はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『仮面ライダーブレイド』感想22

先週分。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第36話「たった一人きり君の存在が」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
ブレイドの前に現れた新たな人造アンデッド・トライアルE。へたれ遺伝子を元に作られたので当然へたれかと思われたトライアルEだが、ブレイドの攻撃パターンを先読みした攻撃に、ジャックフォームすら撃ち落とされてしまう。
「おまえの攻撃は……予測しやすい……」
キングフォーム登場のあおりか、ここまで圧倒的だったジャックフォームが、思わぬ敗北。
短い、短い烏丸フィーバーだった……!
……いや、キングフォームも所長のお土産で発動しているのですけど、誕生に関わっていない感が強くて、どうも、所長のお陰という気がしません(^^;
一方、ジョーカーはマンティスアンデッドと戦闘中。盛り上がるマッチアップで、山中での戦いはなかなか格好良い。ジョーカーは参戦したレンゲルを蹴り飛ばし、ざっくりとカマキリを撃破して封印に成功。
「まさかおまえが持ってるとはな」
ば・れ・たー
しかしジョーカー/始は、それ以上睦月の相手をする事なく、カリスの姿になると立ち去っていく。
「これで帰れる……あそこへ……」
エースの力でジョーカーを押さえ込み、人間の姿となった始の足は、あの場所へと向かう……。
一つの戦いが終わった一方、変身解除まで追い詰められた剣崎(しましま)は、消化器を使った目くらましで、何とか羽美を連れて脱出。虎太郎に電話で連絡を取り、怪我をした羽美を任せようとするが、いきなり血ぃ吐く羽美。
……え、なに(^^;
怪我の表現なのでしょうか。だとすると、内蔵やられている事になりますが。その割には、凄い余裕あって愚痴ってるし、謎。
自分の側に居るとトライアルEとの戦いに巻き込まれる可能性があるが、羽美をこのまま放っておくわけにはいかない。剣崎は羽美に、家族を失った自分の過去を語りながら、病院へ連れて行こうとする……。
その頃、しょぼくれた睦月は、女王様にせせら笑われていた。
「カードが……カードが足りなかっただけだ。貴様を封印して、俺の力に」
睦月はレンゲルに変身して女王様に襲いかかるが、素手で突撃を止められる。
「封印するだと……その逆だっ!」
そして女王様、アンデッド体に変身。
世紀末風味なモヒカンピアスですが、普段着がヒョウ柄だし、パンサーアンデッド?
「今までに封印したアンデッドを解放してもらう。バトルファイトは選ばれしものを決める神聖な戦い。ライダーシステムなどはそもそも存在しなかった。ライダーに封印されたやつらは……元に戻すべきだ!」
レンゲルをしばきまくるパンサーアンデッド。
信念を持ってアンデッド大戦に臨む新しいタイプでしたが、これはこれで面倒くさい人でした。
苦戦するレンゲルは、一挙に5体のアンデッドを封印からリリース。パンサーに襲いかかるかと思われたアンデッド集団だったが、レンゲルの命令を受けてその場を走り去る。
「なんのつもりだ?」
「解放しろと言ったのはおまえだろ! あいつらにジョーカーを探せと命じた。早く追わないと、ジョーカーがあいつらにやられてしまうぞ」
「正々堂々と戦うという事を知らないのか」
パンサーは5体を追って姿を消し、トンネルの壁に拳を打ち付ける睦月。
「俺は……最強なんだよ」
じり貧になってきた課金兵ですが、何の同情も湧かないのが、人徳の薄い所です。
よろよろしながらも喫茶店目前まで辿り着いていた始は、自分を狙って解き放たれたアンデッドの気配に気付いてしまう。
「俺を……俺を呼ぶな」
微笑から表情が一転し、音楽も切ないタッチで、始の心境の変化がはっきり描かれるようになってきました。
「やはり……駄目か」
またここで、本能の赴くままにアンデッドを狩るジョーカーの戦いから、“相川始”の居場所を求める戦いへ、と「始の戦い」の意味も生まれ始めてきました。
剣崎の元へ車を走らせていた虎太郎は、喫茶店から距離を取ってふらふらしていた始と遭遇。
「俺は……もう1人の俺を、いつまで抑えていられるか、わからない」
「新たな強大な力が、生まれようとしている。ジョーカーはそれと呼応している」
「もし今度俺がジョーカーに戻ったら、天音ちゃんでも、見分けがつかないだろう」
その為に喫茶店から離れ、姿を消す始――。
一方、羽美を背負って病院へ向かう剣崎は、聞かれるままにアンデッド大戦について割とベラベラと喋っていた。
「なーんだ、つまりみんな、自分の為に戦ってるだけなんだね。どっちも、正義なんかじゃないんだね」
「正義かどうかは知らないけど、俺は人間を守る為に戦っている」
「言うのは格好いいけどさ、全ての人を守るなんて、出来っこないじゃん」
