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『烈車戦隊トッキュウジャー』感想32

◆第32話「決意」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
いやーーーーー、良かった!
今回は、素晴らしかった。
傑作回。
「俺たち、本当は、子供って事だろ」
トッキュウジャーの秘密が遂に明かされ、シャドーラインの闇に対抗できるイマジネーションを持った子供達に、戦闘に都合がいいように大人の体を与えていたという所までは、総裁、外道という話なのですが、そこから、このままでは元の子供に戻れなくなると持っていく事で、“現世から切り離された5人の戦隊”であり、“現世へ帰着する事”をその目的としていたトッキュウジャーの根本を揺らしてきました。
「大人になったままじゃきっと、ママ達に気付いてもらえないよ?! 街が元に戻っても、一緒に暮らせないかも……」
そしてそれが、ここまで31話で丹念に積み重ねられてきたからこそ、重く響く。
時折妙に子供っぽいところを見せるメンバー、時の止まったシャドータウン、過去にも1年物の作品だから出来る長いスパンの積み重ねを劇的に活用する事に成功している小林靖子ですが、散りばめていた諸々を重ね合わせ、容赦のない一撃を浴びせてくる手腕はさすが。
また、いわゆる伏線だけではなく、物語を重ねていく必然としての「成長」が“大人になっていく事”として盛り込まれており、積み重ねの意味が生まれているのも、素晴らしい。
偉い人が今まで黙っていた秘密をさらっと明かす、というのは良い手法ではないものの、その瑕疵を吹き飛ばす、強烈かつよく出来た展開になりました(一応、レインボーライン側としては、ライト達のイマジネーションを弱めない為にギリギリまで真実を隠していたのだと思われ、総裁はやっぱり外道)。
「俺たち、もう変わってるよ……秘密基地の頃とは。どこがどう、ってわかんないけどさ」
その頃、シャドーライン側では女狐と古狸が探り合い、すっかり陰謀から縁遠くなったネロ男爵は、ハイパーレッシャターミナルを襲撃する第2陣を送り出す。
「ダイニングセットブラザーズには、まだ弟達が」
こんなシリアスな展開なのに、またそいつらかっ!
しかも、増えてる!
今のトッキュウジャーを解散させた場合、イマジネーションに優れた子供達を見つけ出して新たなトッキュウジャーを結成するしかない……だがそんな余裕もないままにシャドー怪人がハイパーレッシャターミナルに迫り、緊急警報に、立ち上がる明。
「俺1人で充分だ。あいつらが街へ帰るレールを守る。とっくに決めた事だ」
いい笑顔。
今回、明かされた真実に向き合うトッキュウジャー、という軸も良かったのですが、もう一つ、明の扱いがとても良かったです。
自分の世界に浸るひとりロールプレイ男だった明が、ここで5人を気遣う姿が、非常に格好いい。
「なんだ、寂しい出迎えだな」
「俺には派手な死に場所だ――トッキュウチェンジ」
立ち位置の違う追加戦士が物語の中で蔑ろにされる事なく、違う立ち位置ゆえの格好良さを見せる、と素晴らしい作り。
そして、それぞれが選択を悩む中、走り出すライト。
「俺決めたんだ。シャドーライン倒すって。それを誰かに任せて、戦いが終わるの待ってるなんて、死んでも無理」
「でも……!」
「元に戻れなくなって、母さん達に俺だってわかってもらえなかったら、その時は……多分……泣くかな」
「それでいいの?」
「うん、いい。シャドーを倒すのも、元に戻る街も、俺には見えてるから。自分でやらなきゃ、勝利のイマジネーションは絶対に見えない! だから俺は――トッキュウジャー続ける」
戦いの場へ急ぐライトは踏切に捕まり、遮断機の向こう側に子供の自分の姿を見つける。――そして戻る、祭りの日の記憶。
大切なものを自分の手で取り戻す為に。
見つめ合った2人は頷き合い、走り出したライトは、笑顔の子供ライトとハイタッチですれ違う。
ここで、作られたヒーローだったトッキュウジャーが、32話にして、真のヒーローになる。
ごっこ遊びの延長線上として、かなりメタな要素を含んだヒーローを描いていた今作において、大切なものを取り戻す為に、子供の自分を乗り越えるという痛みを得て、少年はヒーローになっていく。
絶句。
