行動でカードの封印が解かれ、アンデッド達が解き放たれてしまう。……それから3年、烏丸達はアンデッドに対抗する為に作り上げたライダーシステムにより、アンデッド封印の為に戦っていたのだった。
色々引っ張っていた広瀬父が開封の主導的役割だったのかという件については、あっさり肯定(^^; 引っ張る必要あったのか。まあ、あくまで烏丸の話、なので、ここで語られている事全てが真実なのかどうかは現時点では不明ですが。
アンデッドサーチャーの反応によれば、あの時、ブレイドを囲んでいたのは3体のアンデッド。倒したアンデッド、伊坂、そして……始の正体はアンデッドなのか?! 疑念を募らす剣崎。
「人間の姿形、そして言葉を話す上級のアンデッドが居るに違いない」
現在に残るトランプは、人類の持つアンデッドバトルロワイヤルの記憶から作られている……とすればその絵札が示すのは、人の姿をした上級アンデッドに違いない、という超オカルト展開は嫌いではありません(笑)
前回、エースアンデッドとの融合、という台詞がありましたが、つまりエース(ライダー)が4体、絵札(上級アンデッド)が12体、存在するという事でしょうか。ブレイドは見るからにスペードのエース、カリスは顔がハートのエース、ギャレンは微妙だけどクラブというより角張っているからダイヤのエースか。
あいつだけは許せない!」と怒りの剣崎は始の元へと急ぎ、所長は伊坂の組織を追うと単独行へ。
「みんな、居なくなっちゃうんだね……広瀬さんは、居てくれるよね?」
思春期ワールドを展開する虎太郎だが、いや、住所不定の剣崎は帰ってくると思うし、橘はそもそもこんなむさ苦しくないレモンの香りがするスイートルームあるから。
しかし心が弱っているのか、なぜか笑顔で肯定する広瀬さん。
その頃、下宿先に迷惑をかけられないと書き置きを残して出て行った始は、バイクを走らせていた道の途中でタマネギとばったり遭遇し、問答無用で喧嘩スタート。
一方、チキン野郎は女医さんとイチャイチャしていた。
「なんだか……普通の生き方がしたくなった。それだけさ」
……なんだか、今、監督の心が折れた音が聞こえた気がした。
んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、別にこの台詞が単体で悪いわけではなくて、しかし、この台詞を活かす為には橘の戦いの背景が描かれていなければいけないわけなのです。そもそも橘がどうして命がけで戦ってきたのかさっぱり描いていないので、この台詞だけ置かれても、“それ”を捨てて日常を選ぼうとする事の重さが全くありません。
いや全くもって、ピッチャーびびっているだけで軽い衝動なのかもしれませんが、逆にそれを軽くしてしまったら、仮面ライダー』という物語の意味が無いわけです。
どちらにせよ駄目。
橘の理由自体は特に大した事である必要もなく、別に成り行きと給料に目がくらんででも構わないのですが、それはそれで、そこを描いておかないと、橘にとって「仮面ライダー」というのが何の意味を持つのかが、さっぱりわからない。
その部分はこの後、へたれ立ち直り編で描かれるのかもしれませんが、しかし、この台詞を活かすには、それは先に描かれていなければならないわけです。
橘が「仮面ライダー」として戦う理由→しかし恐怖心を克服できないでへたれる→だがやっぱり「仮面ライダー」を捨てられない
という波があってこそ物語は劇的になるわけですが、そういった積み重ね方の、基本のド基本があまりに抜け落ちすぎ。これだけ劇作のセオリーが崩壊していると、なんかもう、演出で修正するのも限界があって、前回今回の諸田監督の演出が、もはや無言の抗議に見えてくるレベル。
まあ、橘さん一生懸命ネクタイ選んでいるので、「普通の生き方」=「まともな企業に再就職」という、本当に軽い意思表明だったのかもしれませんが。
「以前のお仕事は何を?」
「かめ……あ、バイクと銃を使う肉体労働に従事していました」
「……どうしてお辞めになったのですか?」
「バッタの怪物に……いや、えー、会社が夜逃げして倒産しまして」
「特技は?」
「変身です!」
だがそんなデート中、夜の街に響き渡る悲鳴。シマウマアンデッドが出現し、思わずベルトを手にする橘だったが……そしてブレイドとカリスは、ひたすら互いの怒りをぶつけ合っていた――。
次回、橘はカタギの仕事に再就職できるのか?!