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2014年を振り返る:特撮編

今年は、〔東映特撮YouTubeOfficial〕に加え、〔GYAO!〕に踊らされた日々でありました。
年末恒例、今年も各部門に分けてランキング形式で振り返ってみたいと思います。対象エピソードは、昨日の更新分まで。対象作品は、“それなりの話数を見た上で、今年、最終回を見た作品&劇場版&現在見ている作品”という事で、以下の通り。
〔『炎神戦隊ゴーオンジャー』、『特捜戦隊デカレンジャー』、『仮面ライダーブレイド』、『機動刑事ジバン』、『仮面ライダーキバ』、『魔法戦隊マジレンジャー』、『ロボット刑事』、『烈車戦隊トッキュウジャー』、『仮面ライダーW』、『侍戦隊シンケンジャー』〕
性質上、上記作品のラストにまで触れている場合がありますので、ご了承下さい。
なお昨年のランキングはこちら→〔2013年を振り返る:特撮編〕
今年はちょっと趣向を変えて、打撃力の高い部門から行ってみようと思います。

☆残念部門☆

1位 戸増宝児/デカブルー (『特捜戦隊デカレンジャー』)
2位 ウルザード (『魔法戦隊マジレンジャー』)
3位 池波流ノ介/シンケンブル (『侍戦隊シンケンジャー』)
次点  左翔太郎 (『仮面ライダーダブル』)
昨年はメギド王子が抜群の強さを見せつけた、男の勲章、残念部門。今年、栄えあるこの部門のトップに輝いたのは、下馬評通り、やはり強かった! その残念、まさに圧倒的!! Supercoolなスナイパー、宇宙警察地球署の誇る青き流星、ホージーこと戸増宝児!
えーもう何というか、凄かったです。戦隊シリーズには歴史的に色々な残念が居ますが、ここまで残念だった残念は敵味方合わせても史上最高レベルなのではないかというエターナル級残念。
やたら気取った発音の自称Perfectで自称coolな自称エリート→脳筋レッドと同じ箱に→リーダーはピンク→頭脳労働はグリーン→男らしくて格好いいのはイエロー→洒落た台詞に両サイドから生暖かい視線を送られる→共に夢を誓い合った筈の親友は金に目がくらんで暗殺者に→体を奪われ身内にデリートされかける→(姿形は変わっても、戸増宝児は永遠に不滅なんだ!!)→人情の温かさに触れて少々丸くなる→本物のエリートが来てしまう→アリエナイザーに狙われやすい体質扱いを受ける→「努力の天才」ポジションに輸送されてしまう→やっと出来た恋人は尼に→ウメコ死亡フラグを立てられるが何とか生き延びる→Supercoolがキャラ作りであった事が判明
何が凄いって、最終的にまとまったのが凄い(笑) ホージーの残念は、永遠に不滅だ!!
「これにて一件コンプリート。SupercoolにPerfect」
2位にはこれも、歴史的残念。戦隊シリーズ30年分の“残念なライバル敵幹部”の残念な要素を煮詰めたかのような、あらゆる言動と行動が残念な方へ残念な方へと向かっていく、窓際騎士ウルザード。デザインと声は格好良かったのですが、ほんとーーーーーーーに、駄目な人でした。
「フッ……武器を持たず、戦う意志の無い者に手は出さん。魔道騎士たる者の当然の心得だ」
今年は上位2人が抜けていましたが、3位には、安定の滑り芸を見せるシンケンブルーこと池波流ノ介。レッドがクール系(というか機能不全)の都合上、二枚目ポジションの筈がコメディリリーフを兼任。しかし実はスペックが相当高い為、残念な部分でキャラクターの可愛げを出しており、残念さが欠かせないという、完成された残念キャラ。ついでにちょっとM。
「わかってる! 思いっきり罵ってくれ! いや、殴ってくれ!」
次点として、これも流ノ介と似た系統というか、“残念な二枚目”として造形されている、ハーフボイルド探偵・左翔太郎。女に弱く、しかも割と節操が無く、気取って滑りまくりの半人前、という完成度の高い残念でした。えーとあれです、基本的にこのランキングでは、狙った残念より狙ってない残念の方が票が稼げると思って下さい(笑)
「俺はダブル! 街の涙をぬぐう、二色のハンカチさ」
さて世の中には、残念、で許されない事が多々あります(まあウルザードはどちらかというと許されない系残念ですが)。今年は何故か、やたらにそんな大人達が目立ったので、特設部門を一つ。

