- 作者: 佛田洋
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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意外と、『北京原人』から始まる映画の章が面白くて、「社長企画」「吉永小百合」「角川春樹」などなど、映画の世界は恐ろしい(笑)
とにかくミニチュア撮影などが楽しくて、仕事が大好きという話を繰り返す佛田さんですが、こういったスタンスが明確なのもまた、長年シリーズに参加し続け、また、任される所以だろうな、と。
よく“大人が観るに耐え得る”という表現があるでしょ。実際、大人も観られるに越したことはないけど、最初から大人向けに作らなきゃという発想は僕にはありません。別に大人が観られなくても子供が喜んでくれればそれでいい。戦隊はあくまで子供向けで、子供を喜ばせてナンボですから。で、それに食い付いてくる大人がいれば、それはまあどうぞと(一同笑)
一方で、戦隊の作劇自体は二世代向けから更に三世代向けまで視野に入れた作りになってきているわけですが、この“子供を喜ばせる演出”と、“そうは言っても大人も捕まえておきたい構成”というのが、今の戦隊の抱えている難しさだなーと。
その辺りに関わるのか、鈴木武幸との対談ではちょっと気になる一節。
この本の発行が2012年6月なので、恐らく対談も2012年始めぐらいだと思うのですが、ポスト『ゴーカイジャー』という事情も合わせ、『ゴーバスターズ』の準備不足なのにアクセル踏み込んだら未舗装の道路に突っ込んでしまった感はこの辺りの事情も影響したのか。……ああ、『ゴーバス』後半戦も見なくては。
鈴木 ライダーは前年度を否定していいよというくらい改革してますし、だからこそ続いているけど、一方で戦隊の場合はゆるやかな改革です(笑) ここを大事にしてるんです。今、武部プロデューサーには、改革を頼んでいます。徐々にですが彼女の努力が実を結んでいます。
戦隊絡みでは、『ダイレンジャー』の龍星王がくねくね飛んでくるカットが大好評で、当初の予定から変わってOP冒頭に持っていく事になったそうなのですが、
『ダイレンジャー』がますます混迷を深めていった原因の一つが、こんな所に……(笑) それで、あんな存在だったのか、大神龍(^^; ある意味、擬人化……(ぼそっ)
一方、バンダイの村上(克司)さんも龍星王の映像に関してはすごくインパクトを受けたらしく、龍星王はデザインが同じくバンダイの野中(剛)さんだったのに対し、村上さんの中に“龍のメカはこうだ!”という確固たるビジョンがあったようですね。それで誕生したのが、のちに出てくる大神龍だったんです。だけど、大神龍で龍星王と同じことは出来ないから、プロデューサーや脚本家と相談して、全長500mの設定で都市を壊滅させる超宇宙生命体ということにして、なんとか上手く違いを出しました。
先日ちょっと話題にあがった『ウルトラマンVS仮面ライダー』の話もあって、佛田監督は、現場で高野宏一と矢島信男に見守られながら撮影していたそうです(笑)
具体的な撮影技術の話よりは、どんな意識でこういった特撮をやり続けているのか、の話がメインで(技術論もありますが)、書籍としてちょっと雑な造りは気になるのですが、それなりにボリュームもあり面白かったです。