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『ブルースワット』感想24

◆Volume34「極悪!!にせBSブルースワット」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:増田貴彦)
ブルースワットとエイリアンの戦闘からスタートし、ジスプに迫るブルースワット……だがその正体は、ブルースワットの動きをコピーしたデスキーラ3兄弟だった。
最終試験に緊張感を持たせる為かジスプ配下には偽ブルースワットだと伝えられていなかったようで、真剣勝負の殺し合いが行われているのですが、雑兵を駒としてしか扱わないスペースマフィア非道、というより、配下を無駄に減らすジスプ無能に見えるのが困った所です(^^;
なおジスプは今回から、微妙に窮屈そうな椅子に座るように。撮影の都合か、部屋のセンター辺りに椅子が置いてあるのがそこはかとなくおかしい(笑)
デスキーラ3兄弟(ゴク・ドウ・モン、というネーミングが酷い)は偽BSとして次々と悪事を働いた上で、幼稚園バスをジャックして本物のブルースワットに挑戦状を送りつける。ところが、捕らえたバスの運転手は、スティーブン・セガールだったのです。
たまたまた現場に居合わせたスティーブン・セガールもといケン石神は、かつてアメリカ放浪の途中、アリゾナ砂漠で行き倒れていたサラを助けた命の恩人にして、グリーンベレー
「君にこれだけは言っておく。どんなに逃れようとも、戦いの中でしか生きていけない人間も居るんだ」
だが石神は任務中、全身に弾丸の破片を受けて除隊、現在は日本でバスの運転手に身をやつしていたのである。検問を突破して現場に駆けつけたBSと協力してエイリアンを退散させた石神は、戦いを求め、ブルースワット入りを志願。だが……
「お断りします。私たちが必要としているのは戦いを終わらせる人間です。戦いを求める人間ではありません」
「そうだ、そんな奴に戦う資格は無い」
多分、“ヒーローらしさ”のつもりなのでしょうが、ショウはどうして、突然凄く上から目線で冷たい事を言うのか(^^; つい先日、インヴェード被害者にもっと気を遣おう、と反省したばかりのブルースワットが、戦う資格のあるなしを大上段から判定するという、目眩のしてくる展開(勿論、石神は明らかに困った人なのですが、少なくとも園児と保母を助けており、大上段から切り捨てられるほど、この時点でブルースワットの反対側に居るようには見えません)。
一応サラの命の恩人でもあるのに、全く話を聞こうとしないシグとショウの態度にムッとした石神は、遅れて現場に装備一式を運んできたスミレを人質に取ってトラックを強奪。
「俺が自分を取り戻すには、戦場が必要なんだ」
これを見ていたエイリアン達は石神に接触して、ブルースワットと戦うように誘導する。
……それより、その武装を破棄した方が良いのでは。
偽BS作戦や検問突破の為に分解した銃をバイクに隠すなどで双方今回の知力を使い果たしたのか、あっちもこっちも頭を使わないのでややこしくなるという困った展開が続きます。
「聞けサラ。俺はついに戦場を取り戻した。自分の生きる場所を見つけたんだよ」
戦う以外の生き方を出来ない男、という石神の造形と台詞回しはオーソドックスなりに悪くはないのですが、そこでサラとの間に個人の情念のぶつかり合いが発生せず、肝心のサラの内面が全く掘り下げられないまま進むので、完全に空回り。
石神は明らかに、道を踏み外したサラ、として置かれている筈なのに、サラと石神は何が違うのか?という部分が表面上の台詞だけでしか表現されない為、構造が全く活きていません。
どうしてそうなるのかといえば、ロス市警時代→放浪時代→現在のサラの心境の変化や現在の物事の見方に物語として背骨が与えられていないからなのですが、度重なる路線修正の影響もあり、今作が如何にキャラクターを肉付けできていないかが露骨に浮き上がってしまいました。
特にサラは中盤以降、スポットが当たらないどころかエピソードのキーになる台詞すらほぼ回ってこない、と明らかに扱いが悪くなっており、今回も一切その内面に踏み込むことなく、自分の言葉で石神と対峙しないので、ほとんどお人形状態。
「ケン、あなたはとうとう、そこまで堕ちてしまったのね」
どう考えても、最後の一押しを入れたのはシグとショウですが。
スミレ救出に向かう3人だが、石神の仕掛けた地雷でショウとシグが吹っ飛び、1人残ったサラの前にはスワットスーツ姿の石神が現れる。
「ぞくぞくしてこないかサラ。いつ死ぬかわからぬ緊張感、激しい興奮、戦場こそまさに! 自分が生きている事を実感できる場所だ!」
サラと石神はぶつかり合い、凄く普通にトリガーを引くサラ(笑)
どう見てもこの人、同類です。
むしろ安易に戦場の空気に酔わない分、筋金入り。
激闘の末、装備の格差は如何ともしがたく、倒れたサラに銃口を向ける石神だったが、突然の吐血で膝を突いた所を背後からデスキーラ兄弟に撃たれてしまう。
戦いの決着も、サラと石神の信念の衝突があるわけでも何でもなく、外野の介入で片付けてしまうという、駄目な逃げパターン。
「許さねえー! この偽物野郎、許さねぇ!!」
シグと2人で崖を登って復帰したショウは、何故か、身勝手極まりない最低人間である石神の為に激怒し、やってきた白金さんがキャプチャービームでエイリアン達が来ていたスワットスーツを回収すると、そのままショウ達に着せてあげる、というシーンは愕然としました(笑)
瀕死でピクピクしている人と、直前までエイリアンが着ていた物と、どちらがより嫌なのか悩ましい。
恐らく消臭サービスぐらいつけてくれたゴールドクリーニングは、シルバニアとドラムガンをショウへと託し、デスキーラ兄弟は瞬間焼却。今後どうしていくかわかりませんが、〔怒る!→プラチナム召喚→シルバニア装着→ドラムガンナー装着〕までがセットメニューになった事で、シルバニアの意味が消滅。
いずれエイリアンの攻撃をシルバニアでリフレクトした後にドラムガンファイヤー、程度の事はあるかもしれませんが、少なくとも現状、ドラムガンで瞬間焼却なのでシルバニアで肉弾戦する必然性は皆無になりました。デザイン上ドラムガンナーを身につけた状態で立ち回り可能かも怪しいですし、かといってシルバニアだけ渡してガンナー渡さないのは不自然に過ぎるので、怒る!→焼却、までが流れ作業になるのなら、まだシルバニアで殴り合いをしていた方がマシだったのでは……(^^;
「サラ……! 戦いの無い世界を築いてくれ。俺のような、人間を、出さない、為にも……」
「安心して眠ってケン。戦いの無い世界、私が、私たちブルースワットが作るわ。あなたが、再び、平和な子供として生まれ変われるよう」
サラが息絶えた石神を看取るのですが、上述したようにサラと石神の対比が成立しておらず、ブルースワット自体が良識と正義を掲げるチームでは無いので、“綺麗事の背景”が存在せず、上辺だけの言葉に中身がまるで無いまま終了。その中身を詰めるのが、物語の意味なわけなのですけれども。
下手に重いテーマを持ち込んだ結果、シグを除く各キャラクターの掘り下げ不足が盛大に噴出し、見事に大火傷。これなら、31−32話のバカ話の方が、正直まだマシに思えます(^^;
次回、ニンジャとマッドサイエンティストがまとめてやってくる!! ……何という、後の無い感じ(笑)