☆最低な大人部門☆

1位 島護 (『仮面ライダーキバ』)
2位 柳田 (『機動刑事ジバン』)
3位 烏丸啓 (『仮面ライダーブレイド』)
次点  レインボーライン総裁 (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
栄えある第1位は、素晴らしき青空の会会長、首領Sこと、島護。「面白いから」という理由で若い命を死地に投げ込み、新装備開発の為にさらりと人体実験を行い、気分で部下を使い捨て、まさしく人間のクズ。吐き気のするような邪悪。最終盤には物語がややこしくなった原因の半分ぐらいの責任がある事も判明し、真っ黒以上に真っ黒な、最低最悪の人物でした。普通に悪役扱いでいいと思うのですが、悪役としても愛せない。
「私は、人類の天敵であるファンガイアと戦う、素晴らしき青空の会、会長だ」
2位には、バイオロン犯罪に対抗する為、五十嵐博士、後には田村直人と連携する闇の公権力の使者、柳田。一応、法と人命を尊重する治安維持関係者だと思われるのですが、“大事の前の小事”を地で行く性格と行動で数々の外道を働く見事な人間のクズ。直人とまゆみの血縁関係を秘密にしていた事に関しては、本当に全く意味がわかりません。石濱朗さんが演じた為に、怪しさ3割増しになってしまったのは事故みたいなものだったといえ、非常に酷い人物でした。
「実は…………はっきり言おう。君の命はいつまで保つかわからん」
3位は、当初から色々と怪しげながら、物語の紆余曲折もあり、悪役にはならずに話をまとめる立場に収まったものの、その結果としてただの困ったおじさんとなった、ライダーシステムの開発者、烏丸所長。不備だらけのライダーシステムを開発するも「不備はない」と力強く言い切り、1話にして生死不明となり、復活したと思ったら洗脳されて後に延々と禍根を呼ぶ呪いのベルトを作り出し、行方不明となったベルトを探すどころかチベットに高飛び、チベットから役に立たないメッセージを送ると失踪。ダメすぎました。なんという、山路和弘の無駄遣い。
「逞しくあれ。 そして怯む事なかれ。絶望の後には必ず希望が来る」
次点に、レインボーライン総裁。悪の組織と戦う為に、推定10歳程度の子供達の記憶を奪って大人の肉体を与えて戦士として使役する、というさらっと物凄い外道を行いつつ本人は被り物で顔を出さないという、行動だけ取り上げると極めて邪悪。本当に、信用していいのか。
「それに私は、ドリルが好きだ」
今年見た作品はホント何でこんなに、いっけん正義面した下衆、みたいなのが沢山居たのだろう(^^;

