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『魔法戦隊マジレンジャー』感想32

◆Stage.48「決戦〜マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子
色々な意味で、面白かったです(笑)
いや割と普通に盛り上がったのですけど、まさかあんな隠し球があるとは。
夢に出そう。
前回ラスト、結婚式に飛び込んできたリンによる、マジトピア崩壊の知らせから。
天空大聖者マジエル(大きい)−リン(小さい)−絶対神ン・マ(超大きい)
と並べて横から見せた映像が、面白い。
もともと劇場版の特別出演だったようですが、マジトピアを統べるマジエルは、女王・曽我町子インパクトが絶大。だがそのマジエルの至高魔法もン・マには通じず、マジエルはルナジェルを地上へ逃がして消滅、マジトピアはン・マによって崩壊してしまう。
負傷しているリンはスノウジェルの元へ連絡に向かい、父とヒカル先生が急ぎマジトピアに向かおうとするが、それに同行を申し出る魁。
「今の俺は、父さんと同じ力を持ってるんだぜ」
……え? いつ?
…………同じ(属性の)力、て事?
父は自分の意志を曲げようとしない魁を別の空間へ連れて行き、フェイタルブレードの構えで手合わせをする事に。フェイタルブレード――それは、戦士として最大の戦いに際し、自分にある伝説の力を確かめ、更なる奇跡を呼び込む為の型……ていきなり過ぎて何を言っているかよくわかりませんが、クライマックスへの伏線の為の秘伝の伝授と思われます。さすがにラストぐらい前振りをしようと思ったのかもしれませんが、こういった前振りが基本的にない作品だっただけに、唐突感は否めません(^^;
「おまえの全ての力をぶつけてこい!」
二刀を構えるブレイジェルを前に、切りかかる隙を見つけられないマジレッド。
(なんでだ? ウルザードの父さんを、凌いだ事だってあるのに! 体が……動かない)
……あ、やっぱり、思い込みなのか。
…………というかそうか、魁の立場からすると、父は、口と態度だけ大きくて残念な奴扱いなのかッ! これは、仕方ありません。魁ではなく、ウルザードが悪い(笑)
自棄になった赤は火の鳥で突撃するが一撃の下に粉砕され、魁は父の真の実力を知る。
「魁……勇気とはなんだ?」
「それは……」
「勇気とは、己を知り、信じる事。俺はそう考えている。その究極の境地に達した時、フェイタルブレードは、きっと奇跡を呼ぶ。おまえは、おまえの勇気を見つけろ。その時、おまえは本当に強くなれる」
溜めに溜めただけに、父がここで息子の壁となり、改めて今作のキーを問う、というのは、決まりました。特に「己を知る」事にひたすら欠けていた作品なので、今更ながら父からそこに言及があったのはとても良かったです。
……つくづく、誰か早く魁を殴っておけば良かったと思わずにはいられませんが(笑)
(厳密には先生が一度魁を殴っているけど、冥府神復活で先生も動揺していた為、むしろ状況をこじらせる無駄なパンチになった)
ヒカルは麗の為にスモーキーを地上に残し、麗は帰ってきたら特製アップルパイを焼くと念入りにフラグを立て、ヒカル先生は(一応結婚したけど、「ヒカル先生」呼びなのがなんか背徳的でいいなぁ……)とか考えていた。
「父さん母さん、みんな……ここが俺たちの、うちだよな。だから絶対! 全員無事で、ここに戻ってこようぜ。そんでその日を……新しい、特別な記念日にしようぜ」
翼、いい台詞をもらう。
台詞の途中で家を映すカメラワークも素敵。
家族戦隊にふさわしく、また、イベント好きの小津家という劇中設定ともしっかり繋がる一言となりました。ティターン編が蒔人・芳香の担当で、前回が麗、今回後半は魁なので、バランス配分としてはここで翼に見せ場を与える必要があったのでしょうが、最後の最後で、作品を一つ象徴する、非常にいい台詞が回ってきました。
