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『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想2

◆忍びの2「ラストニンジャになる!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山建人)
魔法は本当にあったんだ!
……まあ、忍力がある世界らしいので、魔法あってもいいよね、というのは、若干掟破りではありますが、納得はできる範囲。と同時に、今作の世界観はまずはこのぐらいまで荒唐無稽です、という宣言になっているのは微妙に巧い。
合わせて、“男の子のプライド”をくすぐる事で、魔法抜きで忍法のみで勝ってやる! と持っていって魔法の使用を縛る(今後、日常の小ネタで使う事はあるかもですが)、というのは良い流れになりました。
「それは……ニンジャで勝負しても、天晴くんには勝てないからですよね」
「じゃあ証明してやる! 俺の忍法は誰にも負けないという事を」
「……まったく。相変わらず子供ですね」
天晴と八雲の間に入った桃は、青いわく「毒舌」というよりも「策士」の類だと思いますが……というか、ああいう発言をナチュラルな毒舌(本人にその気はないけど本質を的確にえぐっている)と受け止めていると精神的に凄くきついと思うのですが…………ああそうか、それで青は海外に飛んで魔法に耽溺し、なるべく、親戚の集まりに顔を出さずに済むような境遇に身を置いていたのか。
生きづらい世の中です。
そして策士は相手に策士だと思われては策士たりえないので、天然な毒舌ぐらいに思わせておくのが、策士の真の策士たる所以です。
ニンジャより怖い。
前回、派手に吹っ飛んでしまった伊賀崎家の忍術道場だが、天晴達は好天が密かに用意していた忍者屋敷に案内される。そこで改めて旋風から手裏剣忍法について学ぶ事になり、好天の置いていった五行属性の手裏剣を、ただ1人使いこなしてみせる八雲。
「俺の居た魔法学校じゃ、もっと凄い事を学んでいたんだ。手裏剣忍法など、イージーだな」
「八雲。おまえ忍法に対して……いや、爺ちゃんに対して失礼だぞ」
何故そうなる(笑)
「俺は天にぃとは違って現実主義でな」「妄想するのも、ほどほどにした方がいい」「ニンジャなど所詮、過去のもの」
と、魔法を学んでいる八雲が口にする、というのはなかなか面白い(笑)
留学先で学んだ魔法をちらりと披露し忍法には魅力を感じないとする八雲と、ニンジャもとい爺ちゃん大好きな天晴による、忍法vs魔法宗教戦争が勃発。
……てこれ、企画段階で来年の戦隊を忍者で行くか魔法で行くかで会議が紛糾した再現とかではなかろうな(笑)
「ラストニンジャ? 興味ないな」
「おまえ謝れ。爺ちゃんに手ぇ合わせて謝れ!」
……なんだろうこの、
「俺は日常系萌えアニメが好きだからロボットアニメに魅力は感じないな」
と言ったら
「謝れ! 富野由悠季に謝れよ!」
と返されたみたいな。
顔を合わせる度に、年上の従兄弟からこの訳の分からない理屈でニンジャ(爺ちゃん)を布教されれば、それは留学して魔法の一つや二つも学びたくなるというものです。
生きづらい親戚付き合いです。
たぶん天晴、
「野球選手の方がニンジャより格好いいなぁ」「爺ちゃんに謝れよ!」
「ヘリコプターで空を飛んでみたいなぁ」「忍法で飛べよ! 爺ちゃんに謝れよ!」
みたいな幼少期だったと思われます。
というわけで八雲を描きつつ合わせて天晴のニンジャ(爺ちゃん)崇拝を描いており、実の祖父が伝説のニンジャだから憧れる、というのはわかるのですが、それなら爺ちゃん黄金伝説はギャグっぽく処理しないで、如何にも憧れるようなものでも良かった気は少し。天晴の中では混ざって一つなのでしょうが、少々やりすぎて、天晴がニンジャというよりも爺ちゃんが好き、となってしまいました(それで狙い通りかもしれませんが)。