☆メカ部門☆

1位 炎神王G12 (『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
2位 マーフィー (『特捜戦隊デカレンジャー』)
3位 ライダーシステム (『仮面ライダーブレイド』)
次点  デカベースロボ (『特捜戦隊デカレンジャー』)
今年は、『キバ』『マジレン』『シンケン』と、メカ? という作品が割と重なり少々選出に困ったのですが、厳正な脳内投票の結果、1位は最強無敵のすり潰しロボ・炎神王G12で。3身合体×4の12身合体という面白さ、メカ(炎神)を大切にした作品らしい見せ場の盛り上げ方、そして何より、劇中で安売りされなかった最強ロボ、という点を評価。ギミックと物語がしっかり重なった所に生まれた、良い最強ロボでした。
「G12・ファイナルグランプリ!!」
2位は中盤の行方不明から一転、最終盤で思わぬ活躍を見せた、宇宙警察の頼れるサポートロボット警察犬・マーフィーA9。恐らく主に撮影が大変(&CGで予算食う)な都合で消えていたとは思うのですが、まさかラスボスにトドメを刺すとは思いませんでした(笑) 特別好きだったわけではないのですが、散々ネタにしたのと、最終的においしかった所に。
「ごっちゅう!」
3位は、これをメカといって良いのか微妙に悩んだのですが、多分メカ。諸悪の根源、ライダーシステム(ベルト)。これはもう、あの伝説級名台詞が全てです。
「ライダーシステムに不備はない」
次点として、驚愕のラスボス化どころか、宇宙警察艦隊の出撃を招いたオーバーキル兵器・デカベースロボ。宇宙警察のよくない所を体現した駄メカという事で(笑) 『デカレンジャー』自体はメカ推しだったので、前半の凝ったミニチュア特撮メカは全体的に好きです。その分、CGになってしまった後期ロボのデカウイングロボが今ひとつ面白みが無くなってしまいましたが(^^;
「超巨大機動・デカベースロボ!!」
デザイン的にはマジキングも好きだったのですが、『マジレン』が割とロボに冷たい戦隊で、中盤以降これといった見せ場が無い為に最終的な印象度で劣り、惜しくもランク外。

☆助演ヒーロー/ヒロイン部門☆

1位 ドギー・クルーガーデカマスター (『特捜戦隊デカレンジャー』)
2位 芝大造 (『ロボット刑事』)
3位 城光/タイガーアンデッド (『仮面ライダーブレイド』)
次点  ヒカル先生/マジシャイン (『魔法戦隊マジレンジャー』)
1位は前年の予想通り、圧倒的最強、地獄の番犬・デカマスター。この人を助演部門でノミネートしていいのか悩んだのですが、一応、長官ポジションという事で。70年代ヒロイズム溢れる鬼畜ぶりもさる事ながら、スワンさんとの大人のドラマもポイント高し。そして、稲田徹さんが大好きだ! 作品総体においては若干のやりすぎ感もありましたが、それも含めての受賞という事で。
百鬼夜行をぶったぎる! 地獄の番犬、デカマスター!」
2位は、『ロボット刑事』の世界観を彩るに欠かせない、名脇役。芝のおやっさん。脚本のブレの影響をまともに受けるポジションだったので色々とブレも出ましたが、『ロボット刑事』を『ロボット刑事』たらしめる存在でありました。
「馬鹿! 椅子が人殺しをするか」
3位は、『ブレイド』後半戦で重要な役割を担った、虎の女王様。前半、キャスティング的にも扱い的にも不満の多い上級アンデッドでしたが、番組の立て直しを象徴するかのように、後半の物語を引き締めてくれました。2人のMも調教してくれました。
「私は、私の種族をこの地球の支配者とする為、この戦いに命を懸けている! 君はなんのために戦っている?」
次点として、セクハラ家庭教師ヒカル先生。追加戦士ポジションとして考えるとヒーロー部門なのですが、長官ポジション兼任だったので、こちらに。見せ場といい台詞が多く、劇中では最も好きなキャラクターです。割と素直に好き。
「当たり前だろ。僕は……君の、先生なんだから」