「出来ないとか、「無駄だから」、そんな理由で諦めたくない」
剣崎の理想論に、いや、剣崎が理想論を“”信じ続ける”事に、苛立った羽美は背中を飛び降り、前回デート中に買っていたジュースを地面にぶちまける。
ああ、謎の吐血は、こっそりジュースを口に含んで血を吐いたフリをした、という事だったのか(演出としては、剣崎の背後でジュースを口に含む動作が描写されている)。
……そうとう無理があったと思いますが、まあ、剣崎だったら騙されても仕方ない。
「なんでそんな事を……」
「ヒーローぶってるあんたを困らせたかった。ヒーローなんてどこにも居ないって、笑ってやるつもりだったの!」
走り去る羽美だったが、トライアルEに捕まってしまう。
「これで、剣崎くんを誘き出す事ができる」
「かえって剣崎の怒りに火を点ける事になりますよ」
と言いながら忍者屋敷に帰ってきたへたれは、本格的に何がしたいのか。
剣崎を心配しているという割には自分で剣崎の所に向かうわけでなく、結局モニター見ながら、トライアルどうなのよー、周り巻き込むだけじゃないですかー、と忍者とだべってるだけだし。
……もしかしてあれか、バイクのガソリン代が尽きたのか。
「……すいません広瀬さん、1000円、貸してもらえませんか?」て言いに戻ってきたのか。
「羽美ちゃんを……離せ!」
羽美を人質に取られ変身を制された剣崎は、生身でトライアルEの銃撃を受ける。
「逃げちゃってよ! あたしはいいから!」
「……よくないよ」
撃たれながらも、一歩一歩前進していく剣崎。銃弾を受けて地面を濡らす血しぶきがはっきり描写されており、恐らく、この枠ではギリギリの表現か。
「もうやだ……本当にいいんだってば……どうせあたしなんか……誰も守ってくれない! ヒーローなんて居ない!!」
「居るよ……」
「だったらパパとママとお兄ちゃんを、どうして助けてくれなかったの!」
「居るよ……」
羽美を勇気づけるべく、いい笑顔を浮かべる剣崎だが、非情な弾丸を浴びて遂に地面に倒れてしまう。
「ほら……ヒーローなんて来ないんだから。バカ剣崎……」
羽美を放し、動かなくなった剣崎に近づくトライアルE。
役立たずは金欠で棒立ち、始は熱射病、課金兵は攻略サイトを検索中……現実は常にあるがままで、誰かのピンチに都合良く現れ、奇跡的に助けてくれるヒーローなんて、存在しない。
――だけど。
「……君の言う通りかもな……。待ってても、ヒーローなんて来ない」
重傷の剣崎は、近づいてきたトライアルEの腕を掴んで立ち上がる。
「だから、だから、俺がみんなを守るって決めたんだ!!」
ヒーローは、居ないかもしれない。
ヒーローは、来ないかもしれない。
けれど、ヒーローを待っている人達がいる。
ならば、俺が行く。
俺が、ヒーローになる。
「たとえ今は……君1人守るのがやっとでも、諦めない……運命に負けたくないんだ!」
俺が、絶望の運命を覆す、ヒーローになる。
今は君1人のヒーローでも、いつか、全ての人を守るヒーローになる。
ヒーローが来ないならば、ヒーローになろうとする男、剣崎一真
初期からの「仮面ライダー」へのこだわりとも繋がり、実にいい流れになりました。これは、格好いい。
実際には今井脚本の時に、そこまで信念があるならどうしてその台詞……というのはあったりするのですが、それらを吹き飛ばして忘れさせる勢い。
トライアルEに組み付くもスタン攻撃を喰らって階段下に落とされ、追撃を受けそうになる剣崎だが、咄嗟に羽美がへたれ獣に飛びつき、弾丸が逸れた隙にブレイドへ変身。キングフォームとなると、銃撃をものともせずキングファイヤーパンチから、ロイヤルストレートフラッシュ。今回は5枚のカードで加速してのダッシュ斬りで、トライアルEを一刀両断。
「剣崎……俺は……!」
なんか、へたれ遺伝子が断末魔のうめき声を(笑)
そして忍者屋敷では、今回もTV観戦しながら、意味ありげな会話を続ける2人。
「更に危険は増したようだな」
「このままでは、剣崎は本当に……」
しかしまあ、本気で剣崎を捕まえたいだけなら、他に幾らでもスムーズな手段はありそうなので(多分、普通に近づいて会話しながら睡眠薬とか飲ませたら一発)、広瀬父はわざとトライアルを突っかからせている感はあります。……役立たずは、役立たずなので、仕方ない。
剣崎を迎えに行った筈の虎太郎が音信不通になっていたので自ら剣崎を探しに出た広瀬さん、剣崎と羽美を発見して回収。キングフォームの後遺症か、またも倒れた剣崎、銃撃のダメージもあって、さすがに入院。
「あたし帰ります。あの、起きたら、またデートしてね、て伝えてください。あと……ありがとう、って」
去り際、病室の入り口で振り返る羽美。
「広瀬さん……ヒーローって、居ると思います?」
「さぁ……でも、ヒーローになろうって、頑張ってるやつなら、知ってるよ」
羽美は眠る剣崎を無言で指さし、頷く広瀬。
「それに……」
そんな羽美を指さす広瀬。
自分に指を向ける羽美。

