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『機動刑事ジバン』感想9

◆第11話「少女と戦士の心の誓い」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升
まゆみちゃんの誕生パーティで、娘に向けて
「これからも隠し事をせず、パパとママに何でも話せる素直な子で居ておくれ」
という父が、ちょっとおかしい(笑)
小学生の娘に「隠し事」という表現はどうなのか……五十嵐博士(祖父)と直人の秘密(ジバン)について、両親に話せない事を悩むまゆみ……の前振りなのはわかりますが。いかにも展開の為だけの変な台詞回しになってしまいました。
そして、悩みながらも父の言葉に、満面の笑顔で「うん!」と即答するまゆみちゃん、小学生ながら立派な悪女。
直人は心を痛めるまゆみちゃんを秘密基地に連れて行き、ジバン誕生の経緯にまつわるデータファイルを、思い出再現マシンによって二人で見る事にする……と、ジバン誕生編。
全ては半年前――聞き込み中に暴走車を見かけた直人がそれを追いかけた事から始まった。
五十嵐博士の運転する暴走車を追い、まゆみを人質にしたバイオロン怪人ウニノイドを目撃した直人は、博士とまゆみの救出に成功するが、ウニノイドの攻撃で瀕死の重傷を負ってしまう。瀕死の直人は二人を救う為、切れた電線をスパークさせてウニノイドを爆殺するが、力尽きて死亡。同じくウニの攻撃で致命傷を受けていた五十嵐博士は、現場へ駆けつけた対バイオロン関係者の柳田の手を借り、朦朧とした意識で死亡した直人の改造を決断する……。
世界征服をもくろむバイオロンへの対策として密かに進められていた「ジバン計画」は、やっぱり人間を改造するのまずいよね、と廃棄される予定だったが、命を賭けて自分と孫娘を守ってくれた青年をこのまま死なせるわけにはいかない……とおためごかしの理由をつけて手術を敢行する博士は「儂はもう駄目だ」発言から先の余命がえらく長く、素直に病院に向かっていれば助かったのでは疑惑。
朦朧状態で、「今なら! 勢いで! 禁忌を超えられる!」とエキサイトしているようにしか見えませんが、相変わらず杉村脚本の高名な科学者はナチュラルにマッドで、倫理観とか道ばたに落ちている10円玉程度の価値しか見いだしていません。
かくして、死んでいる間に勝手に改造された直人は機動刑事ジバンとして甦る……かと思われたが、エネルギーを注入するも、何故か目覚めず、「ジバンは、必ず甦る……」という言葉を遺して、やる事やって満足した五十嵐博士はとうとう息絶える。
ニュースで博士の死を知ったギバ様は、警戒していたけどバイオロン対策なんてなかったんだ! と喜び勇んで、本格的な活動開始を宣言。だが……秘密基地に眠るジバンを前に、祖父を思って流したまゆみの涙を受けたその時、ジバンは遂に起動する!
…………もう少し、盛り上げて欲しい(^^;
まゆみの涙をキーに起動するのは全然構わないのですが、起動しませんでしたー→博士死にましたー→基地で泣いたら目覚めましたー、と淡々とイベントが発生していくだけで、全く、物語に劇的な繋がりがありません。故に、起動シーンが1ミリも盛り上がらない。おまけに、基地を覗きにやってきた柳田さんが動いているジバンを見て、「おお、ジバン」と、物凄く軽くて酷い。
「君は一度死んで、五十嵐博士の手で、機動刑事ジバンとして生まれ変わったのだ」
柳田の説明により、ジバン状態はバトルスタイルであり、直人の意志でいつでも人間の姿と行き来できる事が判明。ジバン→直人ですが、初めて変身シーンが映像化され、純然たる早替わりである事が判明しました。
そして直人は海の見える崖で、柳田からバイオロンの存在と、自分が背負った運命について聞く。
「実は…………はっきり言おう。君の命はいつまで保つかわからん。……五十嵐博士は、自分の命と引き替えに君を作り上げた。バイオロンと戦えるのは君しかいないんだ。やってくれるね。田村直人――いや、機動刑事ジバン。本日付をもって、君を警視正に任命する」
直人が死んでいたのをいい事に五十嵐博士の暴走を美談にすり替え、返事を聞く前から出世を鼻先にぶら下げる柳田がとてもダークで、なかなかドロドロした背景を匂わせます。
「やります。命の続く限り」
こうして、深い暗がりの奥底でバイオロンを密かに裁く、闇の公権力の犬・機動刑事ジバンが誕生した!