そこから、どうすれば心がぴょんぴょんできるのか、『ガンダムUC』を許せるか、の激論が展開しようとしたその時、街に新たな妖怪・カッパが出現。
消火器を素体に、消防士風に処理されたお皿、というカッパのデザインは非常に秀逸。第1話のカマイタチも三つの頭が意匠に組み込まれていましたが、特に説明なく相撲を始めたり、頭の皿が弱点だっり、と名称がそのままなのに合わせて、伝承をストレートに盛り込んでいく路線になる模様。
クレジット見ると今回さすがに1人では無いようですが、篠原さんはこれで、妖怪3回目(『忍者戦隊カクレンジャー』『侍戦隊シンケンジャー』)か。
逃げたカッパを追い、「この中で、手裏剣忍法を使いこなせるのは俺だけだからな」と言いつつ魔法で移動する青の背後に、いつの間にやら桃が追いついている、というのはさりげないヒエラルキー描写。策士に転がされた青はカッパに立ち向かうが、ダブル氷結光線に追い詰められた所に、駆けつけた赤が火の忍術を発動させる。
「俺、本番に強いタイプだから」
定例の警戒警報ですが、熱血・単細胞&無根拠タイプは一歩間違えると凄く嫌な奴になってしまうので、その辺りは早めのフォローが欲しいところ。個人的に、主人公属性で全突破するのも馬鹿を全肯定するのも好きではないというのがありますが、天晴の描写には工夫を期待したい。軽快で派手なアクションは今作の魅力として、せっかくの“忍者”なのだから、パワープレイ戦隊にはなってほしくないなぁ。
策士の根回しにより宗教戦争は一旦和解し、 2人でプロデューサーになる事を誓う天晴と八雲 まずは忍法で天晴を超えてラストニンジャになる、と宣言する八雲。
赤と青のコンビネーション攻撃でカッパを撃破すると、巨大化したカッパと戦闘。空飛ぶカッパを追って赤メカがピンチになるもドラゴンがそれを助け、青が神輿に担がれるドラゴン形態に変形。1話は何事かと思いましたが、この入れ替えギミックはなかなか面白い。
頭部が入れ替わるだけではなく赤メカが左腕に移動しているというのもポイント高く、今後のバリエーションも楽しみです。リニアが頭部に来る時はドラゴンかダンプが足に来るとかそれぐらいの大胆な組み替えだと面白いけど、バンダイの科学力はどこまでやってくれるのか。
戦い終わり、策士からニンジャ馬鹿への講評。
「天晴くんって、何も悩まないですよね。それってニンジャとして、一番凄いです。……お馬鹿さんだからかもしれませんけど」
1話のラストでも、昔教わったニンジャの心得として、
「ニンジャたるもの、恐れるべからず、悩むべからず」
「侮るべからず、ですね」
と言っていましたが……悩もうよ!!
陽性は陽性で良いのですが、若干、先行きに不安が漂います(笑)
大体ノリが掴めて、さらっと楽しめる戦隊、としては悪くない印象。後は上述したように、極端なパワープレイ戦隊(人質が居ようが、かつてない強敵だろうが、基本とにかく正面突破で、愛か勇気か奇跡か正義か主人公力で概ねどうにかなってしまう)にならない事を祈ります(^^; とりあえず、桃と青が頭脳派要員のようなので、巧く活用してほしい。もう一つ不安なのは、みんなが頭を使うのに赤がノリで解決してしまう(常にそれが正しいという事になってしまう)パターンですが、前回ラストが「恐れない」で、今回が「悩まない」だったので、次回が「侮らない」の話になるなら、赤が判断力を見せる展開になるといいなぁ。
他幾つか気になった事。
伊賀崎家は今のところ母親不在っぽい描写で、これは狐面の肉体が母親、という可能性はありそうか。
お父さんの「忍術できないじゃん」は怪しい。
……まあこの辺り、開き直ってフレキシブルに行く旨が宣言されているそうなので、いかようにでもなりそうですが(笑)
“戦国最強”・牙鬼幻月というキャッチコピーが微妙に弱そうなので、牙鬼様には早い内に1回ぐらい、「凄い!」という所を見せつけてほしい。
敵幹部は集めた闇で復活させるシステムのようですが、復活前の幹部がOPでシルエットになっているのは良い演出。悪の幹部好きなので、どのようなキャラが出てくるか楽しみです。