◆第46話「誓いのビー・ザ・ワン」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:武藤将吾)
今作中盤における最大の癌だったハザードトリガーは、ただの暴走強化スイッチではなく秘密の切り札だった! と、呪いのアイテムを終盤の物語の中に取り込もうという姿勢は評価…………しようと思っていたのですが、蓋を開けてみたらハザードトリガーを使うと白いパンドラパネルが生み出される理屈は全く説明されないという、サヨナラ打撃妨害で試合終了、みたいな珍プレーで目が点。
それでハザードトリガーはああいうものだったのか! と腑に落ちてこそ面白いのであって、肝心要の理屈が物語の中に存在しないのなら、「龍我がいつも食べているプロティンラーメンが白いパンドラパネルの鍵だった!」でも「美空が首に巻いているタオルが白いパンドラパネルの鍵だった!」でも変わらないわけです。
言い換えればそのレベルの事を平然とやっているわけで、ようやく最新話に追いついたと思ったら、凄い勢いで心が氷点下に近づいていきます。
更にそこから、白と黒のパンドラパネルを用いてエボルトをエネルギー源に特異点を生み出し、並行世界AとBを融合させて新世界Cを創るのが「地球を救う唯一の方法」とか言い出し、事ここに至って、完全に話から振り落とされました。
なお、この期に及んでボトル精製のメカニズムが全く頭に入って来ないのも、大変困ります。
さすがに戦兎と脳内葛城が、世界救済の方法としてどうか? と疑問を呈し……前回の葛城忍の描写と、ワームホールというギミックからちらりと考えてはいたのですが、このやり取り及び今回の派手すぎる被害描写を合わせると、真の「新世界による救済」とは、ある種の時間遡行ではないかという推測が、私の中ではかなり確定的に。
そう考えると、葛城忍がビルドを自分用に作ったのは、スカイウォールの惨劇を発生させない為に、過去でエボルマスターを倒す為であった、と繋がる気が。
……で、ここから先は邪推の類いであり、本来この手のメタな視点は好きではないのですが、平行世界と思わせて時間遡行、というのが『ディケイド』から『ジオウ』へ、という暗喩としてあまりにピタリとはまってしまい、もしかしてこの大ネタ、『ジオウ』の企画が進行してから押しつけられたのだろうか……と考えると、ラスボスの目的を歪めて付け足しの上に付け足しを重ねるような最終クールの展開に、妙な納得が行ってしまったりも。
展開予想の上の邪推なので、そもそも予想から大外れの可能性もありますが、個人的にはかなり確証に近い感触を得てしまった為、この後の展開全てが、どうせ御破算になるのだろうなぁ……と思えてしまい、好きな番狂わせの手法でもない事から心はどんどん絶対零度に近づいていきます。
なお、新世界Cの創出でも相当酷いと思うので、私としてはどちらに転んでも永久凍土なのですが、浅はかな予想を吹き飛ばす、なるほどその手があったか! というルートがあると嬉しい。
そして書きながら更に思いついたのですが、過去に跳んだ戦兎がエボルトを倒して歴史改変した結果、葛城巧でも佐藤太郎でもない「桐生戦兎」は歴史に存在が不可能になり、人々の明日を守るヒーローの象徴として概念化して世界に遍在するようになる……とかだと、戦兎の「自分」の薄さが収まるところに収まってしまうのですが、ホントに、「世界はラブ&ピースに包まれた!」オチだったらどうしよう。
予告からてっきり、今回キラキラするかと思われた猿渡は次回に持ち越しとなりましたが、戦闘自体が引き延ばし感が強かったですし、焼き肉のギャグシーンがやたら長かったのも、ここに来て尺が余っている印象。
で、力不足を思い詰めている仲間に、めっちゃ強くなるけど使うと死ぬ装備を渡すという、戦兎の人でなし度が過去最っ高レベルに上昇しているのですが、まあ戦兎だしな……と思いつつ、死んでも生き残ってもどちらにせよ惨事の予感しかしない、地獄の二択を準備する手腕が鮮やかで戦慄します。
そして仮に猿渡が死ぬなら、ヒゲと内海も相討ちで死亡、ぐらいしないと物語として帳尻も合わないわけですが、果たして残り3話でそこまでねじ込めるのやらどうなのやら。