☆音楽部門☆

1位 『仮面ライダーW』
2位 『仮面ライダーキバ
3位 『仮面ライダーブレイド
番外  「勇気はフェニックス」 (『魔法戦隊マジレンジャー』)
今年は挿入歌単独ではなく、挿入歌含む音楽を作品としてランキング。
第1位は、『仮面ライダーW』。実のところ最初の内はあまりピンと来ていなかったのですが、定番のテーマ曲を決めのシーンで使う、というのが演出として徹底された結果、中盤以降の、これこれ、というのが段々癖に(笑) また、《平成ライダー》としては恐らく割と珍しく、中盤のウェザー戦、劇場版、終盤のクライマックスで主題歌が劇中で使われたのも良かったです。単独の楽曲としては、「疾走のアクセル」(アクセルのテーマ曲)が大好き。最後の決め手は、48話のクライマックスで流れた、「Cyclone Effect(アコースティックアレンジ)」。これが非常に良かった。
第2位は、作品として色々と浮き沈みがありましたが、とにかく音楽は非常に良かった『仮面ライダーキバ』。私がバイオリン好きというのもありますが、バイオリン曲に、それ以外も含め全体的に良かったです。あと、正直主題歌より格好いい、エンペラーフォームのテーマ曲「SuperNova」が、《平成ライダー》の構造上の妙で、毎度クライマックスで使われる事になったのが結果的にとても良かった(笑) あと、サガのテーマ曲も好き。
第3位は、『仮面ライダーブレイド』。これはもう、最終回、剣崎と始の対話〜エピローグの一点突破です。正直今ひとつ本編とマッチしていなかった壮大なメロディラインが、剣崎と始、2人の物語と繋がる。切ないエンディングと音楽が重なり、消え、そしてあの――排気音。素晴らしい演出でした。
番外として、今年最も衝撃的だった挿入歌、「勇気はフェニックス」(小津魁)。歌自体メガトン級の破壊力でしたが、使われたシーンと前奏の格好良さからの落差で、ダメージが倍率ドン、更に倍。魂が消し飛ぶ級。
あーかーい まじあかいー



☆悪役部門☆

1位 ガイアーク3大臣 (『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
2位 Dr.ギバ (『機動刑事ジバン』)
3位 登太牙/仮面ライダーサガ (『仮面ライダーキバ』)
次点  キング’86/バットファンガイア(『仮面ライダーキバ』)
気を取り直して、いよいよ後半5部門。
今年の悪役第1位は、怖さと愛嬌、実力と駄目さ加減を見事に融合させ、愛される悪役として不動の地位を築いたガイアーク3大臣で決定! 3大臣、はちょっとズルい気もしますが、やはり3大臣はトリオでこそ、と思うので(笑) 腹心を失ったヨゴシュタインが自分探しの旅の末に闇に堕ち(あれ?)、1人の力で戦隊を倒そうとするも敗北し、3大臣が力を合わせる事が重要なのだと気付いてスクラム組んで仲間の絆を見つめ直す、という第29話は、奇跡のエピソードでした(笑)
「これからも三大臣の力を合わせて、ヒューマンワールドをきたなくよごして、けがれさせまくるでおじゃる」
第2位は、本編の面白さの8割ほどを担っていた、ロマンとデカダンの中年紳士、Dr.ギバ。思いつきで立てた作戦を実行に移す行動力と科学力、如何にも深い意味が合ったように後付けする鉄壁の論理防御は、共に天才的。悪の天才科学者としては非常にハイスペックな人物でしたが、スリルを求めるすぎる性癖と、ワンマン経営ゆえの大雑把さが惜しかった。組織のボスとしての適性は低かったものの、悪の科学者系大ボスとしては、かなりいい線行っていたと思います。最終的に本作でダントツに面白いキャラでした。
「動機が掴めぬ? 愚かな人間共の発想の貧しさよ」
3位は、登太牙。悪役? という疑問はつくところですが、若社長は普通に好きなのですけど、他に入れる所が無かったのでここに(^^; 金も地位もある爽やか系2枚目として登場しつつ、女に弄ばれ、愛に恵まれず、ぼろぼろになっていく所まで含めて好きです(笑) で、育ての親が人間のクズであった事が判明し、もうそれはシカタナイ、運命が悪い、というか預けたの本当に誰だよ?! あと、サガも格好良くて好きです。
「ファンガイアとしての誇りを失いし者。王の判決を言い渡す――死だ」
今年は3位争いが僅差で、若社長の他、アブレラ、ネロ男爵、皇帝ゼット、霧彦、井坂先生、コシカケマン、などの激しい争いだったのですが、惜しくも3位になれなかった面々から次点に選んだのは、先代キング。嫁と間男の間に生まれた子供が青年に成長した姿を見せつけられるという、悪の大ボス史上に残る精神的ダメージを受けた人として、忘れ得ぬ印象を残しました。じぇらしー。
「その剣を持っていれば、おまえを殺す事になる。おまえを殺せば、おまえを愛している事になる。俺に愛などあってはならぬ」
来年に向けては、血祭ドウコクが赤い鎧の飲んだくれのままではなく、ボスキャラらしい活躍を見せてくれる事に期待。今のところ、色々不安(^^;

