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『ブルースワット』感想7

◆Volume8「E.Tベイビィ」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
見所は、チャイナドレスの久子さん。
ところで、六角(仮)に入っていたのは、前回最後にやられたエイリアンなのかどうか、少々気になります。少々だけど。
ブルーリサーチに「父親を探してほしい」と少年がやってきて、蒸発事件だから後始末が面倒くさそうと渋るショウとサラだが、成り行きでシグが依頼を受けてしまう。
ショウとサラが嫌がった依頼をシグが受けて少年と向き合う、という構図は、前年の『五星戦隊ダイレンジャー』における大吾さんポジションを思い出しますが、少々、手法が被りすぎではないか(^^;
少年の話からシグが怪しい医者を洗った所、その医者が健康診断を請け負った会社で、他にも複数の行方不明者が出ている事が判明。少年の父親・倉橋は、エイリアンが手駒として用いる宇宙兵士バブリオの母胎となる適性を判断され、寄生実験の被験者として拉致されていたのだった!
エイリアンが関与する可能性に俄然やる気を出したショウとサラを加えたブルースワットは、病院の地下室で被験者達を発見するが、潜入がバレて医者&婦長エイリアンの襲撃を受ける。
マサカリで襲ってくる医者と、巧みに棒術を扱う婦長の姿がシュール。
「やめろショウ! インヴェードされた人間を傷つけてはいけない」
ただ毎度の事ながら、わかりきっている問題に全く対策を講じてくれない為、この辺りも今ひとつ戦闘が盛り上がってこない原因になっています(^^; ブルースワットがそこの対策をしっかりしてくれれば、エイリアンが地球人の体を使うのを諦めて正体を見せるのも、スムーズに繋がると思うのですが(一応、地球人の体だと動きづらくて戦闘力は落ちるようですが、その辺りの流れが映像で組めていない状況が続いている)。
憑依を解いたエイリアンとひとしきり肉弾戦の後、倉橋の救出に向かうシグだが、自分の体の異常を恐れた倉橋は病院を脱けだしてしまっていた。それを知ったエイリアンは再びインヴェードすると3人を閉じ込めて逃亡。外からセイジに助けられた3人は、残された資料からエイリアンの目的に気付き、完全に成長したバブリオが宿主を殺して外へ出てくる前に倉橋を見つけ出さなければ、と急ぐのであった。
一方の倉橋は別の病院で診察を受けた結果「妊娠」と診断されてしまう。これを耳に挟んだ通りすがりの主婦がマスコミに電話して大騒動になり、マスコミや野次馬から逃げ惑う倉橋、というコミカルパートに。ここは音楽も軽い調子のものに変えて明確に分離した事で、それほど悪くはなりませんでした。次回予告ではこの部分が大きく強調されていたのですが、全体としてはあくまでアクセントといった要素で、早くも何となく、明るい部分をアピールしようという動きが出ているのか(^^;
倉橋は何とかマスコミをまくも、息子を人質にされてエイリアン医者に捕まってしまう。息子を逃がす為に奮闘するお父さんだが、親子揃って大ピンチのその時、駆けつけるブルースワット
少年めがけて迫る婦長の投げナイフを撃ち落とし、倉庫の入り口にシルエットで並ぶ3つの影、という非常にヒーローらしい形で登場。
ブルースワットは憑依を解いた2体のエイリアンを撃破し、残るは倉橋に寄生したバブリオを駆除するだけ……ここでシグ、何故かセイジに追い出す方法を聞く。
倉橋の体をサーチし、腹部の温度が異常に高くなっている事に気付くセイジ。
「バブリオは寒がりか……ショウ、冷凍弾だ」
「OK! 冷凍弾か」
「待って下さい、冷凍弾を使えば、人間の倉橋さんが」
……ええ、そうですよね。
どんなガタガタの作品でも、綺麗な文法の力でとりあえずオーソドックスなエピソードを組み上げてしまうのを得意とする鷺山さんらしく、親子の物語に少年と宇宙刑事の交流を絡め、『ブルースワット』にしては、ここまでそつなくまとめていたのですが、セイジに丸投げするシグ・果てしなく下降していくショウの知力と、着地寸前で派手に転倒(^^;
ここでシグがバブリオの対処方法まで把握していると便利すぎるのかと思ったのかもしれませんが、セイジも大概便利すぎるので大して変わりませんし、元々バブリオに関する知識を持っていたシグが把握していた方が、自然だったと思います。病院の資料が出てきたのは、当然、その伏線だと思っていたのですが。
その後、3分なら、人体が冷凍弾による凍結に耐えられる事がわかり、3人は倉橋を冷凍。寒さに耐えきれずに飛び出したバブリオの幼体をショウとサラが撃破している間に、シグが謎のパワーで倉橋を無事に解凍するのであった……て、結局、宇宙パワー、便利(^^;
一応今回、解凍するとシグが消耗する、という描写をさすがに入れましたが、シグにしろセイジにしろ、便利スキルのブレーキが見当たらないのも、作品として非常に困った所です。
バブリオの幼体がなかなか気持ち悪かったのは、今作のこだわる方向性として、良かったと思います。
こうして倉橋親子はエイリアンの魔手から救われ、憑依されていた医者と婦長も目を覚ます……のですが、病院に帰ると何故か地下室があって見知らぬ患者達が虚ろな瞳で転がっているのは大丈夫でしょうか。
今作の場合、“侵略者の存在は秘密”が大前提なわけですから、“侵略作戦の後始末”を物語に組み込むべきだったと思うのですが、第3話でコンクリート詰めにして冬の日本海に放り投げてそれっきり、なので、つまり、
世間では覚えのない犯罪で逮捕者続出だけど、エイリアンは倒せたから問題ないし、俺たちブルースワットには関係ないぜ!
それが俺たちのTRUE DREAM!
歴史に残るドライなヒーローチームが生まれているような。
それこそ、背後に組織があれば、バックアップメンバーが画面に映らない所で救出作業したり隠蔽工作しているのだろうと納得できるわけなのですが、むしろ組織は壊滅したところから物語が始まっているわけで、コンセプトから歯車が噛み合っていない――その設定ならば気になる所に手が入っていない――のを強く感じます(^^;
シグが最後に少年に向けて「まる」とやるのは、地球の変な文化を覚えた、とか前振りないと成立しないと思うのですが、特にネタが繋がっていないので非常に謎な事に。少年との交流シーンがカットでもされた疑惑。
次回、ショウ、桃色の誘惑、もとい美人局に遭う。