前のシーンで「人任せにしないで自分の力で」という古典的なヒーローテーゼを、今作のキーワードである勝利のイマジネーションと繋げて語らせた上でそこで終わらせず、そうやってヒーローになるという事を、子供の自分を追い越していくという映像で描く。
そして子供のライトはその時そこに置いていかれるのだけど、しかし、笑顔でライトの背中を押す。
凄い。
今回トッキュウジャーに突き付けられた問題は、突き詰めればやはり古典的な自己犠牲のテーゼなのですが、それを、こういった形で描くやり方があるとは、脱帽です。
「戦いと別離」「ヒーローになる」「時間の積み重ね」というのは、メインライター小林靖子が過去にも使ってきたテーマでありますが、脚本家としての生まれも育ちも東映ヒーロー物であり、長くヒーロー物に携わってきた視点と愛を感じる展開。書いている方にそういった意識はないかもしれませんが、見ている方としては、小林靖子20年の一つの集大成を見る思いです。
ターミナルに残っていた4人も、これまでの旅を振り返り、自分達がやるべき事を選び取る。
「私達が変わっても、きっと街は変わらないね」
「だから、取り戻さなきゃ」
“自分達が街に戻る”事よりも、大事な事がある。
あの街を、そこに住む人々を取り戻す為に――。
走り出す4人、笑顔で見送る子供達。
もう戻れないかもしれない時間、けれど今やるべき事、やりたい事はたった一つ。
ダイニングセットブラザーズに苦戦し、追い詰められたライトと明を助けに飛び込む4人。
「ライト。僕たちも一緒に見るよ、勝利のイマジネーション」
「トカッチ、みんな……」
「俺たち5人は、いつも一緒だ」
「……そう。一緒だ」
子供の友情と、大人の決意がシンクロし、進むべき線路を定める5人。そしてそのレールを守ると誓う明。6人は揃って変身し、反撃開始。縦並びに走りながらの連続攻撃でブラザーズを痛めつけ、トドメは大回転砲+ドリル。6号がさすがにそろそろ寂しくなってきたので、合わせ技を考えていた模様です。……まあ、ドリルはシュバルツに奪われているので、ドリルっぽい気合いですが。
ギャグっぽい割に意外に強いブラザーズに超トッキュウオーとディーゼルオーも苦戦するが、その時、トッキュウジャーを続けるという5人の意志を尊重した総裁が、ハイパーレッシャターミナルの使用を許可。ターミナルが変形し、新たな巨大ロボ、ハイパーレッシャテイオーが誕生する!
駅そのものが単体でロボット化し、超トッキュウオー並の大きさのテイオーは、ずんぐり体型もあり、どことなく、相撲アクション。指から放つビームなどでブラザーズを弾き飛ばし、トドメは
「ハイパーレッシャテイオージャイアントフラッシュ!」
……長い。
ドラマ部分に力を注いだ為、テイオーは凄くついで感が漂いましたが、大きな転機にふさわしい新ロボ登場ともなりました。今のところ、ビームが強い、以外の特色が感じられませんが、今後に期待。クリスマス前には、全合体してくれる事も期待(笑)
自分達の置かれた立場を知り、同時にそれぞれの本名を思い出す5人。大切な物を取り戻した時、そこに自分達の居場所は無いかもしれない。けれど、一つだけ、わかっている事がある。
5人は、いつも一緒。
――俺たちはここにいる。
32話にして帰るべき現世での名前を取り戻すも、ヒーローである事を選び、子供から大人へと変わっていくトッキュウジャー5人は果たしてどうなるのか。この先どんな結末が待ち受けているかはわかりませんが、とにかく、今回は傑作でした。ここに辿り着いただけでも、もう、シリーズとして傑作認定したいぐらい。
一つ一つの要素が目新しいわけではないけれど、様々な要素を重ね合わせ、子供から大人への脱皮を、痛みを越えて何かを選ぶ事で描く。ここに至る物語の積み重ねを最大限に活かし、素晴らしいエピソードでした。
そして今回、陛下がイメトレの時に度々口ずさんでいた「きーらきーらひかる♪」の元が、どうやらライト達の歌であった事が判明。以前にも「闇の中で最初に見たキラキラはライトだったかもしれない」という発言がありましたが、裏打ちされる形になりました。
ライト達が、子供の心に大人の体を与えた存在という事が判明したので、もしかしたらゼットも、闇の皇帝の依り代になっているだけで本来は子供、忘れられた6人目の幼なじみが居た、という可能性も、あるかもしれないなどとは考えてみたり。
次回、『トッキュウジャー2』始まるよ(嘘)。