☆悪の組織部門☆

1位 ガイアーク (『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
2位 バドー (『ロボット刑事』)
3位 バイオロン (『機動刑事ジバン』)
次点 シャドーライン (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
第1位は、悪役部門と2冠達成、ガイアーク! 実力と愛嬌を併せ持った秀逸な幹部達、いっけん間抜けだが意外と高い組織戦力、優秀なデザインの揃った蛮鬼獣、そして福利厚生も充実した職場環境、と実際の脅威としても、面白組織としてもバランスが取れ、非常にレベルの高い悪の組織でした。文句なし。
「ガイアークに、独裁者はいらないゾヨ!」
第2位は、悪人と契約を結んで怪ロボットを派遣し、様々な犯罪の手伝いを行う悪魔の組織、バドー。組織そのものが直接悪事を働くのではなく、犯罪を考えている人間に手を貸す、というコンセプトは、本編中で多少のブレも有りましたが、非常に広がりがあって面白いコンセプトでした。人間の心の中の悪の芽を伸ばす存在、というのは石ノ森ヒーロー世界の基軸の一つでありますが、その体現として、後の作品への影響も窺えます。また、裏切り者は許さないけど、アフターケアに厚い、という点では歴史的に飛び抜けて素晴らしい(笑) 紆余曲折の果て、狂った首領と狂った怪ロボットが火星の原野で心中する、という組織の終焉も衝撃的でした。
「貴方も無一文では強盗をした甲斐がなかろう。次の仕事の資金として、これを与えよう」
第3位は、ただれた悪の組織バイオロン。特筆すべきは、その初動体制の優秀さ。ギバ様のどんな適当な思いつきの作戦もとりあえず実行段階まで持っていってしまうその科学力と行動力は非常に侮れません。問題は、作戦の方向性が根本的に間違っていたり、途中でコロコロ変わったりする所と行動隊長がガラクタな事だ!
「私は全ての事をいつも、疑っているのだ。疑えば救われる。それがバイオロンの哲学だ」
次点として、シャドーライン。組織としてはそれ程面白くないのですが、各幹部のデザインの良さと、そのデザインから予想だにしなかった充実のアクションを非常に評価。シュバルツの剣技、ネロのステッキ格闘術、ノアのアンブレラ格闘術とそれぞれの個性を出しつつ、光線技に頼らない強者アクションをたっぷり見せてくれました。また皇帝ゼット、そしてグリッタ嬢も非常に良いキャラ。個々のキャラクターの面白さが組織レベルに昇華すれば更に上を狙える存在なのですが、年明け、クライマックスでどんな風に描かれるのか、楽しみです。
「すげぇ。すげぇぞお前ら、キラキラだぁ!」

