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ぼくと恐怖のなつやすみ

家人が突発的にPS2『ぼくのなつやすみ2』を始めて(お互いシリーズのプレイ経験は無し)、それを後ろから眺めていたのですが……主人公が自由に動けるようになって最初にした行動がシャツを脱いで半裸になるだった為、我が家では主人公のボク少年(小3)は、変態、という事で早くも確定してしまう。


――昭和50年8月。母親が臨月を迎えた9歳の少年「ボク」は、夏休みの一ヶ月間、伊豆半島の田舎町・富海にあるおじの家に預けられる事に。寂しい港町で、おじ夫婦が経営する民宿に居候する事になったボクはある晩、町の住人達が町外れの廃屋に集まって醜悪で背徳的な儀式にふけっているのを目にしてしまう。振り向いた男達の顔は、奇妙なほど魚に似ていて……
というのは後ろ半分大嘘ですが、説明書に民宿の見取り図15人を越える登場人物が書かれており、
「これはきっと、7日目ぐらいに殺人事件が起こる」
と、ドキドキが止まりません。
初日に冷蔵庫の扉を開けたら豚の頭が入っていたのは、いったい何を暗示しているのか。
そんな田舎町でのなつやすみ生活を始めたボク少年、半裸で町中を駆け回り、そのまま夜間に女子高生の部屋に突入するなど、逮捕待ったなしでヤバい。
……だがこれから起こる惨劇を食い止め、あの夏起きた事件の真犯人を見つけ出す為には他に手段がないのだ! という、タイムトラベルものみたいな脳内設定で見ています。……いや、Xボタンを押すと前進し、十字キーで向きを変える、という独特のラジコン風操作方法が、“遠い未来から過去の自分を操っている”感が強くて。
ホースの向きを変えるとか、毎朝のラジオ体操に参加するとか、ボクの些細な行動が少しずつ未来の可能性を変えていくのです。
これは、あの時救えなかった大切な人を守る為の、ボクのひとりぼっちの戦い!
ただしあまりに過去を変えすぎると、選択によっては海神様が目覚めてしまうなど、別の惨劇が発生します。家の近くに停めてある誰も使っていなさそうな車は、きっと脱出に使う。
……真面目な話としては、全体の作りや雰囲気の見せ方など、さすが評価の高い作品だなぁ、と後ろから見ている限りでも良く出来ています。良く出来ているが故に、無駄に怖いというか。
「錆びた車」「朽ちた家」「枯れた朝顔」などの描写が作品基準においていちいちリアルで、つまりそれは「過ぎ去った過去」の象徴なのでありましょうが、その為に作品全体にやたら死の気配が拡散しています。
それに加えて、とにかく、あちらこちらに死体を隠せそうな場所がたくさんありすぎて、ますます猟奇の気配を募らせており、そう、この街では過去に何件かの変死事件が闇に葬られているに違いない……。
また、昆虫採集セットに注射器と薬品が設定されていて、標本を作る時は、虫かごから標本台に虫を移動させる→注射器に薬品を入れる→薬品を虫に注射する(まち針は自動)、という操作が必要となっており、これはノスタルジーを増す為のリアリティなのでしょうが、同時に明確に、プレイヤーに能動的に「息の根を止めさせる」というゲームデザインになっていて、ゲーム全体に漂う死の雰囲気を色濃くするのに一役買っています(^^;
システム的には、昆虫図鑑を埋めるだけなら標本にする必要はなく、あくまで標本作成は、プレイヤーの意思に委ねられている、というのもポイント。
そしてあの夏の日々は進んでいき……


 消えた100円、海に沈んだ乗用車、港近くの開かずの扉、街を訪れた無口な男、そして、ボクが手に入れた研ぎ立ての手斧――夏の終わりが近づく時、封印されていた禁断の記憶が甦る……。
 (――そうだ……おじさんがなくしたと言っていた斧……あの時……あの時、あれを持っていたのは…………)
 次回、「真犯人」。

みたいな感じで、とにかく、超怖い。