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『侍戦隊シンケンジャー』感想5

◆第九幕「虎反抗期」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
赤と青の練習試合を見て、流ノ介が思ったより強い、と感心する千明。剣の技術だけなら丈瑠に匹敵する、と一同に褒めそやされる流ノ介だが、これは勿論、迫り来る転落の前置きでしか無かった。
その頃、三途の川では腑破十蔵が、ドウコクと因縁のある志波家当主の跡取り(丈瑠)を狙う事について筋を通しに現れ、あっさりと了解を得ていた。
「そうか、何も仕掛けていないのか」
何やら含みのある物言いで姿を消す十蔵。
「ドウコクめ。気付いていなかったとは驚きだな。が、わざわざ教えてやる必要もあるまい」
今のところ何が何やらですが、物語に関わる秘密を握っているキャラ、として十蔵が一つ印象づけられました。
「なあ、裏正。肌が粟立つほどの戦い無くして、生きて三途の川に入った甲斐はない」
意外と律儀な十蔵でしたが、やはりバトル大好き病の重症患者でありました。しかも、たった1人の友達の日本刀に話しかけるというおまけ付き。生きながら三途の川へ入ったという十蔵は、人間の姿に変身。
外道衆幹部クラスのキャストがキャストだけに、経験者とはいえ声の力の弱さが少々気になっていたのですが、なるほど十蔵は顔出し前提のキャスティングでしたか。
一方、かつての戦いで地割れにはまっていたという虎折神を妖術で洗脳し、自分の手先として操るアヤカシが出現。流ノ介も術を受けてしまい、バーサク状態で、桃、緑、黄を撃破。アヤカシを狙っていた殿は3人を助けて一時撤退を余儀なくされる。
水分補給したアヤカシが再び現れ、ブルーとの一騎打ちに臨む殿。
「なに考えてんだよ、丈瑠の奴。いつまでも殿様の顔崩さねえから、こういう時100パー信じらんねえじゃねえか!」
色々としこりがあったけれど、本当は丈瑠の事を信じたくなっている千明、といういい叫び。
赤と青は激しく刀を打ち合わせ、ふらっとやってきた十蔵、戦いを解説(笑) 技量には優れるが、型どおりの道場剣術であり綺麗な「一本」を狙う癖がついている青に対し、実戦で鍛え抜かれた赤の剣は臨機応変、状況を利用し、最後の「一撃」を狙っている……十蔵の解説通り、戦いが長引くにつれ、ペースを握りだした赤は、渾身のモヂカラを刃に込める。
(流ノ介、耐えろ!)
スパルタ殿、「反」のモヂカラをブルーに叩き込み、流ノ介洗脳解除。
アヤカシは虎を呼び出して赤が獅子で対応し、殿は虎の妖術も力技で解除。残り4人が連続攻撃でアヤカシを撃破し、巨大化したアヤカシに対して早速虎折神を侍武装 縦ロール トラシンケンオーがここに誕生する!
これまで被り物重視の侍武装でしたが、虎はバックパックの4つのドリルが主体で、兜の交換は申し訳程度。4つのドリルで標的を打ち砕く「虎ドリル突撃」により、アヤカシを粉砕する。
…………何代目かに特別駄目なご先祖様が居たのかもしれませんが、志波家のセンスはかなり危険だ。
戦いは終わったが、洗脳されて殿に刀を向けた事に意気消沈する流ノ介……とそれを見て超嬉しそうな姐さん。姐さん、弱っている男を放っておけない天使というより、弱っている男を助ける事でエネルギーを得る悪魔みたいになっているよーな。
なお、一度痛い目を見た事もあってか、茉子の甘言をきっぱり無視する所に、流ノ介の精神的成長が窺えます。
流ノ介のあまりの嘆きように、足を止め、振り返る丈瑠。
「流ノ介。あれだけのモヂカラを打ち込んだ、おまえは死ぬかもしれなかったんだ。俺はおまえの命を勝手に賭けた。………………ごめん」
と、と、と、殿が!
殿が壊れた!(待て)
「これでこの話は終わりだ。もう二度とするな。いいな」
そして早足で歩み去った!!