☆ヒロイン部門☆

1位 白鳥スワン (『特捜戦隊デカレンジャー』)
2位 グリッタ (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
3位 相川始/ジョーカー (『仮面ライダーブレイド』)
次点 鈴木深央 (『仮面ライダーキバ』)
第1位は、激戦を僅差勝ち抜け、白鳥スワン。宇宙警察地球署の誇るスーパーメカニックして、銀河系レベルの天才開発者。だがその頭脳と腕を用いるのは、愛の為! ボスとスワンさんのオトナの空気は当然なんとなく匂わせて一部視聴者をニヤニヤさせるだけだろうと思っていたので、直球でロマンス放り込んできた第36話には、この歳になって、真のヒロイン力とは何かについて真剣に考えさせられました。あれはもう、影の最終回といって良かった。これが、本当のアイドル力だ!
「恋って魔法みたいなものでしょ。好きな人の事を想うと、それまで不可能だった事でも出来ちゃったりして」
第2位にはこれも、CV:日高のり子が圧倒的なアイドル力を見せつけ、劇中ヒロインレースを20馬身ぶっちぎった、グリッタ嬢。スワンさんとは本当に、僅差の争いでした。本編残りの描写によっては、スワンさん逆転の目があったかもしれません。というか、残り数話ですが、現時点で来年のヒロイン部門大本命です(笑) デザインとのアンバランスで見せる描写が当初はやり過ぎかと思ったものの、徐々に物語とシャドーラインに欠かせないスパイスになっていき、やがて狂気に近づく乙女心。素晴らしいヒロインでした。来年、その想いがどんなクライマックスを迎えるのか、非常に楽しみにしております。
「シュバルツ様……」
第3位は、何かおかしい気もしますが多分間違っていない、相川始。非常に低調な争いが続いていた『ブレイド』ヒロインレースに後半から本格参戦するや、怒濤の鬼脚で全てぶっちぎた、剣崎一真専用ヒロイン。いや、始さんは始さんで好きなのですけど、劇中の位置づけとしてはもう、最終的にはヒロインとして評価するしかありません(笑) なお、主にカリスだった頃にはヒロイン力が0に近かったので、『ブレイド』劇中のヒロイン力は、そのほぼ全てがジョーカーの中に封印されていたと思われます。
「嫌われるよ。お喋りすぎる奴は。誰にだって触れられたくない事がある。忘れるんだな」
次点として、『キバ』後半戦を彩った、悲劇のヒロイン、鈴木深央。正直な所、深央さんが特に好きだったというよりは、芳賀優里亜可愛い票です(笑) 劇中ヒロイン力では真夜や、ネジをはめ直した後のゆりの方が高かったですが、その美人度の高さで若社長と共に後半戦をかなり引っ張ってくれました。ヒロインとしては最終回、渡が割と早く別の女と子供を作る事が判明するので、かなり死んで負け系ですが(^^; むしろ、若社長の方が長く引きずって一生独身とか貫いてそう。
「太牙を倒して」
ヒーロー部門は今年も、5位から順に発表。

