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『ブルースワット』感想19

後で読み返した時に状況がわかりやすいよう、なるべく、変身前/後で呼称を変えるようにしているのですが、今作では困った末に便宜上、スワット1号・2号・3号、と呼んでいたのですが、号を外して、スワット1・2・3の方がコードネームぽくてそれらしい事に今更気付いたので、今後それで行こうと思います。実際、劇中でもスワットメットに何やら数字が入っている(隊員番号?)ようではあるのですが。
◆Volume27「BSブルースワット同志討ち!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
見所は、
「甦れ、ショウ!」
と、記憶を失ったショウを火炎放射器であぶるシグ。
特殊な高性能爆薬C11を強奪したエイリアンを山中に追っていたブルースワットは、エイリアンを追い詰めるもムッシュの攻撃を受け、巻き込まれた少女・ちひろをかばったショウが川へ落下。
「奴等が……あいつらが俺を殺そうとした!」
その際に頭を打って記憶の混濁したショウは、スワット2と3が自分を射殺しようとしていたと思い込んでしまう。記憶を失い気絶したショウは、ちひろの家へと運ばれるが、実はちひろの父・籾山博士こそが、エイリアンがC11を渡した科学者であった。ニトログリセリンの数百倍の威力を持つが極めて不安定なC11を固体化する研究を行っていた籾山博士だが、その研究を危険視されて学会を追われ、遂にはエイリアンと取引していたのだった。
3話続けて地球人の科学者がエイリアンに協力しておりますが、ドラマを作りやすくする為に、現地の協力者パターンにしていくのか。
セイジの情報から籾山博士の家を訪れるシグとサラだが、一足違いで、ショウの身柄は博士によってムッシュのアジトに運び込まれてしまう。アジトの壁にブルースワットの盗撮写真が飾られており、某スーパーサイエンスネットワークを思い出します(笑)
「丁度いい。この体にも飽きが来た。次はおまえにインヴェードしてやる」
さらっとトンデモない事を言い出すムッシュムッシュが気分でザジの体を捨ててもいいと思っている”のは、少年の体にこだわっている理由が無い現状、非常に問題だと思うのですが(^^; 本来はむしろ、適性上、ザジの体が馴染む馴染むぞーなのを強調しておかないといけないよーな。
これでブルースワットを壊滅させてやる、と景気づけにスワット1のブロマイドを破壊したムッシュはショウの体にインヴェードしようとするが、ショウが記憶を失っていた事で、ブルースワットの情報が手に入れられない事がわかり、インヴェード中止。
そこで目覚めたショウが、壁に貼られたスワット2と3の写真を見て射撃、というのは変なネタかと思ったらスムーズに話が繋がって面白かったです(笑)
シグは籾山家でC11の空アタッシュケースを発見し、ここで流れるバイオリンのBGMや、ショウの記憶の混濁がらみで用いられるピアノの効果音など、久々に三ツ村監督の音楽使いの巧さが炸裂。父が悪事に手を貸しているのではないかという不安の的中を悟ったちひろが、優しかった父との思い出を語るシーンはお約束もお約束なのですが、音楽で上手に盛り上げています。
そこへムッシュからブルースワット宛ての挑戦状が届き、こちらはすっかり、悪い形でパターン化してきてしまいました……。
罠を承知で向かうスワット2と3だが、その前に、二人を敵だと思い込んだ上にムッシュに乗せられたショウが現れ銃を向ける。
「やられる前にやってやるぜ、やってやるぜ!」
ショウの怒りに応えて、ゴールドプラチナムさんが宇宙の彼方からやってこないか、凄くドキドキします。
スワット2と3はショウの銃撃を受け、更に、事前に地雷として設置していたC11を起爆する籾山博士。
…………うわこの人、私は私の研究をしたいだけなんだーを通り越して、自分の研究成果を確認する為なら人間の1人や2人ぐらい吹き飛ばしても構わない人だ。
難点は、C11の爆発が割と大した事なくて、むしろ後半のジスプの火炎攻撃の方が爆発が派手だったりする事。前座とクライマックスの差別化ではあったのでしょうが、今回のキーアイテムのインパクトが薄くなってしまいました(^^;
爆破の衝撃で混乱が増したショウは姿を消し、父を止めようとやってきたちはるが爆発に巻き込まれた事で、ブルースワットはちはるを病院へ。ところが博士への人質としてちはるがエイリアンにさらわれてしまい、更にショウのスワットスーツのメンテナンスコールがキャッチされる。ブルースワットは敢えてメンテナンスコールをエイリアン側にもキャッチさせた上でショウの元へ向かい、介入してきたエイリアンを倒しつつショウの記憶を取り戻し籾山親子も助けよう、という賭けに打って出る。
一応、娘を人質にされているという体裁なのですが、C11を利用したリモコン爆弾(見た目はホーミングバレット)の引き金を、何の躊躇もなく引く籾山博士にはまったく人の心が感じられません。
ムッシュの攻撃からショウを守ろうと飛び込んできたちはるを助ける事で、ショウは完全に記憶を取り戻し、エイリアンへの反撃スタート。正体を現したジスプに対し、挿入歌で盛り上げてメットも装着、さあヒーローの時間だ! と盛り上げてくるのですが、エイリアン軍団に撃ちまくられて手も足も出ず大苦戦の末、
「許さねえ、許さねえぞ! エイリアン野郎、許さねぇ!!」
もう、笑いと涙が一緒に止まらないよ……。
そしてみんなのヒーロー、ゴールドプラチナムがやってきた!!
