はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2019〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

15年ぶりの『クウガ』メモ#1−#2

〔東映特撮Youtube〕で配信スタートした『仮面ライダークウガ』、折角だからと結局視聴。本格的に感想を書くと他の物が色々と止まってしまいそうなので、ざっくりメモ風味でちょこちょこと。なお書き手は一条さんと薔薇のタトゥの女が好きすぎて仕方がない為、この二人に関して熱病に冒されたような発言を口走る事があるかもしれませんが、重い発作のようなものなので平常運行だとご判断下さい。


「だから見ててください! 俺の! 変身!!」 (EPISODE2「変身」)
 ◆EPISODE1「復活」◆ (監督:石田秀範 脚本:荒川稔久

  • 遺跡から発掘されたベルトが通りすがりの変わり者に同化して古代の超戦士に変身する、というファンタジーに対して、細かいディテールの演出や、怪事件に警察が絡んでくるなど、「現代社会に怪人が紛れ込んだら」というリアリティをカウンターとして置く事で物語世界のバランスを取っている、という構造。
  • 改めて、キャラクターの情報と、作品全体の雰囲気を形作る“リアルっぽさ”の見せ方が秀逸。
  • 例えば五代くんの初登場は、両親とはぐれて泣いている子供を励ますも判定失敗したのでジャグリングを披露する、というシーンで、人の良さと小器用な所が余計な説明抜きに示され、初めてのサムズアップもここ。但し、喋るとちょっとおかしい。
  • 大学の壁を登る五代くん。喋らなくても、ちょっとおかしい。
  • 続けて登場する桜子さんも、同僚が帰宅する中でこれから仕事する気満々の雰囲気、そして窓から変な仮面かぶって侵入してくる五代くんに一切動じない、と基本はワンシーンで見せてしまっています。
  • そして、一条さんは神々しい。
  • とりあえず初回の一条さんは、ルール無用の自由人である五代くんに対して、ルールを示す“真っ当な刑事”として登場。「辛かったら途中で止めます」と言いつつ、うら若い女性に現場に残された惨殺ビデオを見せつける辺りも、刑事脳(笑)
  • 場所や時刻のテロップ表記も、ただそれをやっているからリアルに見えるのではなく、例えば1話においてはかなり意識的に、飛行機、バイク、パトカーなど、そこへ移動してくる手段を画面に織り込んでいる、のが実に巧い。
  • 運転席の警官の首に糸を巻き付けて、疾走するパトカーの背後から蜘蛛怪人が迫ってくる、というアクション演出は今見ても秀逸。
  • クウガ変身直後にいきなり飛び回るのではなく、怪人に向けて「バスを押す」というのも、常人を超える能力を身に付けたけど、問答無用のヒーローが降臨したわけではない、という作品のリアリティバランスもしっかり汲んだ演出。
  • 今見るとラストのヘリでの戦闘はちょっと長すぎる感じなのですが、直前の屋上での戦闘も含め、2000年当時に、高所を活かしたやや古めかしい感じもする生身の感覚が強い戦闘、を強調する事には意味があったのだと思われます。
  • この辺りは、2000年だから出来た(これで良かった)、というのはあって、毎年『仮面ライダー』があるのが当たり前になっている現状では比較しづらい部分でしょうが、この物語で何を見せたいのかと、作品世界の表現として何をすればいいのか、がアクション部分でもよく計算されています。
  • クウガと蜘蛛怪人の戦いを見た一条さんの「2匹?!」は出色。1995年の映画『ガメラ−空中怪獣大決戦−』における「鳥じゃありません! 羽毛がなくて牙がある、あんな鳥はいません!」の系譜と思うのですが、今作ではヒーローはその存在を無条件に肯定されるのではなく、物語の中において定義づけられる、という作品の方向性をびしっと示した一言。
  • 名前は名乗らないけど、サムズアップして飛び去る五代くんであった(笑)

 ◆EPISODE2「変身」◆ (監督:石田秀範 脚本:荒川稔久

  • 五代くんは、自称:冒険野郎。
  • 「未確認生命体」という単語が初登場。
  • 教会の神父に成り代わっているコウモリ怪人、と怪人が人間の姿に擬態できる事が判明。90年代に特に顕著だった気がする変態怪人路線と、70年代風味の怪奇スリラー路線を融合した、「日常に潜む恐怖」としての怪人の見せ方が、様々な蓄積も活かされて、とにかく面白い。
  • 怪人(人間体含む)の魅力は、《平成ライダー》史上でも未だにトップクラスだと思います。
  • コウモリ怪人の攻撃を受けて骨折の疑いがあるも「いいんです、もう痛くありませんから」と病院を勝手に出て行く一条さん。前回、常識人ポジションのように出てきましたが、早くも振り切れだしました(笑)
  • 「君が戦う力を得たと思うのは勝手だ。だが君に戦う義務はない。これは市民を助けるという、我々警察官の仕事だ。中途半端に関わるな!」
  • 怪人の情報を入手し、いきなりショットガン装備で夜の教会に単独突入する一条さん。
  • ……この人あれだ! キチガ……ではなくて、他人には常識を説くけど、本人は非常識なんだ! 知性も良識も責任感も社会性も持ち合わせているけど、それらを統轄して運用する「自制心」が足りてない……!
  • 「こんな奴等の為に! これ以上誰かの涙見たくない! みんなに笑顔で、居てほしんです!だから見ててください! 俺の! 変身!!」
  • 本質的には闘争を嫌う五代が、被害者家族の涙に“戦う理由”を見つけ、自分のやりたい事として覚悟を決めて拳を振るう事で真の戦士へと覚醒を遂げる、という流れが余すところなく綺麗に収まっており、お見事。クライマックスの盛り上がりもはまり、美しい立ち上げ2話。
  • 「他人の為に命を懸ける覚悟」について、五代の対極に悪でも英雄でもなく「戦う義務を持った社会人」である一条さんを置いているのが、一つ特徴。そんな一条さんが五代に「覚悟を問う」でのはなく、「そんな覚悟はするな」と伝えている事で、民間人がそんな覚悟をしなくていい社会の為に警察官が居るんだ、という今作の職業倫理――警察組織の立ち位置も盛り込まれつつ、一条の言葉と態度に厚みを与えています。