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『機動刑事ジバン』感想30

◆第45話「恐怖の人間スルメ作戦!」◆ (監督:岡本明久 脚本:荒木憲一)
イカ名言三連発。
「スルメの恨みは人間達にぶつけろ! その怒りがおまえの強さなのだ!」
(ドクター・ギバ)
「苦しめ! あえげ! スルメの気持ちをおまえにわからせてやる!」
イカノイド)
「ジバン、イカやスルメは火に弱い! 火で攻めるんだ!」
(ハリーボーイ)
街に黒煙をばらまく、白黒半分こスーツ(W!)のライダーが出没。ライダーの正体はバイオロン怪人イカノイドで、その黒煙を浴びた人間は精神を骨抜きにされてダメ人間になってしまうのだった!
イカだけに骨抜き……というのにBパートでやっと気付きました(笑)
白黒半分こ衣装で人間体が狂った感じのイカノイドは、どちらかといえばウニのような頭部で、口以外にイカの要素が見受けられないのですが、元からイカだったのか……?(^^; 元々イカだったとしたら、かなり斬新な解釈。
せっかく人間体が狂気を前面に押し出しているのに、同族の仇としてスルメを売る人間に怒りを燃やしている、というギャグ要素は要らなかったのでは……と思ったのですが、教え子を墨まみれにされて怒る熱血教師の実家が乾物屋で、その先生と繋げる為だったという事で、まあ納得。
教え子との約束でイカノイドを倒そうと、売り物のスルメを焼いてイカノイドを誘い出す先生だったが、逆に捕まってしまう。怒れるイカは先生を人間スルメにしてやると猛り、どうするのかと思ったら……普通にロードローラーで轢くのか(笑)
間一髪で先生を救うも、攻撃の99%を吸収するイカの弾力ボディに苦戦するジバンだったが、ハリーボーイの助言でイカをあぶり、熱を受けて固くなった所へパーフェクトコンボからファイナルキャノンで滅殺。
イカスミは消え去り、教え子も立ち直って、空回り気味だった熱血先生も見直されて大団円。
ナレーション「こうして事件は無事解決した。だがバイオロンは、次にどんな作戦に出てくるかわからない」
うん、ホントにね……。
◆第46話「好き!二人のお兄ちゃん」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升
サブタイトルから迸る、実にどーでもいい感。
本当にどうして、まゆみちゃんヒロイン展開で行けると思ったのだろう……。
せめて早川と一緒に行動する事に説得力があれば良かったのですが、全く皆無ですし。早川は早川で、好青年なのはわかるけど、好青年である以上に非常識で変質者なので、視聴者として好感を抱ける要素がほとんど無いですし。早川にヒーロー要素をつける努力を、もっと何とかして欲しかった所です(この辺り、後の『五星戦隊ダイレンジャー』でも見られますが、杉村升セミレギュラー的なキャラに好感度をつけるのが下手な疑惑あり)。
川で黄昏れていた早川良(無職・指名手配)とまゆみ(住所不定)は、クイーンコスモが月から来た隕石と会話しているのを目撃。それはコスモの仲間である月生命体であり、コスモは次々と人間の生命エキスを奪うと、それを月生命体の卵に与える事で成長させ、地球侵略の最終フェイズへと準備を進めていた。
まゆみちゃんヒロイン展開と、クイーンコスモという、今作の二大どうでもいいが組み合わさってしまった、スーパーどうでもいいエピソード(^^;
危険人物と知らずにコスモを追ったまゆみと早川だが、まゆみは捕まり、早川は崖下へ。目撃情報からコスモを追っていた直人は早川と接触し、まゆみとの関係をようやく説明すると、早川からの情報を得てコスモのアジトへと突入。洞穴での戦いでジバンの攻撃が月生命体の卵を全滅させ、怒りのコスモはジバンを痛めつけると、指輪爆弾を強制起動させる。
「爆発まであと60秒……」と、また他人事のカウントダウンを始めるハリーボーイ。
大きなダメージを負いながらもジバンは「一番細いレーザー光線で、指輪を外す」と、精密射撃でまゆみから指輪を外す事に成功…………て、散々引っ張っておいて、まゆみちゃんが変に動かなければ良かった、とまた酷い始末の付け方。
何とかまゆみだけでも逃がそうと戒めの鎖を破壊するジバンだが、コスモによって受けたダメージにより、照準を合わせる事が出来ない。駆けつけた早川が鎖を外そうとするが人の力では壊す事が出来ず、意を決した早川は爆発寸前の指輪を掴むと外に飛び出して投げ捨て、しかしその余波で派手に吹っ飛んでしまう。
早川が飛び出していった後、おもむろに手で鎖を破壊するジバン。
裁判に持ち込んだら、容疑者の「早川良への殺意」が立証できそうな気がします。
まゆみは外に飛び出すと、頭から血を流す早川に駆け寄る。
「まゆみちゃん。僕はもう駄目だ……」
え(笑)
映像からはそれほど致命的には見えなかった上に早川を殺しても全く面白くなるわけではないので、本人がその気になっているだけかと思ったら、息も絶え絶えに直人について説明し、まゆみちゃんへの愛を語るなど長い台詞で、あれ……マジ死亡?
