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『ブルースワット』感想37

◆Volume49「決戦! 王(キング)の最期」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
のっけからナレーションが「スペースマフィアを追われたジスプ」と大嘘ついていて困ります(笑) 前回のジスプは、決起集会中に勝手に抜け出してこっそり改造手術を受けている所をクイーンに見つかって「ふーん、勝手にすれば」みたいな扱いだった記憶なのですが。
「皆の者、よく聞け! これまで私が展開してきた、地球侵攻作戦の数々。それにはただの一つの誤りもなかった」
アジトで残り少ない部下から名前の唱和を受けるキングジスプは、そこから自己肯定しないといけないのか(笑)
服従フェロモンの効果で自意識を失った配下に繰り返し讃えられる裸の王様ぶりと合わせて、キャラの肉付けとしては上手いのですが、何もかも今更感が募るばかりです。
ショウ達は「この私にあるのは、偉大なるキング・ジスプ様への忠誠心だけだ!」と凄く楽しそうなシグを念入りに閉じ込め、服従フェロモンの成分を入手しようとドクター・アルドを探すが、ドクターは既に口封じの為に殺されていた。ドクターの電子頭脳から記憶チップを取り出すセイジだが、アジトではシグが脱走してしまう……。
「このゲームは貴様等が共にこの世から消え去るまで続くのだ!」
あくまで仇敵同士の潰し合いにこだわるジスプは、シグを使って誘き寄せたスワット1と2に、フェロモンで服従させたクイーンもぶつけるが、スワット1と2はあっさりと一時退却して罠にも何もなっておらず、この終盤にも相変わらず敵味方ともに雑な戦闘が続きます。
無事にアジトへ帰還するや早く解毒剤を作れと一方的にセイジを責めるショウは、シグへの友情からの苛立ちを表現しているのでしょうが、目下認定している相手に当たり散らす感じの悪い姿が某剣崎さん(前半)を思い出して困ります。
「たとえ威嚇にでも、シグを撃つわけにはいかねえんだよ」
ショック弾とかインヴェード解除ビームとか考えられる手はあると思うのですが、インヴェード解除ビームの設定を活かすのではなく、解除ビームの存在が既に新たな地雷になっているというのが、さすがの『ブルースワット』クオリティ。
「シグの体は、大事な借り物だものね。このザジの父親、広瀬剛からの」
急に人体に気を遣い、広瀬一家を襲った10年前の悲劇を振り返って設定を確認する2人だが、そこへシグとクイーンが乗り込んでくる。シグの記憶がある以上、当然想定される事態だったと思うのですが、何の対策も講じていない無警戒ぶりが実に『ブルースワット』クオリティ。
何度か書いていますが、今作、既存の作品とは違うパターンのヒーロー像を描こうとした筈なのに、そのヒーローなりの戦闘の文法を全く設計しておらず、“限られた武装で未知の異星人と戦う”というコンセプトが全く活かせないまま、ブリーフィングも偵察もしなければ待ち伏せやトラップとも縁が無く(トラップを仕掛けるヒーローはどうか、というのは確かにありますが、しかしそういう事が出来ないなら何故この設定にしたのかという話になるわけで)、武器の威力もその場の都合でコロコロ変わるという杜撰さの結果、何のスタイルも確立できないまま、敵と味方の頭の悪さだけが最終盤に極まってしまいました。
「ネズミとクイーン、刺し違えろぉ!」
アジトを離れるもシグ&クイーン&エイリアン軍団に追い詰められるスワット1と2だが(なお、戦力を投入しすぎて、刺し違えようが無くなっている事にキングは気付いていない模様)、Bパート明けにいきなりセイジが駆けつけて、完成したフェロモン無効化スプレーで全エイリアンの魅了状態をあっさり治療するという、1コンマの盛り上がりも生じない展開。
正気に戻ったクイーンは怒りの範囲攻撃を放ち、親衛隊と撤退。銃火器を破壊されてしまったブルースワットは残りのエイリアン軍団と戦う為に、3人揃って日本刀を装備。
……えー…………(一度しか使ってないけど)シグの個性は…………。
サラがナイフでショウはシルバニアパンチとか、せめて3人とも違う近接武器にすればいいのに、どうしてこうなるのか。銃火器戦闘にこだわっていたならともかく、中盤一時期は格闘アクションを重視するなどアクション演出も場当たり的だった為、「型」が無いから「型破り」にもならない、という典型例。更に悪い事に、劇中で既に一度使ってしまったアイデアな為に、最後の最後で突然刃物を取り出した! というネタ的な盛り上がりすら生まれません(^^; 刃物戦闘を一度だけやって、その後完全にスルーしていた事も、ここに来て見事な地雷に。
ブルースワットはバッタバッタと雑魚エイリアン軍団を切り払い、何故かこの期に及んで生身棒術で攻撃してくるムッシュトリオ。
絵としてはそれなりに格好いいのですが、それだけで許されるのは中盤までで、最終回直前までエイリアンと人間の肉体の使い分けに物語上の合理的な理由が描かれない為、物語として全く盛り上がりに繋がらないバトルは脳死寸前。
そしてようやくエイリアンの正体を見せたと思った途端に、あっさり斬殺される下僕AとB。
六角もでこ夫も、出たり出なかったりが激しいとはいえ、本作序盤から長らく出張っていたキャラクターなのですが、一切合切が盛り上がらなくて、もはやスタッフの怨念と逃避を感じるレベル。
なんとなく夕焼けでジスプと最後の直接対決になり、ジスプは3人の同時攻撃に貫かれながらも、倒れない。
「ジスプ! 許さねぇジスプ! てめぇ絶対に許さねぇ!!」
そして結局、お父さんを呼ぶ(笑)
まあ、『ブルースワット』に確立している戦闘スタイルがあるとすれば、このオチだけなんですが。
ほぼゴールドプラチナムのテーマと化している挿入歌「出発のサイン」は格好いいのですが、とりあえずこれを流しておけば誤魔化せるので安易に連発されるという点で、『ジバン』主題歌と同じものを感じます。
お父さんはサービスで飛び道具を直し、4人の一斉射撃がジスプに遂に致命傷を与える。
「夢が……地球を支配する夢が、かなうと思ったのに……私は、キングジスプだぁ!」
遂にジスプは爆死し、喜びの報告をした際にこぼしたシグの涙に反応するかのように、意識を取り戻してうわごとで父を呼ぶザジ。一行は慌てて病院へ向かい、内臓移植の準備として広瀬の体から抜け出そうと踏ん張るシグだが、何故かインヴェードを解除する事が出来ない。無理をすればシグが外に出る事は可能だが、その場合、広瀬の体はぐっちゃぐっちゃになってしまう……広瀬の思いを無駄にしない為にも、そんな選択は出来ないシグは果たしてどうするのか?!
というかあなた方、この状況を病院でどう説明するつもりなのか。