たった一人きり 君の存在が――

「違った? だって剣崎くん、守ってくれたんでしょ?」

いつか 世界の全て 変えるだろう

たった1人のヒーローは、全ての人を守れないかもしれない。
けれど、皆がヒーローになる事を諦めなければ、いつか全ての人を守れるかもしれない。
ヒーローは待っていても来ないけど、ヒーローになろうとする事は誰にだって出来るのだから。
誰だってヒーローになれる。そしてヒーローとは、ただ力が強いという事ではなく、なにより意志であり、そしてその魂は、伝わるものである。というテーゼの見せ方としては、実に鮮やか。
個人的にこういうテーマが好きというのもありますが、キングフォーム登場編からの一連の流れは、會川昇のヒーロー愛が迸っていて、素晴らしい。
羽美が笑顔で去って行きしばらく、甲斐甲斐しく布団を直したりして広瀬さんがヒロインゲージを稼ぐ病室へ、任務を放り出していた虎太郎がやってくる。途中で始と出会ったという虎太郎の言葉に目を覚ました剣崎は、始からの情報として「大いなる力」について聞く。それはいったいなんなのか……その時、アンデッドサーチャーに5体のアンデッドが反応し、怪我を押して強引に出撃した剣崎は、フラフラしている始と遭遇。
移動中に始とたまたま遭遇、を1話に2回やってしまったのは、ちょっといただけない所(^^; まあ、虎太郎の時は喫茶店の近く、今回は戦闘現場へ向かう途中、と一応の説明はつきますが、シチュエーションとしてご都合が重なる形になってしまいました。1回なら許容範囲で、3回なら運命ですが。
「来るな! もうすぐ俺は、アンデッドを倒す事しか考えられない、獣に戻る」
エースのカードを取り戻した始だが、もはやその力でも、ジョーカーを抑える事は出来ない。
「剣崎、おまえの新しい力は、危険だ……」
詳しい説明前にジョーカーに変身した始は戦場の匂いに走り去り、その姿が、この前殴りかかったアンデッドである事に気付く剣崎。
「新しい力……危険……?」
困惑しつつも、その後を追う剣崎。
ところで、生身で足をざくざく撃たれて血しぶき描写までしていた割には剣崎が超回復してしますが、ライダーシステムの影響という事なのでしょうか。ハッキリ血しぶきまで描いたのは、そこに違和感を覚えさせる意図も含んでいるっぽいので、なんらかの伏線か。橘さんは、生身で睦月に土手から投げ飛ばされた時、入院してたしなぁ(むしろあそこは、え? それで入院するの? と驚いたけど(笑))
「どうすればいいんだ……。このままでは、剣崎がジョーカーに……」
とりあえず、役立たずは出撃すればいいと思います。
未だ視聴者には明かされない広瀬父からの衝撃情報による混乱というのはあるようですが、橘が「仮面ライダーとしての本分を見失っている」ように見えるのは、単に物語進行の都合なのか、意図的にそう行っているのか、気になる所。出来れば後者であってほしい。
「その時……何が起こるかな」
広瀬父が台詞と共にライトを反転させるのは、ハッタリが効いて格好いい演出でした。
レンゲルを探している最中に何かイラッと来たのか、シーサイドなスポットで、カップル撲滅! みたいに暴れ回る5体のアンデッド。ヒロイン力のなせる技か、どういうわけか現場に居た天音は、殺戮に巻き込まれてしまう。
「バトルファイトの始まりね」
その光景を見下ろしてほくそ笑む女王様だったが――そこへジョーカー来襲。凄まじいスピードと戦闘力で、ばったばったと5体のアンデッドを薙ぎ倒していく。
ここはジョーカーの強さを見せるシーンではあるのですが、あまりの早業で、折角の復活アンデッド達が何が何やらわからなかったのは残念(^^; 最初の被害者がサザエで、次がツタツタな所まではわかったのですけど。
瞬く間に5体のアンデッドを封印したジョーカーだが、その牙は人間――逃げ遅れて取り残された天音にまで向けられる。
「ジョーカーめ、破壊に酔っている。人間もアンデッドも区別がついていない。ふんっ」
姿を消す女王様。
天音へ近づく破壊者。
「助けて始さん……助けて」
その時、駆けつけるヒーロー。
……そういえば剣崎、天音ちゃんの前で活躍するの初めてのような。と思ったら、活躍する前にクイーンのカードをスロットインしたところで、つづく。システム上、クイーン入れた所でシーン切ると、ジャックかキングか二択になるという、巧い引き方。
それにしても、33話の広瀬さんの「橘さんは、頼りにならないし」以降、本当に橘さんが1マイクロミリも役に立たなくて、會川昇が血も涙もない。