また、まがりなりにも前回、ヒカル先生が家族の一員となった事で(魔法による戸籍の偽造などはこれからですが)、この台詞からのけ者にされなかったのも、巧く機能しました。
この期に及んで拗ねていた魁も母に促され、8人の家族は手を重ね、未来に希望を掴む為、インフェルシアとの最後の戦いに赴く。地上にはスフィンクスに代わってスレイプニル神罰執行に現れ、それに挑むマジレジェンド。そしてそれを見つめるダゴンに挑むマジマザーは、この戦いの意味を問う。
絶対神ン・マの世界は完全なる闇。そこに曖昧なものはいらぬ。排除するだけだ!」
マジシャインウルザードファイヤーは崩壊したマジトピアで絶対神ン・マと遭遇し、最強対決勃発、と戦いは三つの局面に。
師弟合体攻撃すら軽く反射した絶対神ン・マはシャインとウルザードの魔力を喰らい、2人は天空体に。魔法そのものを食べてしまう……それこそが、虚無と飢餓を司る絶対神ン・マの秘密の力だったのだ。
前回からちょっと気になっていたのですが、「絶対神ン・マの秘密の力」という言い回しがこの局面において微妙に間抜けなのですが、これは『秘密の部屋』的な何かだったのか(^^; 別にそこを「秘密」で強調しなくても、普通にン・マの能力、ン・マ強い、で良かったよーなというか。
ン・マの触手攻撃によってビジョン通りにサンジェルが倒れ、フラグ達成。裏ドラまで積んだので仕方がない。
地上では全くいい所なくマジレジェンドがスレイプニルに粉砕され、5人+マザーはダゴンの攻撃で追い詰められる。麗をかばったスモーキーが爆死し、更に母も吹っ飛び大ピンチに。
「あなた達は、私とお父さんの子。お父さんに出来た事なら、あなた達にだって出来る筈よ。あなた達には、無限の勇気と、可能性があるのだから」
駆け寄る子供達に、この土壇場で、母、また滅茶苦茶言い出す。
……まあ、この最終盤にして、小津兄妹が無謀・無茶・無策の3無し勇気主義でここまで勝ち残ってこられたのは、父が規格外の超魔法勇者だったという、血統的背景によって理由付けられたので、『マジレンジャー』世界においては、当然の帰結といえる理屈なのかもしれません。
今回、その超魔法勇者である父が、「勇気とは、己を知り、信じる事」と、自分なりの勇気について提示する事で、前回の「「みんなが支え合ってる!」」と合わせて、最後の最後でヒーローの力の背景を再構築してきましたが、これを2クール目の終わりぐらいでやってくれていればなーというのは正直思うところ(^^;
そして父が存外まともな事(というか戦士としての基本の基本)を言った為、やっぱり母がクズいという結論に改めて。
まあ母はフィーリングの人で、父は戦闘関係だけえらく理屈が通ってるタイプなのかもしれない(笑)
ダゴンは絶望の生き証人として、深雪をインフェルシアに拉致。
母は論理も倫理も崩壊しているけど、この溢れるヒロイン体質のお陰で、世の中おいしく渡ってきたのだろうなぁ……。
実の娘にも、女子高生にも、真ヒロインの座は渡さない!
残された5人には小型化したスレイプニルが迫り、兄姉が絶望に沈む中、1人スレイプニルに強いまなざしを向ける魁。
「なんだ? おまえは負けたのだ」
「俺は――父さんの子だ」
魁がスレイプニルへ向けて歩き出し、上から炎の魔法陣が降りてきて変身、というシーンは音楽(挿入歌のイントロ)も合わせて非常に格好良かった。
そして天空では――
「ン・マよ――俺を倒しても、地上に俺の子供達が居る限り、世界はおまえのものにはならん! 可能性、未来、そして勇気。おまえにはないものだ。光の前に闇は滅びる!」
フェイタルブレードの型を取り、オーラに包まれるブレイジェルも格好良く、ここまでひたすらウルザードで無駄遣いされていた磯部ボイスが炸裂。これだ! これが本当の父の姿だ!!
……で、末弟の歌唱力は残念だった。