「殿、勿体ないお言葉……」
かくして殿が家臣の方へ歩みより、一件落着。前途多難な船出だった主従の関係も、少しずつ滑らかになっていくのでありました。最近殿は流ノ介に優しいのですが、殿からすると割とざっくりしている茉子とかの方が楽で、忠義一徹の流ノ介とかへの対応が面倒くさく、「俺が折れた方が面倒くさくなさそうだぞ……」という結論に達した様子が窺える一幕。
真面目な話としては、先の千明の台詞とも対応して、「殿様の顔」から「丈瑠の顔」がほのかに覗ける良いシーン。
面倒くさい流ノ介は、女装→洗脳で、ネタキャラの地位を確固たるものとし、はぐれ外道衆・腑破十蔵は密かにその牙を研ぐのであった。
ところで前回初めて気付いたのですが、アイキャッチで回す刀のツバに本編の画像が映り込んで、ズームアウト/ズームインする演出は格好いい。


◆第十幕「大天空合体」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
カブト・カジキ・トラ、三枚の秘伝ディスクを手に入れた事でシンケンジャーは、3つの折神を合体させる大天空の力を得る。大天空を操るにあたり、トラは殿、カジキは流ノ介、カブトは茉子が担当する事になり、内心カブトを得たいと思っていた千明は、悔しさからひとり稽古に励む。
やさぐれ気味に行きがちだった千明の負けず嫌いが徐々に前向きになっている姿が描かれ、爺、ご満悦。そこへ人を絶望に落ち込ませる雨を降らせるアヤカシが出現する。
赤「なんだこれは……」
緑「みんな流ノ介になってるよ……」
桃「やばい、ぎゅっとしてあげなきゃ、ぎゅって」
まあ相手は喜ぶでしょうが、姐さんの悪魔化がドンドン進んでいきます(笑)
珍しく丁寧な口調で知的な雰囲気のアヤカシは空中移動でシンケンジャーを攪乱し、ピンクが落としたカブトのディスクを使おうとするグリーンだが、使いこなせずアヤカシに逃げられてしまう。
「おまえは、侍になるのは早すぎたのかもしれんな!」
爺は書道フォンを取り上げて千明に謹慎を命じるが、内心では、悪くない素養を持ちながら、その力を発揮しきれない千明に歯がゆさを感じていた。口うるさいのは殿のように若き侍達を育て上げねば、という熱意の現れであり、千明への接し方について殿に相談するなど、可愛げを見せる爺。
殿のコミュニケーション能力に問題がある原因の、半分ぐらいは爺の責任だな、と改めて。
爺の相談を受ける殿は獅子折神と戯れ、何かを虚空に向けてアピール。
なぜ殿は、虚空に向けてアピールするのか。
爺はゲーセンで暇をつぶしていた千明を派手なバイクに乗せて竹林へ。
「少し気付いた事があるのだ。千明、おまえが受け継いだ文字はなんだ」
「木だけど」
「どんな木だ?」
曖昧な言葉しか出てこない千明に、爺はモヂカラの本質を問う。
文字には一つ一つの形があり、意味があり、そこに力が宿る。丈瑠、流ノ介、茉子、ことは……それぞれが受け継いだ文字と力は、それぞれ自身のものであり、他の誰かの真似をしても、巧くはいかない。
「おまえの中にある、お前の木を見つけよ」
ここで、竹林の外に古木が立っている、というロケーションは秀逸。
何かを掴んだ千明は、外道衆出現の連絡を受け、アヤカシの空中攻撃に苦戦する4人の元に推参。それにしても、はじめての空飛ぶ怪人に苦戦するのはお約束ですが、飛行手段がという斜め上。傘を閉じたモードと広げたモードがあって、着ぐるみの造形も妙に凝っていたり。
「シンケングリーン、谷千明、参る!」
グリーンはウッドスピアを構えると、空中から銃撃してくるアヤカシに突撃。
「俺のモヂカラ……でかくて、強くて、それで……すげー広がってる自由な感じ!」
適当だ。
自分の道に目覚めた千明は、ウッドスピアを変形させて棒高跳びの要領で空高く飛び上がると空中攻撃でアヤカシを撃破。巨大化したアヤカシはまたも空中攻撃で優位に立ち、殿は大天空の使用を決断。何かきっかけがあれば使えるようになる筈、と千明のモヂカラの上達を評価していた茉子がカブトディスクを千明に渡し、男衆3人は、大天空へと合体する!
千明の「姐さん!」は、物凄く舎弟感が出ていて素敵。
そして姐さんからすると、殿と流ノ介と一緒の箱に入るより、ことはときゃっきゃうふふしていたい。
カブト・カジキ・トラは変形合体すると飛行要塞となり、傘アヤカシと空中戦を展開。前回の虎から少々疑念がありましたが、どこかの代の志波家当主が、折神の魔改造を行ったのは想像に難くありません。
大天空は優れた機動性で傘アヤカシを追い詰め、シンケンオーが両肩から女子力ビームを浴びせた所に、「大天空・大激突」で成敗。
割と体当たりが好きな家系です。
未熟者ポジションの千明の成長話に、基本何でもありのモヂカラとは何か、というのを絡め、可愛げを出した爺が急接近。まあ爺の内心は定番通りですが、あまり引っ張りすぎずに、明確に距離を詰めてきました。それはそれとして、志波家は全体的に、対人スキルを何とかした方が、いい。
ここ数話で少しずつ殿の突出も抑え、メンバー5人の戦力ヒエラルキーを均していっているのですが、流ノ介が持ち上げられ、千明がレベルアップした結果、戦闘面で姐さんが目立たなくなっているのはちょっと気になる所。モヂカラの扱いが得意なようですが、特にそれを役立てて活躍した事が無いので、存在感が薄くなっています。いずれ秘伝ディスク絡みの話はあるのでしょうが、その前に戦闘でもう少し、特徴を見せてほしい所。
外道衆の方では、十蔵の言葉を気にして、シタリが志波家に関する古い資料を調べていた。その十蔵は、地上で日本刀と語り合っていた。ドウコクは、寝ていた。