☆ヒーロー部門

5位 左翔太郎/仮面ライダージョーカー (『仮面ライダーダブル』)
散々ネタにしてきましたが、翔太郎がその真芯に抱えているヒーローとしての志、はとても好きです。中盤、落とされて落とされて落とされて浮上するかと思ったら照井にかっさらわれ、今度こそ上がるかと思ったら亜樹子に持っていかれ、遂には捨てられそうになったり、良心回路扱いになったり、登場人物達から次々と役立たずの不良債権扱いを受けたりもしましたが、半人前のハーフボイルド探偵は、己の弱さを認め、しかし優しさを捨てず、左翔太郎であり続けた。とてもいい、主人公でした。
「おまえは全開で行け! 俺がついていくから! こんなバチバチ、なんてことはねえ! 耐えきるさ! おまえが相棒だと思ってくれてる内は、俺は二度と折れねえぞ!」
4位 江成仙一/デカグリーン (『特捜戦隊デカレンジャー』)
宇宙警察地球署の頭脳、ちょっぴり 変態 変人。バンとホージーがひたすらダメ男路線を突き進む中、地球署のいい男分を一手に担当(除く別格のボス)。頭脳面での活躍もさる事ながら、無敵状態のV−MAXモードが印象深いです。必要以上に回り、生身でビームを受けても耐える、そう、バーニングセンちゃんは無敵だ!! そのあまりの格好良さにウメコが撃墜されてしまう46話は実に良かった。
「残念ながら、打たれ強いんだよ俺は!」
3位 名護啓介/仮面ライダーイクサ (『仮面ライダーキバ』)
波の激しい作品の為、色々とあっちこちに揺れ動き、途中で一線越えそうになったり底辺まで落ちたりしたのですが、異常なまでの折れないメンタルで、最終的に劇中で最もヒーローらしいキャラクターになってしまいました。いちいち面白い台詞回しもポイント高し。あと率直なところ、顔が好きです(笑) 基本的におかしいので、突然おかしな事を言い出しても仕方ない仕様は、ずるい(笑)
「魑魅魍魎跋扈する、この地獄変。名護啓介はここに居る。――イクサ、爆現!」
2位 照井竜/仮面ライダーアクセル (『仮面ライダーW』)
様々な古典オマージュを取り込んだ作品に、宮内洋を思わせる衣装で殴り込んできた赤い復讐鬼。全身真っ赤、超重量の大剣を振り回し、バイクに変形する、という物凄いコンセプトの仮面ライダーながら、それが気にならなくなるほどの、凄まじいヒーロー力を発揮。
「俺に質問するな」「俺は死なない」「振り切るぜ」「絶望がお前のゴールだ」と、その決め台詞、実に4つ。腹の底から振り絞る「変身!」のかけ声も格好良く、更にテーマ曲まで格好いい、と言う事無し。また、能力の高さを鼻にかけた高慢な男でも、ただの暴走野郎でもなく、翔太郎とフィリップの能力を認めてからは2人の探偵を立てる所は立てる、と何から何まで優秀。「復讐」というそのテーマにもしっかりと時間をかけて決着が描かれ、物語面でも非常に恵まれました。凄く素直に好きなキャラクターです。
「復讐に飲まれた悲しい女。俺が救ってやる。変…身!!」
1位 剣崎一真 (『仮面ライダーブレイド』)
作品が色々とアレなので色々と悩む所もあったのですが、劇中のテーマが凄くストレートな所へ集約されたのも含めて、今年見た作品で“最もヒーローたらんとしたヒーロー”という事で、1位はこの人、剣崎一真。前半戦の事はもう、忘れる方向で(笑)
色々あった前半戦が最低な形で終結し、立て直しに入った後半戦、33−36話、キングフォーム登場編からの一連の流れは、 會川昇のヒーロー愛が迸っていて、実に素晴らしい内容でした。ヒーローの居ない世界で、助けを求めてヒーローを待つのではなく、自分がヒーローになって、みんなを守ると決めた男。そして最終盤、その決意を胸に究極の決断を行った剣崎一真は、運命と戦い続けるエターナルなヒーローになる――。ラストのあのカットは、珠玉。あのワンカットっで、「ヒーローとは何か?」を示した、スタッフからのヒーロー物への素晴らしいラブレターでした。
「戦えない、全ての人の為に! ――俺が戦う!!」
最後に、作品ベスト3……の前に、今年、物凄い大活躍を見せながら、ここまで名前の挙がっていない人物が1人居る事を皆さんお気づきの事かと思います。
……そう、あの人、永世へたれ名人・橘朔也!
助演ヒーロー部門で表彰するのも何か違うし、残念とか駄目人間とか超越しているし……という事で橘朔也は、殿堂入りを特別表彰したいと思います。
何の殿堂入りかは私にもよくわかりません!
とにかくおめでとう橘さん!
本当に、本当に凄かった……!