ふぁいやーー ふぁいやーー

「俺は戦う! 父さんの子である俺を、俺の力を信じる!」
なんか結局、「己を知る」ってそういう意味? とちょっと違う所へ着地してしまうのが『マジレンジャー』クオリティですが(今の自分の力を把握するとかではないのか)、この世界では、血統が正義! 一応、世界観としてはズレていないのでもはや良しとします。
バーニング魁は、スレイプニルに猛反撃。その姿を見て、勇気を取り戻す兄姉達。
「そうだ……やろうぜ! 俺たちなら、やれる!」
「この世界の、家族みんなの為に!」
「地上を、守るのよ!」
「魁に続け!」
「「「「魔法変身!!」」」」


ゆーうきはー ふしぎなー ふぇーにっくすー

きずつくたーび つよくなるー



なんだろうこの、70年代感(笑)
「「「「「溢れる勇気が魔法に変わる! マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン! ファイブ・ファンタスティック・(なんとか)!!」」」」」
ただでさえ5人で声を合わせている上に、後ろで強烈な挿入歌がかかっている為、何と言っているかさっぱり聞き取れず(^^;
5人の力を合わせた空中反転合体キックにより、スレイプニル、撃破。
まあここまで色々ありましたが、『マジレンジャー』的なるものの集約としては綺麗に出来ており、ここは熱かった。
最強の冥府神を撃破する5人だったが、その時、地上に絶対神ン・マが降臨し、サンジェルをポイ捨て。ブレイジェルもポイ捨て。
「お前達が私の最後の贄だ。味わわせてくれ。極上の恐怖と苦悶を」
地球の時間を喰らったン・マは、荒廃した未来の世界を見せつけ、更なる絶望をマジレンジャーに与える。果たして、世界はこのまま漆黒の虚無に塗りつぶされてしまうのか。勇気と言う名の魔法は世界を救う光になるのか。次回、最・終・回。


あーかーい まじあかいー せいぎのほのおー
あーつーい まじあついー おーもいこめー


かつてなく格好良い魁の変身シーン、天空で戦う親父の本領、非常にいい流れの中で、弾ける凄まじい困惑。
?! ?! ?!
歌い方といい、メロディラインといい、70年代を激しく彷彿とさせるのですが、なんとも言えない癖になる味わい。使われたシーンの良さと合わせて、ただの残念挿入歌を超えた、夢幻の境地に到達してしまいました。この歌をここで突っ込んできたスタッフは凄い(笑)
ところで「おもいこめ」は魁だけに、「思い込め」すなわち「熱いと思い込む」の意だと思ったのですが、よくよく考えると「想い込め」……「熱い想いを込めて」の意か(^^;
途中でも触れましたが、父による微修正も含め、『マジレンジャー』的なるものの集約としては、綺麗にまとまったエピソード。
ヒカル先生の登場時にも思いましたが、今作は、“失った家族を取り戻す”というコンセプトと一体化した、“欠けたピースを埋めていく物語”であったのだな、と。ゆえに、必要なピースを埋める事で出来上がる完成形が見えている一方で、そこに至るまでが不安定になってしまった。そして時々、強引に合わないピースを填めていた(^^;
母の消滅に始まり、幾多の戦いを乗り越えてルナジェルと出会い、先生が来て、スノウジェルよりレジェンドパワーを手に入れ、母が甦り、そして父の復活によりマジレンジャーが完成する、という構成は、こうして見ると、面白い作劇だったとは思います。
ルナジェル、サンジェル、スノウジェルとの出会いと教えを経て「変化」と「成長」が描かれればまた違ったと思うのですが、肝心のキーワードである「勇気」がゼロ地点から全く動かず、ボタンを掛け違った便利ワードのままひたすら使われてしまったのが残念でしたが(^^;
神すら屠ってきた戦隊にふさわしく、最後の敵は時間をも喰らう絶対神。果てしない虚無と絶望に、勇気と魔法は如何にして立ち向かうのか、この盛り上がりが巧く繋がって着地してくれる事に、期待。