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『ブルースワット』感想21

◆Volume30「さらば!! 魔少年(デーモンキッド)」◆ (監督:石田秀範 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
ザジが身元不明の少年として海岸に打ち上げられ、病院に運び込まれた事をニュースで知ったブルースワットは医者の変装で病院に潜り込むが、それは勿論スペースマフィアの罠で、既に病院はエイリアンによって支配されていた。一気にブルースワット殲滅を目論むジスプだが、突如、ザジが意識を取り戻してその出現を妨害し、混乱の中で走り去ってしまう。それを追いかけるブルースワットだったがUFOの強襲を受けてショウの車が大破し、セイジとスミレがそれを修理改造する事に。
「お、俺のストライカーが……」
とショウが愛着を口にするのですが、1話からここまで、単なる移動手段以上の存在であった事が無いので、大破しても何の感慨も湧きません。
そもそもショウの愛車は、銀輪1号ではなかったのか!(笑)
(そういえば、前年の戦隊である『五星戦隊ダイレンジャー』も第1話で自転車が強調されますが、当時ブームでもあったのかしら)
ムッシュが失踪してアジトで右往左往していた六角@夏の二の腕仕様の前には、突如、青い鎧をまとった女が姿を現す。
「あなた方の地球侵攻作戦の停滞に、ことのほか御心を痛めておいでです。――クイーンが」
「マドモアゼル・エバ、どうしてこんな所へ」
半魚人のようなデザインの鎧を着込んだマドモアゼル・エバは、こういう姿の宇宙人なのか、地球人にインヴェードした上でわざわざ愛用の鎧を身につけたのかさっぱりわからないのですが、とりあえず、スペースマフィアの更なる上層部として「クイーン」という名前が登場しました。
その頃、生命の危機を感じて本能的にジスプを体内に閉じ込めたザジは、ジスプと主導権を争いながらさまよい歩き、川に落下。ジスプは強引にザジという肉体の器を破壊してしまおうとするが、その叫びを感知したシグにより、ブルースワットが駆けつける。ジスプの発する熱で川が沸騰しているという表現はちょっと面白かったのですが、唐突にシグが光の戦士パワーを発揮し、ザジに組み付くと説得ロールに成功。ザジの抵抗が弱まっていよいよ外へ出ようとするジスプだが、UFOとエイリアン軍団が襲来して大乱戦となり、そこへセイジが改造を終えた新車が到着する。
車体に武器が付き、青と金のカラーリングでヒーローメカらしくなったその名もブルーストライカーは、これといって説明の無いまま屋根についた火砲でUFOを撃墜するが、ザジの身柄を確保しようとしたスワット3の前には、宙に浮かぶマドモアゼル・エバが姿を見せる。
「残念ですわムッシュ・ザジ。地球侵攻作戦停滞の原因が、あなた自身にあったとは。クイーンの御心を悲しませる者は、誰だろうと許しません!」
…………スペースマフィア上層部も、ジスプの事を「ムッシュ・ザジ」と呼んでいるのですが、惑星侵攻計画行程表を提出する際に、「現地ではこのコードネームを名乗ります」という書類申請とかあるのでしょうか。
ザジの体を守ろうとしたスワット3がエバの攻撃を受け、ここでようやく、ジスプ登場。
「抹殺してやる! 貴様等全員抹殺してやるぅ!」
ムッシュ……ザジ……」
外に飛び出た際の攻撃で、いきなり死にそうになっているエバ(笑)
「我が名はジスプ。もはやザジではない!」
設定の齟齬を強引に葬り去ろうとして亜空間で火炎放射した!
そしてジスプのファイヤービームで、マドモアゼル爆死(笑)
なんだかもう、(笑)を付ける以外に、この惨状をどんな精神状態で見つめていればいいのかわかりません。
スワット3はザジの体を取り戻すも、ジスプ率いるエイリアン軍団に追い詰められるブルースワット
「この親子に手を出すな! この俺が許さねぇぜエイリアン野郎! 許さねぇぜー!!」
さあ、みんなだいすきゴールドプラチナムの時間だよ!
時空を越えて飛来した教祖の光を受け、今後のバンクになりそうな映像で、ショウ、ハイパー化。
ナレーション「シルバニックギア――それは、あのゴールドプラチナムが、ショウに与えた、リアクティブアーマーである。敵の攻撃を無力化して弾き返す能力を有し、新たな戦いの度ごとに、時空を越えて転送され、ショウをパワーアップするのだ」
これまで呼ばれて飛び出るスペース掃除人だったゴールドプラチナムですが、今後はスペース運び屋になるのでしょうか。作品構造としては、第30話にして「変身」のカタルシスが組み込まれたという事になるのですが、29話分の蓄積と何も関係のない「変身」なので、限りなく薄いカタルシスです。何しろ、ゴールドプラチナムがショウにマジックアイテムを与える理由すら、劇中に存在していないので。
ハイパーショウとエイリアンの多対一の格闘戦が始まり、幾らここしばらく肉弾戦重視になっていたにしても、第28話までとあまりのスタイルと温度の違いに、映像が心に浸透してきません(笑) 空気になりかけたサラは、ハイパーショウに殴られて弱ったエイリアンを射撃で始末するゴミ拾い。シルバニアは六角のスペースソード光線もジスプの炎も跳ね返すが、六角とジスプはこの期に及んで撤退し、命は無事だったもののザジは再び意識不明に戻ってしまう。
「ショウ……ショウ……ゆけ」
ラチナムの投げキッスに導かれたメンバーはやたら壮大なメロディのBGMで謎の洞窟に辿り着き、プラチナムは光のカプセルを作り出してザジの肉体を安全に保管。シグは、いずれ地球からスペースマフィアを駆逐した時に、必ず迎えに来る事を誓うのであった……。
ひとまずザジの問題が解決するのですが、ジスプも六角も生き延び、マフィアの権力者として示唆されたクイーンは光の球体で誤魔化され、大山鳴動して鼠一匹、実に物語の進行に対して覚悟が見えない展開で、面倒くさい要素を放り捨てたかったようにしか見えません(^^;
その上で扱いに困ったザジの肉体は奇跡の黄金超人が奇跡の力で一時保管してくれるという奇跡のだだ甘大盛りで、壮大なBGMで格好だけ誤魔化そうとしましたが、折角のシグの抱える因縁と感情も、その中に埋没して溶けて消えていってしまいました。
更に予告でさんざん煽ったブルーストライカーの活躍は、出会い頭にUFO撃墜しただけで、新メカ登場編としても全くやる気のない展開。
ハッタリの為だけに出てきてあっさり爆死する鎧の人など、何もかも糸が繋がっておらず爆発四散しており、普通なら年間ワーストクラスのエピソードだと思うのですが、第23話以降の今作は基本的に何もかも千切れ飛んで要素の積み重ねとか時空の断層で無意味なスクラップ扱いなので、いつもの『ブルースワット』に見えてしまう所が一番恐ろしい。
これだけ底なし沼にどっぷりはまっていたら、次作が、鉄板モチーフ+戦隊寄りの3色チーム+思い切った古典踏襲、に走るわけだとしみじみ思い至ります。