そしてこのショックにより、甦るまゆみの記憶。
「思い出した! みんな思い出したわ、ジバン!」
だが再会も束の間、まゆみはガルボと秘書ズに捕まってしまい、倒れる良を発見したジバンは、飛来したクイーンコスモと激突する。
「警視庁秘密捜査官警視正・機動刑事ジバン! この電子手帳にかけて、おまえを許すわけにはいかん!」
さすがに対バイオロン法を読み上げ始めず、ホッとしました(笑)
「黙れ! 私はお前達人間が、宇宙に捨てた廃棄物から生まれたのだ。これが私の本当の姿だ!」
遂に正体が判明し、隕石怪人へと変貌するコスモ。地球から月面にゴミを廃棄しているとか、この終盤に来て、実にアグレッシブな世界観である事が判明しました(笑)
隕石コスモは人間型ではなく、終始浮いているとうのは、ちょっと面白い。追い詰められるジバンをモニターしながら、悲嘆にくれるハリーボーイ。
「答えてコンピューター。どうすればクイーンコスモに勝てるの?」
とりあえず、パーフェクト化してみれば良いのでは。洞穴の戦いではムーンパワーでジバンを圧倒していましたし、設定上も劇中最強クラスの筈のコスモですが、何故かジバンがパーフェクト化しない為、今ひとつ、「強い!」という感じが出ておりません。もしかしたら、コスモの攻撃によるコンピューターの不調でパーフェクト化出来ないという事だったのかもしれませんが、その辺りは先に説明が無いと、これまでの劇中の表現からはさっぱりわかりませんし(^^;
いよいよジバン絶体絶命のその時、突然ジバン基地のコンピューターが煙を噴いて暴走すると、都内の発電所の電力を無断で拝借し、ジバンへと送り込む。
ナレーション「ハリーの願いが届いたのか、コンピューターが勝手に動きだしたのだ」
いや、どう考えてもそんなメルヘンな現象ではなく、あのキチガイ博士が仕込んでいたと思われるわけですが。そして後で、対バイオロン委員会に物凄い額の請求書が送り届けられ、闇の公権力は特別法によりその請求書を破却し、電力会社が涙を呑むのです。
「力が、力がみなぎる!」
パーフェクト化したジバンはパワーブレーカーで隕石コスモの動きを封じると、その土手っ腹にニードリッカーをぶちこむ!
「ジバン、こんな事で勝ったと思うな。人間が宇宙を汚す限り、第二、第三のクイーンコスモが生まれ、人間に復讐にやってくる。そしていつか地球は、我々の手で支配されるのだ」
あがくコスモだったが、トドメのファイナルキャノンで大爆死。宇宙の神秘の力も、キチガイの備えの前には、通用しなかった!
忘れた頃の……というか前振り無用の環境汚染ネタでしたが、最初から最後まで物語との連動性ほぼ皆無のキャラクターでありました(^^;
「ははははは、クイーンコスモが死に、まゆみが手に入ったか! いよいよ決戦の時が迫ってきたなジバン! 貴様を鉄屑にする日まであとわずかだ」
そもそも一度確保した身柄をロマンの為に爆弾つけて放流したわけですが、退廃に生きる男は、過去など振り返らないのだ。
そして、本当に死んでいた早川良の墓に手を合わせる直人。
(早川良……君が居てくれたお陰でどれだけまゆみちゃんが勇気づけられたか。君の死は絶対に無駄にはしない。必ず僕の手でまゆみちゃんは取り返してみせる)
……や、普通に警察に届け出てくれれば、こんな事にならなかったし、本人も死なずに済んだわけですが……まあ代わりに、指輪爆弾で色々吹っ飛んだかもしれないけど(^^;
全く死ぬ必要の無いキャラクターが、その方が盛り上がるかなぐらいの感じで殺されてしまい、終盤に加速していく作品的絶望感。
特に作劇として致命的なのは、前半は“有能な少女ボス”としてそれなりにメリット/デメリット双方に意義のあったまゆみちゃんが、完全に“敵味方問わず周囲の人間を破滅させる呪いのアイテム”と化している所。ある意味ではまごう事なき正統派ヒロインの姿ですが、そういった方向性の物語でもない限りは、誉められらものではありません。
ここから新たな方向に舵を切って持ち直した『特警ウインスペクター』は本当に凄いなぁ……。
次回、ギバ様、ぼくのかんがえたさいきょうのバイオロン怪人だいぼしゅう。