ラチナムは明らかに手加減攻撃(武器破壊など)してブルースワットにトドメを譲っているのですが、これは、いわゆるひとつの、パワーレベリングなのか。
「サンキュー! 助かったぜ、プラチナム
基本、プラチナム登場と成敗!について反応を示さず、たまたま怒りメーターが振り切れて召喚してしまったのか、ピンチに意図的に呼んでいるのかさえよくわからないショウですが(扱いとしては、本人の思うようにならない超パワー、という所なのでしょうが)、今回初めてプラチナムに礼を言うというアプローチ。
ムッシュと六角は異次元規格外の飛来に泡を食って逃げ出し、籾山博士は抱き合って“娘に”謝罪する……この博士は、絶対すぐにまた道を踏み外すと思います。
ところで今回、冒頭でエイリアンを追い詰めたシグが、
「私たちの目的はC11だ。おまえの命じゃない!」
と説得を試みるシーンがあるのですが、1ミリも信用できないのですが。


◆Volume28「あぁ無情母の命」◆ (監督:小西通雄 脚本:酒井直行)
小峰裕一が「ザジの声」だったり「ジスプの声」だったり、佐野茂(ザジ役)に、役名がついたりつかなかたり、OPのクレジットが一向に安定しないのはいったい何なのだろう。
危篤状態の中年婦人を見舞うセイジ――女性は、セイジの親友・真也の母親であった。真也はセイジも一目置くシステムプログラムの天才であったが、母親が運転していた車で交通事故に遭って下半身麻痺となった事で留学が取り消しになり、失意のまま失踪。その後、母親が悪性の腫瘍で倒れ、セイジは必死に真也の行方を捜しているのだった……と、こんな悲しい事件がありました、と全部セイジのナレーションで説明してしまう、というのは好きではない手法(^^;
死期の迫る真也母の為に真也を探し出したいセイジだが、ブルースワットは謎の怪電波を追って作戦行動中であり、ショウは協力を拒否。
「俺たちの使命を忘れたのか! エイリアンを倒す事だろうがよ!」
据わった目で使命感を強調するショウの姿には最近の展開からすると少々違和感があるのですが、今回、全体的に初期の雰囲気を意識した作りになっており、これは今作初登板の脚本の影響か。
謎の怪電波の正体は、スペースマフィアの、UFO透明化マシン。……以前のスペースワープ装置の時もでしたが、どうもこの人たち、UFOは目立つので気軽に地球に降りてくると撃墜される前提で活動するようになっていますが、米軍にでも痛い目に遭わされたのでしょうか。
セイジはこの現場で、エイリアンに協力してUFO透明化マシンを作成していた真也の姿を発見。真也がセイジの知人である事を知ったムッシュは、呼び寄せていた死刑囚エイリアンを真也にインヴェードさせ、更にセイジにインヴェードさせる事でブルースワットの情報を得ようと、真也エイリアンをセイジに接触させる。
死刑囚エイリアンは、高い戦闘能力を持ちながら殺戮行為を悔い改め、敵前逃亡の末に戦闘放棄の罪で獄に繋がれていたというスペースマフィアの変わり種。だがムッシュはそんな死刑囚を薬で凶暴化させ、エイリアンはセイジへのインヴェードを食い止めようとしたブルースワットと戦闘に。
適当にレーザーやミサイルを撃ち込むが無効で、フル装備の3人の後ろに、武器運搬係で生身の2人が立っているというのは実に今作らしい間抜けな絵(^^; 金色さん云々を抜きにしても、どのみち目指した方向に対して個々の描写が粗すぎる、というのが改めて浮き上がります。
強力エイリアンに追い詰められる3人だったが、薬の効果が切れたエイリアンは戦意を喪失すると真也にインヴェードして逃走。自ら死を望むその姿に、追いかけたブルースワットは銃を収める。
「たとえエイリアンでも、改心している者を」
「殺す事はできないわ」