“完全な改造人間”“本人の承諾なく勝手に改造”“かりそめの命”と、古典的で割とストレートな背景設定が判明したジバンですが……これ、11話まで引っ張る必要はあったのか(^^; かなり酷い宣告を受けながらも「一度は死んだ命だし」と前向きに受け入れ、そんな重い運命を背負っている事は表に出さずに呑気に明るく、言われるがままに闇の処刑人に身をやつす直人のヒーロー度は物凄く上がって、それはとても良かったと思うのですが、これなら2話で良かったのでは。
ここまで引っ張って1話使ったほどの内容が無く……そしてこれ、脳改造済みという気がするわけですが。たまたま、改造した側が国家権力だっただけで、科学には善も悪も無いのだな、とつくづく思わされる改造手術でありました。


◆第12話「危うし!洋子先輩」◆ (監督:岡本明久 脚本:高久進
五十嵐博士が設計し、警視庁科学研究所が密かに開発したジェット噴射装置、高機動システムウェポン・ダイダロスを装着し……ジバン、飛ぶ! というわけで新装備お披露目&前回出番の無かった洋子先輩アクション祭り回。シンプルに活劇回だと思えば、これはこれでありなのかもですが、なんというか全体的に、展開が10年ぐらい古い(^^;
ダイダロスはいわゆるロケットベルトを背負う形で、両手でハンドル部分を操作するというのが、元ネタままですが、今見ると妙に面白い。前回だけだとあまりに何だと思ったのか、柳田が再登場し、これについて解説。
直人から誕生日プレゼントに貰ったコンパクトの鏡に映った、走り去る直人の姿にジバンの姿が重なり、
(もしかしたら彼が、機動刑事ジバン……まさか)
とか、突然妄想を抱く先輩。そんな先輩は、よくジバンに助けられる事からジバンの正体を知っているのではと疑われ、マンションに突入してきた秘書ズにさらわれる。深層催眠でジバンの情報を探り出そうとする秘書ズだが、全く何も知らない為に失敗に終わり、東京壊滅作戦のミサイル基地の地下に埋められそうになる先輩は、銃を奪って大脱出。そして村松と二手に分かれて洋子の行方を追っていた直人はジバンに変身し、空中からミサイル基地を発見する……。
先輩、撃って、跳んで、転がって、ロープにぶら下がって、火薬の間を走り抜けて、大活躍。個人的に好感度が0に近いので、まあ正直どうでもいいのが、困りものですが。
秘書ズに追い詰められる先輩だが、ダイダロスで飛んできたジバンがそこで救援。……あ、今回、予算がフライングジバンの特撮に使われて、怪人無しなのか。またここで先輩が、秘書ズの幻覚装置に苦戦するジバンを、装置を射撃で破壊して助け、初めてバイオロン怪人との戦いで役に立ちました。
秘書ズは逃亡し、東京壊滅ミサイルが発射されるが、ジバン、おもむろにロケットベルトを背中から外して前に構えると、砲撃モード・ダイダロスファイヤーで、飛び立った巨大なミサイルを破壊。
専用の破壊兵器ならまだわかるけど、飛行ユニットがそのままオーバーキル兵器とか、恐ろしすぎます。改めて五十嵐博士は完全に、「私は神になる!」側の人である事が、確定いたしました。
ミサイルの破壊に成功するも、放棄された基地の爆発に巻き込まれるジバンと洋子だったが、ジバンが無事に洋子を助け、命の恩人であるジバンに、ときめきゲージがぎゅんぎゅん上がっていく先輩であった。
あと人間関係としては、何となく気のある素振りは見せていた村松刑事が、正式に洋子を好きだと明言されました。……凄く、どうでもいい情報ですが。
ところで今回、謎のファンシーなジングルが多用されているんですが、いったいなに。どうも岡本監督が、迷走気味(^^;