「人の過ちをただせるのは、同じ人だけだ」
「剣崎が変身している? そんな筈はない」
「それを阻止する為に、今まで俺たちは! ――まさか」

ブレイド』第38話は、《平成ライダー》史において、永遠に語り継がれるべきエピソードだと思います。

☆最優秀作品部門

1位 『炎神戦隊ゴーオンジャー
2位 『仮面ライダーW』
3位 『ロボット刑事
今年の最優秀作品は、『仮面ライダーW』の猛追を退け、『炎神戦隊ゴーオンジャー』。
00年代戦隊の集大成を目指した感じのある作品ですが、人間メンバーと炎神という相棒の関係、メカの多重組み替えギミック、などを巧く作品に取り込んで人間と炎神の絆を中心に物語を描きました。脚本陣の連携も良く、過去作品の反省点を踏まえながら、非常に美しい構成で展開。特にこの、わかっていてもなかなか巧く行かない構成面が、終始痒い所に手が届く形で進行したのは実にお見事でした。敵組織の描写も優れ、全体的には陽性ながらもクライマックスには予想外の展開できっちり盛り上げ、最後は爽快なエンディング。途中途中の山場もほぼ外し無く(さすがに100%ではないですが)、完成度・充実度の極めて高い傑作でした。歴代シリーズでも上位に入る、素晴らしい出来だったと思います。
「正義のロードを突き進む! 炎神戦隊ゴー・オンジャー!!」
2位は、くしくも『ゴーオンジャー』とは逆とも言える立場で、様々な古典オマージュを取り込みつつも、《平成ライダー》の新たな10年の基盤となる事を目指した『仮面ライダーW』。探偵・街・バディ、という要素を巧く融合させ、街のヒーロー“2人で1人の仮面ライダー”というコンセプトが非常に秀逸でした。そしてそれをただのギミックに終わらせる事なく、本編中に散りばめた様々な要素がしっかりと繋がり、最終的に「仮面ライダーダブル」に集約される、という構造もお見事。とにかく、持ち込んだテーマを非常に大事に扱ってくれた作品でした。キャラクターも魅力的で、名作。
「「さあ、おまえの罪を、数えろ!!」」
今年は残りは一長一短ある作品が多かったのですが、3位はその中から、『ロボット刑事』。
感想本文中でも重ねて書きましたが、悪の犯罪組織が人間の犯罪者に手を貸し、その不可能犯罪をロボット刑事を加えたチームが捜査する、 というストーリーコンセプトは非常にポテンシャルが高く、今日でも様々なリメイクが効きそうな面白さ。そのコンセプトや作中に持ち込んだテーマを描ききれず、物語の完成度としては劣るのですが、後半、どんどん面白くなっていく怪ロボットのデザインと、激しいロボットプロレスも一つ魅力でした。JACの初の単独アクション担当作品という事で、金田治vs山岡淳二の肉弾戦は、今日でも充分に面白さが感じられる所であり、そういう部分も評価されていい作品だと思います。いかにも東映刑事ヒーローの元祖的存在っぽいKさんも素敵(笑) 予想外の魅力のあった作品という事で。
「しまった……。秘密を守る為に自爆してしまったんだ」
…………お察しの通り『ブレイド』の扱いをどうするか悩んだのですが、前半戦−50点、後半戦90点で差し引き40点みたいな作品なので、今回は冷静にランキングから外し、その分、上の方で語っておきました(笑)
あと、現段階で名作評価している『トッキュウジャー』ですが、完結前という事で除外。やたらにツボにはまってしまった作品なので、来年のクライマックスで、迷わず傑作になってくれる事を、期待しています。
そんなこんなで今年も色々、お付き合いありがとうございました。今年もまた、ランキング外でも様々な魅力的なキャラや物語と出会えた1年でした。ひたすら長文化が進んでおりますが、今後も、お時間ある時に読んでやって、気が向いた時にコメントなどいただけると喜びます。
今年の配信は、前半は『炎神戦隊ゴーオンジャー』『特捜戦隊デカレンジャー』『仮面ライダーブレイド(後半戦)』と、並べて見るには勿体ないぐらいの質の高さで、その反動と物量への油断もあって中盤ちょっとあれやこれやが辛い時期もあったのですが、後半、『仮面ライダーW』、『侍戦隊シンケンジャー』で盛り返したみたいな感じ(笑)
個人的にちょっと悔いる所としては、『W』の実質週3話ペースが巧く捌き切れず、割と内容を消化し切れないまま勢いで感想書いてしまったエピソードが幾つかあった事。けっこう感想文は一期一会なので、もう少しじっくりと取っ組み合いたい作品ではありました。
その反省も含め、ペース配分考えつつ、削れる所は削って適度なボリュームで書けるように改めてしていきたいです(^^; しかしまあ、後から読み返す時にはやはり、ある程度筋が把握出来るようにしておいた方が便利だし、ちょっと気になった台詞は残しておくと、あーなんか前にこの辺り言及していたような……とかでやっぱり役に立つなぁとか思うわけですががが。まあ、破綻しない程度に。
とりあえず配信は、結局『バイクロッサー』見逃したので、当面、『シンケンジャー』と『ジェットマン』の2本立てで。あと落ち着いてきたら『仮面ライダードライブ』を追いかけて、『トッキュウジャー』終了後は『ニンニンジャー』次第。その辺りの余裕次第で、『ゴーバス』復活プロジェクトを、みたいな皮算用で。
以上、今年の特撮振り返りでした。