「逃がしてやるよ。どこかスペースマフィアの手の届かない遠い所へ」
ショウ、物凄い安請け合い。
ブルースワットは基本、コネクションもなければ余裕もなく、目的以外の事には無責任を貫くヒーローチームなので、ここはさすがに、綺麗事が半年分の描写から乖離しすぎました(^^;
なんというかこういう、力技の説得力を持たないヒーロー、というのはコンセプトからしてつくづく難しいなぁと思う次第。
後、一応今作においては、「エイリアン」=「スペースマフィアの構成員」という一種の固有名詞扱いのようですが、異星人であるシグがエイリアンを「たとえエイリアン」呼ばわりするのも実に苦しい所で、根本的にもう少し色々どうにかならなかったのか、と思う所です(^^;
今作の場合、これ以外にも「スペースマフィア」を筆頭に、固有名詞と一般名詞と自称と他称がぐっちゃぐっちゃなわけですが。発想としては恐らく、『機動戦士ガンダム』において、主人公達の母艦「ホワイトベース」を敵側はその外観から終始「木馬」と呼ぶ、みたいなリアリティを持ち込みたかったのでしょうが、巧く行っていません。
薬の影響により、真也が半日は目を覚まさない事を知ったセイジは、エイリアンに真也へのインヴェードを頼み、恩返しとしてそれを承諾するエイリアン。真也が心の奥に秘めた母への想いをエイリアンが感じていた、というのはインヴェードの設定を巧く活用しました。
真也エイリアンが真也母と面会中、裏切り者の抹殺の為に放たれたエイリアン軍団を病院前で迎撃するブルースワット。例えばここで、地の利を活かした作戦を立てるなりすれば、また別の面白さも出せたと思うのですが、凄く雑な集団戦になってしまうのが勿体ない。
真也母は息子とのかりそめの再会を果たして笑顔で事切れ、戦闘の気配に気付いて飛び出した死刑囚エイリアンは、ブルースワットをかばってエイリアン軍団の攻撃を受け、死亡。
「許さねぇ。戦いをやめた者までも、利用するだけ利用しやがって、その挙げ句がこれかよ! 許さねぇ……許さねぇ!!」
母子の本当の再会はかなわなかったけれど、自らの過去の行いを悔いるエイリアンが、最後に人の心を救う事で自らもわずかに救われて死ぬ、という展開にショウの怒りを繋げてしっかり盛り上げてきたのですが、どんなに格好いい展開で格好いい台詞を言っても全く格好良くならないという、無慈悲なゴールドプラチナムシステム。
取り繕いようの無いレベルでショウ達のヒーロー性をズタズタに切り裂くプラチナムですが、どこで出てくるかが固定化されているという事もあり、なんだかもう、出てくる度に変な笑いがこみ上げてくるようになってしまいました(笑)
突然の愛の奇跡や、突然の神の力は突発性大惨事になるのに対し、用意された大惨事であるが故に、笑いに昇華されてしまったというか。
ゴールドプラチナムという名のデウス・エクス・マキナの投入により、全体が喜劇になってしまったという、悲劇。
かくしてエイリアン軍団はブルースワットの経験値になり、六角エイリアンは逃走。病室では意識を取り戻した真也が、母の手に残ったぬくもりに心を入れ替えるのであった……。
シグ「親友っていいですね」
ショウ「おいおい何言ってんだよ、俺たちみんなそうじゃん」
サラ「そうよ今更!」
と、真也の車椅子を押すセイジの姿を見ながらの会話は良かったです。
ところで、最近の“地球人の頭脳がスペースマフィアに協力している”という形式と、“法治でも人治でもなくエイリアンを倒せればそれでいいチーム”であるブルースワットが化合した結果、「罪を憎んで人を憎まず」を通り越して俺たちにはそんな事はどうでもいいオチが続いているのですが、これが後々、特大の地雷にならないかどうかは不安です(^^;
次回、夏の怪談回で何かが起こる!?